【感想・ネタバレ】まひるの月を追いかけてのレビュー

あらすじ

奇妙な旅のはじまり、はじまり
異母兄の恋人から、兄の失踪を告げられた私は彼を探す旅へ――。
奈良を舞台に夢と現実のあわいで真実は姿を隠す。恩田ワールド全開のミステリーロードノベル。

異母兄が奈良で消息を絶った。
たった二度しか会ったことがない兄の彼女に誘われて、私は研吾を捜す旅に出る。
早春の橿原神宮、藤原京跡、今井、明日香……。
旅が進むにつれ、次々と明らかになる事実。それは真実なのか嘘なのか。
旅と物語の行き着く先は――。

「恩田作品には映像に携わる人間を刺激する何かがある。
撮りたい衝動にかられる。その言葉を発語してみたくなる。
登場人物を設定された場所に解き放してみたくなる。
そして、その場所を、実際に訪れてみたくなる」
(解説・佐野史郎)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

個人的には結末の後味が悪いと感じる作品でした。
主人公の静は、奈良で行方をくらました異母兄を探すため、兄の恋人とともに奇妙な旅に出掛けるというストーリーでしたが、なぜ兄が恋人のもとを去ったのか、そしてなぜ兄の恋人は妹の静を旅に
誘ったのか、静にとって家族とは?といった謎が明かされていくたびに不穏な感じがしました。
ハッピーエンドが好きな方にはあまり刺さらないかもしれませんが、バッドエンドでも構わないという方には面白く感じるかもしれません。

0
2025年07月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

腹違いの兄の彼女と、彼を探す旅に出る主人公。しかしその女性は実は彼女ではなかった。いつしか彼の最愛の女性は誰なのかを探す旅になっていった。家庭環境が複雑だったり、人が簡単に死んだりとかなり重い。ミステリーなのに温かい恋愛小説になるところが恩田陸っぽい。最後の最愛の女性が主人公の母親だと分かる瞬間、主人公はどう思ったんだろうとか、母親はどういう感情なんだろうとか、モヤモヤする部分はあるがそれ自体が物語の余韻として残って良かった。もう少し過去の話も知りたい。ちょっと泣きそうになった。倫理観的にアウトなのは気になる。

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2024年09月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本作、失踪した兄研吾を探しに、妹の静が兄の元カノと旅をするというところから始まります。その意味ではミステリーがベースとなっています。

・・・
小刻みに事実が明らかになり、その不穏さに読んでいてじわじわ・ゾクゾクしてきます。

兄の元カノが実は元カノではない、とか、実はその元カノは死んでいた、とか、兄と元カノともう一人の三角関係?であったとか。加えて、そもそも兄といっても異母兄だったりとか、複雑な家庭環境であることから、異母兄弟で恋愛かも!?という仄めかしも。

かような事実が兄を探す旅の最中に徐々に明らかになります。落ち着いた筆致のなかで、誇張もなく淡々とツイストが繰り出されます。冷静な展開に、これは実はモダンホラーなのかと勘違いするほどでした。

・・・
さて、主人公静が兄探しをする相手は、結局は高校生時代からの兄の友人である妙子であることが分かりました。で、その場所たるや、奈良なのです。

橿原神宮や藤原京跡など、由緒ある史跡にかつての歴史上の人々に思いを馳せながら歩く二人の様子は味があるものです。奈良をご存じの方はきっと楽しめることと思います。知らないでも雰囲気がありますが、知っていたらもっと楽しかっただろうなあと、読後に羨ましく思う。

いや、たしかに奈良は私も一度行ったことがありました。子どもたちが小さいころに数年程大阪に住んでおり、休日に奈良公園に出かけたのでした。鹿せんべいか何かを買い与え、子どもたちが手づからやると鹿に手をベロンと舐められたか何かで、子どもたちは驚きのあまりギャン泣き笑 ということで史跡のイメージがない笑

史跡をゆっくり歩くという旅もしてみたいですねえ。

・・・
ということでまたもや恩田作品でした。

ふつふつと不穏な空気が漂うミステリーでした。ちなみに最後は驚きの結末でした。ややメロドラマチックな結末!?

恩田さんのファン以外にも、奈良好きの方、史跡好きのかたは旅のお供に読まれてみてはいかがでしょうか。

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2023年10月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ぅーん、あんまり面白くなかった。
恩田さんの話は結構全部面白めと感じる方だけど、なんかこれは。☆2.5くらい、てのが正直な感覚かなぁ。
確かに、前段~中段までの、だまくらかしの多い設定は面白いとも思うけど、全体を通じての大枠のストーリーが、そんなに面白いと思えなかったのよねー。
けんご氏の愛する人も、なんか想像できたし。

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2022年06月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【自編集あらすじ】
離婚を経て、仕事と静かな私生活のなかでなんとなく満たされない気持ちを抱える静。異母兄弟の研吾、その元恋人の優佳利、友人の妙子の3人の関係に巻き込まれることで静は一つずつ真実を知っていく。

【感想】
自分は主役にはなり得ないが、知らないところで他の人の物語の重要人物になっている。自分とはどんな人間なのかを、奈良を舞台に妙子や研吾との対話の中で掴む心理描写の多い作品かな?全体的に平坦で途中飽きちゃったけどやっと読破できた

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2022年05月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

行方不明になった腹違いの兄を、兄の彼女と名乗る女と共に奈良へと探しに行く。

古都奈良の、数千年前から現在までの時の流れがごちゃ混ぜになったような雰囲気と、旅を続けるたびにそれぞれの関係性や思惑がくるくると変わる状況がリンクする。

個人的には、会話や思考の流れに集中してしまい、奈良の情景が全然頭に入らなかったのが残念。また、最後の展開が少し唐突で、もう少し静と母の関係性が描かれると良かった。描かれない、ということがつまり静の母への感情を表しているのかもしれないけど…。

そういえば、腹違いの兄弟姉妹や、死者を軸にした生者たちの苦悶っていうテーマは恩田陸さんの作品によく出てくるなぁ。

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2021年11月21日

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