恩田陸のレビュー一覧

  • 土曜日は灰色の馬

    Posted by ブクログ

    本や漫画、映画にまつわる恩田さんのエッセイ。どんな本が好きで、どんな影響を受けてきたのか、それがどう作品に影響を受けているのかなど、大変興味深く読みました。海外小説から日本の民俗学、絵本に漫画まで本当に幅広い作品群。読書案内としても面白く、また昔同じ作品を読んでいたんだなぁと、懐かしく思ったり、とても楽しめました。特に上野紀子さんの黒帽子シリーズが出てきて興奮!そして萩尾望都や内田善美の漫画なども懐かしく、今度実家に帰ったら納戸をかき回すこと必至です。毎晩枕元において少しずつ読むのにも良さそうです。

    0
    2022年10月27日
  • 夏の名残りの薔薇

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    何だろう、ぐるぐるするような話。 限られた空間なのに登場人物が多い。主役の三姉妹は作り話を披露して、楽しんでいる?のか…お茶会、は恩田作品にはよく出るワードで、好きな場面でもある。各章で最後に死ぬ人物が変わる。そして、最後には全てをそれぞれが明らかにしていく。桜子が辰吉に言ったのは本当だったのか。こういう、何だか、何だろうって思ったままの話が好きだ。何回も読みたくなるし、ずっとわからないままでいたい。毎回印象が変わるのもたのしい。桜子の世界に入れる人がいつか現れるのか。個人的には時光が好き。

    0
    2022年10月02日
  • ねじの回転 FEBRUARY MOMENT(下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    下巻は始めからフルスロットル。fragment5はジョンが望んだ未来か…「よその国で戦争するということをアメリカはもっと思い知っておく必要がある」為に、、
    「二・二六事件」で岡田総理や鈴木侍従長が亡くなり、陸軍と海軍が戦闘したり、陸軍同士で戦闘したり、石原莞爾が東条英機を射殺したり……IFが凄すぎる。。
    上巻からわりとボサっとしているマツモトがかなりの重要人物でした。特別な4台目を持って外にいるときのマツモトのキャラが変わって口調がそれまでと違うところ、命のやり取りという極限状態での人の変なテンションという感じで腑に落ちます。実際にその場にいないと感じられないことはあるのでその後のマツモトの行

    0
    2022年10月02日
  • ねじの回転 FEBRUARY MOMENT(上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    時間を遡ることが出来るようになった世界で、過去に戻った人が重要人物を暗殺した事でとんでもない未来になってしまったことから、国連は歴史を再生して再確定する計画を始めた。(明言されてないけどホロコースト云々なので暗殺されたのヒトラーなんじゃないかと思っている)
    日本がやり直すのは「二・二六事件」。その時代の人物で、やり直している歴史だと知っているのは3人。でも、細かい部分で史実との差異が表れ、死ぬはずではなかった人物が殺されたりしても「不一致」とはならないことで、「正しい歴史など存在するのか?」「これは“新しい世界”なのでは?」と思い始めた彼らは、日本が辿る悲惨な歴史を変えられるのでは…という思い

    0
    2022年10月01日
  • エンド・ゲーム 常野物語

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    常野物語の3作目
    特殊能力を持つ常野一族の家族の話
    その能力ゆえの苦しみや葛藤から逃れるために下した家族の決断。
    特殊能力者同士の派閥や対立も絡んで複雑な状況に追い込まれる。
    『洗濯屋』に記憶を書き換えられる家族。
    能力を消してしまえば、この状況から解放されると奔走した結果、ラストにどんでん返しが。

    最後はチョットしっくりきませんでしたが、全編通じて物語に引き込まれ楽しめました。

    0
    2022年09月14日
  • 祝祭と予感

    H

    購入済み

    言わずと知れた蜜蜂と遠雷の続編です。同じように清々しさを感じます。音楽には全く興味がなく、今もテレビは基本的にニュース以外は見ない。ラジオも聴かない。電車等でイヤホンを使っている人が理解できないちょっと偏りがある私でも、恩田さんの文章はスッと入ってきます。良い作品です。

    0
    2022年09月11日
  • 夢違

    Posted by ブクログ

    恩田さんワールド全開!
    恐ろしくも冷たい美しい「夢」の世界。
    着地点や伏線の回収など最後の最後までどうなるのか全く予想もつかずページをめくる手を止められなかったです。
    そしてラストはと言うと、『ネクロポリス』もそうだったけれど、広げた風呂敷をぱたぱたっと急速に閉じた、というより今回は一気にくしゃっとまるめたという感じ。賛否両論ありそうな、それくらい唐突。
    でも、そんなモヤモヤが吹き飛ぶくらいラストシーンがとても美しい。このラストシーンに向けて物語を創っていったのかな、と思うほど綺麗でした。
    もっと読んでいたかった。もっと世界に浸っていたかった。むずむずと物足りなさも湧いてきたりして。それも含め

    0
    2022年08月04日
  • 消滅 VANISHING POINT

    Posted by ブクログ

    行き先もどこに向かっているかわからない。普段の暮らしも世の中すさまじいスピードで加速している。豊かになりたいという欲望だけが地球をおおいつくしている。
    豊かさという幻想。どこに向かっているか最終的にはどうしたいのか豊かという言葉だけに向かって。


    考えさせられる内容と人の心理状態や観察眼が詳細に書いてあり500ページ全てが1日の出来事。会話で成り立っているのを感じさせない転回で惹きつけられる内容だった。
    人の頭の中を覗くのが好きなのでこの消滅は読み応えがあった。

    0
    2022年07月29日
  • 朝日のようにさわやかに

    Posted by ブクログ

    「水晶の夜、翡翠の朝」
    理瀬シリーズが大好きなので、スピンオフっていうだけで幸せな気持ちで読めた。

    「あなたと夜と音楽と」
    ラジオ局の話。これもなかなか良かった。

    0
    2022年07月26日
  • 麦の海に沈む果実

    Posted by ブクログ

    基本的に作品の評価というものは、『訴えかける感情の数』×『深さ』の総数で決まると考えてます。例えば、単純に恐怖だけを描いた作品よりは、謎解き要素を加えて探求心を唆られる方が、作品としての奥行きがあり読者層も広がります。結果的に作品として評価されやすい。
    ただし、『深さ』は読者の力量に委ねられる部分が大きいため、『訴えかける感情の数』が少なく『深さ』に特化している、いわゆる指向性が強い作品ほど評価はされにくい傾向にある。
    本作品は様々な感情が複雑に絡み合っているにも関わらず、指向性が強い作品にも思われる稀有な例な気がします。

    えー、とにかく好きな作品です。

    0
    2025年11月09日
  • 朝日のようにさわやかに

    Posted by ブクログ

    ジャズがお好きな方には、このタイトルを知るとソワソワするかの如くの名曲なのだが、ジャズにも一家言擁しておられる恩田女史の作品は興味深かった。
    沸々と優しい恐怖感(?)に襲われる14篇から成る短編集の一冊。
    その中での一篇が「朝日のようにさわやかに」なのだ。
    登場するトランペッターは固有名詞ではなく、イニシャルで綴られているのだが、私の推察するところではウィントン・マルサリスであろうと思われる。
    決して仰々しいセッティングではなく、何気のない日常を描いているのだが、ジワジワと静かに摩訶不思議な世界へ誘われる。

    0
    2022年07月08日
  • 横浜の名建築をめぐる旅

    Posted by ブクログ

    とっても良かった!
    掲載されているほとんどの建築物には入ったことがあるか何度も前を通ったことがあったけど、詳しい成り立ちや竣工年などは知らなかったので、勉強になった。
    この本を片手に改めて横浜の街を巡りたくなる本。

    説明に終始せず、詳し過ぎず素っ気なさすぎず素人には丁度良い分量の文章というのが良かった。この手の本では文章が専門でないものから見ると難解なことが多く、途中で投げ出したくなったりするけど、この本ではそんなことがなく、また写真も美しいものが沢山掲載されているのでじっくり見ることが出来て嬉しい。
    前書きや後書きを読むと、まさにそのようなことを目指して作られた本みたい。

    改めて、こんな

    0
    2022年07月07日
  • 上と外(下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    おー、アドベンチャラス、面白い!
    このお話は、結構のっけから面白かったです。
    なんか宮部みゆきを思い出すような青少年ファンタジー。でもって少し(あくまで現代なんだけど)タイムスリップ感あるファンタジー。
    とても面白かったと思いますー。
    途中からニコと練に友情が芽生えたのもちょっと面白かったね。

    しかし、この思考力・発言と行動力で、小・中学生設定というのはかなり無理があると思われました。。作者の大人感もろ出てる?(笑)

    0
    2022年06月20日
  • 黄昏の百合の骨

    mac

    ネタバレ 購入済み

    水野理瀬

    ・(所詮、私は善人になれないのだ。)
    ・(悪は全ての源なのだ。
    善など所詮、悪の上の上澄みの一部に過ぎない。
    悪を引き立てるハンカチの縁の刺繍でしかないのだ。
    でなければ、善がいつもあんなに弱く、嘘くさく、脆く、儚いことの説明がつかない。
    つまり、この世の全ては、悪の巨大な褥から生まれたのだ。)
    ・(そして、悪の褥は常に新しい血を必要としており、その血を生まれながらに持った者が、
    いつの世も必ず存在する。
    悪の存続は、人間にとっての必然であり、自然の理として強く運命づけられているのだ。)
    ・(人間は弱く、忘れっぽいもの。目の前から現物が消えれば、記憶などたちまち改竄されてしま

    0
    2022年09月30日
  • 象と耳鳴り

    Posted by ブクログ

    最初から引き込まれるっていうより、じわじわ愛着が湧いてきて、終盤には読み終わりたくないなーって思うほど読み心地の良い本でした。

    0
    2022年06月16日
  • 七月に流れる花

    Posted by ブクログ

    最初の方のファンタジー感のある雰囲気が最高に好き。(ブライト系の眩しくて爽やかな感じと、光のレースみたいな優しい生成り色。花の鮮やかな赤。みたいな世界観。)
    風景と色彩の描写が私とカッチリはまってすぐにこの世界へ入り込めた。みどりおとこは不気味すぎる。

    前半はうわぁ〜!っと、まんまるの目でワクワクしながら、後半はあ〜、なるほど。と冷静になる。

    0
    2022年06月10日
  • 上と外(下)

    Posted by ブクログ

    久々に震えたわ。

    一気に読んだ。ラストあたりなんか朝5時から読んで、声を押し殺して泣いたよね。笑笑

    朝からなにやってんだ。ってくらい夢中になって、ひたすらに唇を噛んで泣き我慢したよ。溢れ出す感情を抑えきれない朝イチでした。笑

    あんまりにも夢中になりすぎて、一瞬わたしジャングルにいるかと思ったし。

    まじで、通り過ぎないで。お願い、早く!早く!助け出して!、子どもたちを!!!!!!!!

    って、声を枯らすくらい叫びたかったよ。

    笑笑

    夢中になりすぎ。

    ホント、はまった。久々にのめり込んだ。グアテマラ

    0
    2022年05月29日
  • 月曜日は水玉の犬

    Posted by ブクログ

    エッセイ、書評、対談。

    広範囲をカバーする読書経験に圧倒される。

    恩田陸はエッセイも文章が読みやすい。

    0
    2022年05月21日
  • 消滅 VANISHING POINT

    Posted by ブクログ

    最後まで目の離せない展開でした。
    いわゆる人狼ゲームですね。
    誰がテロリストなのか、読者である自分も登場人物たちの言動から推測しながら読んでいくため、臨場感を感じました。読んでいない時も「あの人は〇〇と言っていたし、、、」などと考えてしまっていました。
    読書の新しい体験をした一冊でして。

    0
    2022年04月30日
  • MAZE 新装版

    Posted by ブクログ

    SF?ホラー??すごく面白かった!個人的には6番目の小夜子よりずっと好きだった。

    中に入った人が消えてしまう謎の遺跡、通称「豆腐」の謎を解く一般人・満、得体の知れないアメリカ製薬メーカー勤務・恵弥、軍人スコット、現地の要人セリムの4人。「豆腐」を巡るそれぞれの使命…
    スリリングで夜中に読むとすごく怖かった…!

    0
    2022年04月17日