恩田陸のレビュー一覧
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ネタバレ常野物語の第3作。
常野物語第1作の「オセロゲーム」の拝島親子その後のストーリー。
この拝島家、失踪していた拝島暎子の夫の肇も含めて「あれ」と呼ばれるものと戦い続ける宿命を負わされた一家。
ある時、暎子が倒れて、娘の時子が洗濯屋の火浦に会ってたところから物語が始まる。
常野一族でも最強の力を持っていたはずの拝島肇が失踪した理由、拝島暎子の「裏返す」能力を獲得したいきさつ、肇と暎子が他の一族と隔絶していた理由など、よく分かり驚きでした。特に肇と暎子が出会った所は、えぇ?そんなんアリ?って思いました。
逆に「裏返し」合うのがどんなふうになっていたのか、「あれ」とは常野一族にとってどんな存 -
ネタバレ 購入済み
・関係が気まずくなった時に、男は口を開くことが苦痛になるが、女は沈黙が苦痛になるらしい。
・実際に付き合ってみるということは、憧れていた対象が自分のところに降りてくるということだ。
それは素晴らしい体験ではあるが、同時に幻滅でもある。
・女は場所や雰囲気に共鳴することを拒まないが、男はそれを拒むのが習性になっている。
・森は様々なものを捨てる場でもある。白雪姫も、ヘンゼルとグレーテルも、森の中に捨てられた。
・友達が欲しいと目を血走らせている人間を、人は拒むのだ。
もの欲しそうな人間を、人は敬遠する。お願いですからお金を貸してくださいと頭を下げる、
本当に今そのお金を必要としてい -
ネタバレ 購入済み
・人間は自分の手を動かさないと、どんどん他人に対して冷たくなるし、想像力が鈍ってくる。
・毎日少しづつ。いつのまにか取り返しのつかない大きなものになっている。
・人によって、老化のスピードがこうも違うものかと、たまに誰かに会うと思い知らされる。
それは肉体の老化のスピードではなく、精神の老化のスピードなのだろう。
その人の生活圏が老化のスピードを左右する。職場や住環境、接する人間の種類、出入りする店など。
辛気臭い職場で辛気臭い仕事をし、辛気臭い人間としか付き合っていない人間は、当然ながら早く辛気臭くなる。
・幸福な時の思考はワンパターンに陥りがちだが、不幸になると実に様々な事を考 -
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ネタバレ下巻は始めからフルスロットル。fragment5はジョンが望んだ未来か…「よその国で戦争するということをアメリカはもっと思い知っておく必要がある」為に、、
「二・二六事件」で岡田総理や鈴木侍従長が亡くなり、陸軍と海軍が戦闘したり、陸軍同士で戦闘したり、石原莞爾が東条英機を射殺したり……IFが凄すぎる。。
上巻からわりとボサっとしているマツモトがかなりの重要人物でした。特別な4台目を持って外にいるときのマツモトのキャラが変わって口調がそれまでと違うところ、命のやり取りという極限状態での人の変なテンションという感じで腑に落ちます。実際にその場にいないと感じられないことはあるのでその後のマツモトの行 -
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ネタバレ時間を遡ることが出来るようになった世界で、過去に戻った人が重要人物を暗殺した事でとんでもない未来になってしまったことから、国連は歴史を再生して再確定する計画を始めた。(明言されてないけどホロコースト云々なので暗殺されたのヒトラーなんじゃないかと思っている)
日本がやり直すのは「二・二六事件」。その時代の人物で、やり直している歴史だと知っているのは3人。でも、細かい部分で史実との差異が表れ、死ぬはずではなかった人物が殺されたりしても「不一致」とはならないことで、「正しい歴史など存在するのか?」「これは“新しい世界”なのでは?」と思い始めた彼らは、日本が辿る悲惨な歴史を変えられるのでは…という思い -
購入済み
言わずと知れた蜜蜂と遠雷の続編です。同じように清々しさを感じます。音楽には全く興味がなく、今もテレビは基本的にニュース以外は見ない。ラジオも聴かない。電車等でイヤホンを使っている人が理解できないちょっと偏りがある私でも、恩田さんの文章はスッと入ってきます。良い作品です。
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密かに暮らす人々 いわゆる「超能力」一族という位置付けになるのでしょうね。
彼らは市井に紛れて目立つことなく暮らしている。
故郷を離れ、一族以外の人たちと血を交わらせ、その場所に根付きつつも何かがあれば再び一族は集結する。
彼らは目立つことを好まず、極力表に出ない暮らしをしていて、そのあり方は「淡々と」しすぎているようにも感じます。
多くの人が知らない存在。
けれども、なくてはならない存在なのです。
現実世界にこんな一族がいて、もしかしたら隣に住んでいる人がそうかも、と想像するのも楽しいし、もしかしたらわたし自身が「時が来るまで」封印されているのかもしれないし。
そう想像するのも楽しいもので -
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恩田さんワールド全開!
恐ろしくも冷たい美しい「夢」の世界。
着地点や伏線の回収など最後の最後までどうなるのか全く予想もつかずページをめくる手を止められなかったです。
そしてラストはと言うと、『ネクロポリス』もそうだったけれど、広げた風呂敷をぱたぱたっと急速に閉じた、というより今回は一気にくしゃっとまるめたという感じ。賛否両論ありそうな、それくらい唐突。
でも、そんなモヤモヤが吹き飛ぶくらいラストシーンがとても美しい。このラストシーンに向けて物語を創っていったのかな、と思うほど綺麗でした。
もっと読んでいたかった。もっと世界に浸っていたかった。むずむずと物足りなさも湧いてきたりして。それも含め -
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基本的に作品の評価というものは、『訴えかける感情の数』×『深さ』の総数で決まると考えてます。例えば、単純に恐怖だけを描いた作品よりは、謎解き要素を加えて探求心を唆られる方が、作品としての奥行きがあり読者層も広がります。結果的に作品として評価されやすい。
ただし、『深さ』は読者の力量に委ねられる部分が大きいため、『訴えかける感情の数』が少なく『深さ』に特化している、いわゆる指向性が強い作品ほど評価はされにくい傾向にある。
本作品は様々な感情が複雑に絡み合っているにも関わらず、指向性が強い作品にも思われる稀有な例な気がします。
えー、とにかく好きな作品です。