あらすじ
「飛び降り2女性の身元わかる」――始まりは、「三面記事」だった……新たな恩田陸ワールド、開幕。文庫版特別収録=「灰の劇場0-+」「文庫版あとがき」。
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Posted by ブクログ
この小説で、途中までその構成に気づかなかった。え、もしかして、と思った時、すごいなーと思った。
恩田陸の小説は、蜜蜂と遠雷しか読んだことなかったけど、また全然違う雰囲気。一気に読んでしまいました。おすすめです。
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場面展開が激しく難しいお話でした。
ずっと小説家や物書きの脳を覗いているような気持ちで読みました。
芸術の描写はさすがですね。ここを書く恩田陸が好きで作品を選ぶまであります。
Posted by ブクログ
フィクションとノンフィクションの間を行ったり来たりの感覚がとても不思議。
淡々とした筆致の中に著者さんの執念のような感傷のような、いろんな心が潜んでいるように思えました。
私はとても好きでしたが、読む感覚を空けると読みにくくなるかもしれません。
Posted by ブクログ
これは「鎮魂」の物語だ。
だがそもそも鎮魂とは誰のためのものなのか?という話でもある。
物語に限らず製作物とは、そこに誕生させた時点で、それ以上のものではなくなる。その意味で、あらゆる可能性を持っていた状態から有限のものに成り下がると言えるのではないか。誕生させた時点で無限にあった可能性と未来を放棄したこととなるからだ。
となれば、これは一種の喪失なのではないか。
自らにあった無限の可能性を切り売るのが製作活動…と捉えるならば、この物語は有限である存在としての自分を受け入れるための(無限の私を死なせたことへの)喪の作業、正に「鎮魂」の物語と言えるのではないだろうか…。
「私」にとってはあり得ない、しかしあり得たかもしれない2人の女性の死に様に、有限となった作家である「私」の死に様を夢想し、と同時に意外に近くにいる死神の足音を感じられたのではないか、とも思った。
Posted by ブクログ
今まで何作品も恩田さんの作品を読んできたので、こういうタイプの作品だとすんなり受け入れられました
場面転換が難しく、誰が語り手なのか混乱しますが「らしさ」を感じます
あとがきにも出てきた『ライオンハート』はもちろん、『中庭の出来事』もこの作品のタイプに近いような
この作品で初めて恩田さんの小説に触れたらうっとなるかも…読みやすい作品もたくさんあるのでぜひ懲りずに読んで欲しい…
Posted by ブクログ
①2人の女性が心中したという事件が心に引っかかって、それを小説家しようとする作家、②その作家が書いた2人の女性を題材にした小説、③その小説が舞台化されることになったときのこと、の3つを並行して書くお話。
①のパートは具体的な現実の事象がたくさん出てきて、妙にリアルな書き方なので、ものすごくノンフィクションっぽいのだけど、実際どこまでフィクションなのだろう。
分かりにくいところもあったけど、各パートそれぞれ印象に残る場面はあって結構面白かったです。
最後のところで、ノンフィクションがフィクションに飲み込まれるようになるのが良かった。
Posted by ブクログ
一緒に暮らしていた女性二人が橋から飛び降りて、自殺をしたという事件がずっと残っていた”私”がそのことを調べて小説にしていくというところから始まる、フィクションとノンフィクションパートが交互にくる構成の1冊
なんというか恩田陸さんのノンフィクション部分が、ある事件をもとにフィクションを制作するということでその女性二人の想像上の人生に呑み込まれそうな感じもあり、そのあたりの境目があやふやになりそうで、何度か今どのパート読んでるっけ?とページをめくりかえした
その感じが自分もこの「灰の劇場」の世界に気がついたら呑まれている感じもして、今までにない読書体験だった
また恩田陸さん自身もこの女性たちも40代のなかば~後半の女性ということから、その時代のジェンダーロールや、いわゆる氷河期世代のなかで生きていくこと、生きていたことの切実さは、おそらく私には体感できないことで、可能な限り想像をして、その過酷さに胸を痛めることしかできない
また実際の事件をフィクションとすることの困難さやどうしても付随してくる罪深さ、創作そのものの業のようなものも、あの恩田陸が書いてくれているのはなんというか勇気づけられた。おもしろくて、私にとっては良い小説だった
Posted by ブクログ
一気に読まなかったから0,1表記がなんだかごっちゃになっちゃったな。
直後に読んだ「どうしても生きてる」とかなり似てるところがあった。死は特別ではなく日常の連続の中に不意に訪れる。揚げ物の油を固めるやつがなかったことに気づいたときみたいな、最期のきっかけは些細だけど絶望的な何か。
Posted by ブクログ
「ザリガニ」の隣に堆く積まれてたので、小生初の恩田陸さん。仲良し2人の女性が自殺に至った、原因と考えられる「人生の不都合」を物語る。話を聞いてあげられたらなー、と思いながら読んだ。ラストの構成も圧巻。
Posted by ブクログ
始まりは、とある三面記事。
一緒に暮らしていた女性2人が飛び降り自殺を図ったという内容。
作家である著者は数十年も前に目にしたその記事がずっと心に引っかかっていた。
著者(ノンフィクション)と記事の女性たち(フィクション)を交差させる物語の運び方に夢と現が混じり合うような不思議な気持ちで読み進めた。
"結局自分の理解する範囲でしか物事を見られない。ましてや人間には感情があって、必ずしも合理的な行動を取らないことは証明されているし、他人の考えていることも決して理解できない。記録があっても、それを残したのは勝者と決まっているから、何か事件があっても「どうしてなのか」を知ることは無理だろう。数行の記述にまとめられた事典の内容だけでは、歴史の輪郭にすら触れられない。"
著者の想像で作られた彼女たちの日常、人生…
第三者がいくら頭を捻ろうと真実は分かるはずがない。
そんな虚構の世界。
しかし、どこか他人事とは思えない世界。
限られた情報であらゆる推測を立てて結末へ繋げようとする作家の思考が垣間見えた気がした。
余談だが、著者の書くエッセイが読みたいと思った。
Posted by ブクログ
新聞の隅っこに、ひっそりと載せられた記事。それが棘のように、1人の作家の胸に刺さる。その棘から生み出された作品です。
名言:本や映画に一定の時間をさくというのは、それだけ孤独を強いられるということでもある。
Posted by ブクログ
初めて読むタイプの小説。
読み始めは理解に苦しみました。登場人物の「M」と「T」。その二人が自分(語り手)なのか、作者なのか、新聞記事の2人なのか、大学の友達なのか分からない。場面がくるくる変わり、語り手が誰なのか分からず混乱しました。「1」「(1)」「0」の意味がわかると、あぁ、なるほどね、と納得。作者が新聞記事を見つけてそれを詳説にしようとする過程が描かれているけれど、その話が演劇になったのか、オーディションをして、羽が舞うシーンを再現しようとするけれど、その演出を実際に見てみたいと思った。この小説、ちゃんと感想文として書くのは難しいと思う。又吉直樹さんに解説してもらいたいwww
でも、再読したくなり、2回目を読んでいます。
Posted by ブクログ
想像の先のストーリー。モヤモヤとした霞の中で話が進んでいるようで、ついつい違うことを考えてしまって理解がモヤモヤしたまま話の始まりの日に至って終わってしまった。
解説まで読むべき一冊です。そういうことなら、出版しなければと思うのが納得できました。
Posted by ブクログ
読み返さないと理解できない話だった。
後半部分は、夢を見てるような掴みどこのない話が続く。なぜ2人は亡くなったのか、なぜそんな行動をしたのか。なぜあの記事に惹かれたのか、不思議な話である。
Posted by ブクログ
フィクションとノンフィクションが交互に描かれていて戸惑う。
最初はそれすら分からなくて、しかも人物がイニシャルで表現されているから、「ん?なに?これは今は何が描かれているの?」となってしまう。
でも小さな三面記事からその人物や背景を想像していくっていうのが面白い。そしてある程度の現実を明らかにしたときに、そっちの方がドラマっぽいと感じてしまうことの面白さ。
読みづらかったけど、また時間をおいて呼んでみたい。
Posted by ブクログ
視点が頻繁に変わるのではじめは戸惑うし疲れるかも。
いつもの恩田陸の文体とは異なっていて、個人的には『文学』を読んでるって感じがした。
ノンフィクションパートも小話というよりはしっかり濃くて、作家のプライベートを覗き見しているような錯覚を覚えた。
再読する機会があったら0と1をそれぞれ抜き出して読んでみたいかな。
Posted by ブクログ
二つの異なる時代が交互に描かれる手法で、初めのうちは混乱してしまった。著者自身があとがきで述べているように、非常に挑戦的で戸惑う作品であった。個人的には難しく、おもしろい!と思える内容ではなかったので星3つ
やはり恩田陸作品はノスタルジーの感じるものが好きだ。
Posted by ブクログ
ある日ふと目に止まった三面記事。妙齢の女性2人が一緒に橋から投身自殺をしたというもの。それがずっと心に残り、ある日この2人を元に物語を書きたいと思い至ることからストーリーは進んでいく。わたしの理解度が低いせいか、転換に頭がついていかず、後書きでやっと納得できた。女性作家が主人公なためか、とても女性的な文章だなと感じた。
Posted by ブクログ
2人の女性が自殺した三面記事をきっかけに、というあらすじを読み、社会派ミステリーかと思い込んでいた。
実際には、三面記事に衝撃を受けた私(恩田さん)が、0.その記事の女性2人を主人公に小説を書くまでと、1.その小説が舞台化される過程を描いたものだった。(1).私が執筆した「小説内小説」も登場する。
章立ての「0」「1」「(1)」の表記を途中までまったく気にしていなかったのだが、先に書いた3つのパート分けを記したものだった。
「私」のパートは”恩田さんらしき誰か”であり、ノンフィクションのようでフィクションなのだろうと思っていたのだが、あとがきを読むとほとんどが恩田さん本人に起きた事実だという。フィクションとノンフィクションが融合する新感覚の小説だった。
本編では、なぜ2人は自殺を選んだのか、明確にはわからなかった。しかしあとがきで、その理由を推測できる程度の事実が判明する。それを知った後に本編ラストの2人のパートをもう一度読み返すと、ここは恩田さんの書いたフィクションとはいえ、なんとも言えない苦しい気持ちになった。
Posted by ブクログ
同居していた四十代の女性ふたりが一緒に橋から飛び降りたのはなぜか
作者の人生と交互に描かれる
並走するフィクションとノンフィクション
本当のことは当事者にしかわからない
なぜそれを知りたいと思うのだろう
Posted by ブクログ
2人の自殺した女性たちと、それを題材にしようとしている女性の視点がコロコロと変わる作品。
読んでいて、あれこれって今どっちの話だっけ?となるような部分もあったけど、そこもまたこの作品の魅力かなと思った。
なぜかページを捲る手が止まらなくなり、心にスッと入って来ました。
Posted by ブクログ
フィクションとノンフィクションが入り混じった不思議な本。ある意味恩田さんの自伝的なもの。同世代の私たちにはとてもよくわかる話だったが、0と1が掴めたような掴めなかったような…
Posted by ブクログ
展開が難しくて理解しながら読むのに苦戦した。
誰のフェーズを読んでるのか分からなくなりながらも読み切った。
事件を追っていくサスペンス的な要素が多いのかと思いきや、大きな動きはなく。
事件そのものではなく、そのことによる色々な人間の感情にフォーカスしていて面白かった。
人間の大半は「日常」に落っこちている「絶望」に気付かないように生きているだけなんだろうなと思った。
変な虚無感と心がぽっかり空いた感覚だけが残るなんとも言えない作品だった。
Posted by ブクログ
恩田作品としてはなかなかの意欲作
作家を志しているときに見つけた「大田区で一緒に暮らしていた女性二人が奥多摩の橋の上から飛び降り自殺した」という三面記事が頭から離れずに、さらにずっとやってみたかった《事実に基づく物語》を合わせた作品
物語は作家が“自殺”という事実に向かって物語を創作していく作家の物語と女性二人の自殺の本編、そして物語が演劇になる過程に携わる作家という三つの物語が交差する
恩田作品にリアルが介在すると物語は……
Posted by ブクログ
難しかった…。
1、0、(1)が何なのか、理解できなくて。
TとMのパートで、数字が分かれてんの?とか、小説家は小説家っていうキャラクターかと思いきや、え?違う?本当の作者のことなの?とか。
そして、これは私自身の問題だけど、フィクションとノンフィクションとの境目が、水彩絵の具に水を落としたみたいに滲んでぼやけるタチなので、何が本当で、何がどこまで作りものなのかも、正直、読み終わった後ですら今ひとつわかってない。
まずもって、勝手な思い込みで、全く違うストーリーを思い描いていた。
だから、これっていつになったら話、動くんやろ?ってずっと思いながら読み進めていた。
人が死を選ぶ時、長く緩やかな絶望が下地にあって、きっかけは些細なことなのかもしれない。
そして、ああいう風に、前の晩は眠れたり、朝ごはん食べたり、後のことも冷静に考えて、野菜や果物は食べないでおいたりするもんなのかもな。
ただ、絶望具合が、自分にはリアルに伝わってこない。
自分が、未熟なせいかもしれない。
Posted by ブクログ
恩田陸自身の感情がふんだんに組み込まれなノンフィクション&フィクション作品。実際にあった、新聞の小さな記事に書いてあった事件を題材に、その事件の真相と、その事件を選んだ彼女自身の葛藤を描く物語。
「0」がノンフィクション、「1」がフィクションというわ変わった形式。最初は理解ができず、何度かページを遡った。この本の見どころは、実際にあった事件について、事件が起こったこと以外の事実がわからないまま、彼女なりの「虚構」として事件を描いていることだ。この「虚構」を描く中で、葛藤や悩みが相当あったことが文章からわかる。
「日常」とは何か。「死」とは何かを問いながら、自然の流れのまま死=消えゆくMとTへの思いを、ノスタルジアの魔術師として描く、奇妙で、それでいて温かみがある本であった。
Posted by ブクログ
過去に起こった女性2人が心中した事件を題材とした物語。
過去と現在を行ったり来たりで、ちょっと難しかった。。
この物語を作る側は、特に何の真相は求めてないのです。
ただ過去に新聞の三面記事に載っていた『女性2人の心中事件』が心に引っかかり、それを基に物語を表現しようと奮闘する。
どうしても頭の中で、心中事件の女性2人をイメージすると阿佐ヶ谷姉妹が出てきてしまう。。笑
事件が起こった当時と、物語を書いている現在が入り混じった書き方をされているので難しかったです。
でも、「物語を書く」「表現する」裏側が覗けたようで楽しかった。
Posted by ブクログ
淡白なのか、淡々としていて、本当に灰色っぽく感じました。
文字だけと真相は分かりませんが、それでも自分の足を運んで想像してみることは必要なのかもしれません。
Posted by ブクログ
「1」二人の女性の物語で始まる。
「0」はノンフィクション、「1」を執筆する過程が描かれている。
(文庫あとがきより)
「(1)」は物語が舞台化されるまで。
読みはじめて気持ちが乗らないときは
ネタバレに気をつけて、先に書評や
インタビュー記事を読んでしまう。
今回は、そのお陰か難なく物語の世界に入っていけた。
P15
〈年配の女性二人が、一緒に橋の上から飛び降りて自殺〉
実際に起こった事件は恩田陸さんに棘のように刺さったという。
「0」のノンフィクションの部分では
自殺した女性二人になにがあったのか
その痕跡を追う形で書かれている。
「0」の部分がいちばんおもしろかった。
実際の事件は30年も前の話だ。
本当のことはわからない。
読み終えたいま、その棘は読者の私に刺さることになった。