恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
光文社新書の「文学こそ最高の教養である」を読んでいたら「去年マリエンバートで」が出てきて、そういえば恩田さんがこの映画から話を書いていたなーと自宅本棚を探して引っ張り出した(笑)久しぶりに読み返したらほとんど覚えてなくていろいろ楽しかった。
これは、たぶん「去年マリエンバートで」の内容がわかってないとピンとこないんだろうな、と思いつつ、私も映画見たことないのでアレですが、フランス文学であることと大まかなあらすじを頭に入れたら、あのラストはストンと腑に落ちた。恩田さん風にいうなら「閉じた」感じ。
少しずつずれて重なるこの感じがたまらなく好きだなぁ。恩田さんっぽくて良い。
巻末にインタビューがあるのが最高。ほんとめちゃくちゃ本読んでるんだよなぁ。私もガツガツ読みたい。 -
Posted by ブクログ
『球形の荒野』ではない。『球形の季節』だ。
『六番目の小夜子』に続く恩田陸の2作目だが、恩田陸としてはすでに完成しているんだけど、でも、まだまだ途上みたいな?w
続く『不安な童話』やその次の『三月は深き紅の淵を』になると、逆に(プロとして)暗中模索しているのが窺えるんだけど、これは、自分が書きたいのはコレ!(というよりは、今はコレしか書けない?)みたいな勢いがあって、そこがいいんだと思う。
確か、『六番目の小夜子』のあとがきで、著者は“「少年ドラマシリーズ」のオマージュとして書いた”みたいなことを書いていたが、これもまさにそんな話。
すごくそそられる展開に対して、結末は尻すぼみという流れは「赤外音楽」に近いw
(もっとも、「赤外音楽」は怖すぎて最後まで見られなかったのでw、あくまで原作の結末)
ただ、この話って。それなりの結末をつけたら、逆につまんなくなっちゃったんじゃないかなーという気もするかな。
というのも、どうやらこの話の真相というか、底流にあるものは、晋や静の世界らしいんだけど、この話にその世界観でそれなりの結末をつけられてもなーという気がするのだ。
その世界観って、普通に考えればホラーやファンタジーだし。
もしくは、変な屁理屈もってきてSFにするというものあるとは思うんだけど、でも、そういう話になっちゃたら、主人公がみのりというキャラクターでいいの?ということになると思うのだ。
この話の魅力は、みのりというどこにでもいる平凡な女子高生と、その周囲のやっぱり平凡な人たちが暮らす谷津という、やっぱりこれもどこにでもある平凡な東北の小さな町に起きる、“日常の”不思議な出来事という、あくまでそのレベルの話なところにあるんだと思う。
解説では、ファンタジー云々と語られているけど、そうではなくて。
言ってみれば、「日常の謎」として解釈してしまうなら解釈できてしまって(だって、ほとんどの人は晋たちの世界は知らないわけだもん)、後に誰もが「あの時のあれって不思議だったなー」と思い出すみたいな、たんなる淡い青春譚と読めるからこそ、読者(特に恩田陸のファン)は惹きつけられるんだと思うのだ
例えば、変な話、心霊スポットに行ったところで、何もないことが普通なわけだ。
でも、それだとつまらないから、写真に写った水滴を「オーブだ!」とみんなで共有することで思い出にする。
と言ってしまったら身も蓋もなくなってしまうけど、でも、これってそういう誰しもの青春にあった出来事の話として読んだ方が楽しめる気がする。
ていうか、恩田陸の小説の魅力って、そこなんだろう。
プロットで書く小説全盛(なのかどうかは知らないw)の中、書くことで想像がどんどん膨らんで、ストーリーが勝手に動き出すタイプの作家の小説というのは独特の魅力があるし。
なにより、読んでいて面白い。
恩田陸という作家は、その極端なパターンなんだろうw
とはいうものの、この小説、青春譚として読むには、主人公であるみのりの存在感が妙に薄いんだよなー。
それこそ、みのりの関係ないところで、話がどんどん展開されていく。
だからって、話を展開していく登場人物たちも、その展開の必要に応じてちょこっと出てくるだけだから、やっぱり存在感がなくて。
際立つ登場人物がいないことで、さらにみのりの存在が希薄になっていくような気がする。
それも青春なんてそんなものと言ってしまうなら、確かにそうなんだろうけど。
とはいえ、これは小説なわけでw
個人的には、みのりと久子の二人を主人公に書いたら、ストーリーがもっと締まったんじゃないのかなーなんて思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大学生でありながら、世界的な天才美術家烏山響一。
彼に惹かれながら怖れる捷(さとし)と律子。
突然姿を消してしまった婚約者・黒瀬淳(あつし)を捜す婚約者の夏海と大学時代の友人である和繁。
ふたつの人間関係が、熊野で一つになる。
地元の名家・烏山家の持つ個人的な野外ミュージアムを舞台に、おぞましいほどのイメージの奔流が、読む手を止めることを阻む。
どういうこと?
なんでこんな目に合わなきゃならないの?
とにかく烏山響一が恐ろしい。
出てくるだけで不穏な気配に圧倒される。
多くの人は彼のまとう負のオーラに気づかない。
気付く者こそが、彼に招待されるのだ。
そして芸術家を多数生み出す烏山家の謎。
昔からの名家でありながら、広大な敷地を高い塀で囲った中にある烏山家。
何かある…はず。
恩田陸の作品に多々あるとおり、最後の落としどころがするっといきすぎて物足りないけれど、捷が、律子が、取り込まれそうになるところまでは手に汗握って読みました。
鍵を握る人物は最初からわかっていたので、いつ姿を現わすのか、どう現わすのかと思っていただけに、ああ、そうきてしまったのね…という感じ。
結果として私は「至上の愛」ってトラウマになりそうだけど、それは間違った読み方であることに自覚もある。
ただ、香織の婚約者の洞察力の根拠と、橘のその後(助かったの?)を知りたいです。 -
Posted by ブクログ
夏の香りが漂う中、真昼の誰も居ない道で何となく怖くなるようなそんな雰囲気が醸し出されている。
変な時期に転校してきたせいで周りに友達を作れず夏休みに入ってしまったミチル。
自分が新しく住み始めた街の事など分からない。
友達もいない。何も分からない。
そんな中で突然林間学校に呼ばれて、また何も分からないまま夏の城と言う場所で過ごし始める。
この『何も分からない』と言う事が読んでいるこちらの不安をとても煽る。
同じ林間学校で過ごす少女たちとの青春のような空気を感じながらも、どこか不気味。
その絶妙なバランスがとにかくドキドキさせられる。
続きというかアナザーストーリーもあるみたいなので是非読んでみたい。