恩田陸のレビュー一覧
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高校時代に関わりのあった綾音・衛・箱崎一 の名字にザキがつくザキザキコンビ。
それぞれが昔を回顧する群像劇。高一で三人組でフィールドワークのようなことをし、田舎で昼間人がいないことが記憶に残っていたり、それぞれの大学時代の思い出が語られている。高校時代に出会い、関わりはあるが関わりがない人生の進行が描かれている。綾音は本、衛はベース、一は映画を意識の差はあれど大学で取り組んでいた。
一人が伸ばした興味の先に、他人の興味がぶつかっている、関わりが拡散から収束している美しさ・偶然の運命に心が動かされた。過去に同じ体験をした人たちがそれぞれの人生を歩んでいく風景が心にぐっと来た。
自分にこのように時間をかけた体験として思い出せるものがあるだろうかと考えた。ゲームをした思い出が大半で、何かを成し遂げた思い出は大学にはない。これから人生を振り返ったときに、あれをやったことが自分の今につながっていると感慨深く思えるように生きていかなければと感じさせてくれる物語だった。
評価4 -
Posted by ブクログ
6月初めに、夏流(かなし)という名前の土地に転校してきたミチルは、全身緑色の「みどりおとこ」に出会い、夏のお城夏流城(かなしろ)での林間学校に参加する。
主人公が中学生の、淋しくて悲しいひと夏の物語。
「七月に流れる花」は少女の視点で、「八月は冷たい城」は少年の視点で描かれていて、「七月」を読んでから「八月」を読むので、物語に入りやすく、より鮮やかなものに感じられる。
物事の裏と表が透けて見えるような感じがして、面白かった。
彼らが夏の城に呼ばれた理由が謎に満ちていて、真実がわかるとほっとする反面、近い将来起こってもおかしくないような出来事だと思うと怖くなってくる。
悲しいおとぎ話のようだ。
「悲しみは夏流城の水路に流していきなさい。ここを出たら未来のことだけ考えなさい」という言葉に、前向きなメッセージが込められていて、全体的に恩田陸さんらしいダークな雰囲気がよかった。 -
Posted by ブクログ
2023.1.28-2.9
久しぶりに恩田陸を読んで、久しぶりに恩田陸を満喫したー!と感じました。道中のワクワクと終いにかけての転がり方、なつかしいこの恩田陸感。
今回のラストは肩透かしではなかったけど、若干複雑になりすぎたかな、というのが初見の感想。ちょっと理解が及んでいない所がある気がするので、ラストだけ読み返す予定。
少しだけあったエピローグはきちんと不気味で良かった。
現実と非現実の融合。この世の中のどこかにあるかもしれない、陸続きの世界。そういうものに対する畏れと憧憬。
目に見えるもの、自分が見たものしか信じない人は多い。この世に氾濫する情報の波に飲み込まれないためにもそれはある意味で正しい選択。
でも、本当にそれでいいのか?
下世話な噂話や真偽不明のネットニュースを信じろという話ではない。
今や「非科学的」という言葉で片付けられてしまうような、目に見えないものや科学で証明されないものは、現実的ではないから信じない。
本当にそれでいいのか?という問いかけ。
信じなければ始まらない、むしろ信じなければ終わってしまう物事。世の中に見えていないだけで、実はそういったものはたくさんあるのではないか。
科学がない世では存在していたものが、科学によってひとつふたつと消されてゆく。
そうやって社会が豊かになると同時に失ったものもなかったか?
確かに「夜明けの晩に」って何なんだろうなぁ。 -
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登場人物である毬子、芳野、真魚子、そして物語の核となる香澄の4人の視点から物語は展開して行く。
恩田女史が描く女高生達は、常に可愛い少女ではなく、大人びた美しさを擁した女性たちだ。
今回の4人の女高生たちもこの例に洩れず、女高生とは言い難いほどの神秘性を与えられている。
物語の前半は、同級生や下級生たちから憧憬ともいえる視線を集める美しい少女4人の関係が綴られる。
その彼女たちの舞台となっている背景が美しく、緑豊かな欧風の牧歌的な川べりの風景が思い浮かんだ。
そんな環境の中で、女高生らしい4人の交友関係に、徐々にではあるが違和感が生まれてくる。
少女たちが抱く違和感は、香澄の母親の死が殺人なのかどうかという過去の悲しい出来事に起因し、それぞれの想いが疑心暗鬼となって重なりあい、ミステリー物語へと進んで行く。
殺人事件であった場合、犯人は誰なのかが最大の関心事となる。
香澄の母親の死は、4人の少女たちが6〜8歳頃の事件と云うこともあり、細部までの事実はお互いに理解していない。
がしかし、成長と共に過去の様々な記憶が繋がり、漠然とではあるがそれぞれに考えを抱くようになる。
4人の女高生たちに加え、幼い頃からの仲間だった男子二人が絡み、昔起こった事件の真相に迫って行く。 -
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同じ高校から同じ大学に進んだ3人の男女それぞれの学生生活。
高校時代は仲良しトリオだったのに、いつの間にか疎遠になっている。決定的な何かが起きたわけでもなく、ただ何となく。というのが、いかにもありそうな話。
彼らの間に何かがあったという話ではなく、何もなかった。という物語でもある。
もう少し何とか出来たのではないか?こんな事もしたかったのに出来なかった。
振り返ってみると、学生時代というものは漫然と過ごしてしまいがちで、今思えば後悔ばかり。
「大学生というのはあまり停車駅のない長距離列車に乗っているようなもの」という例えが、じわじわと読み手の胸を抉る。
恩田作品にしては珍しく、自伝的な要素の強い、半分エッセイみたいな、お話でした。
ケータイのない時代。1980年代の大学生活の雰囲気が、まざまざと蘇ってくるのはさすが。