感情タグBEST3
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演劇のもつ構造への興味で書いたのが本作で、演劇をやる人間への興味で書いたのが後の「チョコレートコスモス」なんだろうなと思いました。
本来上演を目的とされる「戯曲」において、(本文にもあるように)セリフはただの「結果」。
俳優の行動にこそ本質があるので、言葉を使って1から10まで説明する「中庭の出来事」という戯曲は、「戯曲」てして読むととても珍しいです。
言い換えれば、戯曲部分がとても小説的です。
逆に、小説部分は余白が多く、読み手の解釈が求められます。それは、俳優が台本を読解する作業にも似て、とても戯曲的です。
展開として、どこからどこまでが演劇で〜というのももちろん面白いのですが、「戯曲的な要素」が小説部分に強く、「小説的な要素」が戯曲部分に強い、という構造もまたとても面白かったです。
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先が気になって仕方がなくて、急いで読んじゃったので、混乱したまま。
もう一回読んだら、すっきりするかなー(。-_-。)
でも、好きな本だ!たぶん(笑)
前回の反省を活かしてゆっくり読んだけど、わからず…
でも、はまる。
なんとなーく、わかってきたような…f^_^;)
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ミステリ劇の謎を解く劇を演じる人々のミステリを執筆する劇作家と演者たち……気を抜いたら位置がわからなくなるので油断できないけれど、面白く読みました。
舞台は台詞で全部説明しないといけないから大変だな。この他にも演劇モチーフの小説書かれてるから、恩田さん演劇お好きなんだろうなぁ。
劇場型犯罪でなくても、寺山修司の天井桟敷でなくても、「見る」「見られる」がある限り、生きていくことは演じることなのかもしれません。
ある程度解決したら「この先はご想像にお任せします」もアリで寧ろ好きだけれど、この作品の「黒い影」や「部屋の前に出されてる黒いゴミ袋」みたいに本筋には関係ないから全く説明されない謎はモヤモヤする。。
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前回メモしながら読んだ甲斐あってか、今までで一番すんなり読めた
存分に楽しむには、それまで読んだ内容を忘れない内に読み切る勢いが大切
「私と踊って」収録の「弁明」とは若干齟齬があることに今更気付いた
弁明では脚本家先生に奥さんがいるのね
薬の入れ替えはあってもなくても矛盾はないけども
弁明の話は外側の外側、中庭の出来事での細渕が目撃したこと
薬の入れ替え云々が出てくるのは外側、神谷なる脚本家が大女優に殺害されるお話の中のことか
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もーーー!ま・た・やられたよーーー!!って感じ(笑)恩田陸ワールド全開。もし初めてをこれにしたらもう二度と他作品読んでもらえないんじゃなかろうか…。
学生の時何度か読んでいて、毎度のごとくサッパリ!中身覚えていなかったのでそれなりに楽しく読み始めたのだけど。
もー話の核の謎、アイデア、構想、骨組みは面白いよ!すっごく!でも本一冊に足りなくてもうのばしにのばして何味だったか全くわからなくなってる!みたいな!
割りと前半から骨格がぼやけ始めててもうほぼ恩田さんの独り言とか最近の世に思ったこととかを登場人物が話してるだけじゃないか…?わたしは好きだけど。
これをミステリと言ったらもう…なんか…激怒するひと達押し寄せそうだからやめた方が…などと思ってたら山本周五郎賞受賞作なんだ…ふうん…(意味深)
わたしはメタっていうのかな?オチで急に登場人物が語りかけてきたりする話が大嫌い(笑)ってか物語として反則だと思うから、なんかもうまじかよって感じでした。
でも散りばめられているお話や他作品でも見かけたようなお得意の魅力的なキャラクターはほんとに生き生きとしていて、演劇要素も満載で、だからまた読んじゃうっていう沼に毎回沈んでんだけど。
廃線を頼りに古い舞台を目指してあるく二人の場面が印象に残った。
ああいう自然を旅しながら与太話する描写がもうほんとに天才的に魅力的なんだよね〜!
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戯曲と小説を融合した、なんとも不思議な作品です。そして、しっかりミステリーにもなっているという一粒で三度美味しいんです。
それにしても、恩田陸の未読作品を久々に読みましたが、読みやすく、いつも先が気になってズルズル読んでしまいます。
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いやー、面白かった。恩田陸さんの作品はあまり読んだ事がないのだけどこれは素晴らしい小説だという事が途中で気付くぐらいには面白い。場面転換が多いのでそれに振り落とされないように必死になって食らいついていったその先にあるオチも好み。本当に芝居とミステリが上手い具合に融合した小説。皆なにかを演じているという点では世界は全て劇場だ。
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最後のほうが頭がこんがらがってきましたが、よく練られた物語だと思います。『匣の中の失楽』が好きな人はついていけると思います。自分は最後のちょっと前で脱落しました。
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解説者小田島雄志氏。の青と赤のボールペンと黒の鉛筆で色分け、の気持ちはよく分かる。
全貌を理解できた気はとてもしないが、他の方の言うとおり癖になる作品。
登場人物の感情表現やこういった手法も凄いのだが
自分ではとても文章におこせない感覚を、さらりと的確に表現していて毎回メモりたくなる。
レストラン従業員の
『経験の長い、気の合う仲間とそうして泳ぎ回っていると、みんなで気持ちのいいダンスを踊っているような満足感を覚える。だから、たまに、誰かが休んで代わりの者が入ると、なんとなくリズムやテンポが狂って、みんなの動きがぎくしゃくしてしまう。』
戸外で本を読むときの
『外ではいつも時間が流れ、風景が変化している。…そんなところでじっと活字を追っていると、まるで川の流れに棒切れを挿したように、自分だけが流れに逆らい、踏みとどまっているような錯覚を感じるのだ。時間を止めているような、それでいて意識が世界に溶け出して一体化しているような。』
『不思議なもので、自宅でよりも、電車や待ち時間の読書の方が、理解力が増すような気がすることがある。周囲の人間のエネルギーに無意識のうちに反応しているのかもしれないし、それらに負けまいとして普段よりも集中力を発揮しているのかもしれない。』
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脚本家の変死をめぐる、芝居とミステリーが融合した作品。
恩田節炸裂といった感じで、「Q&A」のように色々とチャレンジした作品と見受けられる。
現実と、その中の劇中劇と、別の劇中劇中劇の3層で構成されていて、なんとも不思議な感覚。
その感覚が、ラストで読者の立ち位置を分からしめてくれるので妙に納得。
多分これは完成された結末があるのではなく、自分なりの解釈を補って物語が完成される、恩田陸の新しいミステリーの提案なのではないかと思う。
恩田作品はやっぱり癖になる。
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「中庭」とはホテルの中庭。周りを建物に囲まれて、密室ではないようで、実は出入り口が限定されている。そんな一つの閉鎖世界ともいえる中庭で、人が死ぬ。それを題材にした舞台脚本を書こうとする人の話。なのかなんなのか。
劇中劇が半分くらい。でもどこまでが劇中劇で、どこまでが現実が分からない。
なんか読んでて思うんだけど、恩田陸さんは性悪説を頑なに信じてる気がする。普通の人はなんだかんだで、人は悪と思いつつ、性善説を捨てられないもんだと思うんだけどね、人の大本は悪であると思ってるんじゃないかしら。もちろん性格が悪いということではなく。
あー。僕も劇の中に生きたい。
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読むごとに場面がごちゃごちゃになってきて、頭で整理しながら読んでました。
物語の中の物語の中の物語の中?
今読んでいるのがどこの次元か、掴みにくいですが、最後はすっきり。
頭のなかが大変ですが、面白かったです。
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パーティ会場で起こった殺人事件。被害者である脚本家の作品を容疑者である三人の主演女優に演じさせる…という設定の舞台と現実等三視点からなる話。
途中から中だるみしてしまうところもあったが女優たちの舞台への執着心が見られた。「チョコレートコスモス」でも女優というのは華やかに見えるがこんなにぎらついているのだろうかとちょっと思ってしまう。充分面白いから問題はないが。
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演劇の台本と事件の間を行ったりきたり。
途中自分がどこにいるのかホントわからなくなったけど、なんとなくそれも心地よかったり。
こういうのが書けるってすごいなーと思った。
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読み進めていくと、どれが芝居でどれが小説内の現実で、と自分の頭では上手く整理できなかった。アイデアは素晴らしい。何回か読むとよりその世界観に浸れるのではないか。
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中庭で亡くなった脚本家、その事件を執筆中の劇作家、虚と実が入り混じった話。劇中なのか現実なのか、内か外か、読みながら迷宮に迷い込む。この混沌とした感じ個人的には結構好きよ。あのシーンはどっちの何?と色々思ってたから最後まで辿り着きもう一度読み返したくなる。
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劇中劇がくるくる変わっていく、小説ならではの演出。
結果として誰も死んでないのは残念だったが、途中の謎が解けていく様はまさしくミステリーで夢中になれた。
初めて読んだ作品なので、恩田陸の他の作品も読んでみたい。
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恩田陸作品好きで、昔からちょくちょく読んでるけど、読む順番として『雪月花黙示録』の次だったのは良くなかったなーと。
作品の世界観に没入して、「結末は!?」「この世界の真相は!?」ってなってるところで急に梯子外される感じ。その感じも嫌いじゃないんだけど、2作続いたのは良くなかった。全然違う作品だけど、楠巴の最後の口上と、『雪月花黙示録』の蘇芳の最後のセリフがどうしても重なるし。
ただ、読んでる間トランス状態になれるところは本当に良かった。どれが現実でどれが虚構なのか全く分からん。
もう一回読み返す必要があるけど、この話全てが劇中劇ってことよね?現実なのはこの本の読者だけで、本の中で行われてるのは「小説という虚構の中で行われてる『演劇』の中の『“劇中劇"』」なんだよね?最後の章だけが『“劇中劇"』を終えた『演劇』で、この小説の中には普段読んでる「小説の中にある現実」が無いってことだよね?
よくこんなの思いつくなぁ。すごい。
演劇の話だけど、実際に舞台で上演するのは無理だと思うわこの話。小説だからこそ完成できる演劇な気がする。
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毒殺された劇作家の死の真相を巡る、劇中劇に次ぐ劇中劇。
舞台の上と下の境界の曖昧さが作品の肝だとは解るが、舞台を観劇した経験がないとピンと来ない。
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中庭で起きた殺人事件?の演劇という感じの作品です。
2006年作品で、バブル崩壊から立ち直れない日本、
3年後、追いうちをかけて、リーマンショック。
さらに5年後には東日本震災。
2019年11月にはコロナが発生し、2020年を
迎えている。まさに「ブラック・スワン」
主な登場人物は曲者女優3人、脚本家、刑事。
私的には壊れたレコードのように繰り返される文章が少しずつ、1部書き換えられている印象で、だんだん、いらいらと麻痺を起こした感じ。リズムが悪く、読者を疲れさせて、思考回路を低下させる目的があると、邪推してしまう。
現在、老若男女問わず、ストレス社会において、権威のある人、高学歴の人でさえ、耳を疑う事件を起こしている。
ゴシップを好む人の性を逆手に取った舞台作品に価値は本当にあるのだろうかという所感。
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著者のマジックにかかって、最初は話がどう展開しているのか分からなかった。恩田陸さんはとても凝った本を書くなと驚かされる。私たちは皆、観客になったり、役者になったりしている。生きるということは、演劇の世界のようだ。私もどこかの「中庭」で、私という役を演じているのかもしれない。
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あらすじは脚本化が毒殺されその容疑者に3人の女優がいる。という戯曲をかいている作家がいて友人にアドバイスを求める、虚と実が巧妙に入り混じっていてクルクルとテンポよくすすんでいく。
同じ展開が何度も繰り返され、それが芝居の中のことなのか現実なのかはたまた脚本なのか。
最初男、女だったのが次に同じシーンでは名前が出てきていて少し話が進むと
ここでつながるのかと思ったりしながら読み進んでいく。
だんだん頭の中が???どーなってるんだ?どーなるんだ?と読んでいくのだが。
ラストがあ~そういう風に終わらせてしまうのかと若干残念だった。
最初にミステリーなのねこの話はというような概念を勝手にもってしまってよんでいたため
最後の展開の裏切りがそこに落とすかというかんじである。
そこが作者の狙いなのかもしれないが...
途中シェークスピアの引用もあるせいか真夏の世の夢のようなめまぐるしさもあるかな。
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話が込み入ってるので、パッと読み切っちゃわないと、序盤の内容を忘れてしまって、終盤よくわからない感じで終わるナリ。
まさにミーはそんな感じだったので、読み方を間違えたナリ。
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再読。劇中劇が多用され、複雑な入れ子構造になっていて、しかもその入れ子同士が融合してきて、迷路に迷い込んだような気持ち。それが楽しい。構造を追いかけるより何も考えずに迷路をぐるぐると歩いていくのが作品を楽しむポイントだと思う。演劇づいている恩田さんが『チョコレートコスモス』とはまた違った演劇の面白さを伝えてくれる。『チョコレートコスモス』の脚本家神谷と演出家芹沢がほんのちょっとだけ出てくる。
Posted by ブクログ
こんなに複雑な本は初めてかもしれない。読んでいるシーンが、劇内なのか、本当のことなのか最後までわからないで読んでいた。3シーンあって、それが組み合わさって、最後にやっと正しく組み合わさったストーリーがわかる。だから、本当の殺人なのか劇内の殺人なのか最後の最後までわからなかった。結局、劇内の殺人で、本当のことではない。脚本家が友人に、今書いている作品の感想、意見を聞くために、わざわざ俳優軍を使い、劇を演じさせていた。まったくもって複雑だった。