【感想・ネタバレ】中庭の出来事のレビュー

あらすじ

瀟洒なホテルの中庭で、気鋭の脚本家が謎の死を遂げた。容疑は、パーティ会場で発表予定だった『告白』の主演女優候補三人に掛かる。警察は女優三人に脚本家の変死をめぐる一人芝居『告白』を演じさせようとする――という設定の戯曲『中庭の出来事』を執筆中の劇作家がいて……。虚と実、内と外がめまぐるしく反転する眩惑の迷宮。芝居とミステリが見事に融合した山本周五郎賞受賞作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

前回メモしながら読んだ甲斐あってか、今までで一番すんなり読めた
存分に楽しむには、それまで読んだ内容を忘れない内に読み切る勢いが大切

「私と踊って」収録の「弁明」とは若干齟齬があることに今更気付いた
弁明では脚本家先生に奥さんがいるのね
薬の入れ替えはあってもなくても矛盾はないけども
弁明の話は外側の外側、中庭の出来事での細渕が目撃したこと
薬の入れ替え云々が出てくるのは外側、神谷なる脚本家が大女優に殺害されるお話の中のことか

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2024年02月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

もーーー!ま・た・やられたよーーー!!って感じ(笑)恩田陸ワールド全開。もし初めてをこれにしたらもう二度と他作品読んでもらえないんじゃなかろうか…。

学生の時何度か読んでいて、毎度のごとくサッパリ!中身覚えていなかったのでそれなりに楽しく読み始めたのだけど。
もー話の核の謎、アイデア、構想、骨組みは面白いよ!すっごく!でも本一冊に足りなくてもうのばしにのばして何味だったか全くわからなくなってる!みたいな!
割りと前半から骨格がぼやけ始めててもうほぼ恩田さんの独り言とか最近の世に思ったこととかを登場人物が話してるだけじゃないか…?わたしは好きだけど。
これをミステリと言ったらもう…なんか…激怒するひと達押し寄せそうだからやめた方が…などと思ってたら山本周五郎賞受賞作なんだ…ふうん…(意味深)

わたしはメタっていうのかな?オチで急に登場人物が語りかけてきたりする話が大嫌い(笑)ってか物語として反則だと思うから、なんかもうまじかよって感じでした。

でも散りばめられているお話や他作品でも見かけたようなお得意の魅力的なキャラクターはほんとに生き生きとしていて、演劇要素も満載で、だからまた読んじゃうっていう沼に毎回沈んでんだけど。

廃線を頼りに古い舞台を目指してあるく二人の場面が印象に残った。
ああいう自然を旅しながら与太話する描写がもうほんとに天才的に魅力的なんだよね〜!

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2023年11月27日

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解説者小田島雄志氏。の青と赤のボールペンと黒の鉛筆で色分け、の気持ちはよく分かる。
全貌を理解できた気はとてもしないが、他の方の言うとおり癖になる作品。

登場人物の感情表現やこういった手法も凄いのだが
自分ではとても文章におこせない感覚を、さらりと的確に表現していて毎回メモりたくなる。

レストラン従業員の
『経験の長い、気の合う仲間とそうして泳ぎ回っていると、みんなで気持ちのいいダンスを踊っているような満足感を覚える。だから、たまに、誰かが休んで代わりの者が入ると、なんとなくリズムやテンポが狂って、みんなの動きがぎくしゃくしてしまう。』

戸外で本を読むときの
『外ではいつも時間が流れ、風景が変化している。…そんなところでじっと活字を追っていると、まるで川の流れに棒切れを挿したように、自分だけが流れに逆らい、踏みとどまっているような錯覚を感じるのだ。時間を止めているような、それでいて意識が世界に溶け出して一体化しているような。』
『不思議なもので、自宅でよりも、電車や待ち時間の読書の方が、理解力が増すような気がすることがある。周囲の人間のエネルギーに無意識のうちに反応しているのかもしれないし、それらに負けまいとして普段よりも集中力を発揮しているのかもしれない。』

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2016年03月14日

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脚本家の変死をめぐる、芝居とミステリーが融合した作品。

恩田節炸裂といった感じで、「Q&A」のように色々とチャレンジした作品と見受けられる。

現実と、その中の劇中劇と、別の劇中劇中劇の3層で構成されていて、なんとも不思議な感覚。

その感覚が、ラストで読者の立ち位置を分からしめてくれるので妙に納得。

多分これは完成された結末があるのではなく、自分なりの解釈を補って物語が完成される、恩田陸の新しいミステリーの提案なのではないかと思う。

恩田作品はやっぱり癖になる。

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2016年01月31日

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「中庭」とはホテルの中庭。周りを建物に囲まれて、密室ではないようで、実は出入り口が限定されている。そんな一つの閉鎖世界ともいえる中庭で、人が死ぬ。それを題材にした舞台脚本を書こうとする人の話。なのかなんなのか。

劇中劇が半分くらい。でもどこまでが劇中劇で、どこまでが現実が分からない。

なんか読んでて思うんだけど、恩田陸さんは性悪説を頑なに信じてる気がする。普通の人はなんだかんだで、人は悪と思いつつ、性善説を捨てられないもんだと思うんだけどね、人の大本は悪であると思ってるんじゃないかしら。もちろん性格が悪いということではなく。


あー。僕も劇の中に生きたい。

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2016年01月18日

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中庭の出来事

劇中劇の構成をとった推理小説。
劇のオーディションと実際の劇、警察での取り調べと劇、入れ子の構造が錯綜していて最後まで惑わせてくれます。
どこまでが真実でどこまでがフィクションか?
どこまでが本当の自分でどこからが演じている自分か?
中庭という外部からの目(観衆)がある場所で、演じることの意味を問いかけているようにも思えます。
引用しているセリフも有名な劇からのものが多く、演劇に精通していないとちょっとしんどいかもしれません。
あと、ちょっと冗長な部分も多いかな?
山本周五郎賞受賞作品なので読んでみましたが、ちょっと上滑りな感じでした。

竹蔵

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2025年09月06日

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ネタバレ

瀟洒なホテルの中庭で、気鋭の脚本家が謎の死を遂げる。容疑は、新作の主演女優候補である3人の女優にかかる。警察は彼女たちに、脚本家の変死をめぐる一人芝居を演じさせようとする。しかし、この「出来事」自体が、それを執筆中の劇作家による戯曲の設定であり、さらにその物語も多重構造を持つ。虚実がめまぐるしく反転する、芝居とミステリが融合した作品。山本周五郎賞受賞作(2007)。

・・・
恩田氏というと青春系、モダンホラー系などありますが(注:勝手なカテゴライズ)、この演劇的な作品も恩田氏の一つの特徴かと思います。

で本作などはまさにドンピシャの作品です。

当初二人の女性が対峙する場面で始まりますが、これがそもそも演劇のワンシーン。そもそも当の演劇の内容が脚本家と女優をめぐるいさかい?から発展する殺人事件。

で、こうした演劇を脚本家が書いているという話。その話を我々が読んでいる、と。

読み始めた当初は、この入れ子がすんなり理解・類推できないと、お尻がむずむずと気持ち悪わるーい感覚に陥るかもしれません笑。

なお、小田島雄志氏(東大名誉教授)によると、これ、劇中劇中劇、だそう。こんがらりますね。

・・・
もう一つ。

本作、女優が三人も出てくるのですが、俳優心理の描写がなかなか興味深いと思いました。

演じているキャラを冷静に見つめる自分がいたり、「素を演じる」ということの難しさであったり、他の演者との自然な掛け合いから所謂「フロー状態」になるとか(そういう趣旨の話)。

演じることにおいて、鳥瞰する自己がいたり、没我の状態があったり、他者とのあうんのリズムが生まれたり。そのような1ノッチ深めの心情描写は非常に面白かったと思います。

・・・
ということで一か月ぶりの恩田作品でした。

やや複雑すぎるきらいはありますが、その複雑さこそが本作のアクであり、味わうべき部分であると感じました。

推理モノ、入れ子構造、演劇、等々のファクターにアンテナが反応した方には是非手に取ってもらいたいです。

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2025年06月05日

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おしゃれな演劇を見ているみたい
同じシーンを違う役者が演じることで
真実は近づいたり離れたり…

有名な演劇をばらばらにとりあげたシーンが印象的だった。

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2025年05月19日

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ネタバレ

劇中劇がくるくる変わっていく、小説ならではの演出。
結果として誰も死んでないのは残念だったが、途中の謎が解けていく様はまさしくミステリーで夢中になれた。
初めて読んだ作品なので、恩田陸の他の作品も読んでみたい。

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2021年12月23日

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恩田陸作品好きで、昔からちょくちょく読んでるけど、読む順番として『雪月花黙示録』の次だったのは良くなかったなーと。
作品の世界観に没入して、「結末は!?」「この世界の真相は!?」ってなってるところで急に梯子外される感じ。その感じも嫌いじゃないんだけど、2作続いたのは良くなかった。全然違う作品だけど、楠巴の最後の口上と、『雪月花黙示録』の蘇芳の最後のセリフがどうしても重なるし。

ただ、読んでる間トランス状態になれるところは本当に良かった。どれが現実でどれが虚構なのか全く分からん。
もう一回読み返す必要があるけど、この話全てが劇中劇ってことよね?現実なのはこの本の読者だけで、本の中で行われてるのは「小説という虚構の中で行われてる『演劇』の中の『“劇中劇"』」なんだよね?最後の章だけが『“劇中劇"』を終えた『演劇』で、この小説の中には普段読んでる「小説の中にある現実」が無いってことだよね?
よくこんなの思いつくなぁ。すごい。

演劇の話だけど、実際に舞台で上演するのは無理だと思うわこの話。小説だからこそ完成できる演劇な気がする。

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2021年10月12日

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再読。劇中劇が多用され、複雑な入れ子構造になっていて、しかもその入れ子同士が融合してきて、迷路に迷い込んだような気持ち。それが楽しい。構造を追いかけるより何も考えずに迷路をぐるぐると歩いていくのが作品を楽しむポイントだと思う。演劇づいている恩田さんが『チョコレートコスモス』とはまた違った演劇の面白さを伝えてくれる。『チョコレートコスモス』の脚本家神谷と演出家芹沢がほんのちょっとだけ出てくる。

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2015年04月13日

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