恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ山頂に聳え立つホテルを貸し切って毎年開かれる豪奢なパーティ。主催者の老三姉妹は秘密を抱えた客たちの前で、見事な作り話のアンサンブルを聞かせるのが恒例となっている。ホテルのなかで閉じた人間模様が繰り広げられ、変奏するごとに異なる人物が殺されていく。読者は誰が夢みた死を見せられているのか。ロブ=グリエの映画脚本を大胆にカットバックさせる手法で書かれた、幻想的で妖艶なミステリー。
面白い!常野物語が期待はずれだったのを挽回してくれた。恩田さんはあまり評判を聞かないタイトルのほうが好きかも知れん。
一番の収穫はアラン・ロブ=グリエの『去年マリエンバートで」原作およびアラン・レネ監督の映画を知れたこと。ヌーヴェルヴァーグの難解映画として有名らしい。理解できずとも画面を見ているだけでうっとりできる作品だ。
大量のロブ=グリエの引用と共に"協奏"される本作も、映画と同じく表層のみがあり過去という奥行きを失った登場人物たちによる殺人劇が何度も繰り返される。三姉妹の語りが全体を繋いで、個々の人物が自分の知り得ることを語り、"死ぬべき人物"を選びだして物語的に殺すという構成が演劇的で楽しく、辰吉や時光などキャラクター全員に死の順番が回るまで続けてほしかった。竹本健治『匣の中の失楽』然り、こういう語り直しやパラレル設定が好きで解決篇はどうでもよくなってしまう(笑)。
引用の多さはちょっとズルく感じるほどだが、そのスタイルの大きな違いによって、恩田文体の俗っぽさというか偽物性みたいなものに客観視点が加わっていて良かったと思う。
恩田さんらしくて好きだったのは沢渡三姉妹のキャラ造形。3人で協力して作り話をする老女たちの愛憎関係は、桜子たちの恋愛なんかよりよほど強い力をもっている。だからこそ語り手側として彼女たちを召喚しなかったのがよかった。先に死んだという兄たちの話が桜子と時光の関係と重なるのかと思ってたので、そこは拍子抜けだったけど。
ひと月くらい集中的に恩田作品を読み、わかったのは、文体がゆるいときと締まっているときの差が激しすぎること。明らかに書き飛ばしているときの重複情報の多さは私には我慢ならない。また、演劇的な手法で書かれたものは好きだなと思った。本作は大きく括って『中庭の出来事』タイプの作風だが、軽くて洒落た読みごこちになっている。 -
Posted by ブクログ
ミステリのようでミステリでない。ホラーでもない。ファンタジーかSFか。何も考えず読み物として面白い。イギリスと日本がひとつになったような世界で、あの世への通り道としてヒガンに故人の霊が当たり前に現れるアナザーヒルという島で起きる数々の事件、この世で起きた血まみれジャック事件の謎、アナザーヒルで起きる連続殺人の謎、消失したケントおじさんや黒衣婦人の謎、アナザーヒルに死者が現れなくなった謎…。学生のジョンがその謎を解いていく。普通ではない世界での話なので謎解きはこの世の常識では解けない。解く必要もない。話は面白い。作者の恩田陸も話を広げすぎたか最後はやや強引。不吉なエピローグも不吉なんだけど進化したアナザーヒルならそれほど深刻でもない気もする。