恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ大学生でありながら、世界的な天才美術家烏山響一。
彼に惹かれながら怖れる捷(さとし)と律子。
突然姿を消してしまった婚約者・黒瀬淳(あつし)を捜す婚約者の夏海と大学時代の友人である和繁。
ふたつの人間関係が、熊野で一つになる。
地元の名家・烏山家の持つ個人的な野外ミュージアムを舞台に、おぞましいほどのイメージの奔流が、読む手を止めることを阻む。
どういうこと?
なんでこんな目に合わなきゃならないの?
とにかく烏山響一が恐ろしい。
出てくるだけで不穏な気配に圧倒される。
多くの人は彼のまとう負のオーラに気づかない。
気付く者こそが、彼に招待されるのだ。
そして芸術家を多数生み出す烏山家の謎。
昔からの名家でありながら、広大な敷地を高い塀で囲った中にある烏山家。
何かある…はず。
恩田陸の作品に多々あるとおり、最後の落としどころがするっといきすぎて物足りないけれど、捷が、律子が、取り込まれそうになるところまでは手に汗握って読みました。
鍵を握る人物は最初からわかっていたので、いつ姿を現わすのか、どう現わすのかと思っていただけに、ああ、そうきてしまったのね…という感じ。
結果として私は「至上の愛」ってトラウマになりそうだけど、それは間違った読み方であることに自覚もある。
ただ、香織の婚約者の洞察力の根拠と、橘のその後(助かったの?)を知りたいです。 -
Posted by ブクログ
夏の香りが漂う中、真昼の誰も居ない道で何となく怖くなるようなそんな雰囲気が醸し出されている。
変な時期に転校してきたせいで周りに友達を作れず夏休みに入ってしまったミチル。
自分が新しく住み始めた街の事など分からない。
友達もいない。何も分からない。
そんな中で突然林間学校に呼ばれて、また何も分からないまま夏の城と言う場所で過ごし始める。
この『何も分からない』と言う事が読んでいるこちらの不安をとても煽る。
同じ林間学校で過ごす少女たちとの青春のような空気を感じながらも、どこか不気味。
その絶妙なバランスがとにかくドキドキさせられる。
続きというかアナザーストーリーもあるみたいなので是非読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ山頂に聳え立つホテルを貸し切って毎年開かれる豪奢なパーティ。主催者の老三姉妹は秘密を抱えた客たちの前で、見事な作り話のアンサンブルを聞かせるのが恒例となっている。ホテルのなかで閉じた人間模様が繰り広げられ、変奏するごとに異なる人物が殺されていく。読者は誰が夢みた死を見せられているのか。ロブ=グリエの映画脚本を大胆にカットバックさせる手法で書かれた、幻想的で妖艶なミステリー。
面白い!常野物語が期待はずれだったのを挽回してくれた。恩田さんはあまり評判を聞かないタイトルのほうが好きかも知れん。
一番の収穫はアラン・ロブ=グリエの『去年マリエンバートで」原作およびアラン・レネ監督の映画を知れたこと。ヌーヴェルヴァーグの難解映画として有名らしい。理解できずとも画面を見ているだけでうっとりできる作品だ。
大量のロブ=グリエの引用と共に"協奏"される本作も、映画と同じく表層のみがあり過去という奥行きを失った登場人物たちによる殺人劇が何度も繰り返される。三姉妹の語りが全体を繋いで、個々の人物が自分の知り得ることを語り、"死ぬべき人物"を選びだして物語的に殺すという構成が演劇的で楽しく、辰吉や時光などキャラクター全員に死の順番が回るまで続けてほしかった。竹本健治『匣の中の失楽』然り、こういう語り直しやパラレル設定が好きで解決篇はどうでもよくなってしまう(笑)。
引用の多さはちょっとズルく感じるほどだが、そのスタイルの大きな違いによって、恩田文体の俗っぽさというか偽物性みたいなものに客観視点が加わっていて良かったと思う。
恩田さんらしくて好きだったのは沢渡三姉妹のキャラ造形。3人で協力して作り話をする老女たちの愛憎関係は、桜子たちの恋愛なんかよりよほど強い力をもっている。だからこそ語り手側として彼女たちを召喚しなかったのがよかった。先に死んだという兄たちの話が桜子と時光の関係と重なるのかと思ってたので、そこは拍子抜けだったけど。
ひと月くらい集中的に恩田作品を読み、わかったのは、文体がゆるいときと締まっているときの差が激しすぎること。明らかに書き飛ばしているときの重複情報の多さは私には我慢ならない。また、演劇的な手法で書かれたものは好きだなと思った。本作は大きく括って『中庭の出来事』タイプの作風だが、軽くて洒落た読みごこちになっている。 -
Posted by ブクログ
下巻も楽しい。
成人式に参加する子達はみんな恐れがないのかと思っていたけど、ニコが異常すぎるだけだな…ジャガー怖すぎ。
登場人物それぞれのシーンごとにハラハラさせられるものがあるけど、それだけに日本の楢崎一族が出てくると妙にほっとしてしまう。
王が死ぬシーンが結構あっさりしていて拍子抜けした。最後まで引っ張るものだと思っていたので…
ニコは未来を担う人物だから練のようにはできないのよね。練が怒って一人で千華子を探しに行って、後からなんで自分がそんな行動してしまったんだ、と悶々とする練の気持ちの描写すごく丁寧で良かった。
最後に壊れたピラミッドを登っていくときの高揚した練の描写も素晴らしい。少年たちと一緒に歓声あげたくなった。
それだけに最後なんであんな終わり方なの…家族との再会もそうだけどニコともっと関わらせてくれや。こんなところで恩田節炸裂するのやめてくれや…