あらすじ
これはかつて失われたはずの光景、人々の情念が形を成す「裂け目」。かつて夫婦だった鮎美と遼平は、裂け目を封じることのできる能力を持つ一族だった。息子の誕生で、二人の運命の歯車は狂いはじめ……。
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目次
・錦糸町コマンド
・川崎コンフィデンシャル
・上野ブラッディ
・大阪アンタッチャブル
・呉スクランブル
・横須賀バビロン
・六本木クライシス
かつて軍都があったところに現れる「裂け目」。
放置しておくと「グンカ」が湧き出し、大惨事の引き金ともなる。
鮎観(あゆみ)や遼平は、それを人知れず封じ込める能力を持つ一族の一員だ。
最初これは「常野物語」のような話かと思ったけど、主眼が一族にあるのか「グンカ」にあるのかよくわからなかった。
最後に鮎観と遼平の息子に現れた能力の兆し。
オープンエンドになっているのだけど、それにしては書き込みが足りない。
私は「横須賀バビロン」で、封じ込める側の能力と読みましたが。
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恩田陸は物語という大風呂敷を広げるだけ広げて、そのまま畳まずに終わることが多々あります。今回もそのパターン、というか広げきる前に風呂敷をひっくり返してしまったみたいな物語でした。
ナショナリズムに象徴されるきな臭いアレコレを具象化した物語なのでしょう。わらわらと出てくる「グンカ」を封じ、グンカが出てくる「裂け目」を縫い閉じる。
人知れず何かと戦うヒーローもののようであり、何かわからぬものが跋扈する薄ら寒さをもたらすホラーでもあり。カバーには幻想ファンタジーとありますが、結局はよくわからないものです。物語の全体図を見せず、登場人物の行動と含みのあるセリフから推測するしかない。
そういう物語構築は嫌いじゃないです。後ろに大きな世界が垣間見える、それを楽しむのも悪くないです。でも今回のは余りにも思わせ振り過ぎるのではないかと。でも面白かったのです。面白かったからこそ言いたい、続きもちろんありますよねえ。
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旧軍都に発生する「裂け目」 そこからかつての人間の記憶が形を成し、蘇ってくる。
その裂け目を封じ、記憶の化け物たちと戦うものたちの物語。
結局、日本どころか世界中いたるところが、戦いの歴史なのだろう。そして、その過去の血の上に、私たちはいる。
というのが、通奏低音のようにずっと鳴っている感じがした。
記憶の化け物<グンカ>は、明日の自分の姿なのかもしれない。
一族同士で、結婚したものの、というのはまぁありそうだし、その子供が、っていうのもステレオといえばそうなんだけど、曖昧とするところは曖昧としておく、そういうところは非常に上手い。
意味があるのか、ないのか、そもそも意味を問うことに意味があるのか、そんな堂々巡りの中で不確かな答えを探してる感じなる。
光と影の描き方が上手かったな。
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恩田陸氏による2017年の作品。
異世界から「裂け目」を通じてこの世界に侵入し凶事を起こす輩たち。それらを察知し、戦う「力」を持った一族が居た。その末裔の鮎観(あゆみ)、遼平、浩平ら、個性的な人物が難局に立ち向かう。
・・・
勝手にカテゴライズさせていただくと、本作、恩田氏の頻出ジャンルの一つ「異能力系」に分類されるでしょう。
主人公らは、一ページ目から既に戦いのさなかに放り込まれており、生きるため・家族を守るために戦わねばならない。その異能を発揮しつつ、周囲には隠れつつ、正義を守る、こんな感じです。
戦い、情愛、そしてちょっとギャグが入っており、テレビアニメのような印象の作品でした。近年見たものでいう東京喰種(東京グール)みたいな感じでしょうか。印象、パッと見な感じだけですけど。
章のタイトルもややアニメ化を意識しているようにも見えます。
第一話 錦糸町コマンド
第二話 川崎コンフィデンシャル
第三話 上野ブラッディ
第四話 大阪アンタッチャブル
第五話 呉スクランブル
幕間 横須賀バビロン
第六話 六本木クライシス
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で、本作ですが、他の異能力系の作品と比べると、ちょっとインパクト少ないかな、と感じました。
凶事が起こることを察知する能力と、その元凶である「裂け目」を閉じる能力の二つ。つまり基本的に悪に対して防戦一方。
氏のこれまで類似の異能力系の作品で言いますと『エンド・ゲーム 常野物語』『常野物語 蒲公英草紙』『光の帝国 常野物語』が印象深いのですが、あちらですと遠視だったり空を飛んだり、能力のバラエティが多くてアクションも多彩な絵柄になりそうだな、と感じました。
ただ、本作は一族結婚した鮎観(あゆみ)と遼平が、子を設けたのちに離婚、さらに鮎観は再婚(非能力者と)したことになっています。このあたりの人間ドラマは続編を予感させもしますね。
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ということで比較的新し目の恩田作品でした。
しかしこの方、本当に多産。本作は2017年発表ですが、その年は他にも3作、計4作を発表なさっています。単純平均で四半期ごとに一作。いやー、きちんとご飯食べているんですかね?
ご自愛頂きたく思います(余計なお世話ですね)。
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恩田陸さん作のダークファンタジー。雰囲気は常野物語シリーズのエンドゲームに近い。
1話関係の連作短編だが、最後の最後で話をひっくり返してきて、気になる終わり方で終了。続編に期待したい一冊。
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恩田陸風のオカルト異能力バトルもの…ってジャンルでいいんだろうか。キャラクターはみんな恩田陸っぽいけれど、どこか世界観が合ってないようにも感じてしまう。設定とかは物凄くひかれる感じであるものの、急に離婚だの再婚だのと現実に引き戻されてしまうのがちょっともったいない。でもまあ息子さんの能力がそれに関わるから仕方ないのかもしれない。でももうちょい上手くやれたら面白かったのになあと思った。呉の大和は息子の能力でいいのかな?あとラストが打ち切りエンドみたいだった。びっくりした。
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恩田陸さんの、薄気味悪い雰囲気を醸し出すファンタジー、結構好きで、昔常野シリーズも夢中で読んだことを思い出します。ちょっとスズメの戸締りに似てるかも、と思いました。 今作の一族の背負った業とは、何に端を発しているものなのか、これから彼らは、日本は(もしかしたら世界も?)どうなっていくのか、息子の俊平が魅入られたメンドウとは何なのか。恩田先生のことですから全部は書かないだろうな……とおもいつつ、続編があればもう少しこの世界を味わってみたいと思いました。
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現代版日本昔ばなしのような印象。ある能力は遺伝によって受け継がれる。その能力を持った人たちにしか見えない敵と戦い続ける物語。夫婦の関係が壊れていく様が悲しかった。
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奇妙な短編が6つ.著者の意図がつかめないまま読破した.遼平、浩平、鮎観、カオルらが登場し、毎回「裂け目」が出現し「グンカ」が出てくる.戦いがあるが突然終了する.煙草屋、蝶、簪も出てくるが、関連性が見いだせなかった.「呉スクランブル」は以前呉に住んでいたので、描写に親しみが持てたが、内容はとんと分からない.
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恩田陸作品中、とてもユニークな内容だと思う。
ウィットに富んだ会話などは、明らかに通常の恩田節とは異なる雰囲気で物語は進む。
恩田陸女史の作品を初めて手にするのがこの一冊であった場合、どのような印象を抱くのか、ちょっと知りたい気もする。
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魔物退治ですか。
恩田さんのファンタジーにしてはやけに敵が具体的で、かつ退治する側の言動も軽薄でした。
決して作品としてつまらないわけではないけれど、彼女に期待する内容では無かったかな。
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何やらただごとではないことが起こってることは
わかったけどいまひとつ画が想像できなくて
没入できず。
最後の俊平が歩いてるのを怖く思ったんだけど
どういうテンションになるのが正解なのか・・
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奇想天外なファンタジー。重要ぽい設定にほぼ説明がないままゴリゴリ話が進んでいくので「前作があっての続編か?」とも思いましたが完全新作のようです。
以上を納得したら、あとは読者として想像力をフル回転させながら読み進めるとなかなかに楽しいです。何一つ解決しないエンディングも、恩田陸先生ならでは。
都内のディープなスポットが出てくるので、お散歩場所のネタとしても良いかと。
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土地に付随する呪いと祝福。歴史とも言われるそれへの憧憬がカタチになった話だったと思う。積み重なった石への恐怖は昔から恩田作品にあったけれど、とうとう爆発したのが印象的だった。量的に読み足りなくて残念。
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現在世界に発生した異界の裂け目を繕う伝奇小説。さらさらっと書いた短編集といった感じ。軽くてすぐ読めるけどちょっと物足りないといえば物足りない。
でもきっとこの設定で長編の面白いのが読めると信じようと思う。
Posted by ブクログ
人や物の記憶が蓄積される世界。
ありえないはずだけど、どこかしら共感出来てしまうから不思議です。
もしかしたら、少なからずあるのかもしれない。。
Posted by ブクログ
再読4回目。
まあ、何と言うか、ワールド。こういう日常からちょっとねじれた感じの世界観、大好物です。ただ、ちょっと、すべての前提となる「裂け目」の設定に、慣れきる前に終わった...。けど、これ、映像化したら面白いかも。映画とかアニメとかより、ゲームにしたら楽しそう。
Posted by ブクログ
裂け目から現れる異世界のモノたち。押し戻そうと戦う一族。
う~~ん。そこに現れる事象と対処は見えるけど、よくわからない。
何をしたくて現れるのか?なぜ押し戻そうとするのか?
新しい世代の意味は?