恩田陸のレビュー一覧

  • 中庭の出来事

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    脚本家の変死をめぐる、芝居とミステリーが融合した作品。

    恩田節炸裂といった感じで、「Q&A」のように色々とチャレンジした作品と見受けられる。

    現実と、その中の劇中劇と、別の劇中劇中劇の3層で構成されていて、なんとも不思議な感覚。

    その感覚が、ラストで読者の立ち位置を分からしめてくれるので妙に納得。

    多分これは完成された結末があるのではなく、自分なりの解釈を補って物語が完成される、恩田陸の新しいミステリーの提案なのではないかと思う。

    恩田作品はやっぱり癖になる。

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    2016年01月31日
  • ねじの回転 FEBRUARY MOMENT(下)

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    なんだかんだ言いながらもアメリカを主体とした国連の真の目的は、偏見かもしれませんが頷けるところがあります。
    また日本の将来を憂う昭和初期の若き将校達の情熱と焦燥、あくまでも職務として取り組み、ある意味ではゲーム感覚の未来の科学者達など、非常に上手く描かれていました。それらをこんな大作に仕上げた恩田氏はやっぱりスゴイ!

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    2016年01月20日
  • 中庭の出来事

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    「中庭」とはホテルの中庭。周りを建物に囲まれて、密室ではないようで、実は出入り口が限定されている。そんな一つの閉鎖世界ともいえる中庭で、人が死ぬ。それを題材にした舞台脚本を書こうとする人の話。なのかなんなのか。

    劇中劇が半分くらい。でもどこまでが劇中劇で、どこまでが現実が分からない。

    なんか読んでて思うんだけど、恩田陸さんは性悪説を頑なに信じてる気がする。普通の人はなんだかんだで、人は悪と思いつつ、性善説を捨てられないもんだと思うんだけどね、人の大本は悪であると思ってるんじゃないかしら。もちろん性格が悪いということではなく。


    あー。僕も劇の中に生きたい。

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    2016年01月18日
  • ねじの回転 FEBRUARY MOMENT(上)

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    歴史の再生と二ニ六事件とは、えらく壮大なテーマに挑んだものですが、今のところは負けずに緊張感を維持しています。
    いわゆる恩田ワールドではない恩田作品もいいものですね。

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    2016年01月17日
  • 私と踊って

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    恩田ワールドの短編集
    ありそうで、でもきっと無い、ちょっと怖い物語を連続して読んでいると、日常からリアルさが無くなっていくから不思議。
    本から目を離したら、きちんと今に戻らねば。

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    2015年12月22日
  • 象と耳鳴り

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    恩田氏の作品に本格短編集があったとは。
    落ち着いた雰囲気で、適度にロジカルで、適度にサプライズも用意されており、誤解を怖れずに言うと女性作家でこんな作品を読んだのは初めてで、改めて恩田氏の多才さに驚かされました。

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    2015年10月30日
  • 劫尽童女

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    失礼ながら、さして面白そうに見えないタイトルと表紙。そのせいで読むのを後回しにしていた己の不明を恥じる充実した内容でした。
    独自に創り上げられた世界の中で起こるスピード感溢れる展開は、一気読み必至です。

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    2015年09月21日
  • 象と耳鳴り

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    元判事の関根多佳雄による安楽探偵物で全12編の短編集。
    この関根さんは、恩田陸のデビュー作『六番目の小夜子』の主人公の父親だそうだがそちらは未読。各々の作品の謎はバラエティーに富んでいるが、解決というよりは仮説の提示に留まっている作品が多く、唐突に感じるものもある。探偵役の関根さんが何とも魅力的な人物で、このキャラで物語が成立していると感じる。奥さんに敬語で話すのが印象に残った。

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    2015年10月15日
  • 球形の季節

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    『緑は危険』が気になる。。

    自分にとっては大好物なラストでした。その後を色々想像してしまう。

    登場人物、目立ちたいが故のいわゆる霊感強い女の子かと思ったら本物でした。すみません。。

    何不自由なく暮らしていても悩みはあるだろうし
    逃げられない状況下で苦しんでいる子もいるだろうし
    住んでいる場所同じであっても、
    「みんな違って」となるのだなぁ、と改めて感じた。
    何分学生時代は遠い記憶のかなたなので。

    登場人物が多いのに、実在するように書き上げる作家さんて凄いなぁ、とこの年になって気づく。
    違う子に重点を置いてまた読み返したい。

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    2015年09月03日
  • 象と耳鳴り

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    美しいタイトル。
    もっとメインっぽい短編はあるのにと思ったが、象に似合う雄大な景色と、象には似つかわしくない狭小な室内とがいっぺんに頭を駆け巡り、イメージとしては1番面白いのかもしれない。

    相変わらず魅力的な登場人物に加え、恩田作品にしては珍しいスカッと感(1つ1つの展開とラストがすっきりする)がある。

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    2015年07月30日
  • 酩酊混乱紀行 『恐怖の報酬』日記

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    恩田陸の『恐怖の報酬』日記を読みました。

    酩酊混乱紀行 イギリス★アイルランド★日本〈ほぼ縦断〉とサブタイトルがついています。
    恩田陸がビールを求めてイギリス、アイルランド、生麦(キリンビール)、札幌(サッポロビール)、沖縄(オリオンビール)と旅行してひたすらビールを味わうという旅行記でした。

    さらに、恩田陸は強度の飛行機恐怖症とのことで、その恐怖についてもしつこく書かれています。

    とは言え、アイルランドのどこまでも続く丘を見ているだけで、手紙を書く青年、手紙を読む少女、空を飛んでいく帆船たち、それを見上げている少年、といったイメージが浮かんできて1篇の物語が書けそうだ、というところが恩

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    2015年06月04日
  • きのうの世界(下)

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    なんか、殺人とかホラーとかすごいどろどろした話かと思って読んでたけど、期待を裏切り、爽やかな余韻が残った。

    バタフライ・エフェクト。

    時間は続いている。
    いろいろと影響しあいながら。
    何かが起こる時、それには理由がある。
    歴史は途切れることなく続いている。
    でも、今日という日は、昨日までの世界とは別の世界。
    そんな不思議な世界に僕らは生きている。

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    2015年05月12日
  • 私と踊って

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    あちらこちらから丁寧に集められた、ずぼらなファンには嬉しい短編集。
    NHKスペシャル用は特に気になってたので嬉しいです。
    交信もじわっと来たなぁ。
    台北シリーズは、長編で是非とも読んでみたい!

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    2025年05月28日
  • ブラザー・サン シスター・ムーン

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    再読。半自伝的小説。小説、音楽、映画という分野の男女3人すべてに恩田さんの痕跡がある。時代感もばっちり取り込み、あの時代の空気感を共有できるのは、同世代作家さんを読む醍醐味。これだけ綿密にキャラクターと背景を書き込みながら、愛憎もつれる恋愛劇みたいな陳腐なお話にしないのが恩田さんらいしい。専門の学問と無関係のクラブ活動で、多くのプロを排出する大学って、こんな雰囲気なんですね。大学ってフシギなところだ。

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    2015年04月27日
  • きのうの世界(下)

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    再読。初めて読んだときは、ラストがなんとなくよくわからなかった。2回目でもよくわかったというのではなく、意識が身体から離れた描写がすごいなあと、自然に落ち着くところに落ち着いた感じがした。集中豪雨に見舞われたあとの町の描写は秀逸。裏表紙の紹介に「恩田陸がすべてを詰め込んだ集大成」と書かれていて、「大げさな煽り文句」と思ったが、確かに恩田さんらしい要素や細部が結構入っていて、「ふんふん、確かに」。だけど、「集大成」には早すぎるでしょ。まだまだこれからいっぱい書く人なんだから。

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    2015年04月25日
  • きのうの世界(上)

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    再読。なのに、細部には記憶があるが、結末は全く思い出せないまま、読み進めた。徐々に不安感をあおりながら、物語の種をまきつつ、下巻へ。

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    2015年04月25日
  • 小説以外

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    再読。お気に入りの作家さんが本について書いたエッセイを読んで、幸福感でいっぱい。オススメの本を全部読みたくなる。が、これがなかなか実現できない。今年の1月から恩田さんの作品を出版順に読み直していて今ようやく半分くらい。読破できるのはおそらく6~7月。その間にも新刊は出続け、積読本が今でさえ20冊以上。それらを片づけると10~11月。その頃にはこの本のことは記憶の彼方に消えているのだ。この本を片手に新たな本との出会いを果たしたいのに・・・。読みたい本も、読みなおしたい本もいっぱいあるのに、時間だけがない。

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    2015年03月30日
  • 夢違

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    「悪夢ちゃん」のドラマを見てから気になっていて、ようやく読みました。面白かったです! ファンタジーのカテゴリに入れましたが、SF、ミステリー、ラブストーリーの要素もあります。夢と現実の境界があいまいになる話は色々ありますが、この作品では夢の内容を映像化することができ、その映像を見てカウンセリングを行う「夢判断」という仕事が存在しています。さらに、境界があいまいになっていく人ではなく、その人を取り巻く周囲の視点で書かれているので、言いようのない不安を抱え、真相を突き止めようとする登場人物たちに感情移入しながら読みました。
    物語の終章は現実世界で起きたことのようにも思えますが、夢の世界、意識の中の

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    2015年03月13日
  • ねじの回転 FEBRUARY MOMENT(下)

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    再読。設定も伏線も複雑で、すべて整合性があって回収しきれているのかは不明だが、面白いからそんなことはまあいっかと思った。日本に完全なる敗北をさせ、アメリカに罪の意識の抑止力を持たせようとするあたりは現代的な視点も入っていて興味深い。どこかで誰かが絶えず歴史をやり直していたとしたら・・・、なんて空想してしまった。

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    2015年03月02日
  • ねじの回転 FEBRUARY MOMENT(上)

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    再読。読み始めてから気がついたのだが、奇しくも二・二六事件を題材にした作品を2/26に読むことになった。二・二六事件とタイムトリップといえば、宮部みゆきさんの『蒲生邸事件』があるが、テーマも描き方もまったく異なる。でも歴史の転換点として二人がこの事件を選ぶのは、この事件自体が人を引き付けるんだろうなあ。もし自分が歴史をやり直せるただ一人になったら、いつ、どこの何を選ぶんだろうか、と想像しながら読み進めた。深遠なテーマです。そして下巻へ。

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    2015年02月27日