恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
音楽関連の仕事をしている主人公の塚崎多聞が、不思議な体験をする5話の中編構成だ。
1〜4話までは独立したミステリーとして読み進んだのだが、最後の5話で全ての話が繋がる仕掛けだ。
人の心の曖昧模糊とした不可思議さ、現実が朧げになる人の記憶、現実と空想の境の曖昧さなどを下敷きにして、人が陥りやすい「思い込み」がテーマとなっている。
今回の相変わらずの摩訶不思議な恩田ワールドは少々難解だったが、最終章で「そういうことだったのか⋯」と云う結末で終わる。
読み終わって知ったのだが、前編に『月の裏側』、続編に『珈琲怪談』があることを知った。
『珈琲怪談』は既に手元にあるので続けて読み、それから『月の裏側』 -
Posted by ブクログ
前知識無く読み始めた本。
ユージニアや中庭の出来事などを読んでいたせいもあり、ミステリー作品と思っていたが…
空を飛ぶ虚ろ船?変質?血切り?
出てくるワードは現実から離れたものばかり。
ふとウェブを検索すると、虚ろ船は江戸後期に茨城(常陸)の舎利浜に漂着したと言われる円盤!?と言う実在したかもしれないものが元になっているらしい事がわかった。
当時のことを記した文書は15編も見つかっていてまんざら嘘の話でも無いらしい。
江戸時代のミステリーを恩田陸ならではのストーリーテリング、一気に恩田ワールドに引き込まれました。
下巻を読むのが楽しみ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ恩田陸氏2017年の作品。『夜の底は柔らかな幻』のスピンオフ作品として位置づけられる。
なお、本タイトル『終わりなき夜に生れつく』はドレイクの詩からとられたとのことですが、同様にドレイクの詩から、アガサ・クリスティも同タイトルの作品が有ります。
因みにアガサの原題はEndless Nightとのこと(大分意訳!?)。これに対し、ドレイクの由来する詩は、Some are born to sweet delight, some are born to endless night、とのこと。
アガサ・クリスティの当作品も読んでみたいですね。
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本作、スピンオフということを知らず、本編を -
Posted by ブクログ
ネタバレ中庭の出来事
劇中劇の構成をとった推理小説。
劇のオーディションと実際の劇、警察での取り調べと劇、入れ子の構造が錯綜していて最後まで惑わせてくれます。
どこまでが真実でどこまでがフィクションか?
どこまでが本当の自分でどこからが演じている自分か?
中庭という外部からの目(観衆)がある場所で、演じることの意味を問いかけているようにも思えます。
引用しているセリフも有名な劇からのものが多く、演劇に精通していないとちょっとしんどいかもしれません。
あと、ちょっと冗長な部分も多いかな?
山本周五郎賞受賞作品なので読んでみましたが、ちょっと上滑りな感じでした。
竹蔵