恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
撮影中の事故で何度も映像化が中止され”呪われた小説”と言われる『夜果つるところ』とその著者である飯合梓の謎について本を書こうとしている小説家が、関係者一同と同じクルーズ旅行に参加して船上でインタビューをする話。映画監督やプロデューサー、編集者などそれぞれの視点から作品と作者について語り合う。
語られる飯合梓の人物像がユニークで面白い。
作中で何度も言及される『夜果つるところ』は恩田陸によって別の本になっており、そちらを先に読んでいたのでイメージしやすかった。序盤は冗長だと思ったが、中盤からの連続インタビューはさすがに恩田陸。
内容とは関係ないが、長めの長編で単行本なので本が重くて辛かった。 -
Posted by ブクログ
大型商業施設での事故に巻き込まれた人たちのインタビューや、周辺の人々にまつわる短編で構成された一冊。
立場もそれぞれ、施設に訪れた目的も、事故当時にいた場所もまちまちで、当然、見たものも巻き込まれ方も違う。
大きな人の流れに逆らえず、広い建物内をあちらこちらへなすすべなく押し流された経験、それに抗えないことへの恐怖。自分の運命を何も決められない絶望や、その事故の悲惨さに傷ついたこと。
ある人はその恐怖と悲劇をしたたかに利用し、ある人は自分に巣食った心の傷から目を逸らそうと道を踏み外し、ある人はその恐怖と向き合わず、ある人にとってはこの大事故も悲劇ではなかった。
インタビュー3人目の老人の「 -
Posted by ブクログ
ネタバレ難しかった…。
1、0、(1)が何なのか、理解できなくて。
TとMのパートで、数字が分かれてんの?とか、小説家は小説家っていうキャラクターかと思いきや、え?違う?本当の作者のことなの?とか。
そして、これは私自身の問題だけど、フィクションとノンフィクションとの境目が、水彩絵の具に水を落としたみたいに滲んでぼやけるタチなので、何が本当で、何がどこまで作りものなのかも、正直、読み終わった後ですら今ひとつわかってない。
まずもって、勝手な思い込みで、全く違うストーリーを思い描いていた。
だから、これっていつになったら話、動くんやろ?ってずっと思いながら読み進めていた。
人が死を選ぶ時、長く緩や -
Posted by ブクログ
終始不穏な空気が続いて気になって一気読み。
おもしろいしめちゃくちゃ読みやすい。
しかし、状況がよくわからなくて疑問が多い中、最終的に伏線回収されたのは8割くらいで終わってしまった。
突然名前が出てきて一切登場しないあれは誰だったの?あの人はどうしてそもそも知ってたの?
と、色々謎なまま解説を読んで本書がこれまであった3作の続編にあたると知った。
とはいえ、解説者が言うには恩田作品は何かがわかりそうでわからないまま宙吊りにされている感覚になって腑に落ちないからこそ次の作品に手を伸ばしたくなるらしい。
では私も他の3作を読んでみなくては。
読んだところで不可解さは残るとも書かれているけど(笑)