恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ恩田氏デビューから数えて6作目、1999年の作品。これまた結構古めの作品。
でもケータイ(ガラケーと思われますが)も出てくるし、不思議と古く感じさせません。
相変わらず、えも言われぬスリラー的な作品でありました。
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本作、推理小説ということですが、モダンホラー的な恩田テイストが色濃く出ているのが特徴かと思います。
主人公は引退した著名な裁判官の関根多佳雄。彼が遭遇するちょっとした事件と、その謎を解く様子がなかなかスリリングでした。
なお本作、12作の短編からなる短編集となっており、途中から息子の春(検事)、娘の夏(弁護士)も登場し、何だか学歴ドリームチームみたいな華やかな(一種嘘 -
Posted by ブクログ
墜月荘、女たちと男たちがひっそりと集う山奥のお屋敷。華やかな宴と、男たちの密談。女たちの秘密と男たちの目的は……そこで隠れるように暮らすわたしと、3人の母たち、そして出会った『カーキ色』の男たち。わたしが目撃したものは……
久々の恩田陸。何かの作中作品のようだけどそのままで読めた。不穏でぼやけていて、でもどこか美しい館の物語。語り手自体がぼんやりしているので内容も語り手の主観でしかないが、情報の出し方はほどよくて読みやすい。主人公の秘密はぼんやり予想がつくけど、でも義弟の話とかみんなの扱い方とかからするとほんとか?って感じではある。あと久我原と莢子もちょっと唐突だなと思ったけど、話の作りとし -
Posted by ブクログ
たった1人に一晩だけ貸すことができる本、『三月は深き紅の淵を』。その本を巡る4本の話。
第一章は『待っている人々』。会社の会長宅に招待を受けた男性が、屋敷内にあるとされるが10年以上探しても見つからないという本探しに巻き込まれる。
第二章は『出雲夜想曲』。『三月は深き紅の淵を』の作者を求めて、2人の編集者の女性が夜行列車で出雲へ向かう。
第三章は『虹と雲と鳥と』。2人の少女が公園の展望台から落下して亡くなった。2人の間に何があったのか。少女の元家庭教師の女性と元彼氏の少年が解き明かそうとする。
第四章は『回転木馬』。『三月は深き紅の淵を』を書こうとする女性を描いた話。
確かこの間読んだ『27 -
Posted by ブクログ
何が起きたのか明かさず、被害にあった負傷者数や現場にいた人へのインタビューから徐々に読者の不安と期待を煽る。本当に2004年の作品かと思うほど、斬新な物語の進行方式。
まったく古さを感じない作品の雰囲気とは裏腹に、「茶髪」という言葉が軽薄な若者言葉と揶揄されていたりといった当時の風潮も描かれており、その温度差も楽しめた。
特に、不幸な人と自分を比べ、自分は恵まれているという優越感に浸る大学生の話は、東日本大地震の被災者である私に刺さった。
非現実的な「なにか」が起こっている異様な雰囲気は、当時中学生だった私にとっても、不安や恐怖よりもずっと好奇心が刺激された出来事だった。
いま振り返ってみれ