恩田陸のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
【三月は深き紅の淵を】という幻の小説を横糸として巡らせた入れ子式の四部作。かな。
第一章から三章までは雰囲気のタッチの違う、フツーに読める話。
だけど、第四章が、まあ、ややこしい、というか頭の中のラフを見せられているような深読みさせられているような。どうやら作者の別作品とも繋がっているらしく。
さて脳内配役。
『第一章 待っている人々』
金子会長…小日向文世
水越夫人…手塚理美
一色…大倉孝二
鴨志田…中野英雄
あたりでさらりと。
『第二章 出雲夜想曲』
堂垣隆子…松たか子
江藤朱音…山口智子
これは本っ当に、この二人がドンピシャだと思う。芸風?的に。二十年位前にこの章だけでも実写 -
Posted by ブクログ
「見えすぎる」ということは、じつは「見えない」というのと同義。これはそこのところをうまく扱った作品ですね。二十五年前に変死した天才画家の生まれ変わりではないかと言われた主人公は、画家の遺子とともにその死の謎を追いはじめるのだけれど……。偶然だろうけど、最近この「前世」というやつを題材にした作品に連続して遭遇しています。高橋克彦の「前世の記憶」とか加門七海の「喜三郎の憂鬱」とかですね。この「前世」の処理の仕方でその作家がどのような方向を向いているのかを推し量ろうとするのは乱暴なのだろうな。「前世」と恩田陸という名前から読む前に思っていたよりはストレートな展開なのにちょっと驚きました。
-
Posted by ブクログ
学校というのは怪談の舞台になりやすい場所である。作者の第1作『六番目の小夜子』は学校という特殊な場において形成された伝説をじつに見事に描いた作品であった。この『球形の季節』においても、学校の中で語られる噂話が物語の重要なファクターとして登場することになるのだが……。日常の延長線上に異世界がある時、それを感知できる者とできない者、あるいはそこに足を踏み入れることができる者とできない者というのはどのようにちがいがあるのだろうか?そして、それを知り得ることと知り得ないことはどちらが幸福なのだろうか?この作品のなかではなんだか夢のように時間が流れているような気がする。そして学生時代の時間というのはこの
-
Posted by ブクログ
恩田陸の小説は怖い。その怖さは、日常が揺らぐような、寄る辺ない怖さである。
当たり前の景色や暮らしの隙間に紛れ込む異界や異形のもの。そうかと思うと、人の知覚が無自覚に作動した結果、引き起こされる現象だったりする。それがランダムに編まれているので、ますます翻弄されるのだ。
あいにくと不思議な体験をしたことは、ほぼない。けれども、この世ならざるものとか、常識では説明できない、まさに人知を超えたものもあるのだろうと思っている。そしてまた、恐れや疚しさなどから生み出された想像の産物が、リアルな形で見えてしまうこともあると思っている。どちらかに断ずることなく、できるだけニュートラルでいたい。
だからこそ -
Posted by ブクログ
どの話も好きだけれど特に好きな2つを。
まずは川上弘美さんの「アクティビティーは太極拳」から。
何となく合わないと感じていた母と娘が、コロナ禍の最中、距離はありながらも同じ風景を共有し、長い旅の時間を過ごす贅沢さとほんの少しの切なさに胸がいっぱいになる。
違う場所で暮らし、たまに顔を合わせるとやっぱり合わないと感じながらもその関係の面白さに気付いていく様子がとても丁寧に描かれていてとても気に入った。
桜木紫乃さんの「ほら、みて」はどこかでも読んだことがあったと思うのだけれど2度目もやっぱり素敵だった。
自分の両親もこうであってほしいと、こうなってくれるのならば、ななつ星の 旅をプレゼントして