恩田陸のレビュー一覧
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松村北斗さんおすすめの本(その3)
映画化したら出演したい、と発言されていたが、細かな心情の変化/緊迫した空気感など、とても繊細な演技力が求められるだろうな、松村北斗さんなら上手に演じそうだな、とファン視点でぼんやりと思いながら読み進めた。
情景の描写が繊細だからこそ、話のテンポはゆっくり。私はせっかちすぎて斜め読みをしてしまったけれど、本来はゆったりと情景を思い浮かべながら読むことで没入できる作品だと思う。
全体として面白いが、私は自分で謎を解こうとするクセが強すぎて、白昼夢の話あたりから結論が読めてしまったのが残念だった。これは作品が悪いのではなく私の読み方が悪かったなと反省。 -
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ネタバレ恩田陸さんの別な話題作を読む前に、と思い読んでみた。 読み終わってこれが日本推理作家協会賞受賞作?と少し疑問だったが。登場人物がそれぞれ語るという形式は、真相とどう絡むのかを考えながら読むのは面白かった。
ミステリのような犯人当てもあるし、ホラーじみた描写もあり、異空間をさまようような雰囲気もあるという面白い構成で。こういう作品は好きだが。
語りには事件の関係者やメインになる人たちの気質の違いが話中にあり、その一部が非現実のようなファンタジックな少し不思議な作風を感じた。
17人の人間が一気に毒殺された背景に犯人と目ぼしい盲目の少女がいるのだが、実行犯は別にいて自殺してしまい、それで解決した -
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作者本人があとがきで「SFメロドラマ」と書いている。うれしいねえ。これでもミステリに分類されていたらぼくは怒るよ(笑)。時間SFとしての出来はSF読みにしてみるといまひとつひねりが欲しいような気もしますが……。テイストとしては梶尾真治を読んでいるような気になりました。各編の題名は絵画に由来しているのですね。なるほど、絵画というのは時を生きたままに留めておく良質な方法ですからね。
「エアハート嬢の到着」不可思議な心踊る幕開け。ヒロインがいきなり……なのもさすがに時間テーマというべきか?
「春」これがいちばん時間SFしているか?美しいなんとも切ない話。人生のうち一瞬だけ出会うために生きている男女と -
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400円文庫のなかでもテーマ競作ってのがありまして、本作もそのひとつ。テーマは<無人島>。そして、これは関根ファミリーもの(というジャンルづけをしてしまってよいのか?)のひとつでもあるという贅沢さです。無人島で同日に不可解な死を遂げた複数の人物に共通していたのは……ということで、物語冒頭、これがどういうふうにつながるの、ってな無秩序な断片の数々。うーむ、本格ミステリですね。<さまよえるオランダ人>、<2001年宇宙の旅>、<昭和改元>、そしてなぜか料理のレシピ……。面白い、面白すぎますね。とりわけ昭和改元の記事なんかは、ぼくとしては眉村卓の「名残の雪」なんかを思い出すわけで。中編にここまでやっ
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あの『三月は深き紅の淵を』の続編。まあ、続編というよりは、その一部と世界を共有しているといったほうが正確ですかね。全寮制の学校という閉鎖された空間は、やはり物語世界として魅力的といってよいでしょう。「これは、私が古い革のトランクを取り戻すまでの物語である」という書き出しも、なにやら耽美で好みです。
物語的には前作よりミステリに傾いているのですが、うーむ、どうなのでしょう?謎を追うことよりもやはり「世界」に酔いながら楽しみたい作品だと思います。道具立てのひとつひとつ、また登場人物のひとりひとりが、妖しい世界を構成する見事な要素になっていると思いました。 -
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少年は大人になる。これはしごく単純明快な事実なのだが、少年という時間にその身をおいているときは、忘れているのかもしれない。
冬休み、それぞれの事情により学校の寮に居残ることを決めた4人の高校生……。シチュエーションとしてはとても好きだ。作者は「『トーマの心臓』をやる予定だった」とコメントしているが、季節が季節であるし、ぼくの頭にあったのはケストナーの『飛ぶ教室』だったりする。
読んでいるうちに気づくことになるのだが、あの時間、自分にとってのあの時間もけっして光だけに満ちたものではなかったかと……。過ぎ去るとわかっている時間、あるいは過ぎ去ってしまったと認識している時間、通りすぎてしまったものだ -
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月の裏側を見ることはできない。なぜなら、地球の自転する周期と月が地球を巡る周期が同じだから、だっただろうか?何で読んだのだったか思い出すことができない。とにかく、地球上にいる限り月の裏側を意識することはない。それは単なる偶然なのだろうか?ふと、何者かの底知れぬ悪意がそのようにしたのではないかという疑念にかられることもある。だが、知らなければ疑惑をおぼえることもないのではないか?そして、人間には知らなくてもよいこともあるのかもしれない。
九州の水郷都市箭納蔵を舞台にしたこの物語、土台になっているのは作中にも出てくるフィニイの『盗まれた街』ということなのだろうけれど、読んでいる最中ぼくの頭にあった -
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【三月は深き紅の淵を】という幻の小説を横糸として巡らせた入れ子式の四部作。かな。
第一章から三章までは雰囲気のタッチの違う、フツーに読める話。
だけど、第四章が、まあ、ややこしい、というか頭の中のラフを見せられているような深読みさせられているような。どうやら作者の別作品とも繋がっているらしく。
さて脳内配役。
『第一章 待っている人々』
金子会長…小日向文世
水越夫人…手塚理美
一色…大倉孝二
鴨志田…中野英雄
あたりでさらりと。
『第二章 出雲夜想曲』
堂垣隆子…松たか子
江藤朱音…山口智子
これは本っ当に、この二人がドンピシャだと思う。芸風?的に。二十年位前にこの章だけでも実写 -
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「見えすぎる」ということは、じつは「見えない」というのと同義。これはそこのところをうまく扱った作品ですね。二十五年前に変死した天才画家の生まれ変わりではないかと言われた主人公は、画家の遺子とともにその死の謎を追いはじめるのだけれど……。偶然だろうけど、最近この「前世」というやつを題材にした作品に連続して遭遇しています。高橋克彦の「前世の記憶」とか加門七海の「喜三郎の憂鬱」とかですね。この「前世」の処理の仕方でその作家がどのような方向を向いているのかを推し量ろうとするのは乱暴なのだろうな。「前世」と恩田陸という名前から読む前に思っていたよりはストレートな展開なのにちょっと驚きました。
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学校というのは怪談の舞台になりやすい場所である。作者の第1作『六番目の小夜子』は学校という特殊な場において形成された伝説をじつに見事に描いた作品であった。この『球形の季節』においても、学校の中で語られる噂話が物語の重要なファクターとして登場することになるのだが……。日常の延長線上に異世界がある時、それを感知できる者とできない者、あるいはそこに足を踏み入れることができる者とできない者というのはどのようにちがいがあるのだろうか?そして、それを知り得ることと知り得ないことはどちらが幸福なのだろうか?この作品のなかではなんだか夢のように時間が流れているような気がする。そして学生時代の時間というのはこの