恩田陸のレビュー一覧
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少女たちの淋しいひと夏。恩田陸ワールド全開。全体を通してなんだか薄暗い静謐な描写の中で、あまり派手に描かれない少女たちの内面が、揺れ動くのを静かに感じることができる。
“皆慣れていて料理も上手だった”という何気なーーーーい描写が、明らかになる結末の伏線になっているってどうして思うか、、、
対する少年側。
少女たち側に比べるとかなり不気味でグロテスク。不穏な空気。それが土塀を挟んでわずかに少女側へ伝染していく瞬間も。
予告編に当たるらしい、みどりおとこの短編集読んでからきて良かったです
久しぶりに味わった恩田陸のゴシックミステリー、、、読んで良かったです -
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いよいよ真相にせまってくる中盤以降、登場人物の視点をかえてお互いに推理しあう展開は面白く読めた。本作の着地点(オチ)については著者があとがきで述べているように「近未来物」の難しさを感じざるを得ない。このテーマで今書かれたものなら2024年に芥川賞をとった「東京都同情塔」のようなところにもっと踏み込んだような気がする。このテーマは2015年当時の科学技術とその一般的な認識において、まだまだ今日的なテーマとして提示できるものではなかったように思うので、これは仕方がないことだと思う。気づいてくれる人があまりいなくて残念と、著者があとがきで種明かしした登場人物たちのネーミングは、あざといくらいだったの
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「水晶の夜、翡翠の朝」
ヨハンの後日談?スピンオフ?を読み返しにきました。そしてまた『麦の海に沈む果実』読もっかなって。
「ご案内」高圧的注文の多い~
「あなたと夜と音楽と」ラジオパーソナリティ
「冷凍みかん」グロい蜜柑、スーパーボールみたいなものを想像します
「赤い毬」これは…暗示されているものは…月経や妊娠??
「深夜の食欲」疑心暗鬼のホテルのボーイ、深夜のルームサービス
「いいわけ」
「一千一秒殺人事件」
さらっと“鈍色(にびいろ)”が登場して、このあと読むつもりの新作が思い浮かぶ。ずっと大好きな作者ですが、こういう言葉の選び方がとても好きです。
箱庭を眺める擬人化された星、、、最近アン -
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ネタバレ2000年に発表されたちょっと古めの作品。幻想系スリラーとでも言った恩田氏らしい作品。
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とある無人島で発見された3つの遺体。餓死、感電死、溺死とそれぞれ違う死因。3人の遺体に関連はあるのか。二人の刑事がこの疑問に取り組むが最後の結末は・・・。
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基本ストーリは無人島で捜査する二人の刑事の掛け合いに終始します。その中でさまよえるオランダ人の伝承の解釈であったり、片方の刑事が高校時に属していたオカルト研究会の話であったりが挿入され、次第に状況が明らかになってきます。
因みにこの無人島を探すさまは、何となく長崎の軍艦島を想起させます。数十年前に打ち捨てられ、朽ちた住宅地。その人な -
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ネタバレ最後以外はどの短編も面白かった。最後が無ければ3.5点だったと思う。
あまり覚えていないが、前作でこの主人公の多聞という人物が嫌いだったような記憶がある。だから本作を読むのを先延ばししていたような感じがしている。
本作の他の短編では、そのイヤな部分を感じることが無く、むしろ好感を持っていただけに最後の話で主体性が無く無意味に弱い部分(=おそらく前作で嫌った部分)がオチに出てきており、この主人公の出てくる作品は二度と読まないと決めた。
流されて生きている(しかし他の短編ではかなり感性が鋭く感じる)男が現実を1年以上も受け入れられずにバカみたいにしているのは到底受け入れられない。
最後の短編の -
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シリーズものと知りませんでした!笑
ですが、シリーズものと知らなくても楽しめます。
ブラックローズと呼ばれる館のパーティに招待されるリセ。そこに集まっていたのはブラックローズの主人であるオズワルドとその華麗なる一族。
パーティでは一族に伝わる聖杯が披露されるという
また、同時期に近くの村で起こる猟期的殺人。
この二つの出来事が交差して…!!
といった内容でした。
私だけかもしれませんが、恩田陸先生の書かれる話しはどの著書も読み進める程に面白さが増し、ラストシーンは怒涛の展開で、ページを捲る手が止まらなくなることが多いです。
薔薇のなかの蛇も例に漏れず、ページを捲るたびに面白さが増していき、 -
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