恩田陸のレビュー一覧

  • 鈍色幻視行

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    ネタバレ

    作中作「夜果つるところ」にまつわるミステリー。
    映像化しようとするたびに不幸な事故が起こって頓挫してしまう本作。
    これは呪いなのか?
    その関係者やファンが集まり、それぞれの「夜果つるところ」について語り合い、解き明かそうとしていくストーリー。

    後半のインタビューや、作者である飯合梓の正体についての考察が面白かった。
    でもたぶん、何ひとつ正解は分からず。
    それでも登場人物それぞれが、この作品に対して多少なりの折り合いをつけることができたのかな。

    舞台はクルーズ船。
    非日常の中、熱に浮かされ、下船と共に日常に引き戻される。
    あれは現実にあったことなのか…なんて感覚は誰しも経験したことがあるんじ

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    2024年12月14日
  • 禁じられた楽園〈新装版〉

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    ネタバレ

    いやあ、面白かったです。

    1992年デビューの恩田氏の2004年の作品。ちょっと古めですが、恩田氏得意のモダンホラー系の作品です。

    あれ?表紙ってあの、羽生結弦選手!?って思ったけど全く違った。俳優の高杉真宙さんでした。これだからオッサンは嫌ですよね。

    ・・・
    本作、主役らしい主役というのが居ません。

    しいて言えば、都内建築学部に通う捷、そして造形アーティストとして駆け出しの律子、ベンチャー企業経営兼大学院生の和繁、あたりか。

    対して、人の心に入ることのできる(人に容易に感応できる)悪玉的アーティスト烏山響一がもう一方の中心人物。

    上記の3名の人物やその係累が、響一に影響され、ある

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    2024年12月12日
  • 光の帝国 常野物語

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    宮城県にある常野という地に生まれた者たちは、特異な力を持っているという。
    膨大な情報をまるで引き出しにしまうかのように記憶すること家族、人の未来を見通す力を持った女性、二百年もの月日を生きる老人。かつて一族を総称して地名でもある「常野」を語っていた彼らは、現在ひっそりと人類に溶け込んで生きている。
    本作『光の帝国 常野物語』は、そんな摩訶不思議な力を持った常野一族にまつわる短編が全十編が収録されている。

    超常的な力を持つ常野で生まれた者たち。だが、不思議と彼らの日常は私たち読者とあまり変わらない。学校へ行き大人になり、仕事をして子供を育てる。そうやって社会に溶け込む姿を見ていると、常野一族は

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    2024年12月11日
  • 麦の海に沈む果実

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    途中から展開についていけなくなり、残りページ数はどんどん少なくなるのを見て、これよくわかんないまま終わるやつだ…となった。笑
    ただ一回目と二回目で印象や受け止め方が変わるというのを同じ作者の「Q&A」で体験しているので、時間を置いて再読してみたい。「三月は深き紅の淵を」を読むと印象が変わるのだろうか…?(巻末の解説未読)

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    2024年12月10日
  • Q&A

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    読後感はモヤモヤモヤッてします笑

    大型商業施設で起こった原因不明の事故
    この後日談として、この事故の被害者などの関係者と会話形式で物語は進む

    宗教・精神崩壊・組織・大衆心理、色々な怖さを感じられる作品

    ただ、スッキリした終わり方ではないです笑

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    2024年12月05日
  • 消滅 VANISHING POINT

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    ネタバレ

    恩田氏の2010年代の作目。2013-2014年に新聞小説として掲載され、2015年に出版。ちなみに新聞小説は以前の『夢違』に続き、二作目。

    アフターコロナ後に本作を読むと、恩田氏の未来感(未来勘!?)がかなり鋭いことを感じます。AIロボットや未知のウイルスなど、まるでコロナを経験したかのような筆ぶりでした。

    ・・・
    超大型台風に見舞われたとある日本の国際空港。

    入管で足止めされ『別室』に連れてこられた年齢性別もバラバラな男女10名。彼らを迎える謎の若い女(実はAIロボットだった)から命じられるのは『この中にテロリストがいる。そして10人の使命はそのテロリストを見つけ出すこと』とのこと。

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    2024年12月04日
  • 夜果つるところ

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    『鈍色幻視行』に登場する作中作。『鈍色幻視行』の方は未読だが、独立した作品としても楽しる。
    戦前の人里離れた遊郭で暮らす主人公の視点で語る三人の母、館に出入りする男たち、惨劇に向かって時が流れていく様子。著者らしい耽美的な世界を味わえた。『鈍色幻視行』の方も読んでみたい。

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    2024年11月29日
  • 薔薇のなかの蛇

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    ストーリーは面白かったんですが、最後がイマイチわからなかった。
    リセって一体何者ですか……?
    シリーズものだということに気づいたのは、読んでる途中で、シリーズのはじめを読んだほうがいいかもしれないと思いました。

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    2024年11月25日
  • puzzle(パズル)

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    恩田陸

    新潮文庫の初期タイトルを3冊くらい読んで以来の作品

    しかもどうやら間違えて買ってしまったらしい
    読みたかったのは「ドミノ」だった

    さて内容の方は3部構成

    piece
    脈絡のない引用の羅列
    なんだこれは

    play
    なるほどpieceを絡めたストーリー展開になるのか
    これは楽しみ

    picture
    playの補強と真相が


    パッケージはとても面白いと思ったけど内容は薄いし謎解きも軽い
    文字数が少なくて30分で読める作品だから仕方ないけど勿体無い気もする
    恩田陸の味をほんのり思い出した感

    ★は甘めで3つです
    はやく積読ドミノを探し出して読まなければ

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    2024年11月23日
  • ネバーランド

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    ネタバレ

    喧嘩したって揉めたって、信じられないくらいの暗くて重い打ち明け話をしても次の日には普通に話しちゃってる男の子四人。
    無かったことにはしないけど、それでも冗談言い合って笑って。後腐れがなくてカラッとした感じ。男の子らしいなぁ、女の子同士だとそうはいかないよなぁ。良いなぁ。と、思いました。そして、美国や寛司、統…と、登場人物の名前が(漢字が)古風で素敵です。私には刺さりました。
    光浩の告白は………聞いて知ってしまったこちらが暫く滅入るぐらいのヘビーな内容でしたね。私は今凄く辛いです。あのシーンはしばらく読み返したくないです。
    すごく面白い作品でしたが、光浩が本で描かれてる範囲ではイマイチ救われず(

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    2024年11月21日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    贅沢な列車に、贅沢な名前の並ぶ小説

    それぞれの物語がとてもあたたかい気持ちになる

    そこに乗車するそれぞれが
    何らかの思いを一緒に乗せて旅に出る

    誰かを大切に思って
    大切な人を誘って
    願い叶わなかった列車の旅になっても
    「その人を思い出すこと」が供養にもなる

    1話目の
    さよなら、波瑠/井上荒野
    一見、芯もあって強くて…こういう人の気持ちが
    苦しくて苦しくてね
    思わず感情移入、涙が出た

    糸井重里さんの
    「帰るところがあるから、旅人になれる」
    当たり前なんだけど
    そんなふうに考えたことなかったからね
    さすがだな、
    糸井さんの言葉だな、って思った

    静かな気持ちで読めるキレイな本でした

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    2024年11月19日
  • puzzle(パズル)

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    筆者自ら云っているような「誰も信じてくれないだろうな」と言う謎解きで済ますのは、推理小説ではタブーである。読者に失礼この上無いのです

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    2024年11月14日
  • 祝祭と予感

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    蜜蜂と遠雷のスピンオフ短編集
    コンクール終わってからの亜夜たちのストーリー、
    春と修羅ができるきっかけとなったストーリーなど描かれてた
    個人的には春と修羅の物語がよかった。宮沢賢治と小山内との関係性、そこから発想していく曲になって行くのが好き
    奏のヴィオラ転向してからの葛藤やこれからの活動していく姿も好き

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    2024年11月12日
  • 夜果つるところ

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    ネタバレ

    ★3.5
    鈍色幻視行読後なので、展開や仕掛けが丸わかりで、推察するまでもなく解説履修済みだけど、雰囲気は好き。
    ただ、いろんな話のコラージュのようにも感じた。
    私的類似傾向作品としては、恩田作品「ねじの回転」「ネクロポリス」篠田真由美「閉ざされて」

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    2024年11月11日
  • 蛇行する川のほとり

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    恩田陸さんの作品は世界に行きたくて時々読みたくなります
    でもなぜだろうか、この人の作品は読み終わってみると、毎回なんだか消化不良です
    読んでる間はその世界を楽しめるのに
    「はー、面白かった」「読み切った」とならないのはなんでだろう?
    そう思いながらまた読みたくなるんだろうけど

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    2024年11月06日
  • 蛇行する川のほとり

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    ネタバレ

    1992年にデビューした恩田陸氏による作品。文芸誌に分割掲載されたのち、2004年に単行本化。

    強いてラベリングするならば、ミステリー系青春小説!?

    ・・・
    恩田氏お得意の群像劇系の作品。

    構成としても4章からなる各章を一人称で語らせるもの。この手法も馴染んできました。

    ・・・
    第一章は毬子の視点。

    高校二年生の美術部。まだ純真。高校三年の憧れの先輩二人(女)と演劇祭の舞台背景作成のため、先輩の家(女ですよ)にお泊りにいくということでウキウキ。

    また、親友がダブルデートを仕組んで他校の男子と知り合いになったり、身辺に動きがあります。ただし、先輩の家にお泊り合宿すると、物事は予想しな

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    2024年11月05日
  • 祝祭と予感

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    蜜蜂と遠雷のスピンオフ。

    蜜蜂と遠雷の登場人物の過去や未来。
    短編でもあるし、軽やかで読みやすい。

    なるほど。
    世の中には天才ってやっぱりいるのね。
    羨ましいやら諦めやら複雑な気持ちになる。

    凡才の我が息子はどう育てましょう。
    やっぱり人の3倍の努力?
    少し前に読んだ中山先生の著書を回想するわたし。

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    2024年11月04日
  • 謎の館へようこそ 黒 新本格30周年記念アンソロジー

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    『思い出の館のショウシツ』(はやみねかおる)3…設定は面白い。
    『麦の海に浮かぶ檻』(恩田陸)3…幻想的な世界観がいい。
    『QED〜ortus〜——鬼神の社——』(高田崇史)2…神社仏閣と鬼の蘊蓄だけで事件自体はしょうもない。
    『時の館のエトワール』(綾崎隼)4…あの個性的な2人はたぶんシリーズがあるんだろう。トリックもオチも気持ちいい。
    『首無館の殺人』(白井智之)2…著者の作品は何冊も読んできたがなぜか急に露悪・下品な表現が受け付けなくなってしまった。
    『囚人館の惨劇』(井上真偽)5…一番しっかりしてて一番面白かったが、それは一番ボリュームがあったからかもしれない。

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    2024年11月03日
  • 月の裏側

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    不思議な世界観。もしかしたら、世の中の誰かさんも。。。
    何故「月の裏側」なのだろう。私には理解できなかった。、

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    2024年11月02日
  • 木曜組曲 〈新装版〉

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    表だと思ったものが裏に、かと思えばまた表に、というような恩田さんの作品は首筋がゾワゾワして面白い。
    解説の、本を読む行為もまた恥ずかしいものだ的なの、すごく分かるなと思った。自分の大事なところを曝け出すようで、音楽と読書の話はあまり無闇に人としたくない。

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    2024年10月31日