恩田陸のレビュー一覧
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ネタバレ恩田氏独特のクロスオーバー的作品だった気がします。
殺人事件、地方史伝奇風味添え、そして最終的に死者のエンディングスピーチ。みたいな。
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前半部分はやや入り込めなかったです。
まるで催眠術師に語られるかの如く「あなたはふとそこで気づきます。何かがおかしいと」、という感じの自分の行為を第三者に説明してもらうかのような描写はすこし取っつきづらかった。
また視点が頻繁に切り替わるのは、思考の一貫性をやや妨げるきらいはありました。ただしあとがきで本作が新聞連載であることを知り合点がいきました。
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謎の殺人事件も、とにかく前半はモヤモヤしますが、何とか頑張って頂きたく。後半はもう少し -
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ネタバレ生まれ変わり、信じますか?
私は結構信じる派です。とはいっても俗に言われる仏教的言説に基づいて、生というのは苦しいわけで、その輪廻の軛から抜け出たい、というかそういう意味合いです。
だって最愛たる奥様でも、時にマジで話が通じなくて・・・笑 連れ合いとの関係が時に辛いなあーって感じること、ありません!?
・・・というのは半分冗談ですが、家内や子供たち親や友人と今関係している偶然を鑑みると、その偶然は本当は偶然ではなく、この人生の前から何らかのシナリオ・紐帯があったのでは、と考えてしまうのはそんなに不自然なことではないと思います。
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で、本作『ライオンハート』は愛し合う二人の輪廻の -
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天才と呼ばれた女性作家が自殺した。
彼女に纏わる人間達が彼女を偲ぶために彼女の家に集う。
そこで彼女達は話を始める。
女性作家の死は、自殺だったのか、それとも……?
読みながらずっと思っていたのは「うわー女って怖いー」でした。
登場人物全員女っていう作品を読んだのは初めてだったのですが……故人を偲ぶ会にも関わらずまぁ出るわ出るわ各々の今まで抱え込んでいた色々な鬱屈。
まぁ確かにねー、みんな腹の底では色んなこと考えながらニコニコ笑ってるものではあるけどねー。
それにしたって怖い。怖すぎる。
そして怖さと同じくらい強かな存在でもあるんだなぁと。
結局彼女達は最初から最後までずっと故人である天才 -
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ネタバレこれまで恩田さんの作品を幾つか読んできましたが、「舞台にしたら映えるだろうなあ」という作品が幾つかありました。言っても舞台なんて、人生で10回程度しか見たことはありませんが笑
そうしたら、こちら、劇の脚本?を書かれたようです。
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脚本の内容そのものは、実をいうと私は良く分かりませんでした。で、恩田氏本人も「最後まで書いていて面白いかどうかわからなかった」とか書いていました。
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やっぱりちょっと身構えて書いたのかな。
個人的には、舞台に配慮しすぎた(考えすぎた)?ような気がしました。普通の小説だと情景や背景が豊かで、それをイメージするのが面白いですよね。当然の事ながら大道具小 -
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ネタバレ「7月」は主人公のミチルと同じ視点で話が進むので、全体的に薄暗い霧の中を、有無を言わさず引きずられていく感じで進む。後半、状況を理解すると、今までのことがひと夏の悲しい思い出になり、みんなの希望でありながら孤独な「夏の人」へ、畏怖にも近い念を感じるようになった。夏の人が、最後に蘇芳に言った、「佐藤先生は、、、」の言葉は、ひょっとしたら人によって違う言葉に聞こえるのかもしれないなと思った。
それに対して状況が分かった上で読み進める「8月」は事情が違う。ここでは起こるはずのないことが次々と起きる。母屋で見つかった首の折れた4本のひまわりは何を指すのだろう。光彦は「あいつ」の仕業と言った。「あ -
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ストーリーは、ミステリー& 往古来今といった時空超えたラブストーリー!
このようなファンタジーストーリーは、今まで読んだことない。
輪廻転生というのでしょうか。あまりに何度も生まれ変わり過ぎて、歴史も変化し何度も見返し読みました。
最後のあらすじも読み、ライオンハートという名の由来、そうだったのかぁと理解。
私は、てっきり、イギリス王朝から来ているのかと思ってました。ヒロインがエリザベスという名であり、ストーリーの中で思わせる場があったので^_^
最後まで読ませてもらって、頭の整理がつかない面もあったので、また機会ががあれば読み返してみます。 -
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ネタバレ本作、失踪した兄研吾を探しに、妹の静が兄の元カノと旅をするというところから始まります。その意味ではミステリーがベースとなっています。
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小刻みに事実が明らかになり、その不穏さに読んでいてじわじわ・ゾクゾクしてきます。
兄の元カノが実は元カノではない、とか、実はその元カノは死んでいた、とか、兄と元カノともう一人の三角関係?であったとか。加えて、そもそも兄といっても異母兄だったりとか、複雑な家庭環境であることから、異母兄弟で恋愛かも!?という仄めかしも。
かような事実が兄を探す旅の最中に徐々に明らかになります。落ち着いた筆致のなかで、誇張もなく淡々とツイストが繰り出されます。冷静な展開 -
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【2023年122冊目】
やたらめったらホラー小説が読みたいという欲望に突き動かされ、読んでるのですが、この作品は怖くはない、です。が、気味は悪いです。さすが、幻想ホラー小説と謳ってるだけはあります。
物語の鍵を握る烏山響一ですが、前半の中でそのカリスマ性とか異様性を感じさせるような建付けになっているからこそ、別の人物にまでこっちの気が回らなかった気がしました。「いや、お前もそっちなんかーい」と思いました、やられた。
インスタレーション、ぜひ体験したいなぁと途中までは思ってましたが、精神に異常をきたしそうなので、やっぱ遠慮したいところです。でも、あったら行っちゃいそう。一時期イギリスにあっ -
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ネタバレ父伊勢崎博士に遺伝子をいじられたかしたで、超能力(身体能力、鋭い五感等)を獲得した伊勢崎遥。父の謂われるがまま殺戮を繰り返す。
彼女は設定上は小学生中学年か高学年という事だが、意識としては老成した50代程度みたいな設定です。
倫理的な思考はできるものの、殺戮への罪悪感は薄い模様。ただ、物語の後半でニューメキシコかシェラネバダあたりの貯蔵施設で核爆弾の処理(誤爆→周囲の汚染)に騙されて加担するというくだりがありました。これが応えた?模様。
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このあたりの「心」未熟さが面白いところかもしれません。
ミュータントやロボットは自尊心を持ちうるのか、とでも言い換えることが出来るのかもしれま