恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
単行本既読。
改めて読み返すと、ますます「常野一族」の全貌というか組織図が気になりました。と言っても、飽くまで共助のための緩い繋がりなんだと思いますが。
在野に散って一族同士の婚姻を避けていた常野の人々。
しかし、両親がその禁を犯して生まれた拝島時子には、無自覚ながらも強大な力があります。
「裏返す」力。
何を裏返し、裏返したらどうなるのか。それは明らかではありません。
この孤独で空虚なゲームを終わらせるために現れた、「洗濯屋」の火浦。彼もまた、気がつけばゲーム・プレイヤーとして拝島家に迎え入れられました。
本当に在るのか?という命題を、超常能力にも一族にも、そして世界に対しても問うような。< -
Posted by ブクログ
ネタバレ昭和から平成初期までのカルチャーを閉じ込め、タイムカプセルに仕立て上げたような小説でした。
それは物語の構成とも通じるものがあります。
恩田さんは「ハッピーエンドのつもりだった…なんだか非常に絶望的な結末に感じ」たとあとがきで書かれています。
個人的には、喪失感が募るラストでした。
失われたと感じるのは、カルチャーに対してか。未来への希望に対してか。
現代は、まるで荒涼とした地雷原を腹這いで手探りに進むようです。何もかも食い尽くしてしまい、あとは滅びるのをゆっくりと待つ虚しさを感じます。
本当は展望と野心をいっぱいに抱え、欲望のままにコンテンツを消費し続けられたらいいのに。
『成仏』によ -
Posted by ブクログ
近未来、汚染された地球に取り残された挙句、文化すら取り上げられて倹しく暮らす日本人たち。エリート養成校「大東京学園」へ入学すれば将来が約束される──そんな希望と野心を持って全国から集まった男子たち。彼らを待っていたのは過酷な労働と競争だった。
上巻では、主人公・アキラとともに世界観を学んでいきます。そして、行方不明になった兄の謎に迫っていく。
友達のアキラ、一方的に敵視してくるリュウガサキ、新宿クラスのシマバラたち、妄執に駆られた教師のタダノ、謎の少女・キョウコ。髭のおじいさんは校長なんでしょうか。
果たしてアキラとシゲルはどうなるのか。アキラの兄はどうやって学園から脱出できたのか。
気にな -
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Posted by ブクログ
ネタバレ父親の勤務先であるG国での休暇中にクーデターに巻き込まれた日本人家族の4人。密林を彷徨い『成人の儀式』に巻き込まれる子供たちと、密林へと消えた子供たちを探すべく奔走する大人たち。
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下巻では『成人の儀式』の描写が中心。
マヤ文化の再興や伝統行事へ、なぜか日本人が巻き込まれてしまうのはやや唐突に過ぎる感もあります。が、地下に構築された遺跡で繰り広げられる『儀式』を生き延びようとする主人公錬(れん)の心理描写は手に汗を握ってしまうほどで、自然と感情移入してしまいます。
そのほか、本冊では遺跡や古代文明というモチーフが強く感じられますが、恩田氏は本作以外でも『ネクロポリス』や『MAZE』