恩田陸のレビュー一覧

  • 黄昏の百合の骨

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    理瀬シリーズを読むのは果たして何年ぶりだろう?
    「三月は〜」と「麦の海に〜」が大好きだったことを思い出し、ふとこの本を手に取った。

    読み終わりタイトルを見て納得。そう繋がってくるとは、まんまと二転三転と転がされた。続きがとっても気になるし、この機会に「黒と茶〜」も読みたい。

    ストーリーも面白かったし、的確で上品で鋭い恩田陸さんの文章が大好き。

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    2025年03月09日
  • 私の家では何も起こらない

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    丘の上にある幽霊屋敷に住んでいた人たちの物語が短編小説で書かれている。
    私は相変わらず、短編が繋がっているタイプの本が好きだ。

    幽霊に近いのは「思い出」である。
    過去の様々な出来事によって沢山の幽霊で溢れてしまった幽霊屋敷。
    全体的な印象として、人が死ぬ様にあえて少しグロテスクさを足しているのが蛇足だなあと思った。
    人の肉を食べさせる理由が書かれていなくて、人食について書きたいだけなのかなあと思ったり。
    生まれて間もない子供を抱き抱えて転んで殺してしまったり。そういう人がワンランク不愉快になりそうな死に方を意図して書いてるのが透けててちょっとくどいなあと思った。

    1人目に出てきた作家と、大工さんの章で出てきた作家と、最後の方に出てきた作家が全員違う人だとしたら一体どれくらいの年月が経っているのだろう………

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    2025年03月08日
  • スキマワラシ

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    ネタバレ

    白いワンピースのおさげの女の子。胴乱をさげて、虫取り網を持ち、瓦礫のなかに何かを探している。急速に発達した時代のなかで、それまであったものがなくなっていく淋しさの権化のように感じられた。
    ドアの向こうへ走り去る女の子達をみたとき、

    彼女たちの役目は終わった。
    目の前を、明るい夏が駆け抜けていった。
    そんな気がした。
    僕らの国の、夏の季節が過ぎ去っていった。
    そうも思った。 (引用)

    これがこの本の全てだと思った。
    夏というのは、熱く栄えた日本の近代を指す。
    女の子の姿は、その象徴。
    日本が変わり、彼女たちは去っていく。

    読み終わっても謎が多く残ったので後味が良いとは言えないが、今の日本とひと昔前の日本を比べたときの淋しさを言語化してくれていて引き込まれた。
    昭和の時代のことはわからないが、自分が小さかったころのきらきらした眩しさを思い返しながら読めた。

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    2025年03月07日
  • 図書室の海

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    初、恩田陸。

    短編集を読む時、満足を得られるかどうかの方針は、収録されている短編の半数以上に満足すれば満足、という場合もあるし、ほとんどがお眼鏡にかなわなくともある突出した一編があることで満足、終わりよければ全て満足、勿論、どれをとっても満足、ということもあるだろう。

    今回でいうと、収録された作品のほとんどが複雑怪奇で説明不足の感を否めない。なんじゃこりゃって感じだったのが正直なところ。しかしながら、あとがきまで読むとそれが覆される。各作品、書き下ろしのものは別としてそれぞれに原案や原作、恩田作品の前日譚、といった役割があった。つまり、この短編集のほとんどが導入であり下地なのだということ。

    そして、解説にて「初めて恩田陸を読んだ読者に向けて」の解説があったが、そこで更に合点がいった。つまり「これは始まりに過ぎない」のであって、ここで判断するのは時期尚早ということみたいだ。

    と、いった前提を踏まえた上でこの一冊に関して感じることとすれば、それでもよくわからぬ、難しいということだ。それぞれの原点にあたればよりよく理解できるのだろう。恩田作品初の自分にとって考えついたのは掴みどころがないなという所感。どの作品も登場人物も世界観も時代も場所も違うので、一体何を読んでいるのかわからぬといったところ。

    とりあえず短編集もう一冊買ってあるので、時期を隔てて取り組むこととする。

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    2025年02月27日
  • エンド・ゲーム 常野物語

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    一冊目の『光の帝国』の「オセロ・ゲーム」から繋がっている物語。あの時のテーマの中心にあった「裏返す」と「洗濯屋」の登場。

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    2025年02月22日
  • 象と耳鳴り

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    著者の別作品のシリーズ物の登場人物をメインにした短編集だが関連作品を知らなくても問題無し
    後書きを読む限り本格ミステリを目指したらしく概ねそんな感じ

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    2025年02月20日
  • まひるの月を追いかけて

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    何度目かわからない再読です。

    読後感は決して良くないし、登場人物たちがみんなそれぞれに弱くて勝手でしかも気味悪いところあって好きになれないのに、なぜか強く惹かれてしまう作品。

    ロードムービー要素があり、奈良の風景や雰囲気の描写が独特で、これを片手に奈良旅行へ赴いたことがあります。

    飛鳥で「誰かに見守られているようだ」と主人公が感じる場面があるのだけど、本当にそんな風に感じました。
    自分がスノードームの中にいるようなかんじ。

    きっとまたこの本携えて奈良に行ってしまう日があるんだろうなぁ。

    私にとってはそんな不思議な一冊。

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    2025年02月14日
  • ドミノin上海

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    ドミノならでは、ドミノ独特のストーリー展開!
    あんまり間をおかずに、続けて読むのをお勧めする本。

    登場人物とそれぞれの背景が入り組んでいて、それが伏線となって最後に回収されるのがドミノの面白さなのだけど、登場人物や背景を忘れると大変。笑

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    2025年02月12日
  • 愚かな薔薇 上

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    キャンプに来る子ども達は、虚ろ舟乗りになるために集められていて、イメージとしては宇宙飛行士になるみたいなものなのかと最初は思った。地球は将来太陽にのみ込まれるので、人類が宇宙へ脱出するためだという設定。そして、その途中過程で体や精神が変質し、人の血を飲む『血切り』という行為が不可欠だという。その怪物じみた行為は嫌だと拒否し続ける主人公の奈智。母の死と父の失踪も謎だし、この村の祭りもただの祭りとは思えない。どうする、奈智。

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    2025年02月12日
  • 猫と針

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    面白いっちゃ面白いんだけど、終わり方が物足りない。話が全然回収されず、謎の種だけまいて終わった。舞台台本だから、本来はこの劇を見終えた後に、お客さん達に結末はどんな感じなのかを想像して話に花を咲かせて欲しかったのかな。
    しかし、それにしてももう少し話が回収されるべきだと思う。おそらく舞台を実際に見ていたら、閉幕後、?????という脳内だったかも。

    もっと長さのあった話を無理やり短くしたというか、初めから2回に分けて行なう話で、今回は謎を提示する幕で、次作は解決編という感じ。(次作はないけど…)
    猫要素はあってないようなものだし、針要素は皆無。針を比喩的に使う分にはあるかもしれないが、“針“という単語は今作中では一切出てこない。

    続編を書いて欲しい…

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    2025年02月11日
  • スキマワラシ

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    両親の死からの不思議体験、古いタイルの秘密、麦わらの女の子…兄が名ずけたスキマワラシとは?恩田陸さんの不思議な世界観に入り込めました。

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    2025年02月08日
  • 薔薇のなかの蛇

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    理瀬が魅力的な女性でした。
    解説を読んで理瀬が出てくる作品がまさかのシリーズだと知り、さらに初登場作は既に読んでいたのでまた驚き 何年も前だったから忘れてしまっていた、、再読します

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    2025年02月06日
  • ネクロポリス 下

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    恩田陸さんの作品は私が期待している方に話が進んでくれなくて残念な気持ちになることが多いです
    この作品も予想を裏切らず、そっちに行っちゃったか〜というストーリー展開でした
    それなりにファンタジーな世界観は楽しめました

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    2025年02月03日
  • 夢違

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    ネタバレ

    読み終わって第一声
    「な、なんだ~~~~~~~~~~~~~~~!?」

    夢を変える方法を探した結果、自分自身が夢そのものになることで害のないものに操作できるようにしよう!に落ち着いた?野田は夢札酔いが悪化し、他のベテランたちと同じように夢と現実の境が完全に溶け込んでしまった?だから最後には古藤と会話を交え触れることさえ叶ってしまった?じゃあこれまでの八咫烏の集団白昼夢は?神隠しは?あの黒い霧は?どうして彼らは戻ってきたの?山の中で彷徨っていたのはなに?古藤が見えて聞こえたというホンダ君のあの言葉はなんだったの?

    もー全部わかってないよわたし。
    それは私が理解できていない、ちゃんと気づけていない部分で語られていたのかもしれない。
    でも少なからず、意図して語られなかったものもあった気がする。
    だって、夢ってそういうものだからだ。

    明確でない。いつだって抽象的で、反対に明瞭であったとしても、目が覚めると朝のひかりの中に溶けるように消えてしまう。散り散りになって、自分の中に返って来ることさえそうそうない。

    『何かの夢をたくさん見ていた気がするのに、カーテンの隙間にあさのひかりを見たとたん、すべてが淡いバラバラの欠片となって、両手の指のあいだをあっさり滑り落ちていってしまった。』

    この感覚がわかるのは、きっと私だけじゃないんだろうと思う。

    物語は、すべてに対して「気がする」というだけで話が進んでいたことが、気持ち悪くてたまらなかった。
    現実と夢の境が曖昧になるということで言えばこの気持ちの悪さは正解で、寧ろそれを呼んでいるだけの読者にまで感じさせるのは見事な手腕というやつかもしれない。でも気持ちが悪かった。
    ずっとずっと曖昧模糊としたまま話が進み、決定的なことはほとんど明言されない。しかも、それは最後の最後まで。
    これは個人的な感覚だけど、あまりにずっと明確な事象が起きないからメリハリが感じられなくて読むのに集中できなかったな。
    まぁ、そう思うとなんとも芸術点の高いお話だったなぁとも思う。

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    2025年02月02日
  • 象と耳鳴り

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    デビュー作『六番目の小夜子』の主人公の父親である、関根多佳雄が主に探偵役を務める短編集です。

    収録された十二編はバラエティに富んでいるのですが、読後に奇妙さや不思議さが残る作品が多く、それがいかにも恩田さんらしいと思います。

    飄々としてつかみどころのない主人公も魅力的で、いつか続編を発表してほしい、そんな気持ちになりました。

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    2025年02月02日
  • 灰の劇場

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    フィクションとノンフィクションが入り混じった不思議な本。ある意味恩田さんの自伝的なもの。同世代の私たちにはとてもよくわかる話だったが、0と1が掴めたような掴めなかったような…

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    2025年02月02日
  • 蒲公英草紙 常野物語

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    常野物語の第二弾。
    前作は短編小説であったが今作は、長編で描かれている。

    特異能力をことさらにフューチャーする訳ではなく、粛々と物語るのはこの独特な世界を作り上げている一翼を担っているのだろうな。

    常野じゃない子が物語の進行を担っていて、客観的に常野を語る点においても興味深い造りだった。

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    2025年01月31日
  • 灰の劇場

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    展開が難しくて理解しながら読むのに苦戦した。
    誰のフェーズを読んでるのか分からなくなりながらも読み切った。

    事件を追っていくサスペンス的な要素が多いのかと思いきや、大きな動きはなく。
    事件そのものではなく、そのことによる色々な人間の感情にフォーカスしていて面白かった。
    人間の大半は「日常」に落っこちている「絶望」に気付かないように生きているだけなんだろうなと思った。
    変な虚無感と心がぽっかり空いた感覚だけが残るなんとも言えない作品だった。

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    2025年01月28日
  • 灰の劇場

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    恩田作品としてはなかなかの意欲作

    作家を志しているときに見つけた「大田区で一緒に暮らしていた女性二人が奥多摩の橋の上から飛び降り自殺した」という三面記事が頭から離れずに、さらにずっとやってみたかった《事実に基づく物語》を合わせた作品

    物語は作家が“自殺”という事実に向かって物語を創作していく作家の物語と女性二人の自殺の本編、そして物語が演劇になる過程に携わる作家という三つの物語が交差する

    恩田作品にリアルが介在すると物語は……

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    2025年01月27日
  • 私の家では何も起こらない

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    ある家について、それぞれの時代の人々が一人称で語る短編集。
    語りなので途中読みにくいところもあるけれど、最初の表題作で慣れるとすいすいといける。
    この家では何も起こらない。確かにそう。確かにそうだけれどもタイトル回収でこんなにゾワっとしたのは久しぶり。捻る事なくすんなりそのままで受け取る。上手いのは此処で語られる内容がその後の話に関係している事。答えが想像できてしまうから怖くもなるしその先もあるからさらに怖い。
    特に好きなのは
    私の家では何も起こらない。
    私は風の音に耳を澄ます

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    2025年01月24日