恩田陸のレビュー一覧
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〈筆者K〉は戯曲『エピタフ東京』の執筆に行き詰まりながらも、失われつつある東京の魅力への探求を続けていた。
ある日、自分を吸血鬼と名乗る吉屋という男に出会うが―。
〈筆者K〉が執筆に悩みながら東京の日常を過ごすエッセイ風の章、吸血鬼を自称する男の視点の章、そして戯曲『エピタフ東京』の脚本部分と、3つのパートで構成されています。
一応フィクションの体裁を取っていますが、エッセイのような、ドキュメンタリーのような。
ストーリーの起承転結は期待してはいけません。
だんだん〈筆者K〉が恩田陸自身に思えてきて、恩田さんの日々の雑感や小説になる前のアイディアの断片を読んでいる気になります。
それはそ -
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ファンタジー+ミステリーの不思議な物語。
不思議な世界観でお盆の時期にオススメな物語(笑)。
日本とイギリスの文化が融合しているような設定。
毎年「ヒガン」と呼ばれる1カ月を「アナザー・ヒル」と呼ばれる場所で過ごすV.ファーの人々。
そこでは死んだ人々が「お客さん」として実体化して現れ、再会を楽しめるという。
上巻では
主人公ジュンは、文化人類学の研究で、アナザー・ヒルに親戚とともに訪れます。
そこには、故人との再会を望む人達や、「血塗れジャック」事件の被害者の人たちから犯人像を聞き出したい人々が。
しかし、アナザー・ヒルに上陸する直前に、鳥居につるされた死体を発見。
さらに、アナザー・ヒ -
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ネタバレ人が歴史に手を出すことが許されるのか?
時間遡行ができるようになって、国連がしたことはある歴史上の人物の暗殺。それは歴史上の大きな悲劇を回避するための介入だったが、そのために人類に絶滅の危機が迫る。危機を救うために国連は、もう一度、過去を修復してやり直すため、過去の歴史的事件を「再生」し、そこで起きたことをなぞって歴史を「確定」するプロジェクトを始めた。今回選ばれたポイントは、「二・二六事件」。安藤大尉、栗原中尉、石原莞爾の3人が選ばれ、「確定」作業に取り組むがーー。
れきしをかえては、なぜいけないの。ということで。介入しておかしくなった歴史を、「正しい歴史」に戻すために取り組む国連のメン -
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季節外れの転校生は、呼ばれると必ず行かなければならない林間学校「夏の城」に招待された。
古城で5人の少女たちの共同生活が始まる。
「7月に流れる花」が少女サイドで、「8月は冷たい城」が少年サイドの話なので、両方読んでしまうと、そういうことなのね、って思うのだけど、とにかく謎が多い。
転校生であるという条件というか立場が、これほど歯がゆいとは。
それにしても、何もかも内緒にしなくてもいいんじゃないかと思うんだけどね。
もう、何をどう書いてもネタバレそうになりそうなので、あれなんだけど、ようするに、様々な選択肢をつきつけられる物語なのだと思う。
必ず行かなければならないとして -
Posted by ブクログ
恩田さんらしい作品です。夢を映像で記録するとか、その解析を生業にした主人公とか、かつて事故で亡くなったはずの女性の幽霊とか、小学校で頻発する集団白昼夢に神隠し・・・。これでもかと言わんばかりのオカルト的な要素を盛り込みながら、ぎりぎりのところで破綻せず一定水準のエンタテイメントに仕上げているあたりはさすがだなあと感心しました。
一方で、たくさんの事件や謎が印象的な仕掛けとともに現れはするのですが、例えば神隠しにあった子供たちの帰結とか、ラストシーンもですが、最終的にはやっぱりそうするしかないのねという感じで、導入部と比べてインパクトに欠けるように思えました。ある種の超常現象を扱っていながらも一