恩田陸のレビュー一覧
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東京を舞台にした戯曲を書いている主人公(まあ恩田さんでしょう)が、その舞台となる東京を色々な角度から切り取って東京という街の実像に迫っていく過程を書き記したエッセイ、という感じでしょうか。東京のあんな点こんな点とかなり興味深い内容です、少し物知りになったような気がします。ただし、視点が途中で謎の男性が見る東京に変わったり、肝心の戯曲の冒頭場面や設定詳細が登場したりと、なかなかに全体像を理解するのが難しい作品でした。
そして、頭に浮かんだのは「三月は深き紅の淵を」の〈回転木馬〉です。まさしくあれに似た構成。あの作品も章自体の全体像を理解するのに苦しみましたが、こちらはもう少し整理された印象を受 -
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ネタバレその場所に行き着くまでの狭い谷を抜けていく道程は、ペトラ遺跡に向かう「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」の場面をイメージしてしまいました。また、色もシチュエーションも違いますが、丘の上のその物は「2001年宇宙の旅」のモノリスをイメージしてしまいました。なかなかに魅力的な設定です。
アジアの西の果て、荒野の中にたった四人、これは冒険ものなのか、ミステリーものなのか、はてまたホラーなのかという雰囲気が漂う一方で場違いとも思える怪しさ満点の主人公・神原恵弥の登場。そんな謎に満ちた異世界の空間の中で食事風景だけがやたら活き活きとしてリアルなのがまた不思議な雰囲気を纏います。このなんだかよくわからな -
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恩田さんがあとがきで「「常野物語」のシリーズ三作目ということで非常に緊張した」と書かれていますが、他二作を相当意識されたのだと思います。特に「蒲公英草子」とは極端に世界観が異なります。「蒲公英」と対比させるかのように、現代・都会を舞台にし、登場人物を最小限に絞り、光のあたらない闇に蠢く世界を描いたのがこの作品だと思いました。
思えば一作目の「光の帝國」で私が苦手と思ったのが〈オセロ・ゲーム〉でしたが、この作品はまさにその長編でした。「光の」でも 裏返す という表現がどうしても頭にイメージできないままでしたが、この作品ではさらに 包む・叩く・洗う などという抽象的な動詞が追加になってさらに混乱 -
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ネタバレ【内容】
超大型台風接近中の日本。国際空港の入管で突如11人が別室に連行された。時間だけが経過し焦燥する彼ら。大規模な通信障害で機器は使用不能。その中の一人の女が「当局はこの中にテロ首謀者がいると見ている。それを皆さんに見つけ出していただきたい」と言った。女は高性能AIを持つヒューマノイドだった。10人は恐怖に戦きながら推理を開始する。
【感想】
「蜜蜂と遠雷」を読んだ時と同じような印象。
言葉にするのは難しいが、
沢山の登場人物のバックグラウンドがしっかり描かれるから、其々を一人称にして述べられる描写は程々にリアリティーがあるのだが、作られたリアリティーという感じがするから、あまり心に響 -
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読んでみて、一番に思うのは
「そんなに飛行機が怖いの⁉️」
という素朴な疑問。次に感じるのは
「どんだけビールが好きなの❓」
という驚き。
私はお酒が飲めないから、ビールやアルコールに酔う楽しさは理解できない。でも、楽しそう。
反対に飛行機を怖いなんて思った事がないので、ここまで怖がる気持ちが不思議に感じられる。飛行機よりも遊園地のアトラクションのほうが、よっぽど怖いと思うけど‥‥
好きな作家の書いたエッセイは、出来れば読まないようにしている。予めイメージした人物像が崩れるのが嫌だから‥‥本書を読んで、確かに思い描いていた恩田陸像は崩壊したけど、恩田陸さん自身にはもっと親近感を覚えた。面白