恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレさて、前半から読まれている皆様、お疲れ様です。後半はもう少し読みやすいと思います。
何しろ事件の全貌が見えてきてますからね。
街に隠された歴史とそれを取り巻く人間たち。すこしずつ詳らかになる謎。ここにきてやはり恩田氏の技巧が唸るというものでしょう。
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町の建築に代々携わる謎の建築企業新村グループとそれを統括する老女志津。
その秘密に気づきつつある高校生の和音。
偶然にも和音と同様、亡くなった吾郎の死に不振なものを感じる高校生修平。
こうした人間関係が絡まりつつも物語を展開させます。
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そして何より印象的なのは吾郎の死、ではないでしょうか。
魂が肉体から離れるとどうなるか。自分の肉体が腑抜けになっている状態が見える。同時に肉体では感覚が失われる。
これはもう、あたかも臨死体験をしたかのような書きぶり。
更には、自我・私、という気持ちが薄れ世界と一体化してゆくという。
なんか・・・死ぬときに本当にこうだったら、死ぬことって多分全然怖くないんだろうな、と思いました。吾郎が、ちょっぴり寂しいけど、みたいな発言をしていたのですが、そこがまたリアルでしたね。
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ということで恩田氏の新聞連載小説でした。
下巻はどんどん読みやすくなると思います。死を意識しちゃっている方とかには最後の最後はとても印象深い終わり方だったと思います。
えも言われぬ読後感でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ恩田氏独特のクロスオーバー的作品だった気がします。
殺人事件、地方史伝奇風味添え、そして最終的に死者のエンディングスピーチ。みたいな。
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前半部分はやや入り込めなかったです。
まるで催眠術師に語られるかの如く「あなたはふとそこで気づきます。何かがおかしいと」、という感じの自分の行為を第三者に説明してもらうかのような描写はすこし取っつきづらかった。
また視点が頻繁に切り替わるのは、思考の一貫性をやや妨げるきらいはありました。ただしあとがきで本作が新聞連載であることを知り合点がいきました。
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謎の殺人事件も、とにかく前半はモヤモヤしますが、何とか頑張って頂きたく。後半はもう少し視界が晴れてきます。なかなか面白くなりますよ。
ただ言ってしまうと、やはり恩田ファン向けの作品かなあと思います。 -
Posted by ブクログ
直木賞と本屋大賞をW受賞した小説。
これは読まないとと思い、購入したものの、
上下巻あり、上巻だけでなんと驚異の454ページ。
積読してから、まあ、手が進まなかったです^^;
上巻を読んでの感想は、わかったようなわからないような…という感じ。(アウトプット出来ていないから理解は仕切れていない。)
特に音楽パートは高尚な書き方で、たぶん細かく文章を読むとハッとする表現などがあるのだろうと感じました。
が、ページ数が多すぎて、そこまで気を回していると永遠に読み終わらないと思い、ペラペラとページをめくっていってしまいました。
個人的には、4人の主人公達の中でも、天才やエリートの部類ではない(それでも上手とされる)明石のパートが一番イメージしやすく、スラスラ読み進められた気がします。
今下巻ちょっと見たら491ページもある…(・_・; -
Posted by ブクログ
ネタバレ生まれ変わり、信じますか?
私は結構信じる派です。とはいっても俗に言われる仏教的言説に基づいて、生というのは苦しいわけで、その輪廻の軛から抜け出たい、というかそういう意味合いです。
だって最愛たる奥様でも、時にマジで話が通じなくて・・・笑 連れ合いとの関係が時に辛いなあーって感じること、ありません!?
・・・というのは半分冗談ですが、家内や子供たち親や友人と今関係している偶然を鑑みると、その偶然は本当は偶然ではなく、この人生の前から何らかのシナリオ・紐帯があったのでは、と考えてしまうのはそんなに不自然なことではないと思います。
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で、本作『ライオンハート』は愛し合う二人の輪廻の物語。しかも人生の中でほんの一瞬しか出会えず、結ばれもせず、その一瞬で愛する人との別離を余儀なくされるというもの。ただしその邂逅の際に震えるほどの喜びを味わうという。
というと、時と輪廻の流れでは互いに絡まりあうのに、その撚り合わせは人生でほんの一瞬。の撚り合わせはというよりも触れ合うだけ、という状況かもしれません。
しかもその一瞬の邂逅はお互いに同じ年ごろというわけではなく、青年と老女、青年と少女、のように本当に年齢もバラバラ。にもかかわらず、お互いに『この人だ!』と分かる。
とまあ、ややメロドラマ的な作りかもしれませんが、楽しめるひとは楽しめる作品。私は乙女なものも割とイケるキモイおっさんなので、若干感動しかけました笑
他方、心から愛し合っているのに、一生で一瞬しか出会えないとなると、それは寧ろ呪いでしかない!?とも思いました。
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この二人の愛について、そもそもの交わりのスタートがどこかにあるはずです。物事にも必ず原因・スタート・Inceptionがあったはずです。
本作では、これを、歴史上の女傑(イギリス、1600年+αで亡くなった方、といえばもう明らかな筈!?)に関連させて筋立てています。ここだけはちょっと???って感じでした。
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ということで恩田氏のラブストーリーでした。
『運命』とか『永遠』とか、そういうキャプションがあってもひるまず入り込める人には楽しめる作品だと思います。シニカルな態度がカッコイイと思う懐疑主義の若者や、冷めきった大人はあんまり楽しめないかもしれません。
『こういうことって意外とあるかも』って思える想像力のある方には安心してお勧めできる作品です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれまで恩田さんの作品を幾つか読んできましたが、「舞台にしたら映えるだろうなあ」という作品が幾つかありました。言っても舞台なんて、人生で10回程度しか見たことはありませんが笑
そうしたら、こちら、劇の脚本?を書かれたようです。
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脚本の内容そのものは、実をいうと私は良く分かりませんでした。で、恩田氏本人も「最後まで書いていて面白いかどうかわからなかった」とか書いていました。
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やっぱりちょっと身構えて書いたのかな。
個人的には、舞台に配慮しすぎた(考えすぎた)?ような気がしました。普通の小説だと情景や背景が豊かで、それをイメージするのが面白いですよね。当然の事ながら大道具小道具含め、普通の生活を切り取るかの如くのカットがあるのが小説です。これを演劇に仕上げるってことは、舞台での多くの制約を越えて「創り」あげていくってことで、きっとそこが面白いのだろうなあ、と思います(何度も言いますが、演劇は素人)。
他方、本作は非常にシンプルで閉じた空間で、たった五人の人間の群像劇を繰り返すところはややシンプルに過ぎたかなあ、と思いました。より強く言えば、背景・情景みたいなものが欲しかったなあと感じました。
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寧ろ出色だったのは、脚本作成の過程をしっかりと汲んでいる点ではないでしょうか。
作成のきっかけのエピソード(御多分に漏れず、飲み屋での雑談)をチラシに掲載し、しかもそのチラシが作成された段階ではタイトル意外の中身が作られていない! そして多忙な筆者が(取材)旅行でスケジュールが埋まる中、文字通り「ぎりぎり」のスケジュールで作られ、役者たちとの意見を取り入れられたうえで推敲され、そして公演にまで至るという。
スタイルの確立した大御所であればテレビ番組か何かで脚本の制作過程がクローズアップすることもありましょう。ただし、初めてのトライでかつここまでスケジュールが押したなかで成功したかどうかの確信も持てない中で(謙遜なのでしょうか)舞台裏をあかしてくださるのは、ある意味内情の大盤振る舞いではないでしょうか。
私は純粋に「へー、面白いな」と思いました。そして、また何か舞台やミュージカルを見に行ってみたいなあと思いました。
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ということで恩田氏による書下ろし脚本作品でした。
作品そのものというより、誕生前後から公演終了までひっくるめた叙述が非常に興味深く読めました。 -
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ネタバレ「7月」は主人公のミチルと同じ視点で話が進むので、全体的に薄暗い霧の中を、有無を言わさず引きずられていく感じで進む。後半、状況を理解すると、今までのことがひと夏の悲しい思い出になり、みんなの希望でありながら孤独な「夏の人」へ、畏怖にも近い念を感じるようになった。夏の人が、最後に蘇芳に言った、「佐藤先生は、、、」の言葉は、ひょっとしたら人によって違う言葉に聞こえるのかもしれないなと思った。
それに対して状況が分かった上で読み進める「8月」は事情が違う。ここでは起こるはずのないことが次々と起きる。母屋で見つかった首の折れた4本のひまわりは何を指すのだろう。光彦は「あいつ」の仕業と言った。「あいつ」は夏の人のことだと思うけど、一体、夏の人はひまわりで彼らに何を伝えようとしたのか。それとも私が見落としただけで幸正がやったことだったのかな。
最後の「親を亡くした悲しみはこの夏流に置いて行きなさい、真っ直ぐ前を向いて歩いて行きなさい」という言葉に希望が見えた。
そして、読みながら理瀬シリーズを思い出した。 -
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ストーリーは、ミステリー& 往古来今といった時空超えたラブストーリー!
このようなファンタジーストーリーは、今まで読んだことない。
輪廻転生というのでしょうか。あまりに何度も生まれ変わり過ぎて、歴史も変化し何度も見返し読みました。
最後のあらすじも読み、ライオンハートという名の由来、そうだったのかぁと理解。
私は、てっきり、イギリス王朝から来ているのかと思ってました。ヒロインがエリザベスという名であり、ストーリーの中で思わせる場があったので^_^
最後まで読ませてもらって、頭の整理がつかない面もあったので、また機会ががあれば読み返してみます。 -
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ネタバレ本作、失踪した兄研吾を探しに、妹の静が兄の元カノと旅をするというところから始まります。その意味ではミステリーがベースとなっています。
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小刻みに事実が明らかになり、その不穏さに読んでいてじわじわ・ゾクゾクしてきます。
兄の元カノが実は元カノではない、とか、実はその元カノは死んでいた、とか、兄と元カノともう一人の三角関係?であったとか。加えて、そもそも兄といっても異母兄だったりとか、複雑な家庭環境であることから、異母兄弟で恋愛かも!?という仄めかしも。
かような事実が兄を探す旅の最中に徐々に明らかになります。落ち着いた筆致のなかで、誇張もなく淡々とツイストが繰り出されます。冷静な展開に、これは実はモダンホラーなのかと勘違いするほどでした。
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さて、主人公静が兄探しをする相手は、結局は高校生時代からの兄の友人である妙子であることが分かりました。で、その場所たるや、奈良なのです。
橿原神宮や藤原京跡など、由緒ある史跡にかつての歴史上の人々に思いを馳せながら歩く二人の様子は味があるものです。奈良をご存じの方はきっと楽しめることと思います。知らないでも雰囲気がありますが、知っていたらもっと楽しかっただろうなあと、読後に羨ましく思う。
いや、たしかに奈良は私も一度行ったことがありました。子どもたちが小さいころに数年程大阪に住んでおり、休日に奈良公園に出かけたのでした。鹿せんべいか何かを買い与え、子どもたちが手づからやると鹿に手をベロンと舐められたか何かで、子どもたちは驚きのあまりギャン泣き笑 ということで史跡のイメージがない笑
史跡をゆっくり歩くという旅もしてみたいですねえ。
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ということでまたもや恩田作品でした。
ふつふつと不穏な空気が漂うミステリーでした。ちなみに最後は驚きの結末でした。ややメロドラマチックな結末!?
恩田さんのファン以外にも、奈良好きの方、史跡好きのかたは旅のお供に読まれてみてはいかがでしょうか。 -
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【2023年122冊目】
やたらめったらホラー小説が読みたいという欲望に突き動かされ、読んでるのですが、この作品は怖くはない、です。が、気味は悪いです。さすが、幻想ホラー小説と謳ってるだけはあります。
物語の鍵を握る烏山響一ですが、前半の中でそのカリスマ性とか異様性を感じさせるような建付けになっているからこそ、別の人物にまでこっちの気が回らなかった気がしました。「いや、お前もそっちなんかーい」と思いました、やられた。
インスタレーション、ぜひ体験したいなぁと途中までは思ってましたが、精神に異常をきたしそうなので、やっぱ遠慮したいところです。でも、あったら行っちゃいそう。一時期イギリスにあったディストピアの遊園地を思い出しました、あんなの可愛いもんかもしれないけど。
恩田陸さんは文章が美しい。素敵な表現がたくさんあって、まさに幻想的でした。 -
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ネタバレ父伊勢崎博士に遺伝子をいじられたかしたで、超能力(身体能力、鋭い五感等)を獲得した伊勢崎遥。父の謂われるがまま殺戮を繰り返す。
彼女は設定上は小学生中学年か高学年という事だが、意識としては老成した50代程度みたいな設定です。
倫理的な思考はできるものの、殺戮への罪悪感は薄い模様。ただ、物語の後半でニューメキシコかシェラネバダあたりの貯蔵施設で核爆弾の処理(誤爆→周囲の汚染)に騙されて加担するというくだりがありました。これが応えた?模様。
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このあたりの「心」未熟さが面白いところかもしれません。
ミュータントやロボットは自尊心を持ちうるのか、とでも言い換えることが出来るのかもしれません。キチンと情動もそなわっているのに、他人の為に労働を強いられる。感じる心が無ければ労働だって殺戮だって呵責もないものを、わざわざ心が、感じる能力が備わっている。だからこそ主人公の遥も他人の計算通りに動かずサプライズを起こす要因にもなりましょう。
で、ふと思い立ったのが、「アキラ」です。かの作品でも超能力を使える子どもたちが隔離され、訓練されていました。彼らもまた周囲の他人の為に自分の人生を犠牲にすることを余儀なくされていました。
同様に思い出されたのが「私を離さないで」のキャシー。詳らかにされませんが、臓器移植のために生み出されたクローンのような人々。これまた自己意識があるために、「なんだかんだで自分の人生悪くなかった」と必死に思い込もうとするような、まあどんよりした作品でした。
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「人間は考える葦である」なんてパスカル某が言ったとか言わないとか。
その「意識」「思考」こそが人・生き物を崇高にもすれば、苦しみもさせるのかもしれません。
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ということで、恩田陸さんの作品でした。相変わらず作風に富んだ作家さんであると感じました。
本作単体ではそこまで響くところは個人的になかったのですが、非人間の生き方、生き様、生命の優劣、自己決定権は人工物に及ぶのか、みたいなテーマで考えると世界が広がってゆく作品だと思いました。
ですので、本作はエンタメ好き、恩田さんファン、SF好きやディストピア好きのみならず、生命倫理等に興味がある方にもお勧めできると思います。