恩田陸のレビュー一覧
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ネタバレ恩田陸作品好きで、昔からちょくちょく読んでるけど、読む順番として『雪月花黙示録』の次だったのは良くなかったなーと。
作品の世界観に没入して、「結末は!?」「この世界の真相は!?」ってなってるところで急に梯子外される感じ。その感じも嫌いじゃないんだけど、2作続いたのは良くなかった。全然違う作品だけど、楠巴の最後の口上と、『雪月花黙示録』の蘇芳の最後のセリフがどうしても重なるし。
ただ、読んでる間トランス状態になれるところは本当に良かった。どれが現実でどれが虚構なのか全く分からん。
もう一回読み返す必要があるけど、この話全てが劇中劇ってことよね?現実なのはこの本の読者だけで、本の中で行われてるの -
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ネタバレ7月に続き8月も読んでた。
表紙をみて「あの男の子の話だ!」と。7月に~の時に一瞬出てきた後、何も出てこなかったので、???って気になっていた男の子の話が読める♪と思って、読んでみた。
こちらは、切なすぎる。
というか、7月には気にならなかった設定が、8月を読んで、気になりまくってあまりストーリーを受け入れられなくなった。
読めば読むほど、何も知らされなかったミチルが切なすぎて、この城に来る子供たちが切なすぎて、なんでこの場にこの子達をケアする大人が近くにいないのか、謎過ぎた。親を失うこの巨大な喪失感を、子どもたちだけで過ごさせるって・・・。
コロナが落ち着かない中でのこの話は、ちょっとえ -
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続けて、下巻に入る。
蒔生の章。
相変わらず“美しい謎”と蘊蓄や警句の混じった話が続く中、周りから『いつも「寛いで」いる』と見える男の中身はやはり複雑。
紫織という明彦の姉も大概だが、この男も上巻で見てきた人物像からはがらりと印象が変わる『人でなし』ぶり。
何かの拍子に思いもかけない記憶が甦るというのはままあるし、結構大事なことでも忘れていることはあるとは思うが、この男の場合、あそこまで用意しているのに覚えていないということはあるのだろうか…。
上巻の感想にたくさん付けた「?」への答がここで語られたたが、どこまでが本当でどこが嘘かの疑心暗鬼は続く。
結局、あたしとこの世との橋渡しをしてくれ -
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デジャビュ(既視感)のような気分を味わった、物語の始まる東北の一地方「谷津」という土地に。
「みのりやひろのり、ひとし」たちにいつか会っているような、自分のことのような。
どこかであったような自分のことのような人たちが、住んだことのあるようなところで繰り広げる日常の非日常。私は恩田さんの書くファンタジーの気質ひとつだろうと思う。いや、羨ましい筆力の才能。
でも、それは後から思ったこと、とっぷりとはまって楽しんでしまった。とくに第二章「いつの間にかこんなに違った生き物になってしまった」の「谷津」の町の情景描写は好もしい。
『国道を車で走れば、谷津を通過するのに、もし運悪く信号待ちにひっかか -
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女流画家高槻倫子の遺作展に出掛けた主人公万由子が、展示されている絵から強烈な怖れを感じ意識をうしなってしまった。
後日その画家の息子から「母の生まれ変り」ではないかと指摘されることから苦しみが始まる。画家は25年前に殺されたのだったから。
なぜ、縁もゆかりもない「私」古橋万由子が知っているような気がするのか、画家を殺した犯人は?というあらすじ。
「生まれ変り」伝説などというまがまがしさは苦手とひきながら読み進んだのだが、すじの面白さにぐんぐん惹きつけられ最後の展開になるほどと思わされた。
クリスティの「スリーピング・マーダー」の結末も深層心理をうまく取り入れ、そのクリスティの筆運びの恐 -
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いわゆる恩田陸ワールド満載の一冊。短編集。
今までに書かれた長編のなごり、きれはし、昇華とこれから書かれるだろう物語の暗示、予感だろう。
それらしき思い当たりがあるのがある。私がまだ読んでいないのもは分からないし、読んだのもぼやっとしているが、これから巡り会う楽しみがある。
不思議だな、恩田陸の作品は「いつでも、どこでもない」場所で起きる事象。東北の一地方のような気がするが、雰囲気がモダンでしゃれていて、いつか行ったような土地、過ごしたような時間、会ったような人々が登場する。宮沢賢治もそうだった、やはり東北系。
以下の一口感想は、私の思い違いもあるかも。
「春よ、こい」…古今和歌集紀貫 -
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私の年齢ではこういうのをゲーム感覚というのかな、ということになる。
変化に富んで、急展開でジェットコースタに乗っているごとく面白かったということ。
あらすじは、夏休み、離婚した夫婦とその子供の兄妹がマヤ文明の遺跡のある土地で再会する。
さて、無事に観光を終えて帰る前日、その国にクーデターが勃発、ジャングルをヘリコプターで飛んでいるうちに事故にも合い父親、母親と兄妹が離れ離れになってしまう。
放り出された秘境のジャングル。
果たして再会できるのか。生き残れるのか、冒険と、ゲームがが始まる。
マヤ文明聞いたことはあるけれどよく知らないな(恥だが)と思わず世界史年表と地図帳を出して確かめた。あっ -
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恩田陸の『茶と黒の幻想』を読んだ。幻想的な『三月は深き紅の淵を』『麦の海に沈む果実』の続きと期待して…。(この2作は題名に惹かれたともいえるが)
けれども。
そつがないけれど「それが、なにか…」というのが感想。別に恩田さんがいけないのではなくて、そういう資質の作家さんなので、この口当たりのよさがいいという人も多いと思う。
たまたま一緒に読み始めたのが、D・H・ロレンスの『恋する女たち』だったのが悪かった。おなじ男女4人が織り成す模様が、あっさり味の料理と、こってり味の料理の違いがわかってしまった。
もちろんストーリーはまったく違うので内容がおもしろいとかそうではないとかではなく