恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大型商業施設での事故に巻き込まれた人たちのインタビューや、周辺の人々にまつわる短編で構成された一冊。
立場もそれぞれ、施設に訪れた目的も、事故当時にいた場所もまちまちで、当然、見たものも巻き込まれ方も違う。
大きな人の流れに逆らえず、広い建物内をあちらこちらへなすすべなく押し流された経験、それに抗えないことへの恐怖。自分の運命を何も決められない絶望や、その事故の悲惨さに傷ついたこと。
ある人はその恐怖と悲劇をしたたかに利用し、ある人は自分に巣食った心の傷から目を逸らそうと道を踏み外し、ある人はその恐怖と向き合わず、ある人にとってはこの大事故も悲劇ではなかった。
インタビュー3人目の老人の「ああいう場所にいた事自体が羞恥であり敗北と感じる」という感覚、消防士さんの「日常なんてどこにもないという恐怖」、分かるなぁ⋯
単なる事故の記録というだけじゃなく、陰謀とか宗教とか心の病とか、なんかこう⋯普段なら笑い飛ばすようなものに縋ってしまうのも仕方ないと思わされる所がやりきれない。助かっても諸手を挙げて「よかったね」と言えない気持ち悪さ。
で、事故の原因は結局⋯終盤のあの説でいいの?
一応、エンディングっぽいエピソードはあったけど、個人的に、結局細かい謎は色々残りました。
いろんな色の作品を書く作家さんですが、今回のは〈性格悪い方〉の恩田陸、でした。
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Posted by ブクログ
ネタバレ難しかった…。
1、0、(1)が何なのか、理解できなくて。
TとMのパートで、数字が分かれてんの?とか、小説家は小説家っていうキャラクターかと思いきや、え?違う?本当の作者のことなの?とか。
そして、これは私自身の問題だけど、フィクションとノンフィクションとの境目が、水彩絵の具に水を落としたみたいに滲んでぼやけるタチなので、何が本当で、何がどこまで作りものなのかも、正直、読み終わった後ですら今ひとつわかってない。
まずもって、勝手な思い込みで、全く違うストーリーを思い描いていた。
だから、これっていつになったら話、動くんやろ?ってずっと思いながら読み進めていた。
人が死を選ぶ時、長く緩やかな絶望が下地にあって、きっかけは些細なことなのかもしれない。
そして、ああいう風に、前の晩は眠れたり、朝ごはん食べたり、後のことも冷静に考えて、野菜や果物は食べないでおいたりするもんなのかもな。
ただ、絶望具合が、自分にはリアルに伝わってこない。
自分が、未熟なせいかもしれない。 -
Posted by ブクログ
終始不穏な空気が続いて気になって一気読み。
おもしろいしめちゃくちゃ読みやすい。
しかし、状況がよくわからなくて疑問が多い中、最終的に伏線回収されたのは8割くらいで終わってしまった。
突然名前が出てきて一切登場しないあれは誰だったの?あの人はどうしてそもそも知ってたの?
と、色々謎なまま解説を読んで本書がこれまであった3作の続編にあたると知った。
とはいえ、解説者が言うには恩田作品は何かがわかりそうでわからないまま宙吊りにされている感覚になって腑に落ちないからこそ次の作品に手を伸ばしたくなるらしい。
では私も他の3作を読んでみなくては。
読んだところで不可解さは残るとも書かれているけど(笑)
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Posted by ブクログ
ネタバレいやあ、面白かったです。
1992年デビューの恩田氏の2004年の作品。ちょっと古めですが、恩田氏得意のモダンホラー系の作品です。
あれ?表紙ってあの、羽生結弦選手!?って思ったけど全く違った。俳優の高杉真宙さんでした。これだからオッサンは嫌ですよね。
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本作、主役らしい主役というのが居ません。
しいて言えば、都内建築学部に通う捷、そして造形アーティストとして駆け出しの律子、ベンチャー企業経営兼大学院生の和繁、あたりか。
対して、人の心に入ることのできる(人に容易に感応できる)悪玉的アーティスト烏山響一がもう一方の中心人物。
上記の3名の人物やその係累が、響一に影響され、あるいは直接的に、或いは間接的に、彼の実家の和歌山県は熊野のふもとの実家にしつらえた私設インスタレーションへと導かれていく。
そこで待ち構えていた「あれ」とは…
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やはり本作、響一のキャラの魅力が一番印象的です。
芸術家家系に生まれ、20代そこそこでアーティストとして成功。それが何故か遅れて大学生になる不可解さ。
更に現役大学生として手掛けたPV(コンピレーションアルバム?)が大ヒット。しかし、そのPVにはサブリミナル的な「何か」が見えたり見えなかったりと噂され…。
彼は人の心を読んだり、あるいは、彼の「感応力」「共振性」により相手の忘れたい記憶を呼び覚ましたりすることが出来るという設定。非常に悪魔的な雰囲気。
聞けば実家はそもそも田舎の旧家で、アーティストをよく支援しているという。先祖も多くはアーティストと結婚するも、そのアーティストはことごとく亡くなるという。
そうした血筋や格式の上に成立している響一こそが本作の魅力であると思います。
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加えてですが、響一の実家が和歌山の山奥の熊野というのが、これまた良いではないですか!
熊野というと、役小角などが修験道を究め、結果超自然的な力を備えたという神聖な場所、というイメージです。
そこに佇む旧家のお屋敷、その山奥で何やらしめ縄でまつられる「それ」。
これは絶対何か人間じゃない超越的な存在がいるやつです。
で実際色々起こるわけですが笑
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ということで恩田作品でした。
因みに結論は実はあっけない感じ?でした笑 ハッピーエンドです。展開が小気味良く、500ページ超の大部な作品ながらサクサク読むことができました。
モダンホラー、超能力等の話が好きな方にはおすすめできる作品です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ恩田氏の2010年代の作目。2013-2014年に新聞小説として掲載され、2015年に出版。ちなみに新聞小説は以前の『夢違』に続き、二作目。
アフターコロナ後に本作を読むと、恩田氏の未来感(未来勘!?)がかなり鋭いことを感じます。AIロボットや未知のウイルスなど、まるでコロナを経験したかのような筆ぶりでした。
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超大型台風に見舞われたとある日本の国際空港。
入管で足止めされ『別室』に連れてこられた年齢性別もバラバラな男女10名。彼らを迎える謎の若い女(実はAIロボットだった)から命じられるのは『この中にテロリストがいる。そして10人の使命はそのテロリストを見つけ出すこと』とのこと。
果たして10人はミッションを成功裏に収め、家路につくことが出来るか。
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本作、群像劇なんです。
で、群像劇というと、やはり複数のキャラをキチンとキャラ立ちさせることが必要だと個人的には思います。
本作では10人+AIロボットの計11名がキャラとして登場しますが、いささか人数が多いというのが印象です。故に、私は数人誰がだれだか分からなくなるという状況に…。
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それでもやはり、恩田氏もキャラの設定・作りこみが素晴らしいですね。
なかでもAIロボットのキャサリン。当然感情がないロボットという設定なので、外からの印象で描くわけですが、これがなかなか絶妙。
まず、人間と機械のはざまの存在を、どこまで・どう表現するか。本作ではぱっと見は判断がつかないという設定でした。肌の質感ももう人間と分からないという設定。
そこに、判断が難しい問題への対応として「間」を持つという設定にしてあるというくだり。また嘘はつかないという基本設計から、喋ると影響がある質問にたいしては「無言」を貫くというくだり。こうした描写に、逆に人間らしい行為というものが浮かび上がってくるわけですね。「間」とか「無言の承認」とか。
この「間」を演算処理が重くて追いつかない、と登場人物に推理させたり、実は一部で「当局」が反応に介入していると推察するのもなかなか面白い解釈でした。
でも、外見上判別不能なロボットが出てきたら、世の男性などは美しいロボットで(が)いいと、いっそう先進諸国で出生率が下がりそうな気がしました笑
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それ以外にも、世界で散発的に発生する病原菌の保持者が10人の中にいるのでは、というくだりがありました。
作中ではこの病原菌が実はテロ道具ではないかと疑われ、さらには原因とみられることへも登場人物から推理が提出されました。
これなども、5年前に読んだら単なるスリラー小説の味付け程度にしか思えないかもしれませんが、コロナ当時の飛行機移動時の入国の厳しさを思い出すと、実にリアル(小説をリアルっていうのもあれですが)に感じた次第です。
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ということで恩田氏の群像劇系スリラーでした。
ちょっとキャラが多いのですが、幾人かは際立っていて、面白く読めました。
一週間ほどお休みが取れてしかも何もやることがない、というときは試しに読んでみても良いかもしれません。3-4日あれば読めるかな。 -
Posted by ブクログ
恩田陸
新潮文庫の初期タイトルを3冊くらい読んで以来の作品
しかもどうやら間違えて買ってしまったらしい
読みたかったのは「ドミノ」だった
さて内容の方は3部構成
piece
脈絡のない引用の羅列
なんだこれは
play
なるほどpieceを絡めたストーリー展開になるのか
これは楽しみ
picture
playの補強と真相が
パッケージはとても面白いと思ったけど内容は薄いし謎解きも軽い
文字数が少なくて30分で読める作品だから仕方ないけど勿体無い気もする
恩田陸の味をほんのり思い出した感
★は甘めで3つです
はやく積読ドミノを探し出して読まなければ -
Posted by ブクログ
贅沢な列車に、贅沢な名前の並ぶ小説
それぞれの物語がとてもあたたかい気持ちになる
そこに乗車するそれぞれが
何らかの思いを一緒に乗せて旅に出る
誰かを大切に思って
大切な人を誘って
願い叶わなかった列車の旅になっても
「その人を思い出すこと」が供養にもなる
1話目の
さよなら、波瑠/井上荒野
一見、芯もあって強くて…こういう人の気持ちが
苦しくて苦しくてね
思わず感情移入、涙が出た
糸井重里さんの
「帰るところがあるから、旅人になれる」
当たり前なんだけど
そんなふうに考えたことなかったからね
さすがだな、
糸井さんの言葉だな、って思った
静かな気持ちで読めるキレイな本でした