恩田陸のレビュー一覧

  • 球形の季節

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    デジャビュ(既視感)のような気分を味わった、物語の始まる東北の一地方「谷津」という土地に。
    「みのりやひろのり、ひとし」たちにいつか会っているような、自分のことのような。

    どこかであったような自分のことのような人たちが、住んだことのあるようなところで繰り広げる日常の非日常。私は恩田さんの書くファンタジーの気質ひとつだろうと思う。いや、羨ましい筆力の才能。

    でも、それは後から思ったこと、とっぷりとはまって楽しんでしまった。とくに第二章「いつの間にかこんなに違った生き物になってしまった」の「谷津」の町の情景描写は好もしい。

    『国道を車で走れば、谷津を通過するのに、もし運悪く信号待ちにひっかかったとしても五分とかからない。日本中に、これと同じような町がいったいいくつ位存在しているのだろう?』

    ここを読んでドライヴ途中の旅愁を思い浮かべる人は多いだろう。

    そんな町が心を込めて描写され、みのりという女の子に『浮き立つような気持ちになる』と言わしめる、紅川の情景。如月山の四つの高校、男の子の高校二つ、女の子の高校二つ。そうして物語は始まる。

    「球形の…」と題名がいうようにこの地球上に幾千とある物語の一つ、ファンタジーに込められた普遍性。その普遍性として述べられている「ことがら」がこの物語のカギなのだが、それを言うのは控えよう。しかし、その「ことがら」は私にも生きる上でもっとも大切な、大切なことがらなのだ。

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    2021年09月14日
  • 不安な童話

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    女流画家高槻倫子の遺作展に出掛けた主人公万由子が、展示されている絵から強烈な怖れを感じ意識をうしなってしまった。

    後日その画家の息子から「母の生まれ変り」ではないかと指摘されることから苦しみが始まる。画家は25年前に殺されたのだったから。

    なぜ、縁もゆかりもない「私」古橋万由子が知っているような気がするのか、画家を殺した犯人は?というあらすじ。

    「生まれ変り」伝説などというまがまがしさは苦手とひきながら読み進んだのだが、すじの面白さにぐんぐん惹きつけられ最後の展開になるほどと思わされた。

    クリスティの「スリーピング・マーダー」の結末も深層心理をうまく取り入れ、そのクリスティの筆運びの恐ろしさに背筋が凍る思いをしたものだが、勝るとも劣らない。

    オカルトでもないエンターテイメントでもない、サスペンス、サイコホラーとあらゆるジャンルを組み込んでミステリーで味付けしてある、稀有な作品とみた。

    恩田陸、3作目らしい。「六番目の小夜子」「球形の季節」と読み進んでくればきっとこの不思議なジャンルの物語にとりこになった読者も多かったのでは。

    私はその後の発展した作品を先に読んでいるので、恩田さんの才能を再確認したわけだが。

    恩田さん独特のおかしみのある語り口も健在確定である。(であるが、この語り口になかなか私は慣れ得ないのだが...)

    子供の頃に読んでもらった童話はずーっと覚えているものだ。とくに寝しなに読んでもらったものは...。怖ろしいことだ!

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    2021年09月13日
  • 上と外(上)

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    私の年齢ではこういうのをゲーム感覚というのかな、ということになる。
    変化に富んで、急展開でジェットコースタに乗っているごとく面白かったということ。

    あらすじは、夏休み、離婚した夫婦とその子供の兄妹がマヤ文明の遺跡のある土地で再会する。
    さて、無事に観光を終えて帰る前日、その国にクーデターが勃発、ジャングルをヘリコプターで飛んでいるうちに事故にも合い父親、母親と兄妹が離れ離れになってしまう。
    放り出された秘境のジャングル。
    果たして再会できるのか。生き残れるのか、冒険と、ゲームがが始まる。

    マヤ文明聞いたことはあるけれどよく知らないな(恥だが)と思わず世界史年表と地図帳を出して確かめた。あった、メキシコのそば、ユカタン半島、ティカル、王のピラミッド。G国らしき国。そのシティ。

    私の友人にそういういわゆる秘境が好きで選んで旅行している人がいるが、なにを好き好んででいく必要があるのか思う私。中国の桂林しか行ったことがない。桂林が秘境ならだが…。(川下りの船上はトイレの凄さとか食事に生臭さに辟易としたので、そうだったのだと思うのだが)

    そんな貧弱な経験に照らしていうのだが、そんなところ厭だなーと思う、さよう、主人公の兄妹「レン」(15歳)「チカ」(12歳)の二人も絶えず東京の、文明の便利さを懐かしんで慨嘆しては余儀なく冒険している。しかーし、様々な試練に立ち向かい兄妹は強くなっていくのだろうか?というところが物語り。

    ところどころ、恩田さんらしい書き込みがはいる、「じいちゃん」の人生哲学。
    その地の文が「恩田ワールド」と私は思う。

    自分のことにかまけている大人。大人って者は目配りが出来てこそ大人なんだよ。どうしようもない情けない父親のいつわらない姿。自分勝手なタイプの母千鶴子。悔いて行いを改めて変わっていけば普通なのだが、どっこい。(あれ、ネタバレでないよね)

    単行本の緑色っぽい表紙と中表紙の見開きのイラストがいい。読み進むとヒントになるから面白い。

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    2021年09月10日
  • 横浜の名建築をめぐる旅

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    既知の建物がほとんど。
    紹介がメインで、眺めるのが楽しい。これをきっかけに現地を訪れるのがいいかも。

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    2021年09月09日
  • 上と外(上)

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    一体何の話なんだ!と思いながらも、G国のジャングル、首都、そして日本で同時進行する緊迫感のあるストーリーはさすが。
    清く正しく力強い少年による青春物語は恩田陸先生の得意技ですね。

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    2021年08月24日
  • 球形の季節

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    ある町のそこだけ死んだように、ひっそりと佇む町。この世と違う異次元の世界に入り込む事ができる町で才能ある男の子が少しのスパイスを投入するとたちまち波紋が広がる。
    みんながこうなると願う念がそうなってしまう。
    この町に住む人々の、高校生の日常と非日常を描き今の生活に疎んじているコ、満足できない発散したい念が異次元の世界へ行きたい、何か起こる期待を町全体に漂い怪異現象を引き寄せる。
    その世界に入り込む人がいたのかどうか結末は分からずじまいでうやむやになるがホラーよりは、恩田陸の世界の方が合っているきがする

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    2021年08月12日
  • 夏の名残りの薔薇

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    構成が面白い
    読み初めは誰が語り手なのかどういう状況で話が進んでいるか理解がしにくいが読み進めていくうちに理解でき、面白さが増す

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    2021年07月27日
  • 消滅 VANISHING POINT (下)

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    上巻から一気読み。登場人物もみんな個性があって面白い!キャスリンの台詞には思わずクスッと。

    結末が予想外だったけどやや物足りなさを感じました。全体的に続きが気になってサクサク読めました。

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    2021年07月21日
  • 禁じられた楽園〈新装版〉

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    展開がすごく気になって、一気読みした。

    どうなるんだろう、ページをめくるたび、ドキドキする展開。
    最後、結末は、あれ?…???
    はてなマークが頭に。

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    2021年07月19日
  • 七月に流れる花

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    ネタバレ

    話の内容は短くて、読みやすい。
    短い割には読み応えもあった。冷や汗が出るようなお話かと思えば
    ちゃんと現実話で、そういうことね〜という感じ。
    サクッと読めて、ちょっと気分転換になったかな。
    恩田陸さんの本を読んだ、という満足感がある短編でした。

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    2021年07月18日
  • 訪問者

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    ちょっとひと昔前のミステリーかと。いい意味なのか悪い意味なのか分かりませんが。色々なジャンルをお持ちの恩田さんという事ですが、次は「蜜蜂と遠雷」を読みます。

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    2021年07月13日
  • MAZE 新装版

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    シリーズと聞いたから主人公がそうなのかと思ったら違い、肩透かし食らった気分。
    構成はいつもの恩田陸さんだし、内容も薄っすら先が読める感じでストレスなく読めた。意外性やどんでん返し感はあまり感じられなかったが、描写や言葉選びの感性はとても好み。他シリーズも読もうと思いました。

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    2021年07月05日
  • 球形の季節

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    「噂」繋がりということで荻原浩さんの『噂』に続いて読んでみました。
    噂、おまじない。
    序盤の設定と展開が素晴らしいですね。あっという間に物語に引き込まれてしまいました。

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    2021年06月27日
  • 中庭の出来事

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    毒殺された劇作家の死の真相を巡る、劇中劇に次ぐ劇中劇。
    舞台の上と下の境界の曖昧さが作品の肝だとは解るが、舞台を観劇した経験がないとピンと来ない。

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    2021年06月22日
  • ネクロポリス 下

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    ネクロポリスの下巻。

    結末はかなり意外なものでそこは面白かった。
    死者との交流を描いた不思議な世界、堪能させてもらいました。

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    2021年06月16日
  • 消滅 VANISHING POINT (下)

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    上巻で色んなネタが盛り込まれていて期待いっぱいで読んだけれど、下巻でのネタの回収は割と平凡な感じだった気がしました。
    もっと奇想天外な結末かなと思ってたので。
    でも、上下巻通して楽しい読書時間でした。
    登場人物がそれぞれ魅力的で思い入れが強くなってたので、読み終わって寂しい気持ちです。

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    2021年06月10日
  • 日曜日は青い蜥蜴

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    読書日記部分で書かれている本がいろいろ読みたくなった。小学校にあった少年探偵団シリーズとかって、乱歩じゃない人が子供向けに書き直したものだったのか。大人になって乱歩を読み直したときに、こんなドロドロしたのを子どもが読めるわけないとは思ったのだけど。読んだつもりになってる本も実は書き直されてたものばかりだったのかも。

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    2021年06月09日
  • 不安な童話

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    女流画家の遺作展で強烈な既視感に襲われ、意識を失った万由子。
    遺作展を開催した画家の息子から「25年前に殺された母の生まれ変わり」と告げられる。
    遠い昔、奔放な美しい画家を襲った海辺の惨劇。
    なぜ万由子はその記憶を持っているのか。

    自分の死後に絵を渡してほしいと書かれた画家の遺書が発見され、それを遂行すべく画家の息子と行動を共にするようになって、万由子の身辺に不穏な出来事が出来する。
    その犯人は誰なのか。それは画家を殺したのと同一犯なのか。

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    2021年06月07日
  • 謎の館へようこそ 黒 新本格30周年記念アンソロジー

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    「館」をテーマにしたアンソロジー。新本格30周年記念アンソロジー第3弾。

    はやみねかおる『思い出の館のショウシツ』
    メタブックという設定が面白い

    恩田 陸『麦の海に浮かぶ檻』
    シリーズものの外伝(シリーズ未読…)

    高田崇史『QED~ortus~ ―鬼神の社―』
    こちらもシリーズものらしき。理屈っぽい先輩

    綾崎 隼『時の館のエトワール』
    タイムリープとSFチックと思わせて、こう来るか
    うん。ヒロインの感想に同じ。

    白井智之『首無館の殺人』
    グロい。汚物方面でもグロ、トリックもグロ、例えの表現すらも。

    井上真偽『囚人館の惨劇』
    先の読めない展開

    シリーズの外伝が多いのと、ミステリー要素は少なめな印象。白の方が好みかな

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    2021年05月26日
  • ネクロポリス 下

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    さすがの恩田陸ワールド、といえる世界構成でした。緻密に描かれている世界観だったので、伏線の回収とのギャップに気になるところがありましたが、そこはさすがなストールテリングで最後まで引き込まれる作品でした。

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    2021年05月20日