恩田陸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
特殊な能力を備えた少女が秘密組織を相手に戦うという、
SF的な要素やアクション物語の要素を持ちながら、
人間の心の奥深くにある悲しさや苦しさをも描いた物語です。
父親であり研究者でもある伊勢崎博士の手によって、
容易ならぬ能力を与えられた主人公の遥(はるか)。
かつて所属していた秘密組織「ZOO」から逃れるため、
親子二人で海外逃亡を図り姿を消していた。
しかし、行方をくらませてから7年後、
二人は密かに日本に舞い戻り閑静な別荘地に隠れていた。
二人の帰国を知った「ZOO」からの追っ手ハドラーとその一味は、
特殊な方法で特殊な能力を得た遥を確保するため周到に包囲網を狭めていく。
遥の特殊な能力とは何か、特殊な能力はどのようにして備わったのか、
そしてその能力はどのように発揮されるのか。
次々と現れる追っ手の前に遥の能力は徐々に進化していくが。
タイトルの「劫尽童女」は「こうじんどうじょ」と読みますが、
「劫尽」とは「世界が終わるときに世界を焼く尽くす炎」という意味で、
その炎を「劫尽火(こうじんか)」という呼ぶこともあるそうです。
物語の中で「悪いことをすると、地獄の劫尽火に焼かれるよ」という言葉が出てきて、
物語を読み進めるうちにその言葉の意味が徐々に分かってきます。
特殊な能力を備えた主人公の悲しみと怒りがせつないほど胸に響いてきました。
恩田陸さんの物語は爽やかな青春ものもありますが、
どちらかというと人の心の内面を捉えたものが多く、
喜びよりも悲しみや切なさという面を捉えた物語が多いような気がします。
恩田ワールドでは摩訶不思議な世界や能力に目が行きがちですが、
そんな不思議な世界の中でも「人の心」というものが巧みに描かれていて、
読み進めるうちにジワジワと読む人の心の中に響いてくるんです。
また、物語の結末がやや難解に感じる物語も多いように感じますが、
それもまた読者に「結末の先」を考えさせる意味もあるのかなと思いました。
今回の物語も「結末の先」が読者に委ねられているような気がして、
読み終わったときにややもどかしいような気になりましたが、
それもまた恩田ワールドなんだなと感じました。
読み終わったときに一抹の切なさが心に残る一冊です。
個人的にはこういう終わり方が大好きです。 -
Posted by ブクログ
にわか恩田ファンとしてこの紀行エッセイも読んでみたのだけれど、恩田さんの人となりがよくわかったような気が。ユーモアがあっていい人で一緒にいて楽しくてしかも博学で、チャーミングな人だなー、と。読んでて楽しかった。
飛行機が心底こわい、ということで、そのこわがりっぷりが他人ごととして読んでるとすごくおかしいんだけど、でも、臆病なわたしも日々いろんな恐怖にふりまわされているので、なにかがこわいっていう気持ちにすごく共感した。そう、個人的な恐怖ってものすごく孤独なのだ。
イギリス・アイルランド紀行はムア(荒地)の描写なんかが恩田さんのファンタジーに通じるものがあって。行ってみたくなる。あと「秘密の花園」を読もうと思った。
わたしはお酒飲まないのだけど、それでもビールの話とかおもしろくておいしそうだった。
恩田さんの小説もいいけどエッセイももっと読みたいなあーー。 -
Posted by ブクログ
人類の消費生活の末に旧地球に取り残された近未来の日本の、誰もが憧れるエリートのための学園。
そこは徹底的に管理され、一度入れば脱走は殆ど不可能な牢獄だった。
設定のひとつひとつを拾って並べればライトノベルのように見えるが、作者の力量で読み応えのあるしっかりしたSFになっているのが凄い。
又、軽妙な語り口とふんだんに織り込まれたパロディが面白い。
友情や、学園からの「愛」や世の中の人々の考え方の違い、ラストシーンでの主人公と友人の会話に描かれる人間の正直な気持ち等、もっと考えたい要素があちこちにある。
そのどれかを特に重点的に語るという作品ではない為それらひとつひとつはあまり掘り下げられてはいないが、
その分勢いでどんどん読み進んでいき、主人公達とはらはらどきどきを共有出来る。
恩田陸さんの本は「ねじの回転」が初めてだったので、やや固めのSFを想像していた為驚いた。
「夜のピクニック」を読んで「ねじの回転」との雰囲気の違いにもびっくりしたが、改めて、作品毎に一番ぴったりと合う文章を書ける凄い作家さんなのだと感じた。
(あちこちで感想を見ると、タイトルからBLを期待して読む人も多いようだが、
主人公と仲の良い友人の友情は描かれているもののそういった要素はない。
ライトノベルやBLを読みたい人にとっては期待外れになるだろう) -
Posted by ブクログ
これは、かつて「地球の歩き方のロンドンのガイドブック風」のカバーで出ていた本が文庫本化されたものです。作者がイギリス・アイルランドに行った時の話ですが、とにかく飛行機嫌いと言うことでその恐怖が大きく取り上げられているエッセイです。紀行文じゃないと宣言していますので、確かに、イギリス・アイルランドに行った場所で感じたことを書いたエッセイと言うのが的確でしょう。
しかし、恩田さんの作品は好きだけど、エッセイはどうも合わないなあ。面白くない訳じゃないし、書かれていることも好きなんだけど、なんだか合わない感じです。
他に「キリンビール」「サッポロビール」「オリオンビール」の工場見学のエッセイも加わっています。それだけビールが好きなんですね。ビールを飲むために嫌いな飛行機に乗るという構図です(笑)←人のこと笑えない(^^;
この本の中で、電子図書について書かれていた。何でも詰め込めるというのはある意味、旅行に持っていく本を悩んだり選択するという楽しみや能力を削ぐのかもしれないなあ。この本の中では、もともと文庫本は究極のモバイルだって書かれていたけど、なるほどなあ。
最後に、イギリスとアイルランドの他にチェコにも行ったことがあるらしい。そこでチェコの生ビールはさすがに美味しいとのこと。ドイツやベルギーは行ったことがないようだけど、チェコのビールはお茶でいうと玉露と緑茶の違いくらいあるとのこと。ますます体験しなくてはと言う思いが強くなった。