《ここは三月の国。三月の王国なのよ。》p.149
【説明】賢く美しい少年少女たちが集う幻想的な寄宿学校〈青の丘〉に理瀬は転校してくる。
【感想】竹宮惠子さんか萩尾望都さんあたりが漫画化すると似合いそうです。
【内容】>3月以外に来た子供が学校に崩壊をもたらすという噂。>殺人事件が発生するも学校はそれを飲み込んでしまう。>麗子という名の少女。>理瀬とはなにものか?>ひとつひとつの章は短く各章の扉にイラスト。
■理瀬についての簡単な単語集
【青の丘】中高一貫制の学校。イメージ的には釧路湿原のただ中に屹立するモンサンミッシェル。内部には通路が多く道がつかめない。わざとそうしているのかもしれない。理瀬は地図を作ってみたいと思った。《こんなところで暮らしていたら、自分の作り出したイメージに溺れてしまうのではないだろうか。》麦の海p.35。《これは、あたしが小さな頃から探していたもう一つの国、もう一つの世界だ。》麦の海p.37。憂理《ここは変だわ。どこかが歪んでる。何かが間違った世界なのよ。》麦の海p.68。校長《ここは三月の国。三月の王国なのよ。》p.149。《何もなかったふりをするのは、ここの生徒たちの最も得意とする演技である。》p.324。
【彰彦】室田利枝子と旅(安楽椅子探偵紀行)をしていた?
【圷比呂央:あくつ・ひろお】金子さんちを建てた建築家。故人。極度の活字中毒。特に推理小説が好きだったらしい。全ての金を本に費やしたということだが、その割に超巨大な屋敷(今は金子さんち)を持っていた。ダイイング・メッセージとして「ザクロの実」という語を残した。それが広い館のなかにあるとある本へのヒントになるらしい。
【アングラ】水越《今はアングラというものがなくなってしまった。》三月はp.34
【功】行方不明になった生徒らしい。
【一色】金子さんちのお客さん。ひょろ長い男。大学教授。英国文学。教え子だったNという学生から本を借りた。
【稲垣史朗】篠田美佐緒と林祥子の実父。
【江藤朱音:えとう・あかね】編集者。堂垣隆子とは同僚ではない。キャラクタで作家を摑む。酒は別腹という飲んべえ。自己表現の手段として物語を書いてますという作家は嫌い。
【海老沢】鮫島巧一が勤める会社の秘書課の人。
【おたく】金子さんちに呼ばれた誰かによるとおたくというのはマスターベーションでありそれを互いに見せ合おうとしてるところが気持ち悪いらしい。
【女】水越《女はフィリップ・マーロウになった気持ちでハードボイルドを書こうなんて絶対に思わないわよ。ジゴロやチンピラの気持ちで女を見てみたいと思うことはあってもね》三月はp.64
【女の子】《女の子は作られるのだ。》麦の海p.226
【学校】→青の丘
【金子慎平】鮫島巧一が勤める会社の会長さん。読書好きの社員を呼んでだますのが趣味らしい? 超巨大な屋敷の持ち主。
【鴨志田】金子さんちのお客さん。巨大な男。銀座の天ぷら屋の三男坊で料理人。
【神崎】篠田美佐緒と付き合うことになった男子高校生。そのために廣田啓輔はフラれた。金持ちのお坊ちゃんできれいな顔をしており男子生徒からはバカにされ気味だが、性格はよく努力家。
【校長】とても大柄。そのときどきの気分によって男だったり女だったりする。両性具有ではと考える生徒もいる。《あたしは頭の悪い子が嫌いなのよ。》麦の海p.43。《あたしは自分勝手な子と向上心のない子が嫌いなの。》麦の海p.44。うーん、向上心のある人は自分勝手なものだという気もするけど? 頭が悪い云々は要領よいという意味か、思考能力があるという意味かによって違ってくるけど。
【小泉】謎の男。『三月は深き紅の淵を』の関わるところに出没する? いつもなんとなく焦っている。
【斉藤玄一郎】文芸評論家。堂垣が考える『三月は深き紅の淵を』の著者候補の一人。
【佐伯嗣瑛:さえき・しえい】純文学の大家。堂垣が考える『三月は深き紅の淵を』の著者候補の一人。雰囲気的にはモデルというかイメージは福永武彦さんあたりで。ミステリ好きやし柳川やし。
【烏山響一】画家。江藤朱音が嫌いな「畏れ」という絵を描いた。
【ザクロ】『三月は深き紅の淵を』でキーワードになっているらしい語。
【鮫島巧一】会長の家に呼ばれて困惑しているサラリーマン。
【3月】学校は基本的に3月に入学し3月に出ていく。それ以外にも入ってきた子供が学園を崩壊させるという言い伝えというか噂がある。理瀬は2月末日に入学した。
【三月は深き紅の淵を】謎の本の書名。昔、圷比呂央が友人の金子さんに貸したことのある本。著名な作家が匿名で書いたという噂の、異なる作品をモザイクのように散りばめた、ミステリと言えなくもないような作品らしい。他者への譲渡は不可、たった一人に一晩だけ貸すのは可。鮫島が金子に呼ばれたのはその本を探すゲームに参加させるため。一部屋ずつ虫干しするとかいう無粋な方法は不可なんだとか。全ての金を本に費やしたという圷比呂央が超巨大な屋敷を持っていたというのはちょっと怪しい気もするのでどこまで本当か不明。第一部の題名は「黒と茶の幻想」てサブタイトルは「風の話」。第二部は「冬の湖」サブタイトルは「夜の話」。第三部は「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、サブタイトルは「血の話」。第四部は「鳩笛」、サブタイトルは「時の話」。
【篠田美佐緒】高台の公園の展望台から林祥子とともに落ちて死亡した公立高校二年生。母子家庭で母親は大学教授で地質学者。林祥子とは異母姉妹。一冊の小説を書くのが夢。四部作構成で読んだ人が情けなくなって死んでしまうような本。
【修司】体格のいい少年。黎二と仲が悪そう。
【俊一と薫】いとこ同士。プロテニスプレイヤーを目指していて試合のため不在が多い。
【性別】水越《作品を読むという次元で見れば、作者の性別なんて関係ないはずなのに、やっぱり本を読む時、どこかで作者の性を気にしている。意識されていないようでいて、実は作者の性別というのは重大な問題なのよね》三月はp.67
【堂垣隆子】編集者。江藤朱音とは同僚ではない。ビジネスライクなタイプ。
【野上奈央子】篠田美佐緒の親戚? 大学を卒業し、出版社の編集者になる予定。
【ノスタルジア】《彼女にとって、重要な、極めて個人的なテーマはずぼり、『ノスタルジア』である。あらゆる意味での懐かしさ。それは心地好く切ないものであると同時に、同じくらいの忌まわしさにも満ちている。》p.343。
【早坂詠子:はやさか・えいこ】篠田美佐緒の美術部での後輩。野上奈央子と知り合う。
【林祥子】高台の公園の展望台から篠田美佐緒とともに落ちて死亡した私立のお嬢様高校、志村女子高の二年生。篠田美佐緒とは異母姉妹。一年生のとき廣田啓輔とつきあったことがある。
【白夜】堂垣隆子の父が学生時代に参加していた同人誌。その中に『三月は深き紅の淵を』の著者がいるのではないかと堂垣は考えた。候補は作風から、自分の父と、佐伯嗣瑛(さえき・しえい)、両角満生(もろずみ・みつお)、斉藤玄一郎の四人に絞った。父以外はプロの作家になっているようだ。
【聖】理瀬と同じファミリーのメンバー。M工科大学に留学することが決まっている。
【評論】江藤朱音《評論というのは実は完璧な創造なんだけどね。》三月はp.158。それは僕もずっとそう考えてました。評論家って、結局自分のこと書いてるんやから私小説みたいなもんやなあと。
【寛】理瀬と同じファミリー。5年生。指揮者志望。
【廣田啓輔】篠田美佐緒と付き合っていたらしい男子高校生。美佐緒が神崎啓輔に鞍替えしフラれたらしい。林祥子とも付き合っていたらしい。吉田秋生さんの『カリフォルニア物語』のヒースをイメージした。
【ファミリー】理瀬の属するファミリーは理瀬を入れて7人。本当は12人必要だが余った者を集めただけなので半端になっている。理瀬と同じファミリーのメンバーは5年生の光湖。6年生で数字に強いの聖。3年生の俊市と2年生の薫は茶目っ気たっぷりのいとこ同士。大柄でがっしりしていて豪放磊落な5年生の寛。攻撃的に見える4年生の黎二。
【穗積槙子】林祥子は篠田美佐緒に殺されたと考えている女子高生。
【麻理衣】転校早々の理瀬に麗子を見なかったかと聞いてきた。繊細な1年生。
【水越】金子さんちの女性のお客さん。ボクっ娘小説は嫌い。実家はホテル経営。
【水野理瀬】→理瀬
【光湖:みつこ】理瀬と同じファミリーのメンバー。1年上。
【室田利枝子】旅(安楽椅子探偵紀行)をしていた?
【森】《森の中には、生者と死者が混在している。》三月はp.430。
【両角満生:もろずみ・みつお】作家。アクの強い、耽美的な作風。堂垣が考える『三月は深き紅の淵を』の著者候補の一人。
【役立たず】鴨志田の相棒。大きな白い犬。
【屋敷】金子さんの超巨大な家。4つの巨大な屋敷林を囲んでいる。鮫島くんが行ったのは冬の家。
【憂理:ゆうり】理瀬のルームメイト。4年生。
【ヨハン】理瀬の1日後に入学した。クラシック系の作曲家志望。
【理瀬】水野理瀬。とある学院に来てただの理瀬になった。入学時2年生。《大丈夫、気は弱いけど芯は強いつもりだから》麦の海p.65
【麗子】理瀬と同じ学院の生徒。行方不明にならなければ同じファミリーになった。
【黎二:れいじ】理瀬と同じファミリーのメンバー。4年生。周囲を拒絶しているような攻撃的な雰囲気。
【ワープロ】《ワープロは嘘をつくのである。ワープロは、そういう意味では虚構にふさわしい。》三月はp.337