恩田陸のレビュー一覧
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ゴシックミステリ
モチーフになっているのは、『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』だと思う。特に『鏡の国のアリス』については、作中でも直接言及されている。
舞台となる学園は、全貌を把握することができないほど複雑に曲がりくねった構造をしている。主人公はその不思議な空間を進んでいくのだが、その姿はまるで、不思議の国へ迷い込んだアリスのようだ。
そして、ときおり挟まれるファミリーや友人たちとの会話も、どこかアリスのお茶会を思わせる。現実のようでいて少しずつ歪んでいる、奇妙で居心地の悪い世界。
そう考えると、この作品全体が「アリス」の世界を学園物ゴシックミステリとして再構築したようにも感じられて、面白かった。 -
Posted by ブクログ
職業も見た目もバラバラの友人四人が、古き良き喫茶店をめぐりながら語る怪談の連作短編集です。
きっかけは、友人の内の一人からの招集。「なんか、怖い話ないか?」その一言から、いい年した中年男四人は喫茶店でコーヒー(時にはアルコール)を飲みながらそれぞれ持ち寄った怪談を話す会――珈琲怪談――を始めることに。初めは京都、次は横浜。二度あることは何とやらで、東京の神保町、神戸、大阪、再びの京都とただ怪談を話すだけの談話会は続いていく。
今回、何の気なしに読み始めた本でしたが、塚崎多聞シリーズというものの一冊だそうで、シリーズ前作があるようでした。登場人物の人物背景は前作以前に書かれているかもしれませんが、この本は単体でも読めます。
男四人、色っぽい話があるわけでもなく、ただ学生のように美味しい珈琲(時にビールやワイン)を飲みながら、会話の中で怪談語りをしていきます。合いの手やツッコミを入れながらのそれらは、本当に彼らがわちゃわちゃと楽しくダベる会を見ているようで微笑ましいです。時々ぞわっとするような話もあったりしますが、怖さにはあまり重点がおかれておらず、さらりと読めます。
取り上げられた怪談は、作者の方のほぼ実話だということで、世の中には不思議な話が色々とあるものだと改めて感じました。
機会があれば前作以前のシリーズも読んでみようかと思います。
男友達四人の会話と古い喫茶店の香りを楽しみながら怪談が読める、さらりとしたホラー短編集でした。 -
Posted by ブクログ
恩田陸の最新作。小説推理に約8年に亘って掲載されたのを纏めたもの。8年間って凄いね。帯を見たら「神原恵弥シリーズ」と書かれてあり、帯の裏には「敏腕ウイルスハンター・神原恵弥シリーズ」と詳細に書かれてあったが、この神原恵弥は全く知らなかった。第一作:MAZE[メイズ]、第二作:クレオパトラの夢、第三作:ブラック・ベルベットの続編で、今回は第四作となる。いずれも本棚に並んでいたが、読んだ記憶が無い、つまり並べていても積読状態だった。恩田陸に嵌ってしまい、古本屋で必死に初版単行本を探した戦利品なのだが、入手しただけで満足してしまい、後で読むことを忘れてしまうという、いつものパターンね。今は読みたい本が身の回りにあふれているので、いつ読むかは確約できない。
初めて神原恵弥に出会ったのだが、キャラは頭を刈り上げてオネエ言葉を使う男???また変な奴の登場か!しかも帯に九州N崎という表現・・・どうみても長崎じゃん!Nを使う必要ありますかぁ?あと、T共和国って、ブラック・ベルベットでもこの表現を使っているが、文章中にきちんとトルコ航空って書かれてある。これって意味あります?それと敏腕ウイルスハンターとのことだが、ウイルスの話は本書で出てきたかな?もうこれは看板を降ろして、名前だけでシリーズを継続するのだろうか。そして、2015年の第三作のブラック・ベルベットからもう11年も経って再登場とのことだが、この間いったいどうしていたの?
話はオネエ恵弥と足の悪い多田との謎解き道中、長崎観光旅行が殆どを占めている。一応このシリーズはミステリーに属するのだが、なんかちょっと緩いミステリー。終始、恵弥のオネエ言葉が鼻につく。話を盛っては萎み、盛っては萎みの繰り返しでなかなか謎解きが進行しないのがちょっと後半イラついてきた。どう話を軟着陸するのかと思ったら、なんと最後は強引に不時着した。これは中山七里なみの、最後の最後でのどんでん返し。他のミステリー作家もこんなどんでん返しをするのだろうか。出島で見つかった物質には個人的にとても興味があったのだが、最終的には放置されてしまいとても残念だった。
恩田陸はいろいろな文章を書くが、肩書はミステリー作家ということなので、次回は本格長編推理小説を書いて欲しいな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ血縁、恋愛、友情、他人。
関係値というものにがんじがらめになり
別れを決めたふたりの男女が、
引っ越し前夜の空っぽの部屋で
過去のとある事故を回想するという、
不穏な最後の一晩を過ごします。
お互いに、腹の中へなにか一物抱えているのを
さぐりあい、確かめあうふたり。
じっくりじっとり進んでいく
夜半から明け方への時間経過のなかで、
ひとつ、またひとつと
ふたりにとっての真実がめくられていく。
実はこうだった、というあれこれが
絶妙な塩梅で小出しにされるので、
読者としては、じりじりします。
でも。早く先を知りたいのに
じっくり、じっとりと、読んでしまう。
読むスピードをまるで調整されてるような
不思議な緊張感が終始続く。
作家さんの術中にまんまとハマってしまうのが
うすら怖くなる読書でした。