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  • 悪霊島 人見十吉秘境小説集成2~探偵くらぶ~
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    映画「ゴジラ」の原作者としても著名な香山滋。そのライフワークともいえるのが秘境探検家・人見十吉を主人公とするシリーズ第二弾! 江戸川乱歩も驚愕したオンリーワンの個性を持った作品群を集大成!
  • 恐怖島 人見十吉秘境小説集成1~探偵くらぶ~
    -
    もはや世界で知らぬ者はいない映画「ゴジラ」の原作者としても著名な香山滋。そのライフワークともいえるのが秘境探検家・人見十吉を主人公とする一連の小説だ。「ゴジラ」にも通じるその傑作シリーズの長編二編、短編十九編を全二巻で集大成するファンには垂涎の書、第一弾!
  • 妖婦の宿 名探偵・神津恭介傑作選~探偵くらぶ~
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    本格推理小説の巨人・高木彬光が生み出した、日本三大名探偵の一人に数えられる神津恭介の傑作選。探偵作家クラブで実際に「犯人当て」として出題された、日本の短編ミステリーのベスト10には必ず名前が挙がる密室殺人の傑作「妖婦の宿」を筆頭に10編を収録。不滅の名探偵が快刀乱麻を断つ、クラシックな本格ミステリーに瞠目せよ!
  • 山田風太郎時代小説コレクション 地の巻 南無殺生三万人
    3.0
    戦後日本を代表する小説家・山田風太郎生誕100周年を記念した、時代小説ベストコレクションです。『慶長大食漢』『死なない剣豪』『嗚呼益羅男』『妖剣林田左文』『姦臣今川状』『南無殺生三万人』『売色奴刑』の7編を収録。
  • 山田風太郎時代小説コレクション 天の巻 元禄おさめの方
    3.0
    戦後日本を代表する小説家・山田風太郎の生誕100周年を記念した、時代小説ベストコレクションです。 山田風太郎の作品は、現代もののミステリ、忍法帖、明治もの、室町もの、エッセイ・ノンフィクションなどに大別されますが、代表作のひとつ『妖説太閤記』のように、忍法帖や明治ものに属さない時代小説も少なくないです。 没後20年に当たる2021年から生誕100年に当たる2022年にかけて、各社から風太郎作品が次々と復刊されていますが、ミステリーと忍法帖がほとんどであり、時代物の短篇は二十年以上も新刊で手に入らないものばかりです。 今回はそれらのうち、8作品を収録しました。
  • 哀愁新宿円舞曲 増補版
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    1950年代の新宿、青線地帯での男女の交わりを描いた人情話「娼婦の街」「歌舞伎町夜景」、日記や手紙で構成され思いもよらない結末で読ませるサスペンス「狂犬日記」「手紙の毒」他、様々な題材や形式を用いて、都会の街角で生きる人々の歓びと悲しみ、笑いを描いた鬼才・都筑道夫のエッセンスが詰まった幻の短篇集。2作品と日下三蔵氏の解説を加え、増補版として待望の文庫化。
  • 愛の装飾
    値引きあり
    -
    妻子ある男の巧みな罠に翻弄されながら、真実の愛を求めて生きる女性を描くロマン小説──建設会社の上司の技師長によって、順子は性の喜びを知る女になった。だがその上司は、汚職に関係しているらしい。旅先で自殺を図った同僚の妙子を救う、青年・桂との遭遇。順子の心は、いつしか彼に傾斜していく。愛と性の桎梏に悩んだすえ、上司と訣別、桂への愛を貫こうとする。装飾のない一途な愛を求める、若い女性を描いた力作。
  • 青い枯葉~昭和ミステリールネサンス~
    -
    大阪立売堀で機械器具の会社を営む橋田は、人生最大の危機に直面していた。20年をかけて築き上げた会社が詐欺にあい、倒産寸前にまで追い詰められていたのだ。もはや金策も尽き、旧知の同業者に、愛人の秘書・由美子を差し出すほかに道はなかったが……。男達の欲望の間で生きる薄幸な女を描いた表題作等、社会の歪みの中で蠢く人々の闇をあぶり出す傑作7編!!
  • 赤い猫 ──ミステリ短篇傑作選
    3.7
    「話相手の女性求む」という風変わりな求人に応募した多佳子は、無愛想な老婦人・郁の豪邸で住み込みで働くことになる。ある事件がきっかけで郁との距離が縮まった多佳子は、幼い頃に母が何者かに殺害されたことを郁に打ち明ける(表題作)。車椅子探偵の華麗な推理を描いて日本推理作家協会賞を受賞した表題作ほか、「日本のクリスティー」の珠玉の短篇を堪能できるオリジナル傑作選。
  • 悪意銀行
    -
    犯罪の芸術性を求め〈悪意銀行〉を設立した土方に、ある都市の市長暗殺計画が舞い込む。それを知った近藤が現地に乗り込み黒幕を追いかけると――。幾重にも仕掛けられた罠とハイスピードな展開が織りなす怪作アクション小説。『紙の罠』に続くシリーズ第2弾。表題作他、同シリーズ中篇「ギャング予備校」、当時の貴重な解説、さらに編者による詳細な解題も収録した〈完全版〉。
  • 朝を待つ女
    -
    澄子を見たとたん、欲望が爆発した。なんのために、わしは生きてきたんや……。黒い肌に清潔さを匂わせ、妖しい魅力を発散する、アルサロの女。戦後の落し子という、暗く佗しい運命に訣別し、新しい朝を待ちながら、男を狂わせずにおかない「悪女」の肖像を描く表題作、ほか5編。黒岩重吾の才腕を示す、多彩な異色短編集。愛とサスペンス。
  • 明日なき巡礼たち
    値引きあり
    -
    おれを左遷したヤツはだれだ? 左遷を画策した「犯人」を追う、長編サスペンス。D薬品の有能なプロパーである立槍は、創業者会長の縁戚の娘と見合したが、愛人の存在を理由に破談の上、九州転任を命じられる。辞表を出した彼は、総会屋の部下になり、見えない敵に復讐を誓う……。サラリーマン社会に渦巻く、飽くなき人間の欲望と闘いを鮮やかに描く、サスペンス力作。
  • 天の川の太陽(上)
    4.4
    1~2巻1,257~1,485円 (税込)
    大化の改新のあと政権を保持する兄・天智天皇の都で、次第に疎外される皇太弟・大海人(おおしあま)皇子。悲運のなかで大海人の胸にたぎる想いは何か。額田王との灼熱の恋、鬱勃たる野心。古代日本を震撼させた未曾有の大乱の全貌を雄渾な筆致で活写する、小説壬申の乱。吉川英治文学賞受賞作。
  • アリバイ奪取 笹沢左保ミステリ短篇選
    3.5
    アリバイが消えたとき、笑うのは誰だ? 没後20年。「木枯し紋次郎」だけじゃない、ミステリ作家の面目躍如。本格推理から、サスペンス、そして著者の真骨頂たる宿命小説まで、バラエティに富んだ作品8篇をセレクトする。 *収録作品 殺してやりたい 十五年は長すぎる お嫁にゆけない 第三の被害者 不安な証言 鏡のない部屋 アリバイ奪取 「笹沢左保君の活動ぶりはまことに驚異である。ここに集録されている作品などは笹沢君の実力を示すものであろう。「鏡のない部屋」は醜女の悲劇を扱った傑作だ(中略)。それにしても笹沢君の力量は、はかり知れないものがある。現在、推理作家中、最も多作をしているようだが、それでいて、駄作が見当らないから敬服のほかはない。」(『鏡のない部屋』〈宝石社、1963年〉に寄せた江戸川乱歩のコメント)
  • あるフィルムの背景 ──ミステリ短篇傑作選
    4.2
    検察が押収したわいせつ図画販売罪の証拠品、その中のフィルムの映像に妻と似た女性の姿を見つけた検察官の笹田は独自調査に乗り出すが、たどり着いたのは思いもよらない残酷な真相だった(表題作)。普通の人々が歪んだ事件を引き起こす恐ろしさと悲しみを巧みに描き、読者の予想を裏切る驚愕の結末を鮮やかに提示する。昭和の名手の妙技を堪能できる、文庫オリジナルの短篇傑作選。
  • 石に咲く花
    -
    カメラマンの国立敏夫は、ヨーロッパの裏町を写しまわり、強引な売りこみで海外で成功していた。日本を思い出させるものといえば、離婚した妻との間の娘・江利の面影だけだ。孤独なパリでのひとり暮らしをなぐさめるのは、娼婦のミレーヌ……。 女と夜を描き、現代のエゴイズムを鋭く抉る自選傑作集。
  • 一日未亡人
    値引きあり
    -
    月に一日だけ、仕事とも家庭とも縁を切って、のんびりしたい――この夫の提案を、妻は諒承したはずだったが、やがて疑惑がめばえ、それはしだいにふくれあがっていく。企業の最前線に立つ夫と平穏な家庭内にいる妻との人間関係を追求した表題作。ほかに、ビジネスマンの愛と欲望と挫折をミステリアスに描いた7編を収録。
  • 磐舟の光芒(上)
    値引きあり
    3.7
    六世紀も終わりに近づいたころの大和では、神祗派の大連物部守屋(おおむらじもののべのもりや)と崇仏派の大臣蘇我馬子(おおおみそがのうまこ)の二人が敏達大王(びだつおおきみ)を中心にして対峙していた。武勇の氏族の長(おさ)たる守屋は、年長で知謀に長(た)けた馬子と話すとつい興奮し、本音を吐いてしまう恨みがあった。二人の対決は次第に熱を帯びていく。雄大な古代史ロマンの巨篇!
  • 潮の墓標
    -
    愛の破滅と再生を描く海洋サスペンスロマン。紀淡海峡へクルーザーで出た社長に専務が隠していた牙をむき出し、狂暴な態度で襲いかかった。荘厳な海上で展開する男女五人の劇的な二日間を壮麗な筆致で描く。
  • 海野十三集 三人の双生児 ―怪奇探偵小説傑作選5
    4.0
    日本SFの元祖・海野十三。理科系作家がその新しい知識を駆使して生み出す奇ッ怪で新鮮な物語に、昭和の科学少年たちは胸を躍らせた。赤外線、テレヴィジョン、超音波に電気風呂―。エログロ・ナンセンスにみちた初期の作品から戦時下の緊迫した空気を伝える異色作まで、鬼才が遺した多彩な推理小説を収める。
  • 江戸川乱歩全短篇(1)――本格推理(1)
    4.1
    1~3巻1,210~1,375円 (税込)
    日本のミステリーの基礎を築いた巨人、江戸川乱歩のすべての短編を網羅する全3冊。エンターテイメントとしては異例の、数10年という長きにわたって読み継がれてきた名作が一気に愉しめる。各巻に著者自身による作品解説つき。本巻は処女作『二銭銅貨』や明智小五郎の初登場作品『D坂の殺人事件』など、謎解き・本格もののなかから100枚以内のものを中心に収録した。
  • 江戸城心中
    -
    徳川将軍・吉宗の信任も厚い江戸町奉行・大岡越前守忠相。名奉行と名高い越前は密貿易船を追うが、さらに彼を悩ます怪人が現れた……。絶対的に面白い、吉川英治初期時代伝奇作品、復刊第二弾! ※本書は、昭和五十八年三月に刊行された『吉川英治全集7 牢獄の花嫁 江戸城心中』(講談社)を底本としました。
  • 岡本綺堂集 青蛙堂鬼談 ―怪奇探偵小説傑作選1
    4.8
    絶妙な筆致で読者を魅了する岡本綺堂。その代表作「青蛙堂鬼談」シリーズをはじめとする怪談の数々を収録する。綺堂が愛した江戸情緒や、農村、湯治場、戦場など、今や失われた風景のなかで、この世に残る未練・愛憎・因縁が引き起こす、恐しい出来事が、人びとの心に哀しくひびく――。
  • 大人になる時
    4.3
    世界が一変する短篇集――。 ひとつの言葉で、たった一行で、世界が変わる。 怖さと楽しさが詰まった初収録+新作2篇のSF&ホラー短篇集。 * * * * * * * * 「誰でも、大人になるんだよね」――息子のなにげないひと言が少年時代の不可思議な記憶の扉を開く表題作、死ぬ快感を味わうために高層ビルから飛び降りる若者たちを描いた「スカイダイブ」、辞書に載っていない言葉を発すると捕まるディストピアが舞台の「ハパンサペナ」、料理の味でしかコミュニケーションを取れなくなった妻とその身勝手な夫の物語「妻の味」などの未収録短篇に加え、「バディ」「ワクチン」の新作2篇を収録した、キレた発想とキレた結末満載のキレキレのSF&ホラー短篇集。 【収録内容】 「スタート・ピストル」 「スカイダイブ」 「大酋長」 「ハパンサペナ」 「顔」 「大人になる時」 「犬のプレゼント」 「自分殺し」 「妻の味」 「皮まで愛して」 「バディ」(新作書き下ろし) 「ワクチン」(新作書き下ろし)
  • 怪奇小説集 蜘蛛
    4.0
    1~3巻792~858円 (税込)
    深夜胸をしめつけられるような息苦しさに襲われたルーアンのホテル、真夜中の階段を登っていく何者かの足音が聞こえるリヨンの学生寮、三浦朱門とともにうなだれた人影を見てしまった熱海の旅館――3つの怪現象をつづる「三つの幽霊」。6月の雨の中、夜道を疾走するタクシーで、どこか違和感のある運転手が突然話し始めた奇妙な話とラストに震撼する「蜘蛛」、夫に殺される予知夢におびえる女性を襲う、ある恐ろしい出来事を描く「霧の中の声」など。「人一番怖がりだった」ことで有名な著者が贈る、世にも不思議な、背筋が凍り付く14話の恐怖譚。
  • 影絵の街にて
    4.0
    不思議に、ぎゅっと、掴まれる * * * * * * * * 時間に追われる久子に老人が渡したのは、時間を操れる時計。時を止めておおいに自由を満喫する久子だったが……。 影絵の街に囚われた大学生を描く表題作ほか、文庫初収録となる『季節のお話』『ちいさなおはなし』全話に加え、「センチメンタル・ジャーニイ」、<チグリスとユーフラテス>外伝「馬場さゆり」「あした」、野球SF「阪神が、勝ってしまった。」などの未収録短篇もふくめた、楽しくて、たまにドキッとさせられる作品集。
  • 影を燃やせ
    -
    恋人のまりが、殺された。いまや、美しい思い出となった、たった一夜の契り。夜の紳士・宝木は、恋人に対する愛と犯人への怒りに燃えて、自力捜査を決意する。彼の危険をおそれぬ追及で、事件の輪郭は、徐々にあらわにされる。悪徳と情欲の渦まく大都会を舞台に、女を縛る謎のフィルムをめぐって展開する、ハードボイルド推理。
  • 火葬国風景
    3.7
    銭湯で起きた殺人事件の謎を解く、デビュー作の本格ミステリ「電気風呂の怪死事件」。夜の新宿で男が死んだはずの友人とすれ違ったことに端を発する、幻想的な冒険譚「火葬国風景」。“音楽浴”によって国民を洗脳・支配する独裁国が辿った、皮肉な末路を描く歴史的名作「十八時の音楽浴」。幼少時に離れ離れになった同胞を探す娘の、数奇な探偵行を綴る「三人の双生児」など、唯一無二の奇想に彩られた11編と、作品の背景が語られる珠玉のエッセイを収録。日本SFの先駆者にして、科学知識に基づいた作品を描いた著者の真髄を示す傑作短編集。
  • 紙の罠
    4.0
    紙幣印刷用紙が輸送中のトラックから強奪された。犯人は紙幣贋造を狙ったのだろう。そんな計画を察知した近藤庸三は贋造に必要な“製版の名人”の身柄を押さえ、紙強奪犯へ引き渡す取引を思い立つ。しかし、同じ企みを持つ土方と沖田、さらに強奪犯の一味も動き出していた……。二転三転する物語の“結末”は完全に予測不能。奇想天外アクション小説が遂に復活。シリーズ続編「NG作戦」併録。
  • 合作探偵小説コレクション1五階の窓/江川蘭子
    4.0
    1~3巻2,750円 (税込)
    昭和のミステリ黄金期を彩った豪華執筆陣・約80名による60作品以上を網羅、全8巻。入手困難な作品、対談資料も収録。
  • キスギショウジ氏の生活と意見
    4.0
    移動する都市、呪いを飼う男、新聞蝶、裁判にかけられる神、駅のトイレの秘密―― 意外な結末満載。短篇SFの匠(たくみ)の全篇初収録+書き下ろし作品集 あらゆるジャンルの面白い短篇が入っている本。 移動し続ける都市で家を見失った男「十五パズル」などのSF。 別れさせる呪いを“飼った”男が味わう恐怖「お別れ」などのホラー。 神が人間たちに裁判にかけられる「公聴会」、 駅のトイレの開かずの扉の秘密「キスギショウジ氏の生活と意見」などの奇妙な味の話。 “新聞蝶”を探す少年が早朝に不思議な冒険をする「お父さんの新聞」などのファンタジー。 愕然とするダイイングメッセージの真実「OEの謎」はミステリ。 最初のページから最後のページまで、 奇想天外なアイデアと意外な結末が詰まった全篇初収録+書き下ろしの十九篇。 SFを知らないひとにもマニアにも絶対おすすめの一冊。
  • 吸血鬼飼育法 完全版
    3.6
    渋谷宮益坂に怪しげな事務所「faa」を構え、所長かつ唯一の所員でもある“一匹狼”片岡直次郎は、警察に頼めないトラブルの収集屋。警官隊の包囲から殺人犯を脱出させる方法やエレベーターで人質にされた少女の救出まで、どんな無理難題も見事に(時には思わぬ手段で)解決する。予測不能な結末必至の活劇連作が、編者の詳細な解説や入手困難な原型となった作品を加え“完全版”として復活。
  • くらげ色の蜜月
    4.3
    倫理もなく、理屈もない。奇妙な出来事が、ただそこにある――。 初々しい新婚夫婦。しかしふたりは、たがいに秘密を抱えていた。そして男はなぜ新婚旅行先に忌まわしい思い出が残る旅館を選んだのか。旧い結婚観が招いた悲哀劇(表題作)。 新発見の感染症の手がかりを追う保健所の職員は歪んだ虹色の世界を覗き見る(「蟻の塔」)。 アメリカで妊娠した修道女は、日本で病床にある教主とのあいだにできた御子だと主張するが……。果たして、彼女が語るのは奇蹟か幻想か(「聖女」)。 女の生涯には、常に蟻が這い回っていた(「蟻の声」)。 光に眩み、闇に溺れる。罪を犯して贖いて、果てに待つのはおぞましくも美しき混沌の世界。地獄極楽板一枚。ただひたすらに、酔え、惑え。 文庫初収録三篇を含む、江戸川乱歩賞作家円熟期の短篇集。
  • グリーン車の子供
    3.9
    7年ぶりに、「盛綱陣屋」の微妙役への出演依頼があった老歌舞伎俳優・中村雅楽。しかし、雅楽は子役の配役が気にいらず、出演をなかなか快諾しない。そんな中、法要のため大阪を訪れた雅楽は、友人の竹野記者とともに帰京する新幹線のグリーン車で、一人の幼い少女と隣同士になる。東京へ到着する直前に「陣屋」への出演を決意した理由とは? 《中村雅楽探偵全集》第二巻は、第29回日本推理作家協会賞を受賞した「グリーン車の子供」を含む全18編。日本推理作家協会賞受賞時の著者の言葉など、資料も併録。【収録作】「ラッキー・シート」/「写真のすすめ」/「密室の鎧」/「一人二役」/「ラスト・シーン」/「臨時停留所」/「隣家の消息」/「美少年の死」/「八人目の寺子」/「句会の短冊」/「虎の巻紛失」/「三人目の権八」/「西の桟敷」/「光源氏の醜聞」/「襲名の扇子」/「グリーン車の子供」/「日本のミミ」/「妹の縁談」/徳間ノベルズ版『グリーン車の子供』 あとがき=戸板康二/受賞の言葉=戸板康二/創元推理文庫版解題=日下三蔵
  • 訣別の時
    -
    酒と相場と男と女 黒岩文学の原点がここに! 荒廃の青春を生きた著者の魂の叫びと明日への希求を描く自伝的小説──昭和23年、株式ブームの渦中にあった大阪・北浜で、相場の変動に我が身をすり減らす若者たち。華麗な虹を夢見たり、暗黒の深淵をのぞき見しながら、緊張の果てにたどりつく、酒と女の夜。荒廃の日々から得たものは、創作への決意だった。作家・黒岩重吾の原点を形成した動乱の時代と魂の叫びを描く、自伝的長編小説。
  • 劇場の迷子
    4.3
    「千駄ケ谷の小父さん」と、敬愛の念を抱いて訪ねてくる後輩役者や竹野記者が持ち込む、様々な謎を解いてみせる老歌舞伎俳優・中村雅楽。長い人生経験、舞台経験に裏打ちされた老優の推理力は、その芸に劣らず一流で、歌舞伎の世界で起る難問を芸道指南よろしく、鮮やかにそして優雅に解決していく。歌舞伎座で迷子になった、能楽師の一人息子が巻き込まれた事件を描く「劇場の迷子」をはじめ、女形と舞踊家の弟子との恋模様にまつわる「家元の女弟子」、著者最晩年の作品「演劇史異聞」に加え、単行本未収録作「元天才少女」「留め男」「むかしの弟子」など滋味ある謎解き全28編。【収録作】「日曜日のアリバイ」/「灰」/「元天才少女」/「なつかしい旧悪」/「祖母の秘密」/「弁当の照焼」/「銀ブラ」/「不正行為」/「写真の若武者」/「機嫌の悪い役」/「いつものボックス」/「劇場の迷子」/「必死の声」/「芸談の実験」/「かなしい御曹司」/「家元の女弟子」/「京美人の顔」/「女形の愛人」/「一日がわり」/「荒療治」/「市松の絆纏」/「二つの縁談」/「おとむじり」/「油絵の美少女」/「赤いネクタイ」/「留め男」/「むかしの弟子」/「演劇史異聞」/講談社版『劇場の迷子』 後記=戸板康二/創元推理文庫版編者解題=日下三蔵
  • 月下の蘭/殺人はちょっと面倒
    3.0
    温室での洋蘭の栽培に全身全霊を捧げる美しい義姉。彼女が育てる人面花を巡る悲劇と戦慄の真相を描いた表題作ほか、花・星・蟲・鳥を題材として、幽玄の世界のうちに技巧を尽くした傑作ミステリ短篇集『月下の蘭』。かつて公安警察の鬼と呼ばれた盲目の老人と、彼の愛娘が伴った謎の客との会話が思わぬ過去を暴き出す「夜のジャスミン」ほか、男女の愛憎を中心に据え、鮮やかなツイストで読者を唸らせる『殺人はちょっと面倒』。幻の2冊を合本にて贈る。『血の季節』『弁護側の証人』など大胆な仕掛けで世を驚倒せしめた著者が、歌舞伎、能楽などの古典芸能をモチーフとした8篇を収録。【収録作】『月下の蘭』「月下の蘭――春は花」「残酷なオルフェ――夏は星」「宵闇の彼方より――秋は蟲」「ロドルフ大公の恋人――冬は鳥」/『殺人はちょっと面倒』「ラヴ・ホテル〈瀧〉にて」「殺人はちょっと面倒」「夜のジャスミン」「空白の研究 A Study in Blank」/『月下の蘭』初刊本あとがき/編者解題=日下三蔵
  • 木枯しの手帳
    -
    手垢で光った古い手帳を眺めていると、何かを訴え蠢(うご)めいているように見えた。昔つき合っていた女たちの電話番号が、思い出して欲しい、といっている。その中に沙耶子という女がいた。ある夜突然、女の名が甦る事件が起きた(表題作)。 人生の断面を鋭く切り取った黒岩文学の原点ともいえる珠玉のアンソロジー。
  • 古代史を解く九つの謎
    3.0
    古代史が多くの人々を魅了してやまない理由――それは、発掘による新たな発見がさらなる謎を呼び、その正体がまた謎を呼ぶからである。本書は、ロマン溢れる古代に思いを馳せてやまなかった古代史小説の第一人者・黒岩重吾が、ダイナミックな古代日本の謎に、大胆に迫ったものである。「銅鐸発見が物語る“出雲神話”のルーツとは」「大和王権はいかに成立したのか」「“任那日本府”は実在したのか」「鉄剣から浮かびあがる英雄ヤマトタケルの真の姿とは」「大化改新が起こった本当の理由とは」……など、三世紀から七世紀にかけて残存する、古代史のなかでも最もミステリアスとされる九つの謎を、精緻な推理と奔放なイマジネーションで解明していく。独自の歴史観をもつ著者ならではの仮説は、我々の想像を超えた、まさに古代史の常識を一変させるものであり、古代史ファンならずとも読んでおきたい一冊である。『謎が謎を呼ぶ古代を解く』を改題。
  • 古代日本への探険
    3.0
    1巻1,400円 (税込)
    物部氏の正体、藤ノ木古墳の被葬者、古代出雲の実像、継体大王の謎、聖徳太子の謎、藤原鎌足の謎、葛城氏の興隆と衰亡、古代統一国家の形成……いまだに解明されない古代史の8つの謎に、練達の作家が大胆に迫る。
  • 古代浪漫紀行 邪馬台国から大和王権への道
    値引きあり
    3.0
    高松塚古墳の壁画、出雲で出土した358本の銅剣、藤の木古墳、吉野ヶ里遺跡――このような発掘が相次いだにもかかわらず、古代史は相変わらず霧の中にある。古代史ブームの火付役であり、第一人者である巨匠が、曖昧模糊とした霧中に想像力の光を照射し、これまでの学説から1歩踏み込んだ、古代への浪漫紀行。
  • 仕事ください
    3.3
    あれ、なんか変だな……。 気づいたとき、あなたはすでに別世界。 奴隷を求めた男の前に現れた“奴”、哀切なる猫SFなど、現実と幻想の狭間に迷い込む傑作短篇集。 仕事仕事仕事ください……。意のままになる奴隷を求めた男の前に現れた“やつ”は仕事を求め続ける……。表題作ほか、不思議で哀切なる猫SF「ピーや」、恋人との会話がどんどん食い違ってゆく「信じていたい」、戦争の傷痕を異様な迫力で描く「酔えば戦場」などに加え、第一長篇『燃える傾斜』の原型となった「文明考」などの初期未収録作3篇を収録。 読めば世界がずれてくる、ぶれてくる。気づいたとき、あなたはすでに別世界。現実と幻想の狭間に迷い込む傑作短篇集。まずは一篇、踏み出してみませんか?
  • 静かな終末
    3.5
    やさしい口当たりと驚きの後味 最後に一篇、いかがですか? 初収録作品多数、日本SFの巨匠の知られざる傑作集 大きな戦争が起きて、どうやら世界は終わるらしい。 しかし、そんなニュースは流れない。戦争の噂はデマだったのだろうか……。 不気味な“日常”を描いた表題作ほか、 ムダをはぶき効率化を突きつめた企業の行く末「ムダを消せ!」、 クイズ番組に人生を賭けるクイズのプロたちの熱き戦い「テレビの人気者・クイズマン(人間百科事典)」など、未収録作品と未文庫化作品を多数収録。 いまなお突き刺さるアイデアと警鐘。 SF第一世代の巨匠による、やわらかな口当たりと驚きのコクが味わえる全五十篇。 お目覚めに、あるいは最後に一篇いかが? 作家活動最初期の十年間に眉村卓が発表したショートショートのうち、これまで著者の単行本または文庫本に一度も入ったことのない作品を中心に五十篇をまとめたのが、本書ということになる。未知のジャンル「SF」に賭けて若き日の作者が傾けた情熱の一端を、この一冊から感じていただけたなら、これに勝る喜びはない。 ――日下三蔵「編者解説」より 【収録作品一覧】 いやな話 名優たち われら人間家族 廃墟を見ました 大当り 誰か来て 行かないでくれ 応待マナー ムダを消せ! 委託訓練 面接テスト 忠実な社員 特権 夜中の仕事 のんびりしたい 土星のドライブ 家庭管理士頑張る 自動車強盗 ミス新年コンテスト 物質複製機 獲物 はねられた男 落武者 安物買い よくある話 動機 酔っちゃいなかった 晩秋 怨霊(おんりょう)地帯 敵は地球だ 虚空の花 最初の戦闘 最後の火星基地 防衛戦闘員 最終作戦 敵と味方と すれ違い 古都で 雑種 墓地 傾斜の中で あなたはまだ? 静かな終末 錆びた温室 タイミング テレビの人気者・クイズマン(人間百科事典) 100の顔を持つ男・デストロイヤー(破壊者) 電話 店 EXPO2000 『ながいながい午睡』あとがき(さんいち・ぶっくす)
  • 心斎橋幻想
    -
    堅実な生活設計を立て、誘惑に負けない決意を固めて、女ひとり、大都会での生活を始めたが……。という、聡明な娘の転落を、都会の非情さにからめて描いた、表題作。華やかなネオンの海で送る男と酒を相手の虚飾の日々。したたかに泳ぐ女、辛酸をなめる女、傷つく……。運命に翻弄される薄倖の女たちの哀歌をうたった8短編。
  • 新装版 古代史への旅
    4.0
    卑弥呼から天智・天武天皇まで。古代史小説の第一人者が「記紀」を読み込み、幅広く考古学の成果を踏まえて語る古代史案内の決定版!(講談社文庫)
  • 深夜の市長
    3.0
    昼とは全く別の姿を見せる真夜中の東京“大都市T”。奇怪な人々が闇に潜む不思議な都市を支配するのが、謎の老人・深夜の市長である。ある晩の殺人事件をきっかけに、彼の存在を知った僕。果たして深夜の市長の正体は? 傑作都市ミステリ「深夜の市長」。祖父とも思う資産家の老人が亡くなった後、少年が取った行動が予想外の事態を招く「仲々死なぬ彼奴」。人間の興奮をグラフにした“興奮曲線”によって、殺人犯を特定した博士が陥った悲劇を描く「キド効果」など珠玉の11編を収録。日本SFの先駆者にして唯一無二の奇想で彩る作品を描いた著者の真髄を示す、傑作ミステリ短編集。
  • 幕末妖人伝 時代短篇選集1
    4.4
    時代を超えた衝撃の名作短編を収録。 幕末から明治を舞台に描いた山田風太郎の名短編を、文芸評論家・日下三蔵氏の編により収録した短編集。大きく変わっていく激動期に、あるものは自らの意志を貫き、あるものは時代に翻弄される人生を送った。  無念流の免許皆伝の腕をもち、佐久間象山の下では、勝麟太郎とならぶ俊才と目されていた、立花久米蔵。蘭方の医者でもあり、妻は外国人の血を受け継いでいた。そんな彼が、黒船渡来で攘夷を唱える声に、異論を述べたことから悲劇が始まる、「ヤマトフの逃亡」。  火事のため、伝馬町の牢屋敷から囚人の切り放しがあり逃げてきた、高野長英の最後までを描く、「伝馬町から今晩は」。  ほか全七編。

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  • 城昌幸集 みすてりい ―怪奇探偵小説傑作選4
    3.0
    ショートショートの先駆者であり、怪奇探偵小説の分野で多くの掌編小説を残した城昌幸。小さな作品ひとつひとつに見られる驚くべき発想の奇抜さ、ときに詩的な雰囲気を漂わせる文章の流麗さから、江戸川乱歩をして「人生の怪奇を宝石のように拾い歩く詩人」と言わしめた作家の、自選傑作集「みすてりい」を中心に、魅力を網羅した一冊。
  • 砂の巣
    -
    夫婦のかすかな欲求不満に仕掛けられた甘美な罠は、しだいに獲物を追いつめる。巧みに仕組まれた汚職に巻きこまれ、家庭の崩壊を招く「砂の巣」。殺人事件に関わり、夫の秘密を知ってしまう妻。夫婦の破滅をミステリアスに描いた「煮えた欲情」。鋭く深い人間凝視で、欲望の魔力に蝕ばまれる悲劇を描出した、佳編2作。
  • 砂を這う蔦
    -
    東京で金をつくっては、パリで若い男と恋愛する、麻由子。アメリカ帰りのデザイナー・美香。銀座でクラブを経営する、真紀とまどか。女たちの生活は、自由で華やかだ。物語は、麻由子の5度めのパトロン探しから始まるのだが、華やかさの陰に滲む孤独を追って、人生の表裏を描く。ほかに、不気味な味の短編「木枯しの女」を併録。
  • 贅沢な被葬者
    -
    雪の降る夜、有川恭が経営するクラブに、矢川みどりと名乗る女がやってきた。彼女は、自殺した有川の恋人・大峯八重の友人らしい。有川は謎めいた彼女の美貌に惹かれはじめる。政財界の黒幕・有田川と関係のあるというみどりを追う有川は、正体不明の三人の男に襲われる。男女の交錯した愛をミステリアスに描く長編傑作。
  • 絶対惨酷博覧会 都筑道夫短篇コレクション
    -
    律儀な殺し屋、凄腕の諜報員、歩く死体、不法監禁からの脱出劇、ゆすりの肩がわり屋……小粋で洒落た犯罪小説の数々。入手困難な文庫初収録作品を中心におくる、都筑道夫短篇傑作選。
  • 太陽を這う
    -
    一枚の辞令が、エリート社員の人生をかえた。納得できぬ左遷に憤激した早見は、情報新聞に転職。復讐の鬼となって、配転の秘密を探る。暗躍する二人の謎めいた美女を追跡。早見は遂に、会社の致命的な秘密を握る――。大阪の鉄鋼業界を舞台に、巨大な資本力と一サラリーマンの欲望との激しい闘いを描いた、長編力作。
  • 丹夫人の化粧台 横溝正史怪奇探偵小説傑作選
    4.0
    美貌の丹夫人をめぐる決闘に敗れた初山は、「丹夫人の化粧台に気をつけろ」という言葉を残してこと切れる。勝者の高見は、丹夫人の化粧台の秘密を探り、恐るべき真相に辿り着き――。表題作他13篇を所収。
  • 大聖神
    3.8
    中村春吉は、みずからを五賃将軍と呼ぶ。 五賃将軍とは、汽車賃、船賃、宿賃、家賃、地賃を一切払わず旅を続ける者のことである 。 自転車世界一周無銭旅行を続ける中村春吉は、独逸を訪れた際に陸軍中佐から奇妙な依頼 を受ける。 大興安嶺の奥地へ向かった露西亜(ロシヤ)軍の目的を探ってほしいというのだ。 どうやら目的地は、黄金神像が眠り白い巨大な守護神がいると原住民から言われている山 らしいのだが……。 果たして今回、石峰省吾、雨宮志保と中村春吉をいかなる怪異が待ち受けるのか。 謎多きバンカラ快人の生涯を貴重な資料から読み解いた「自転車世界無銭旅行者 中村春 吉」を併録。
  • 第8監房
    3.5
    剣豪小説の大家として知られる著者は、現代もののミステリも多数残した。本書は表題作「第8監房」を筆頭に、主に1950年代に発表され現在は入手困難な短篇を集めたオリジナル作品集。東京の裏社会、スパイ工作、連続猟奇殺人、禁断の愛――巧みなストーリーテリングと衝撃の結末で贈る“狂気”ほとばしる作品群。幻の『盲目殺人事件』を完全収録し、日下三蔵氏による詳細な解説も併録。
  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿
    4.0
    蠱毒(こどく)の小説集 開けば毒に包まれ 読めば笑いと戦慄で震え…… 筒井康隆の小説は蠱毒である。 読めば強烈なショックを受け、その面白さに侵される。 巨大な権力を握った某国営放送の腐敗と恐怖を描き、 一読すれば受信料を払わずにはいられない「公共伏魔殿」、 諸事情によりここにはあらすじを書けないもうひとつの表題作「堕地獄仏法」、 ロボット記者たちに理路整然と問い詰められた政治家がパニックになり、 無茶苦茶な答弁をしてしまう「やぶれかぶれのオロ氏」、 大学生と予備校生の喧嘩が殺し合いにまで発展してしまう「慶安大変記」など初期傑作短篇16作を収録。 ひとの愚かさが変わらないかぎり、筒井康隆の小説は面白い。 つまり、筒井康隆の小説は永遠に面白いのである。 編者解説:日下三蔵 【収録作品一覧】 「いじめないで」(「NULL」10号/1964年1月) 「しゃっくり」(「SFマガジン」1965年1月号) 「群猫」(「別冊宝石」1963年9月号) 「チューリップ・チューリップ」(『東海道戦争』早川書房/1965年10月) 「うるさがた」(「SFマガジン」1965年5月号) 「やぶれかぶれのオロ氏」(「NULL」7号/1962年7月) 「堕地獄仏法」(「SFマガジン」1965年8月増刊号) 「時越半四郎」(「話の特集」1966年11月号) 「血と肉の愛情」(「メンズクラブ」1966年7月号) 「お玉熱演」(「話の特集」1966年6月号) 「慶安大変記」(「SFマガジン」1967年10月号) 「公共伏魔殿」(「SFマガジン」1967年6月号) 「旅」(「SFマガジン」1968年2月号) 「一万二千粒の錠剤」(「週刊プレイボーイ」1967年8月15日号) 「懲戒の部屋」(「小説現代」68年6月号) 「色眼鏡の狂詩曲」(「小説現代」1968年4月号) あとがき(『東海道戦争』ハヤカワ・SF・シリーズ)
  • 團十郎切腹事件
    3.9
    江戸川乱歩に見いだされ、旧「宝石」誌に掲載された「車引殺人事件」にはじまる、老歌舞伎役者・中村雅楽の推理譚。複雑な人間模様の歌舞伎界、芸能界を中心に起こる様々な事件や謎を竹野記者が持ち込むや、鮮やかに解き明かす。美しい立女形の失踪事件を解決する「立女形失踪事件」。旅先の旅館で自刃を遂げた八代目市川團十郎の謎を読み解く、第42回直木賞受賞作「團十郎切腹事件」など全18編。立風書房版作品ノートをはじめ、講談社文庫版後記なども併録。ミステリ史に燦然と輝く、中村雅楽の名推理の数々を完全収録する《中村雅楽探偵全集》堂々開幕!【収録作】「車引殺人事件」/「尊像紛失事件」/「立女形失踪事件」/「等々力座殺人事件」/「松王丸変死事件」/「盲女殺人事件」/「ノラ失踪事件」/「團十郎切腹事件」/「六スタ殺人事件」/「不当な解雇」/「奈落殺人事件」/「八重歯の女」/「死んでもCM」/「ほくろの男」/「ある絵解き」/「滝に誘う女」/「加納座実説」/「文士劇と蠅の話」/河出書房新社版『車引殺人事件』 序=江戸川乱歩/旧「宝石」所収各編解説=江戸川乱歩/立風書房版『團十郎切腹事件』 作品ノート=戸板康二/立風書房版『奈落殺人事件』 作品ノート=戸板康二/講談社文庫版『團十郎切腹事件』 後記=戸板康二/創元推理文庫版編者解題=日下三蔵
  • 筒井康隆エッセイ集成1 SFを追って
    -
    巨匠・筒井康隆、SFや創作をめぐるエッセイを集成 時代を超えて読み継がれる数々の傑作を生み出してきた筒井康隆はエッセイの名手でもあった。昭和期に発表された、あまたの雑誌・新聞などに掲載されてきた筒井康隆によるエッセイの数々を、アンソロジスト・日下三蔵の編集によって2巻本で集成する豪華企画!
  • 筒井康隆、自作を語る
    4.3
    日本SFの黎明期における同人誌〈NULL〉の創刊と、その掲載作「お助け」が江戸川乱歩に発見されての商業デビュー。『時をかける少女』などのヒットや「浸透と拡散の時代」を経て、エンタメ小説黄金期における大活躍と断筆宣言。そして日本文学界の大家となり「最後の長篇」の執筆に至るまで――半世紀を超える作家生活を自ら語り明かして第50回星雲賞を受賞した豪華インタビュー集、新規対談を加えて待望の文庫化。
  • 天風の彩王(上)藤原不比等
    4.0
    不遇から甦った男の知謀と野望! 天皇に疎(うと)まれながらも不屈に生きる、中臣鎌足の子・不比等の凄烈な生涯――天智天皇と中臣鎌足(なかとみのかまたり)が築いた近江朝は、壬申の乱により大海人皇子(おおあまのみこ、後の天武天皇)に倒される。鎌足の子・不比等(ふひと)は山科で戦乱を逃れたが、中臣氏を疎む天武天皇は、不比等に出世の機会を与えなかった。だが彼は、知謀と強運を武器に昇進をとげ、律令国家の基礎を作っていく。古代史小説の第一人者が描く、凄烈な男の実像。<上下巻>
  • 飛田残月
    -
    飛田の旅館に出入りする私は、かつて亭主といきさつのあった娼婦・芳子と一晩をともにするが、そこで泥沼から這い上がろうとする女の狂おしくも悲しい復讐心にふれ――(「飛田残月」)。過去を秘めながら雑草のように身を寄せ合い生きる娼館の女たち。水面下で互いを守ろうとする静かな想いの正体は……(「雑草の宿」)。酷薄さとやさしさの溶けあう筆致で淪落の者たちへの愛を描き切った、直木賞作家による傑作8篇。
  • 飛田ホテル
    3.7
    社会の落伍者が集まるアパート「飛田ホテル」。刑期を終えたヤクザ者の有池が戻ると待っているはずの妻がいない。有池は妻の足取りを追うが、思いもよらなかった彼女の姿を知ることになる(表題作)。昭和の大阪、光の当たらない暗がりで悲しく交わる男女の情と性。自身も大阪のどん底を経験した直木賞作家が「人間の性」を抉り出す、傑作ミステリ短篇集。
  • どぼらや人生
    -
    儲けた株の大暴落と小児麻痺罹病で陥った、どん底生活。釜ケ崎での、その日暮し。占い商売でみた客の、数奇な人生。キャバレー勤めで見聞した、ホステスの哀歓――社会の底辺にいて、その生存を脅かされる人々と生活をともにしながら、小説家をめざす強固な意志と執念で、苦境を脱出した著者の、苦難時代の体験記である。
  • 中大兄皇子伝 上
    値引きあり
    3.8
    若き皇子、革命に燃ゆ。ほとばしる情熱と欲望を見よ! ――吾(われ)の裡(うち)には、鬼が棲みついている! 新しい律令国家を建設するために必要なことは「革命」。それを邪魔する者は、心を鬼にして殺さなければならない、と、若き皇子は、蘇我入鹿の首に刀を突き刺した……。数々の禁忌を打ち破り、大化の改新の立役者となった中大兄皇子。その常人離れした野望を描いた歴史大作。<上下巻>
  • 長くて短い一年 ──山川方夫ショートショート集成
    3.5
    将来を嘱望されながらも34歳で亡くなった夭折の天才・山川方夫のショートショートを日下三蔵によって集成するオリジナル・コレクション第2弾。第2ショートショート集『長くて短い一年』、「EQMM」連載のエッセイをまとめた『トコという男』を完全収録。全集からも漏れていた未刊行作品2篇を加えてこの分野における成果を一望できる決定版作品集。小林信彦による「山川方夫のこと」も特別収録。
  • 西成海道ホテル
    -
    釜ヶ崎に接する西成海道町。かつては人間的な体臭に満ち、庶民の哀歓が溢れていた街は、今やその面影を失い、陰湿な街に変貌していた。一時、この街に落魄の身を寄せていた著者が、現地取材し、古ぼけたアパートの住人を中心に、愛憎にうごめく底辺社会の人間像を活写。失われたものへの愛惜をこめて描いた力作。
  • 西成山王ホテル
    3.0
    片足に障碍を持ちながら山王町で水商売をする澄江は年下で喘息持ちの高井と心を通わせるが、西成で生きる人々の業がふたりに悲劇をもたらす(「湿った底に」)。裕福な家に育ち空虚な人生を送っていた青年と夜の街で奔放に踊る女性。互いに惹かれあいながらもすれ違う男女の行方(「落葉の炎」)。「魂の観察者」と称された作家が大阪西成を舞台に描く傑作短篇集。
  • 西成涙通りに舞う
    値引きあり
    -
    ドヤ街に住む男女の、たくましい生き方を描く、傑作短編集。西成の遊戯場に勤める八城は、別れた妻・広美を探すため、キャバレーに通ううち、妻にそっくりの女・奈緒子に会った。八城は、やもめ暮らしの自分の部屋に、奈緒子を誘うが、トイレから出た彼女は、八城の顔を見て大声で悲鳴を上げる。奈緒子の隠された秘密とは……。という表題作ほか5編を収録。人生の谷間に垣間見た、男の地獄と女の業。
  • 日露戦争秘話 西郷隆盛を救出せよ
    3.7
    西郷隆盛、生存確認! 勅命を受けた中村春吉はシベリアへ向かう!! 極寒の地で快男児を待ち受けるは恐ろしき猛獣共と骸骨監獄、幽霊監獄! 西郷隆盛、生存確認! その吉報を受けた明治天皇は、すぐさま西郷救出の勅命を下す。シベリアの奥深くに囚われているという、かの豪傑を助け出すのは常人には不可能である。そこで白羽の矢が立ったのがバンカラの権化のような男、我らが中村春吉である。しかし、シベリアで彼を待ち受けるのは、恐ろしき猛獣たちと骸骨監獄、幽霊監獄――。果たして中村春吉は、幽閉の身となっている西郷隆盛を救出できるのか!? シリーズ最終作、ここに文庫化。 エッセイ「中村春吉波瀾の人生」、未収録短篇4篇を併録。
  • 日本SF傑作選5 光瀬龍 スペースマン/東キャナル文書
    4.6
    「無の障壁」「勇者還る」など初期宇宙SFの傑作から「アマゾン砂漠」「火星人の道」など東キャナル市連作まで全15篇を収録。
  • 日本SF傑作選3 眉村卓 下級アイデアマン/還らざる空
    4.7
    現代日本SF誕生から60周年を記念して、第一世代作家6人の傑作選を日下三蔵の編集により刊行するシリーズ。第3弾は眉村卓。収録作は「下級アイデアマン」「悪夢と移民」「正接曲線」「使節」ほか。
  • 日本SF傑作選2 小松左京 神への長い道/継ぐのは誰か?
    4.0
    「地には平和を」「時の顔」「紙か髪か」「御先祖様万歳」「お召し」「物体O」「神への長い道」『継ぐのは誰か?』の全8篇を収録する作品集。
  • クラシック リバイバル 日本名城紀行1
    -
    文豪たちが描いた日本の「名城紀行」が復刊。 1977~78年に小学館より発刊された「探訪日本の城」シリーズに掲載された作家の紀行文の復刊。 第1巻は森敦、藤沢周平、円地文子、杉浦明平、飯沢匡、永岡慶之助、奈良本辰也、北畠八穂、杉森久英の9名の文豪たちが個性豊かに描く日本各地の名城紀行である。 視点も作家により様々で、ガイドブックとはひと味もふた味も異なる城案内。史料をベースにまとめる作家もいれば、自分や家族とのかかわりから展開していく作家もいて、実にバラエティに富んでおり、時間が経っても色あせない名文揃いで、城マニアにもお勧めの一冊。
  • 人間を売る(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    友人に紹介された津野木の助力を得て、斎田章子は女実業家に転身した。野心家の男たちに伍して燃えあがる熱意と自信。その美貌と魅惑的な肉体を武器に販路を拡張していく。一方、酷薄で計算高い津野木は、ある陰謀を胸に秘め、協力者の面をかぶって章子を煽る。章子は津野木の思いどおりに変貌していくのだが……。<上下巻>
  • 法水麟太郎全短篇
    3.0
    日本探偵小説界の鬼才・小栗虫太郎が生んだ、あの『黒死館殺人事件』で活躍する名探偵・法水麟太郎。老住職の奇怪な死の謎を鮮やかに解決する初登場作「後光殺人事件」より全短篇を収録。
  • 背徳のメス
    3.5
    大阪の施療院で、殺害未遂事件が起こった。被害者は、憑かれたように女をあさる、背徳産婦人科医だった。彼を憎み、うらむ者は多い。犯人追及の過程で浮び上がる、彼や容疑者たちの暗い過去……。戦争で青春を失い、宿命ともいえる業を背負って、吹き溜りにうごめく、人間の生きざまを描いた、社会派ミステリー。直木賞受賞作。
  • 蠅男
    3.5
    名探偵帆村荘六、再び帰還! 科学知識を駆使した奇想天外なミステリを描いた、日本SFの先駆者と称される海野十三。鬼才が生み出した名探偵が活躍する推理譚から、傑作集第二弾を精選して贈る。密室を自由に出入りし残虐な殺人を繰り返す、稀代の怪人・蠅男との対決を描く、代表作「蠅男」。行方不明者を捜すために訪れた、奇妙な形の洋館。在原業平の句にちなんだ館に秘められた、恐るべき秘密を暴く「千早館の迷路」。三十年後の近未来を舞台に、謎の男につきまとわれる婦人の依頼から、ある犯罪を突き止める「断層顔」など、5編を収録する。
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 西戦の巻(上)
    4.3
    1~2巻616円 (税込)
    大和王朝の王子であり、勇猛にして心優しき英雄、倭男具那。彼は女王・倭姫王の託宣に従い、熊襲と呼ばれ、九州で猛威をふるう狗奴国との戦いに出陣することを決心する。西を目指す男具那、その途には、狗奴国の勢力の北上にともなって各地で蜂起する賊たちが立ちはだかる。そして、女人剣士・羽女らを軍に加え、宇沙地方を跋扈する賊・鼻垂との壮絶な戦の幕は開いた――。日本最古の英雄、ヤマトタケルの生涯を描く歴史叙事詩、待望の第二弾!
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 終焉の巻
    5.0
    大和王権の権威を東国に示すため東征の旅の途にある倭建(ヤマトタケル)は、駿河を従え、最大の目的地である毛野国に迫る。しかし房総半島に向かう途中、愛する妃・弟橘媛が海神の犠牲となって命を絶つ。弟橘媛の死と暗躍する大和の敵対勢力を前に、東征の意味を自問する建は、戦うことの無意味さを悟り、自分のために生きることを決意する。陸路、大和への帰路についた建を再び宮簀媛が待ち受けていた。再会は不幸の予兆となるのか? 黒岩重吾最大の古代史小説、遂に完結。
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 大和の巻
    4.6
    大和王朝の王子でありながら、権力よりも自由を求めて生きようとする若き英雄、倭男具那。重臣たちの人望を集めながらも、その勇猛さゆえに、父王、兄王子から疎まれ、王権を奪取しようとする士族たちに命を狙われる。台頭した大和王朝と、それに反発する士族たちの争いが繰り広げられる激動の四世紀末、数奇な宿命を背負い、ヤマトタケルの青春は幕を開けた――。血を分けた兄との確執と兄弟愛、刺客との壮絶な闘い、日本最古の英雄を描く壮大な歴史ロマン。
  • 白鳥の王子 ヤマトタケル 東征の巻(上)
    4.3
    1~2巻660円 (税込)
    九州の熊襲を征討した倭建(ヤマトタケル)は大和に戻った。愛する弟橘媛に若建が生まれ、しばし平穏な日々を送ったのも束の間、倭国統一を目指す父・オシロワケ王(景行帝)は、三輪王朝に服従しない東の国々を討つことを建に命じる。東征を前に、叔母で巫女王の倭姫王は、神宝の剣と、火打石、薬を授け、建を励ました。伊勢の朝日雷郎を平定し、尾張に入った建を、首長・音彦の娘で妖しい魅力を湛えた宮簀媛が迎える。日本最古の英雄を、雄渾な筆致で活写する壮大な歴史叙事詩第三弾
  • 箱の中のあなた ──山川方夫ショートショート集成
    3.8
    昭和30年代に星新一と都筑道夫が牽引したショートショートブームに純文学畑から参戦し強烈な存在感を示した山川方夫。交通事故死という不運に見舞われ活動期間こそ短かったものの、その作品は今なお多くの読者を惹きつけてやまない輝きを放つ。この分野での著者の成果を一望できる日下三蔵編集によるオリジナル・コレクション全2巻。第1巻は代表作“親しい友人たち”ほか41編を収録。
  • 花と骨群
    値引きあり
    -
    部下との浮気でノイローゼになった課長代理が入院。そこで、神経障害者や精神病患者たちの必死の形相にぶつかる。病いに蝕ばまれた心と体の苦悩と、〈健康な生〉への凄まじい執着を追った表題作。ほかに、「さ迷える魂」など、生きること、愛することの苦しみと悲しみを、極限に追いつめられた人間群像のうちに見た6編を収録。
  • 犯罪日誌
    -
    昭和中期の週刊誌創刊ブームの中、トップ屋(巻頭記事を担当するフリージャーナリスト)として活躍した著者は、1962年に話題となった経済小説『黒の試走車』以来、多種多様なジャンルの小説やルポルタージュを発表し人気作家となる。本書は、1960年代後半から文芸誌に発表されたサスペンス、犯罪ものを日下三蔵の編集で贈るオリジナル作品集。愛とエロスと欲望の中で繰り広げられる“復讐”の物語。
  • 獏鸚
    4.0
    科学知識を駆使した奇想天外なミステリを描き、日本SFの先駆者と称される海野十三。鬼才が産み出した名探偵・帆村荘六が活躍する推理譚から、精選した傑作を贈る。麻雀倶楽部での競技の最中、はからずも帆村の面前で仕掛けられた毒殺トリックに挑む「麻雀殺人事件」。身元不明の美女の轢死事件に端を発した、神出鬼没の怪人“赤外線男”との対決を描く「赤外線男」。異様な研究に没頭する夫の殺害を企てた、妻とその愛人に降りかかる悲劇を綴る怪作「俘囚」。密書の断片に記された暗号と、金満家の財産を巡って発生した殺人事件の謎を解く「獏鸚」など、10編を収録した決定版。
  • 久生十蘭集 ハムレット ―怪奇探偵小説傑作選3
    4.2
    現実と非現実のあわいの世界と人間の狂おしい心情を描く久生十蘭。その該博な知識と彫琢を凝らした世界の魅力を網羅した1冊。高等遊民の男と、非常な美しさをたたえた女性との数奇な運命を描いた「湖畔」「墓地展望亭」、戦後間もなく発表され代表作とされる「ハムレット」と、その原型となった「刺客」等14作品収録。
  • 緋の堕胎 ──ミステリ短篇傑作選
    4.0
    他の病院で断られたわけありの患者も引き受ける堕胎専門医、新興宗教にはまる妻、元患者の愛人、胎児の処理をさせられる書生……歪な病院で起きた患者の失踪の顛末(表題作)。新婚旅行初夜の新婦を襲う救いようのない悲劇(「ブラック・ハネムーン」)。めくるめく官能と幻想、常人の倫理を超えていく不条理と奇想によって独自の世界観を作り出す官能ミステリの女王の傑作をこの一冊に凝縮。
  • 開かない花
    -
    学生運動に熱中し、中小企業に就職後も労働運動をしてクビになり、会員制クラブのマネージャーになった津村の前に現われた悠子は、悲しい運命の女であった。男から男を転々としながら彼女が求めていたものは、いったい何であっただろう。美女の奇妙な行動に秘められた悲劇。両親から受けついだ自分の血を呪いながら……。という表題作など、傑作6編を収録。現代社会をたくましく生きる庶民の男と女のバイタリティを描いた、興味尽きない1冊。
  • ビショップ氏殺人事件 曽野綾子ミステリ傑作選
    3.5
    作家・曽野綾子の知られざる真価を示す、ミステリ作品集。殺人、犯罪、事件を題材とし、謎解き、犯人捜しの要素を含みつつも、人間心理、人生や運命の綾、明暗、日常に潜む恐怖を描く。いずれも1960年前後に集中的に書かれた作品群である。表題作は、『宝石』誌の編集に携わった江戸川乱歩がみずから依頼した経緯があり、しかも本格物。乱歩は本作を掲載できたことを「いささか自慢していいのではないかと思っている」と自讃している。 (収録作品) ビショップ氏殺人事件 華やかな手 消えない航跡 競売 人生の定年 佳人薄命
  • フェイス・ゼロ
    3.4
    内相紹介 ロボット学の表情工学(エクスプレツシヨン・エンジニアリング)を専攻する教授に、文楽の人形遣いであり人間国宝の吉田(よしだ)左衛門(さえもん)が依頼したのは、“無表情の表情”の首(かしら)の制作。 しかし、それはひとが目にしてはならない“顔(フエイス)”だったのだ――。 文楽を題材にしたSFミステリの表題作ほか、すべてがマニュアル化された巨大ハンバーガーチェーンの歯車が静かに狂いだす「メタロジカル・バーガー」など、 ジャンルの壁を超え、悠然と佇(たたず)む傑作短篇群がここに集結。全篇初収録。
  • 平成古書奇談
    3.3
    フリーライターをしながら作家を志す25歳の馬場浩一は、街の古書店、野沢書店に出入りしている。店主の野沢勝利と娘の玲子と懇意にしながら、趣味や仕事、執筆の資料として出会う古書を通じて不思議な事件や謎にぶつかる。古書マニアの著者が知る業界の事情を巧みに盛り込み、SF、ホラー、ファンタジーを横断する連作集。平成の隠れた古書ミステリが初書籍化。日下三蔵氏による編者解説も併録。
  • 法王の牙 病院サスペンス集
    3.0
    黒岩重吾生誕100年企画。「病院」「医療」を背景にした作品は、直木賞受賞作『背徳のメス』(長篇ミステリ)に代表される、黒岩重吾の初期作品の真骨頂。著者自身の戦争体験、戦後の小児麻痺による闘病を色濃く投影し、社会の底辺から、病院に巣くう権力構造、愛憎、欲望、人間の業を描き出す。ミステリ寄りの作品であっても、人間を描くところに妙味があり、また、関西舞台の作品にも味わいがある。以下6篇を収録。「病葉の踊り」「深夜の競走」「法王の牙」「さ迷える魂」「造花の値段」「最後の踊り」
  • 海王星市から来た男/縹渺譚
    5.0
    現代日本SFの黎明期に、いちはやく長編『光の塔』を発表し、その後も無尽の博識と自在な語り口でSF界に存在感を示した天才作家・今日泊亜蘭。奇妙な発端が思いもよらぬスケールの展開を見せる中・短品群の中でも、「縹渺譚(へをべをたむ)」「深森譚(しむしむたむ)」の連作は白眉である。片田舎の孤児が思い出の女性との再会を求めさすらう物語は、今日泊の空前の演出のもと、読者に忘れがたい余韻と感動をもたらすだろう。代表的な作品集2冊を合冊し、さらに書籍初収録となる2編を加えて贈る。【収録作】「ムムシュ王の墓」「奇妙な戦争」「海王星市から来た男」「綺幻燈玻璃繪噺」「縹渺譚――大利根絮二郎の奇妙な身ノ上話――」「深森譚――流山霧太郎の妖しき伝説――」「浮間の桜 怪賊緋の鷹物語」「笑わぬ目」「いはゆる「あとがき」について(『縹渺譚』あとがき=今日泊亜蘭)」「今日泊さんのこと(巻末エッセイ=山田正紀)」/編者解説=日下三蔵
  • マインド・イーター[完全版]
    3.9
    宇宙へ進出した人類に襲いかかったもの、それがマインド・イーター。ビッグ・バンの起こる前の宇宙の残滓であり、人間に対し悪意をもつ、数千の小天体の姿をした鉱物的存在である。M・E(マインド・イーター)は精神を食いちぎり、人間を完全に異質なものに変えてしまう。これをM・E症と呼ぶ。M・Eを破壊するため、連合はハンターと呼ばれるエリートを育成し宇宙へ送りつづけるが、その戦いは絶望的なものだった。そしてハンターがM・Eの顎(あぎと)に倒れると、いかに空間的に離れていようと、ハンターと精神的な結びつきの強い恋人や肉親までがM・E症を発症するのだ。日本SFの里程標的傑作を、シリーズ短篇を全作収録した完全版で贈る。

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  • 松風の記憶
    4.0
    巡業先の広島の古刹で変死した、歌舞伎俳優・浅尾当次。その報を竹野記者から受けた雅楽は、親友である当次の死に疑問を持つ。一方、女子高校生の仲宮ふみ子は、修学旅行で当次の亡くなった古刹を訪れていた。数年後、ふみ子は、当次の長男・当太郎と運命的に出会う――著者の初長編『松風の記憶』。美しい演出家未亡人と若き劇団員が絡み合う、劇団ツバメ座で起こったふしぎな事件の真相を、竹野記者の手記のみから雅楽が推理する『第三の演出者』。戸板康二が遺した雅楽もの長編を完全収録。資料も充実の《中村雅楽探偵全集》シリーズ最終巻。【収録作】「松風の記憶」/「第三の演出者」/中村雅楽エッセイ=戸板康二/徳間ノベルズ版『松風の記憶』 あとがき=戸板康二/講談社文庫版『松風の記憶』 後記=戸板康二/創元推理文庫版編者解題=日下三蔵
  • 幻への疾走
    -
    久保木は不当な人事から閑職におかれ、ある日突然、きな臭いにおいのする香港出張を命ぜられた。謎めいた女エリカと共に、連続殺人事件に巻き込まれた久保木は、己を守るため姿の見えない敵に立ち向かっていく。権力欲と巨大商社の裏金工作がからむ醜い関係を暴く長編ミステリー。
  • 密室殺人ありがとう ──ミステリ短篇傑作選
    -
    作家、翻訳家、エッセイスト、俳優など多岐にわたる活躍をし、「コミさん」の愛称とコミカルなキャラクターで知られる著者による文庫オリジナルのミステリ短篇集。1970年代から80年代初頭に文芸誌掲載のみで終わってしまった未書籍化の作品を多数発掘、日下三蔵氏の編集と詳細な解説とともに贈る。軽妙洒脱、独特の文体とリズムで描かれる“異色”ミステリを、初めて単著としてまとめた。
  • 見習い天使 完全版
    4.0
    小説の面白さを追求し続けた作家・佐野洋。人間の尽きることのない欲望を無駄のない描写とテンポのよい運びで読ませる物語は、古びることのない魅力を持つ。さらに、その全てには予想を裏切る結末も――。人間世界を見つめる“見習い天使”が全23篇の案内役を務める構成も洒落た連作ミステリが完全版で甦る。巻末には編者日下三蔵の詳細な解説に加え、星新一による解説も特別収録する。
  • 目黒の狂女
    3.3
    日常の謎ミステリの元祖ともよばれる、老歌舞伎俳優・中村雅楽探偵譚。歌舞伎界で起こった様々な事件や謎が持ち込まれると、雅楽は経験に裏打ちされた鋭い洞察力で鮮やかに絵解きをしてみせる。竹野記者の手記によって、雅楽が遭遇したあまたの事件の顛末が明かされていくシリーズ第3巻は、昭和50年代を中心とした作品群。竹野記者が目黒のバス停でつづけざまに出会った狂女にまつわる表題作「目黒の狂女」。なぜ淀君は逃げ延びなかったのかという、歴史に埋もれた謎を雅楽なりの解釈で解明していく「淀君の謎」など粒ぞろいの全23編を収録。【収録作】「かんざしの紋」/「淀君の謎」/「目黒の狂女」/「女友達」/「女形の災難」/「先代の鏡台」/「楽屋の蟹」/「お初さんの逮夜」/「むかしの写真」/「砂浜と少年」/「大使夫人の指輪」/「俳優祭」/「玄関の菊」/「梅の小枝」/「女形と香水」/「子役の病気」/「二枚目の虫歯」/「コロンボという犬」/「神かくし」/「芸養子」/「四番目の箱」/「窓際の支配人」/「木戸御免」/講談社版『目黒の狂女』 あとがき=戸板康二/講談社版『淀君の謎』 後記=戸板康二/創元推理文庫版編者解題=日下三蔵

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