ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
4pt
剣豪小説の大家として知られる著者は、現代もののミステリも多数残した。本書は表題作「第8監房」を筆頭に、主に1950年代に発表され現在は入手困難な短篇を集めたオリジナル作品集。東京の裏社会、スパイ工作、連続猟奇殺人、禁断の愛――巧みなストーリーテリングと衝撃の結末で贈る“狂気”ほとばしる作品群。幻の『盲目殺人事件』を完全収録し、日下三蔵氏による詳細な解説も併録。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
前半と『異常物語』の落ち穂拾いをやった後半(「日露戦争を起した女」以降)とでは雰囲気が違うのだが、前半の方が面白かったかな。その前半は昭和の邦画を思わせるストーリーテリングが楽しい。表題作の「第8監房」などはまるで日活のムードアクションだが、実際に日活で映画化されてたらしい。後半の『異常物語』は陰惨...続きを読むな話が続くのだが、前半は筋立てはともかく、雰囲気そのものは暗くなく、明朗な感じさえある。なんとなく意外。
・私は柴田錬三郎を知らない。いつもかういふことを書いてゐるのだが、実際に知らないのでかうとしか書けない。私は好き嫌ひが多い。 読む物も片寄つてゐる。作家も同様である。かつて私の眼中にシバレンはなかつた。ところが最近はいろいろな文庫が出る。海外の読みたいものがないので、今は昔の日本の作家でも読まうと思...続きを読むつた。さうしてたまたま買つたのが柴田錬三郎「第8監房」(ちくま文庫)であつた。本書所収の短編は昭和30年頃の作品である。同じ頃に例の「眠狂四郎」も始まつた。本書はそれとは全く違ふ作品集で、「昭和二十年代以前には、時代小説は数あるレパートリーのうちのひとつで、純文学から大衆小説、随筆、評論、少年少女向けの作品まで、柴田錬三郎は才気にまかせて多種多様なジャンルを手がけていた」(日下三蔵「編者解説」361頁)らし い。実際、本書にはフランスを舞台にした作品もある。時代小説の大家がこんなものをと思つてしまふ作品である。 他は大体時代が分かる作品、つまり、戦後が舞台になつている。本書はアンソロジーではあつても他を流用した「あとがき」を持ち、そこには、「小説ばかり書いていると、たまには、別の読物を書いてみたくなる衝動が起る。本書に収めた各篇は、折々に読みちらした材料をもとにして、私の勝手な潤色を加えたものばかりである。」(359 頁)とある。本書にこれがそのまま当たるのかどうか私には分からないが、編者がさう判断して本書の「あとがき」としたのである。たぶんそんな作品なのであらう。 ・そんな中で最も出来の良いのが表題作「第8監房」であらう。ごくかいつまんで言へば、場末のキャバレーの男女の因縁話とでもならうか。男は女の夫をルソン島で殺したのである。事情はあつても殺人は殺人といふことで、男は復員後、上官の妻を捜して遂に見つける。それがキャバレーの女であつた。ただし、男は何もできず、ただ遠くから見守るのみであつた。ある時、女にまとわりつく男が殺された。男は女の罪をかぶるが、その時、女は肺病で死の間際であつた。そこで第8監房から……といふ物語である。前半の罪をかぶるまではありさうな話なのだが、後半にな ると本当かと思つてしまひさうである。最後は「走れメロス」風でさへある。このやうな看守がゐるのも都合よすぎ る。これを「考えてみればシバレンの作品は、異常なシチュエーションや異常な心理を描くものばかり」(「編者解 説」367頁)だといふ一例にすぎないと考へればそれまでであらう。小説といふもの、大体が極めて都合よくできてゐる。都合よくないと物語にならない。これも男と女は良いとしても、看守がゐないとお話にならない。物語はそこで終はつてしまふ。そこでいささかの〈人情味〉をといふことでこの作品ができてゐる。他の作品とは違ふところである。これが表題作になれる所以であらう。巻頭の「平家部落の亡霊」はその題名からしてクレームがつきさうで ある。部落はいけない集落にせよと今なら言はれるはずである。大雨の中、バス故障により平家部落に避難した人達の物語である。ポイントは亡霊とは何かである。それは「現世にふたつとは存在しない凄惨な形相の怪物」(54 頁)と形容される。それ以前に「二十歳になった孫息子が、ある嵐の晩に云々」(29頁)とある。ただ、物語はこれだけに関はることはなく、といふよりこれは添へ物で、いくつかの小さなエピソードが集まつてをり、亡霊はその一つに過ぎない。タイトルに偽りありの如くで、何か中途半端な感じである。そんなわけで、時代や風俗が分かつて 面白いのだが、肝心の物語が今一つといふのが私の読後感であつた。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
第8監房
新刊情報をお知らせします。
柴田錬三郎
日下三蔵
フォロー機能について
「ちくま文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
お江戸日本橋(上)
剣と旗と城 剣の巻
三国志 英雄ここにあり(上)
柴錬三国志 英雄・生きるべきか死すべきか(上)
柴錬水滸伝 われら梁山泊の好漢(一)
新装版 顔十郎罷り通る(上)
レジェンド歴史時代小説 江戸っ子侍(上)
嗚呼 江戸城(上)
作者のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲第8監房 ページトップヘ