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江戸川乱歩に見いだされ、旧「宝石」誌に掲載された「車引殺人事件」にはじまる、老歌舞伎役者・中村雅楽の推理譚。複雑な人間模様の歌舞伎界、芸能界を中心に起こる様々な事件や謎を竹野記者が持ち込むや、鮮やかに解き明かす。美しい立女形の失踪事件を解決する「立女形失踪事件」。旅先の旅館で自刃を遂げた八代目市川團十郎の謎を読み解く、第42回直木賞受賞作「團十郎切腹事件」など全18編。立風書房版作品ノートをはじめ、講談社文庫版後記なども併録。ミステリ史に燦然と輝く、中村雅楽の名推理の数々を完全収録する《中村雅楽探偵全集》堂々開幕!【収録作】「車引殺人事件」/「尊像紛失事件」/「立女形失踪事件」/「等々力座殺人事件」/「松王丸変死事件」/「盲女殺人事件」/「ノラ失踪事件」/「團十郎切腹事件」/「六スタ殺人事件」/「不当な解雇」/「奈落殺人事件」/「八重歯の女」/「死んでもCM」/「ほくろの男」/「ある絵解き」/「滝に誘う女」/「加納座実説」/「文士劇と蠅の話」/河出書房新社版『車引殺人事件』 序=江戸川乱歩/旧「宝石」所収各編解説=江戸川乱歩/立風書房版『團十郎切腹事件』 作品ノート=戸板康二/立風書房版『奈落殺人事件』 作品ノート=戸板康二/講談社文庫版『團十郎切腹事件』 後記=戸板康二/創元推理文庫版編者解題=日下三蔵
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Posted by ブクログ
これぞコージーミステリ。本当に上品で、でも甘くなくシビアで、しっかりと読ませる短編連作。老成した歌舞伎俳優から聞き書きをして記事を書いている東都新聞の芸能記者竹野を狂言回しに据えて中村雅楽という架空の歌舞伎役者を主役にした珠玉の連作ミステリ。殺人事件もなかにはありますがそれよりも日常の恋愛沙汰のもつれだったりライバルの人気のあるのを妬んだいたずらだったりと、そういう細かい謎を鮮やかに、さらになぞ解きの際の当事者たちの気まずい思いを最小限に押さえながらさばいてゆく手並みは本当にスッキリと育ちの良い感じで、読むと身になる感じがします。文庫だと片手で持って読むのに少々重たいですが、とても面白かったです。歌舞伎に親しんでいるととても楽しんで読めますが、歌舞伎を特に知らなくても、何の苦労もせずに楽しく読めます(むしろ歌舞伎に興味を持つ入口になりそうです)。
Posted by ブクログ
歌舞伎役者「中村雅楽」が、不可解な事件の《なぞ》を解く人気シリーズ。老優・雅楽のたたずまいがとにもかくにも魅力的で、つい手に取ってしまう。
この第一巻に収められているのは、江戸川乱歩の後押しで世に出ることになった「車引殺人事件」をはじめ、初期に書かれた18の短編。なかには、第42回直木賞を受賞した表題作「團十郎切腹事件」も含まれる。これは、ナゾの自殺を遂げた八代目市川團十郎の有名な事件を、およそ百年後に「中村雅楽」がなぞ解きするというもの。若い時分に耳にした知人の昔話をきっかけに、次第に切れ味を増してゆく「雅楽」の推理に圧倒されるが、じつはこれ、ジョセフィン・テイの古典『時の娘』への秀逸なトリビュートとなっている。過去の歴史的事件のなぞ解きという構成はもちろんのこと、「雅楽」がその推理を披露するシチュエーションも、人間ドッグで入院中のベッドの上という凝りよう。
どうやら、戸板康二という作家は「無」からなにかをひねり出すよりも、実在するさまざまなものを巧みに組み合わせて新たな魅力的な存在を生み出す天才のようで、それはまた「中村雅楽」というキャラクターの造形にも活かされている。巻末に収められた自身による作品ノートによると、「雅楽」の名は中村歌右衛門と酒井雅楽頭を組み合わせたもの、老優の語り口などは親しくしていた歌舞伎界の古老・川尻清潭から、そのほかにも岡本綺堂『半七捕物帳』やエラリー・クイーンのミステリに登場する「ドルリー・レーン」などもヒントにしているとのこと。こんな具合にさまざまな影響を直接的間接的に受けながらも、「中村雅楽」がまったく独自の魅力的キャラクターとして生き生きしていることに感心せずにいられない。品格と威厳を兼ね備えた老人でありながら、無心で推理に没頭するその様子はなんとも無邪気で微笑ましい。
Posted by ブクログ
おもしろい
ミステリとしては解決部分で読者に提示されていない手がかりが現れるなど、謎解きを主眼としてみた場合はがっかりするかもしれない
しかし、それは読み手が読み方を間違っているだけで、不可解な事件が起き、それを雅楽が解決するという一連のストーリーを楽しむという読み方をしていけばものすごく面白くなっていく
読んでいて思ったのは半七捕物帳によく似ているなということ
実際作者もある程度意識していたようで、読者のあまりなじみのない世界でおきる様々な魅力的な謎を解決していくというあたりに同じ魅力がある
まだまだ作品はたくさんあるようなので読むのが楽しみ
読んでいないかたは是非
Posted by ブクログ
中村雅楽(がらく)ものを年代順に編集(長編は別立て)。第1巻は1958年から1960年にかけて発表された、第1作「車引殺人事件」や直木賞受賞作の表題作を含む、18作を収める。
雅楽ものは昔結構読んだが、単行本だったと思うので、立風書房版だったのか? 中村勘三郎が雅楽を演じた土ワイの2時間ドラマも好きだった。「奈落殺人事件」の、メイントリックではなくメイン錯覚はずっと覚えていたのだが、今回読んでいるうちに、ある人物が土ワイで淡島千景だったことを思い出し、それで犯人も確信(淡島千景が出ていて何でもない役というのはありえないでしょ)。いやあ懐かしい。再放送を見たいものだ。
TVが出たて、新幹線はまだない時代の風俗も興味深い。
ただ、「松王丸変死事件」なんかは、ええっそんな理由で死んじゃうの!? 確認もせずに? メンタル弱すぎだろー。この頃の人たちが今の世のいじめなんか体験したら、サヴァイヴできる人なんか一人もいないんじゃあ。ストレスも乗り切れなさそう。と思ってしまうが、お話だからか?
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