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倫理もなく、理屈もない。奇妙な出来事が、ただそこにある――。
初々しい新婚夫婦。しかしふたりは、たがいに秘密を抱えていた。そして男はなぜ新婚旅行先に忌まわしい思い出が残る旅館を選んだのか。旧い結婚観が招いた悲哀劇(表題作)。
新発見の感染症の手がかりを追う保健所の職員は歪んだ虹色の世界を覗き見る(「蟻の塔」)。
アメリカで妊娠した修道女は、日本で病床にある教主とのあいだにできた御子だと主張するが……。果たして、彼女が語るのは奇蹟か幻想か(「聖女」)。
女の生涯には、常に蟻が這い回っていた(「蟻の声」)。
光に眩み、闇に溺れる。罪を犯して贖いて、果てに待つのはおぞましくも美しき混沌の世界。地獄極楽板一枚。ただひたすらに、酔え、惑え。
文庫初収録三篇を含む、江戸川乱歩賞作家円熟期の短篇集。
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Posted by ブクログ
昭和だなあ、という感慨も抱けそうな、濃厚な短編集。戸川氏というと、『緋の堕胎』を絶賛した筒井康隆氏が、女流作家というはどうしてこんな怖い話が書けるんだろうと記したように、女性性を強調されることが多い気がする。今の目で見ると、そういうのは感心しない、というべきだろうが、それより、戸川氏の側があえて男性が期待する「女流作家」を演じてたんではないかなという気もする。けれども『隕石の焔』みたいな話もある。これは好色譚の定番である「男日照りの村」の底を抜くような話だが、その抜き方が女にしか思いつかない、というより男はまず思いつかないような抜き方なのだな。面白い。
Posted by ブクログ
妖艶にして凄絶な異色ミステリ短編集。どれもが倒錯したエロティックさを感じさせ、ぞくりとさせられます。どちらかといえばグロテスクでもあるのだけれど。美しさも感じさせられます。ただし、一気に読むと酔いそう。
お気に入りは「ウルフなんか怖くない」。たぶん、現代だとこれはアンモラルだなんだって言われそうな気がします。ヒロインの浩子も不幸だというように受け取られそう。なのだけれど、実は収録された中でこの作品が最も愛情に満ちて幸せな物語なんじゃないかという気がしました。
一番ぞくりとさせられたのは「悪魔のような女」。本当にこれは怖い。男性が読めばさらに恐ろしく感じられるかなあ……。
短い作品だけれど「蝋人形レストラン」も怖かったなあ。シンプルに恐怖を感じさせられます。
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小説・文芸
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