三浦しをんのレビュー一覧
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寂れた温泉街の商店街、地元イチオシの建造物は訪れる人もいない博物館。くたびれた町に暮らす男子高校生達。燻る事は簡単だけど、それでも日々は流れてくから楽しんだもん勝ちじゃね?的な友達に振り回されたり振り回したりの青春の日々。
詳細は知らないけど二人の母親を行き来する息子は彼なりに気を使っていたり、彼の実の父から母子を守ろうとワチャワチャする商店街の連絡網。
どれもが滑稽で温かい。
確かに哀歌は流れていない。日々は流れ続けるから哀しんでばかりもいられないのが日常。
男子高校生達の将来は明るい。大学で都会に出ても、この町で過ごした無邪気さは忘れないでいてほしい。
てか、東京とか行くなよw -
Posted by ブクログ
目次には7篇のタイトルが記され、各物語の巻頭にかぐや姫や花咲か爺などの昔話の概要が記されている。
各々の短編と昔話との繋がりがよく分からないままに読み進んだのだが、やはり?マークが頭を過ぎる。
第7話:懐かしき川べりの町の物語せよ=桃太郎
私はこの一編がお気に入りとなった。
高校生の桃太郎ならぬ強面のモモちゃんは、みんなに恐れられている存在だった。
モモちゃんは、モデルのような美人同級生の宇田鳥子が恋人だった。
そしてモモちゃんと同じマンションに住んでいる年下の有馬真白が、子分のように連んでいた。
そしてモモちゃんとお友達になりたかった語り手の僕も、何となく仲間入りを認めてもらった。
モモちゃんが桃太郎、宇田さんが雉、有馬が猿、そして末席を汚す僕が犬だろうか。
何事にも猛者としての生き方を全面に出すモモちゃんなのだが、最後にとても優しい心の持ち主と云う人間性を示す。
各編の共通項として、3ヶ月後に巨大な隕石が地球に衝突し、地球が滅びると政府が発表した社会が舞台となっている。
全人口から抽選で選ばれた10,000.000人が地球脱出用のロケットに搭乗できるという。
各短編の巻頭に記された昔話も、危機的状況下でのお話となっている。
各短編の内容も、危機的状況に皆が追い込まれているのだ。
がしかし、この各短編が『 むかしのはなし 』として誰が語り続けるのかが不明なのだ。
隕石と衝突した地球では、おそらく生物の殆どが死滅するだろう。
火星か木星か、宇宙に脱出した人々が後々この短編の物語を昔話として語るのか、はっきりとしないのだ。
人が受ける「昔」とは、どれほどの時間経過をもって「昔」と言うのだろうか。
万年前も数日前も、過去は単なる過去、即ち「昔」との解釈も成り立つような気がしている。
この一冊、私には三浦しをんさんの作意を理解しかねる内容だったが、物語としては面白かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレぱっと見、これはアパートの住人を巡る短篇連作、であります。
ただ、本作、それにとどまりません。
誤解を恐れずに言えば、性を巡るそれぞれのストーリーといっても良いと思います。
70を過ぎて、どうしても(お金で買うのではない)セックスをしたい大家、イマ彼と元彼と両方に挟まれて心も揺れる20代OL。子どもが産めない体に生れつき、セックスをしまくる女子高生、それを恨めしそうに上から除くサラリーマン等々。
どれもかなり際立った個性のキャラクターが、この小暮荘に縁あって集い、物語を紡いでいきます。
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これが単なるキワモノだらけの捧腹絶倒物語ならば、新味のないどぎついだけの物語であると思います。
が、本作がきらりと光ると思わせるのは、それぞれのキャラクターがそれぞれ思いを抱え、実は真摯な悩みを持つからです。そして、そうした思いは、多くの人にも見られるものであるからだと思います。
嫉妬であったり、執着であったり、名残惜しさであったり、はたまた苦しさであったり。
そのような「想い」を人物にまとわせることに成功しているところに本作の秀逸さがあると思います。だから、ぱっと見は大分変な人たち、否、ぶっ飛んでいるといってもよいのに、読んでいくといつの間にか共感してしまう、そういう造形が多くあるのでした。
エンタメっぽいけど、それにとどまらない。純文学というには面白過ぎる。私はそういう思いを読中に抱いておりました。
同じような感想を巻末で金原瑞人さんが書いていたのも印象深かったです。もっとも彼は芥川賞と直木賞でたとえ、両者の特徴を一緒に仕上げる作家として三浦しをん氏を評されていました(相当意訳しました)。
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ということで一か月ぶりの三浦作品でした。
ただただ面白い、そういうのもいいのですが、その裏に人間らしい悩みや苦しみが見えるところ、そのブレンド具合に筆者の妙が光ると感じる一作でした。