三浦しをんのレビュー一覧

  • 愛なき世界(下)

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    上巻に引き続いて読む。

    こちらはどちらかというと本村がクローズアップされているような気がする。

    彼女のシロイヌナズナの4倍体を作るという実験を軸に話が進んでいく。
    物語の序盤で、藤丸に実験を見せているときの本村からは、おとなしいながらもてきぱきとした才女という雰囲気を感じていたが、だんだん違った面が見えてくる。
    どちらかというと不器用だったり、博論執筆までに実験がうまくいくのかという不安にさいなまれたりする姿が描かれる。
    ただ、そこは「三浦節」で、何か笑えてしまう隙がぐいぐい抉られていく。

    それにしても、遺伝子AHOとAHHOというのは…?
    これは実在するものなのか?
    あるとすれば…よく

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    2024年11月22日
  • 愛なき世界(上)

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    文楽、林業、辞書制作などなど。
    三浦さんの作品ではディープな世界を、登場人物の肩越しにのぞき込むことができて楽しい。

    今作では植物学。
    T大学ご近所で、古くからある洋食屋「円服亭」の見習い料理人藤丸陽太青年を案内人として、密林のようにディープな世界に入っていくことになる。
    この青年が、底抜けに明るく、人が好く、本当に嫌みがないおかげで楽しく読み続けられる。
    彼の眼には、大学の建物も、実験の手続きも、全てが新鮮で、神秘的で、魅力的に見えるのだ。

    このお人よしの藤丸が、出前を届けに行ったT大理学部松田研究室で、運命の出会いを経験する。
    大学院生の本村紗英。
    植物を愛し、シロイヌナズナの研究に打

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    2024年11月22日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    贅沢な列車に、贅沢な名前の並ぶ小説

    それぞれの物語がとてもあたたかい気持ちになる

    そこに乗車するそれぞれが
    何らかの思いを一緒に乗せて旅に出る

    誰かを大切に思って
    大切な人を誘って
    願い叶わなかった列車の旅になっても
    「その人を思い出すこと」が供養にもなる

    1話目の
    さよなら、波瑠/井上荒野
    一見、芯もあって強くて…こういう人の気持ちが
    苦しくて苦しくてね
    思わず感情移入、涙が出た

    糸井重里さんの
    「帰るところがあるから、旅人になれる」
    当たり前なんだけど
    そんなふうに考えたことなかったからね
    さすがだな、
    糸井さんの言葉だな、って思った

    静かな気持ちで読めるキレイな本でした

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    2024年11月19日
  • わたしの名店

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    おいしい一皿と題されてはいるが、決してグルメ店巡りの内容ではない。
    28名の著名な方々にとって、思い入れのあるお店を紹介しながらその由来をエッセイとして綴られている。
    三浦しをんさんを筆頭に、西加奈子さん、瀬尾まいこさん、藤岡陽子さんたちが自分だけの大切なお店を語っておられるのだ。
    単なる食事処ではあるのだが、やはり食と人生の繋がりは人それぞれにあるものだと、読書後に思い至った。

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    2024年11月16日
  • 女子漂流

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    んー、悪くないんだけど根底では共通点の多い女2人が飲み屋でしゃべっているのを眺めている気分になりました。2人とも大人なのでいい塩梅におとしどころを見つけながら喋っているというか。。

    個別の小説なりエッセイを読む方が2人の個性をよりよく理解できます

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    2024年11月16日
  • あの家に暮らす四人の女

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    ネタバレ

    三浦しをんさんの小説は久しぶりに読んだけど、文章だとか表現に個性があって面白い。
    よくある感じの平凡女子たちのゆるい日常ストーリーかと思いきや、カラスの善福丸やら亡くなった父親が語り出したりしてきてちょっと普通じゃない。ファンタジーなんだけど嫌いじゃない。
    もうこの世には存在しない大切な人たちがずっと側で見守ってくれている、そんな世界が本当にあるのかもと想像して少し心があったかくなった。

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    2024年11月15日
  • マナーはいらない 小説の書きかた講座

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    ネタバレ

    16
    小説執筆にまつわる全ての作業は、作品にこめた思いを、読者に的確に届けるためにあるのです。

    141
    小説とは、言葉を使ったコミュニケーション

    214
    ありがちな話=多くの人の胸を打つ「なにか」がそこにある

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    2024年12月05日
  • まほろ駅前狂騒曲

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    読めば読むほどに、多田と行天の魅力爆発。
    今回は少しドタバタしていたけど、それでもまほろの個性的な住人たちの優しやが十二分に伝わった。

    これからの多田と行天の生活もちょっとのぞいてみたい。

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    2024年11月11日
  • 神去なあなあ夜話

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    神去シリーズ第二弾!といっても「神去なあなあ日常」より時を経ること7年目。
    私は「日常」を2010年に読んだので、14も歳を重ねてしまったけど「夜話」の平野勇気くんはまだ林業2年目爆走中。

    林業と村に生きる人々との暮らし。
    神に触れ、恋をして、怪我をして遭難して免許を取得して鳥居を作って初めてのクリスマスパーチー、神去を愛し奮闘する青年が書き記した痛快備忘録。

    がんばれ勇気。そんな1冊。

    今年の28冊目
    2024.11.4

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    2024年11月04日
  • 月魚

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    頭の中で映像を浮かべながら読みました。

    タイトルには月がついてるけど、個人的には小雨の夜みたいなイメージ。
    瀬名垣と真志喜の物理的な距離の近さに反して気持ちは近づいたり離れたり、という感じのもどかしさが読んでて面白かったです。

    この先も2人はお互いの傷を舐め合いながらひっそり生きて行くのかな、もう少しだけ続きが読みたくなるような作品でした。

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    2024年11月04日
  • わたしの名店

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    そのお店が好きなんだなぁと伝わる内容だったと思うけど、時間がたって、覚えているのは朝井リョウだけ…。

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    2024年10月27日
  • 月魚

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    ネタバレ

    「匂う」小説として有名な作品だったので手に取りました。
    「匂う」とかではなく、直接的な表現を避けた文学的なそちら側の小説という印象を受けました。

    まず二人の設定で察しました。
    今までそちら側の漫画・小説をいくつか読んできましたが、目を奪われる出会い、お互いへの罪の意識、付かず離れずの関係、これらは確実にそちら側の作品に多用される関係性だと思いますし、確実に我々を誘っています(笑)。

    他にも、昔ながらの日本家屋、みすず達理解ある幼馴染、成人男性二人には狭いであろう軽トラ、美しい少年に心奪われる教師、などなど、好きなものが詰め込まれていましたよ、ええ。

    あえて言えば、直接的な表現を避けたせい

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    2024年10月24日
  • ビロウな話で恐縮です日記(新潮文庫)

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    三浦しをんのWeb日記!
    こないだエッセイを読んだのと繋がってる?ってぐらい日常が変わり映えしてないのが可笑しかった(笑)
    変わらぬオタクっぷりと、お風呂に入らない生活ww
    でも周りの人もみんなオタクで漫画やDVDなどについて語り合ったりすごく日常を謳歌してる感じが伝わってくる。
    わたしには分からない二次元の話も多いけどw
    あとは言葉について毎回考えたり調べたりはさすなだな〜と思うし、何よりも夢のレベルが桁違い(笑)
    あんな夢一般人は絶対に見ない(笑)

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    2024年10月23日
  • 愛なき世界(下)

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    ネタバレ

    「どんな仕事でも、研究も、愛も。植物が愚直に光を求めて生きるように、人間もひとに生まれたからには、せずにはいられないのだ。一見、無駄なようにも思える、ありとあらゆる行いを。」
    「たしかに不思議だ。 -行く手に死が待ち受けていても、どうしてみんな暗闇ではなく光を生きる糧とするのかが。」

    結果だけでいうならば失敗した藤丸くんだけれど、それでも本村さんの愛する対象そして行為を側にいたからこそ理解し、そして彼女に光を見出している。
    「地球上の生物はみんな、光を食べて生きてる」か。すごく素敵な言葉に出会えました。

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    2024年10月23日
  • 愛なき世界(上)

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    三浦しをんさんは、舟を編むの後に光を少し読んだことがあり、その際にこんなにも振れ幅の大きいものを書く人もいるのかと驚いた記憶があります。
    今回の本は舟を編むに近いような、やわらかくあたたかな毛布に包まれた感覚でした。
    ちょっとしたかなしさ・さみしさが描かれているシーンもありますが、それはまた違う誰かにとっては希望でありやわらかいものであり。
    人間関係も描きつつ、植物にも焦点をあてて切り込んで見つめて触れていくといった内容はとても新鮮でたくさんの発見があり、知を刺激されました。(本文の詳しい感想は下巻にて)

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    2024年10月23日
  • のっけから失礼します

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    ネタバレ

    創作物を読む・観ることから、考えて言語化する様を読むことがこんなにも楽しい!

    ようやくゲットでき、読めた。

    スポーツ漫画に赤点回避のために勉強する回が必要であるという意見にそうなんだよ~!!!と深く共感することもあれば、恋や性別の違いについての意見にハッ!とさせられる。

    まさか高天を読んでいるとは。(嬉)

    やっぱり『ハイロー』観るべきか。。

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    2024年10月22日
  • 白いへび眠る島

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    閉鎖的な島の因習や、島の人々との関係性に息苦しさを感じる事は若い頃によく感じ、その悩み、故郷への単純に割り切れない感情を、ファンタジー色の中にうまく入れ込んでいる。

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    2024年10月20日
  • 愛なき世界(上)

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    上下巻。T大近くの食堂で働く藤丸が恋したのは、植物の研究一筋の本村さん。研究室の個性的な人達との交流が面白かった。研究や実験内容の描写はやや難解で、理系の頭脳が欲しいと藤丸くんに共感しながら読みました。

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    2024年10月10日
  • 乙女なげやり(新潮文庫)

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    しをんさん、小説と人格違いすぎwww

    一つ前に読んだ同著者の『極め道』より面白かった

    おそらく恋愛要素があるから
    声出して笑いました

    だめだ、最近は、本読むと眠くなってまう

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    2024年10月10日
  • 女子漂流

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    他者と自意識かぁ、、
    どちらも、あったら厄介だけど、若さの象徴のイメージだな。自分らしさを確立するための養分になることも大いにある。
    生きやすさという視点とはまた別で。
    好きじゃないことはしなくていい!と言い切るのは難しいけど、必要以上に他者を気にするのも不毛。いい塩梅って人によるし、正解はないし、その時々で違うし、まさにその辺を両立しようと思うと漂流しているような感覚になるのかも。
    下世話すぎる話もあったけど、2人とも自分の周りの人たちとまた全然違うタイプで面白かったな。
    自分が彼女たちと対談してもこんなエピソードは聞けないだろうなとも思うし。
    対談本もやはり面白い。

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    2024年10月09日