三浦しをんのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
心中を共通のテーマとして書かれた短編集。
「死」を感動のためのスパイスとして扱う作品が多く、かくいう私もそれを好んで摂取してきた一人ではあるけれど、
本来「死」とは、どうしようもなく理不尽で、そんな綺麗に締め括られないことの方が多いのだろう…という当たり前のような感想が浮かんだ。
特に、「死」をめぐる人間同士の生臭いやりとりが描かれていて、「死」ではなく「心中」をテーマとして書かれたことの意味を想像したけど、うまく言葉にならない。
三浦しをんさんの美しい文章には惚れ惚れする。
「森の奥」が個人的にお気に入り。やっぱり、わかりやすく救いがあれば、ホッとするなぁ。 -
Posted by ブクログ
三浦しをんのエッセイ。
好きになってしまいました。
私はなにか(だれか)を好きになってしまう理由がよく分からないことが多い。ただ、どんなときも自分の好きを伝えずにはいられなくなってしまう。きっと、三浦しをんさんはその点が似ているんだろうなと思った。
いくつか心に残る言葉もあったがその一つが下記である。
他者の存在が、気配が、日常に輝きや、ときとして軋轢を生じさせる。この世界のうつくしさの根底はやはり「多様であること」「自分の意のままにならぬこと」こそある。
自分の意のままにならぬことがあるからこそ、人生は面白く、学びがあるのだと教えてくれる。 -
Posted by ブクログ
社史編纂室という会社でも地味な部署。そこに集まる人々も左遷(?)されたような個性的な面々。
主人公は同人誌でBLの小説を書いている川田幸代29才。仕事は真面目に取り組んでいるので社史の完成遅れを気にしている。会社の歴史を掘り起こしているうちに会社の暗部に触れる。そして進めて行くうちに、幸代に脅迫状が届くなどミステリーの様相。
テンポ良く進むはずが、途中で差し込まれる幸代のBLの小説、課長の訳のわからない自伝、元常務と幸代の南国の小説など混乱させてくる。暗部の筋に関係あるような無いような展開。一度も出てこない部長が最後に現れたり、ウルトラCで暗部を曝け出した編纂室メンバーへの処分も不思議な結果。