三浦しをんのレビュー一覧

  • 私が語りはじめた彼は(新潮文庫)

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    「彼」・古代中国を研究している大学教授村川融をめぐる男と女の物語は、連作短編という形をとりながら、全て読み終わったあとは20余年にわたる長編小説を読んだような充実感で満たされる絶妙の構成となっている。

    そのうえ、一つ一つの短篇の完成度が恐ろしく高い。
    どの話も静かに始まり、終盤に向けて大きなカタストロフィを迎え、収束する。そのエネルギーがすさまじくて、物語にぐいぐい引き込まれる。

    「彼」の妻や息子、不倫相手、その娘など、関係者それぞれが抱えた闇に焦点をあてた個々の短篇では、恋愛、家族、友情といったあたりまえの人間関係のはかなさや、頼りなさが描かれている。

    どのページを開いても、お気に入りのフレーズが見つかるほど言葉の魅力にもあふれた作品で、「予言」は特に優しくて、切ない最上の短編。
    この作品、「風が強く吹いている」や「舟を編む」のような爽やかさとは対極にあるものの、こういうのをもっと書いて欲しいな~とつくづく思った。

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    2023年06月14日
  • しをんのしおり

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    途中で著者の一人称が変わるため、最初は混乱しました。話の内容はどれも普通なのですが、語り口が軽妙で本来よりも面白く感じられるのだと思います。すらすらと読めてしまうので、隙間時間の読書にぴったりです。私は、一気に読んでしまいましたが。

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    2018年09月30日
  • 夢のような幸福(新潮文庫)

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    三浦さんのエッセイ最高。単行本の刊行は2003年のようなので、乙女なげやり以降のエッセイよりも古いと思われる。三浦さんの年齢が若いし、まだ恋愛したい感が強く、勢いがある。そして、まだ若干弟と距離がある(身内との距離ってなんや、という感じだが。)。遠慮かな?
    あんちゃんの「パンパ」の話は最強に面白かった。あんちゃんさんはそれ以降のエッセイにも出てくるが、この話が一番エッジが効いている。

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    2018年09月12日
  • 悶絶スパイラル(新潮文庫)

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    本屋さんでなんとなく文庫を手に取ったら、なんと松苗あけみ先生が解説マンガを描いているではないか。単行本を持ってるけど、これは買い!文庫ってこういうことがあるからなあ。本篇に負けず劣らず面白い解説があったりして。文庫版あとがきも楽しいし。

    で、松苗先生の解説マンガだが、何と言ってもしをんちゃんの弟のビジュアルが注目だ。弟君、すんばらしくかっこよく描かれているのであーる。こ、ここまで美形に、かつクールに描かれているとは。私の脳内では、ケミストリーの川畑的な、ちょっとラッパーみたいな(よく知らんけど)イメージで登場するんだけど。弟君の出てくる話はどれも可笑しくて大好きだが、さて、実際はどうなのか。今でも直木賞作家をつかまえて「ブタさん」と呼んでいるのだろうか。

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    2018年08月22日
  • むかしのはなし

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    大人の「おとぎ話」

    大人の話と言えば、エロティックなもの。加えて乱暴な、暴力的な諍いものが大概だろう。いわゆるえげつない話しである。そうした先入観があるから、読んでいても大して面白いとは思われない。突飛な作り話でバカバカしいと思う。でも、大人が集まればたぶん似たような話しをするだろうから…
    この小説に出てくる人物も、ヤクザの女に手をつけて殺されかけているホスト、空き巣の話し、父の弟と関係を持ち、精神科で強制的に治療受けている自殺願望がある女性(高校生)、過疎地の若い漁師の話し、美容整形治療中の女を乗せたタクシー運転手の話し、新種の花の開発に携わる研究員と付き合っているが無気力に生きる女性の話し、などが収められている。
    8つの話を読んで話しの終わり方が変わっていると感じる。つまり、物語を水の流れに例えると、その水が突然、瞬間蒸発して跡形もなく消えてしまうよ
    うな終わり方だと感じる。上手いと感じる。おとぎ話のようなものだからという訳でも無い…。
    「隕石が地球に衝突する」という大きな命題があるのだ。
    非常に長い地球の歴史を考える時、人間を含めて生物の世界では、今ここに生存している生物の確率は非常に低い、という話しを聞いたことがある。生きてここに生存しているということは真に奇跡に近いというのだ。
    ふだんはこうしたことを考えることはない。しかし、考え始めると取り留めのないようなものであり、考えが及ばない。
    最後の物語で、物語の終わりに、主人公の「僕」が「私」に変化していることに、作者がこの命題を誠実に考えていたんだと感じる。
    全体を読んで、少しややこしい話しだけれども読んでみる価値はあるかもしれない。

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    2018年08月21日
  • 乙女なげやり(新潮文庫)

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    ひとはいつまで乙女を自称しても許されるものなのか。そんな疑問を胸に抱きつつも、「なげやり」にふさわしいのは、やっぱり乙女。熱愛する漫画の世界に耽溺し、ツボをはずさぬ映画を観ては、気の合う友と妄想世界を語り合う。気の合わない母との確執も弟とのバトルも、日常の愉楽。どんな悩みも爽快に忘れられる「人生相談」も収録して、威勢よく脱力できる、痛快ヘタレ日常エッセイ。(表紙裏)

    読んでいて微妙な既視感を覚えるのは、文章や内容が昔懐かしいテキストサイトのノリだからだと思いました。
    後に残るものは何もありませんし作者さんもそう仰っているので、他の既刊も探してみます。

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    2018年08月03日
  • まほろ駅前多田便利軒

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    不思議な作品

    この物語を読んでいて、初めの設定がつまらない。読む気が起きない。考えてみれば、物語の場所が東京郊外の架空の町「まほろ市」だからなのからかもしれない。さらに、便利屋を営む主人公の多田と店に転がり込んできた級友の行天という人物に、物語の中で通常の生活実態が窺われないのだ。だから共感を持って読み進むことが出来ない。非常に読みづらい物語だ。
    しかし、無理にでも読んでいくと、いつの間にか物語が面白くなり引き込まれて、読むスピードも上がってしまう。あっという間に読み終えてしまう。そこに不思議さと魅力を感じる作品だ。

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    2018年07月11日
  • 本屋さんで待ちあわせ

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    ネタバレ

    読売新聞の読書委員会で「色物担当」のしをんさんらしい書評集。
    さすが色物好きとあって今まで足を踏み入れたことのないジャンルの本が多々あり、お陰で世界が広がった。
    本を暖房代わりにしたり、通い婚の復活を夢見たり、教科書に載っていた中島敦の『山月記』に笑い転げたり、漫画やBL物についてアツく語ったり、と書評だけでなく本に纏わるしをんさんの日常もまた面白い。

    特に共感したのは、子供の頃に本を読んでいると誉められたのに、大人になって本ばかり読んでいると煙たがれるエピソード。
    私もしをんさんと同じで不思議な現象だと思っていたし、しをんさんとの共通点が見つかってなんだか嬉しい。

    しをんさん曰く
    「本は、人間の記憶であり、記録であり、ここではないどこかへ通じる道である」
    「本は、求めるものの呼びかけに必ず応えてくれる」
    たっぷり笑わせくれるのに最後は必ず素敵な言葉できっちり締めるしをんさんにまたお逢いしたい。
    待ちあわせ場所はもちろん本屋さんで決まりでしょう。

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    2018年07月01日
  • 月魚

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    「ビブリア古書堂の事件手帖」で古書の知識は得た。あちらは本にまつわる謎とちょっとラノベチックな複雑な人間関係がスリルを醸し出していたが、「月魚」はただただ静か。本を愛する真志喜と太一がともに2代目として古書を扱う中で解決する家族関係。若き日の二人プラスみすずと英郎を描いた短編も暖か。不思議な一冊。シリーズや続編はあるのかな。

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    2026年01月12日
  • 乙女なげやり(新潮文庫)

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    ネタバレ

    しをんさんの妄想に富んだエッセイ、やっぱり面白かったです。漫画のこと、家族のこと、お友達との会話等々、しをんさんのフィルターを通すと見え方が違うのだろうなぁと思いました。読んでいて一番安心するところは、しをんさんがダラダラと一日を過ごすくだりです。実際のしをんさんはそうではないと思いますが、何となく私のダラダラした怠けグセを肯定されたようで安心してしまいます。それは良いのか、悪いのか…(笑)

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    2018年03月10日
  • 泥酔懺悔

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    ニヤニヤしながら読んでしまった
    私の好きな作家さんと私の飲み方が似ていて嬉しかった
    下戸の人の感覚も知れて楽しい本

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    2018年02月12日
  • 舟を編む

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    辞書が作られる過程がわかって、科学的にもおもしろい。主人公が変わり者で愛着がわく。恋愛関係の内容はあっさりしている。

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    2017年11月27日
  • 舟を編む(下)

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    小説でも、映画でも、松本先生が亡くなってしまうことに納得できていなかった気がする。
    アニメもまじめ(笑)に観てなかったし。

    コミックス化され、この下巻を読んで、やっと納得というか、繋がっていく、続いていく、受け継がれていく・・・って感じで納得できたような気がする。

    辞書に敬意を払って使わせていただこう!

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    2017年11月11日
  • 秘密の花園(新潮文庫)

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    想像以上に湿っぽかったというか重かった。キャラ設定や人間関係は小説ならではって感じでそこまでリアルじゃなかったけど、トラウマとか被害妄想とか現実逃避とか、主人公の3人それぞれに感情移入できる部分があった。とりあえず最後どうなったのかが気になる…

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    2017年11月06日
  • ふむふむ―おしえて、お仕事!―

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    様々な職業の女性にインタビューした本。
    大学生や転職を考えてる人にオススメしたい。
    私は三浦しをんさんのエッセイが好きでほとんど全て読んでいるので仕事を見つめ直す機会でもあり、今回読んでみた。
    興味のある分野は面白いし、それ以外もこんな仕事があるんだなーと思える。
    出てくる女性にもいろんな人がおり、考え方や人生、その職についた経緯も様々。共感できる女性がひとりはいるんじゃないだろうか。

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    2017年09月15日
  • 泥酔懺悔

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    素直に読めます

    女性のみなさんの「酒」に関するエッセイ集。
    大酒飲みあり、そうでない方あり。
    みなそれぞれいろいろな思い出があることに気づかされます

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    2017年07月31日
  • 白いへび眠る島

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    街から切り離された島での、ひと夏の冒険譚というかんじで楽しかった!島の人との距離や風習に馴染めない悟史の気持ちが書かれていて、等身大なかんじがしました。民俗学っぽいところもあっておもしろいお話でした。悟史と光市、荒太と犬丸の関係性も絶妙でよかったな〜すきだな〜

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    2017年07月25日
  • 舟を編む(上)

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    ネタバレ

    原作既読。原作の雰囲気が出ている良コミカライズ。西岡の馬締に対する思いがうまく描かれている。本当に見れば見る程、辞書向けな人材だな、馬締。かぐやさん男前。上下巻のみらしく、勿体無い。

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    2017年07月08日
  • お友だちからお願いします

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    なかなか好きなタイプのエッセイ集でした。 エッセイって、難しい。小説が好きな作家でも、エッセイを読むとつまらないことはよくあるが、この人はおもしろかった。

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    2026年02月25日
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵

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    能・狂言(岡田利規)
    説教節(伊藤比呂美)
    曽根崎心中(いとうせいこう)
    女殺油地獄(桜庭一樹)
    菅原伝授手習鑑(三浦しをん)
    義経千本桜(いしいしんじ)
    仮名手本忠臣蔵(松井今朝子)
    月報:酒井順子・後藤正文

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    2017年04月05日