三浦しをんのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
木暮荘住んだら何かあるかもね//モトカレとイマカレなぜか仲良しに繭の気持ちはどこへゆくのか/旧友が残した言葉セックスが木暮老をば終始悩ます/男根に似てるキノコが見えるのはトリマー美禰とヤクザの前田/淹れられた泥の味したコーヒーはいったいなにを示すのだろう/観測者女子大生の生活を覗いてるうち目の人となる/子を生めぬ光子のもとに赤ん坊木暮荘みな子育てモード/嘘つきが作ったならば砂の味並木とニジコつくる料理は。
■木暮荘についての簡単な単語集
【葵】光子の友人。
【亜季】光子の友人。はるかを生んだ。
【伊藤晃生/いとう・あきお】繭の現在の恋人。お人好しっぽい。
【神崎】木暮荘の住人。二〇一号室。サラリーマン。会社が気に入らなくて税理士の資格を取ろうとしている。あるとき、住人のいない隣の部屋との間の壁をうっかり破ってしまった。
【九鬼クッキング】並木が子供の頃から続く人気料理漫画。担当編集者は野島さん。
【桑田】瀬戸並木の、写真の(自称)師匠。最近あまり仕事してないらしい。酒に身体を蝕まれている。
【木暮】木暮荘の大家。一〇一号室で暮らすようになったのは自宅に娘夫婦と孫たちが転勤の都合とかで転がり込んできたから。妻を残してジョンとともに木暮荘に入った。
【木暮荘】築ウン十年、全六室のボロアパート。
【佐伯・夫】フラワーショップさえきの奥で「喫茶さえき」を経営している無口な男。長年フラワーショップさえきに勤めているのに繭はまだ名前を知らない。
【佐伯・妻】フラワーショップさえきの経営者。おっとりしている。最近夫の淹れるコーヒーに泥の味を感じられる。他の人は何も言わないので自分だけの感覚らしい。
【ジョン】小暮の飼犬。
【セックス】《セックスとは本来、発情したら挑みかかるだけの身勝手な衝動のことなのではないか。》p.263
【瀬戸並木】三年前、繭とつきあっていたが何も言わずに旅に出たので繭は別れたつもりだった。繭とは同じデザインスクールで繭はデザイン科、並木は写真科だった。で、今はいちおう写真で食っていけてる。《俺はこれからもきっと、ずっとこうだと思う。気の向くままふらふら歩く》p.37。《こういう、距離の取りかたがちょっとずれたひとを、並木はきらいではなかった。》p.251。《並木には、共感と観察を同時に行う癖があった。》p.263
【トリミングハウス プティ・キャン】美禰が勤めている店。主は中井さん。美禰がひそかに「女ムツゴロウ」と名付けているのはどんな犬でも魔法のように手なづけてしまえるから。従業員は美禰の他には二十三歳の土田くん。
【ニジコ】北原虹子。フラワーショップさえきでいつも五本の花を買う女性。《耳に届くニジコの声は、冬の風みたいに乾いている。》p.252。他人の作った料理は食べたくない。「嘘の味がするから」。泥の味がするときは浮気しており、砂の味がするときは嘘をついているとわかるのだとか。
【はるか】赤ん坊。亜季が生んだ。
【フラワーショップさえき】繭が勤めている花屋。佐伯夫妻が経営している。夫は奥のスペースで喫茶店も経営している。もともとは喫茶店だったものに妻が花屋を併設した。
【前田五郎】美禰が見つけた「モノ」に気がついたゆいいつの? 他者。カタギでない雰囲気。《俺ぁ、飯が食えてたまに笑えりゃ、それでいい。そうやって死ぬまで生きられりゃいいなと思うよ》p.111
【牧野】喫茶さえきの常連の女性。就職浪人中。
【光子】木暮荘の住人。一〇二号室。女子大生。生理の来ない体質で妊娠は難しいと言われている。
【美禰/みね】峰岸美禰。トリマーで「トリミングハウス プティ・キャン」で働いている。専門学校生だった頃からもう十年近く勤めている。木暮荘の犬(ジョン)を洗いたくてしかたがない。ある日駅の柱に奇妙なものを発見するが誰も気がつかないようだ。
【繭】坂田繭。木暮荘の住人。二〇三号室。花屋「フラワーショップさえき」の店員。デザインスクールを出てから六年間勤めている。アルバイト時代も含むと八年。今の恋人は伊藤晃生、前の恋人は瀬戸並木。 -
Posted by ブクログ
「木暮荘物語」というタイトルは、宮部みゆきさんの「小暮写真館」と混同してしまう。
小泉今日子さんと角田光代さんが書評を書いているので読んでみようと思った作品。
三浦しをんさんの小説は、「舟を編む」「神去なあなあ…」「愛なき世界」など読んだが、本作品はこれらと雰囲気が違う。
角田光代さんが、本書の登場人物は変人ばかりだと言っているが、現実社会でこんな人ばかりが密に接する状況は考えにくい。
非現実の設定にすることで、現実のドロドロ感をうまく排除しているように感じる。
中核にあるテーマは「性」で、「生」の中の「生殖」に関わる問題をいろいろと提起した内容になっている。
このテーマを取り上げるとは、三浦しをんさんにとってチャレンジングな作品だなあと思った。
変人キャラで資産家の娘が出てくる。
この女性は、働くことなく優雅に一人暮らしをしている。
彼女は父から貰った財産を食いつぶすことを目的に生きている。
この物語では脇役っぽい一人なのだが、かわいそうな人だと思った。
資産家の娘に限らず、この物語の登場人物たち、このあとの人生はどうなるの?
難しいテーマなのに深刻にならず、むしろ笑い飛ばすような書きっぷりは、三浦しをんさんならではだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・こんな陰鬱な話の後に『舟を編む』を書いたのかよ……と信じられない気持ちになった。隠しておきたい過去を巡って、ねじくれた愛(というより執着?)に狂わされた人々の話だった。うーん。時間がなく、しかし面白くて早足で猛然と読んだ割に、なんだか項垂れてしまって何を思えばいいのかわからない。
・まず、東日本大震災の前に全てを薙ぎ倒す津波のイメージを持てていたことがすごいなと思った。それが現実に起こるのだということが一番残酷に思えるけど。
・美花は俺だけのものだと思っていたのは信之だけだったんだろうなあ。島にいた時から他にもそういうことはたくさんあったんだろうな、と思った。山中のこともそのうちの一つに過ぎないというかね。全然、"過ぎない"で済ませられることではないんだけど。知らぬ間に美花の反応が良くなっていると思いきや「あの日から何も感じないの」との美花の発言により、上手な演技を覚えただけであることが示唆されたのは地味に痛快だった。
・秘密を巡る暴力の連鎖。人間ってこんな嫌なやつばっかり?あたしもここに放り込まれたらそんな風になっちゃうのかな。でもそんな気もする。南海子のバカ高いプライドが妙に怖くもあった。しかし団地と幼稚園とお教室が生活の全てなのでそこから受ける眼差しを異様に気にするのは当然のことなんだろう。
・たぶん、輔は色々と気づいた上で、信之に殺されてもいいやって思うくらい信之に構って欲しかったんだろうね。どんな女と寝るよりも、信之に構ってもらえない1人の暮らしよりも信之が殺した人間として人生に刻みつけられることを選んだんだな。とんだヤンデレ妹ならぬヤンデレ幼馴染である。かわいいやつだね〜。
・ていうか、まあみんな本当のことは分かりつつうっすら目を逸らしてて、やっぱそうか〜……みたいになってた感じがする。なんか、大きな力に全てを薙ぎ倒された経験をすると、本当に空っぽになっちゃうんだろうな。「家族を愛したい」と思っているのにイマイチ身体も心もついてこない感じの信之が可哀想だなと思った。美花にも拒絶されたらもうあとの人生、消化試合だろう。自分ならいつか失望して自ら死ぬと思う。その不幸を味わわずに死ねますように、私は狂わずに長生きして安寧に死ねますように、って最悪なことを思った。 -
Posted by ブクログ
贅沢な列車に、贅沢な名前の並ぶ小説
それぞれの物語がとてもあたたかい気持ちになる
そこに乗車するそれぞれが
何らかの思いを一緒に乗せて旅に出る
誰かを大切に思って
大切な人を誘って
願い叶わなかった列車の旅になっても
「その人を思い出すこと」が供養にもなる
1話目の
さよなら、波瑠/井上荒野
一見、芯もあって強くて…こういう人の気持ちが
苦しくて苦しくてね
思わず感情移入、涙が出た
糸井重里さんの
「帰るところがあるから、旅人になれる」
当たり前なんだけど
そんなふうに考えたことなかったからね
さすがだな、
糸井さんの言葉だな、って思った
静かな気持ちで読めるキレイな本でした