読んでよかった気持ち半分。読みたくなかった気持ち半分。
私はもうすぐ50歳になろうという、すでに子供が巣立った主婦です。結婚するときに夫の希望もありましたが、自ら専業主婦という生き方を選びました。
それは物語の主人公である詩織と同じで、自分には仕事と家事の両立は無理だろうと考えたからでした。
私
...続きを読むの暮らす街は地方都市の郊外という場所で、東京ほど大都会ではないので専業主婦という存在も絶滅危惧種というほどではありません。
だけど、もともと人見知りの性格であることと、近居の姑の人間関係の影響を受けざるを得なかったこととでママ友作りには失敗し、物語の登場人物たち同様、子供が乳幼児だったころにはそれなりの孤独を味わったものでした。
正直、それから年月は流れ…
子供や家族との関係もその時の流れに合わせて変化していくものですから、あれだけ辛かった数年間の記憶っていうのはあまり残っていません。
だけどこの物語を読んで、そのつらかった私の気持ちを代弁してくれているかのような詳細な描写に…涙が出てしまいました。
その涙は、あのころ死にたいとまで思った私はおかしいわけじゃなかったんだ、みんな同じだったんだという安心感と…
あぁ、忘れていたのに思い出してしまった。あの頃の苦しみがよみがえってしまう…という二つの思いからこぼれていました。
夫は家事も育児も積極的にかかわろうとしない人でした。
そんな彼に何を言っても無駄だと早々に私はあきらめて、一人で抱え込む道を選んでしまった。
子供が成長するにつれて私の負担も少なくなって、夫婦としてもそれなりに良いところもあるのだからと他に目を向けて何とかやってきたけれど…
あの頃の恨みつらみを思い出してしまったというか…
若い世代の人はぜひとも読んでみる物語だと思います。それは女性だけじゃなく男性にも。
特に新婚さんとか、結婚を意識している方とかにはぜひ読んでみてほしい。
だけど私のような中高年には…
今さら十数年前のことで夫婦げんかになりたくなかったらちょっと気を付けた方が良いかもしれませんね。