2歳3ヶ月の子供がいる。
9時から17時まで、息つく暇もなく広告会社で働いている。
お迎えに行き、アンパンマンを見せながらレトルトのご飯を作り、お風呂に入れたら寝かしつけながら一緒に寝落ちしてしまい、また次の日がやってくる。
子どもが可愛すぎるし、仕事もやりがいはあるんだと思う。でもぼんやりいつも限
...続きを読む界だ、と思っている。
そんな今の自分には、登場人物のどの感情も身につまされ、ぐぐっと感情移入してしまった。
礼子の、大事な仕事が立て込む中子どもが感染症にかかって、1週間会社に行けずゲームオーバーと感じるところも。
中谷の、体調が悪い時も育児は容赦なく、何も思うように行かずイライラする気持ちも。
自分の母も専業主婦なのに、
認めたくないが、かつては自分のなかにも、専業主婦を軽んじる気持ちがあった。
仕事がつらいときほど、いいなぁ、のんびりできてと隣の芝生が青く見えたり。
でも、子供の三食が自分の手に委ねられている重積も、子どもと遊ぶこの時間によそ様はキャリアを積んでお金を稼いでいるんだ…と虚しくなるような気持ちも、子供を持つ今なら手に取るようにわかる。
自分がこのさき、正社員を降りるかもしれない、という状況だからこそ、
それぞれを受け止めるようなこの小説に少し救われる思いがした。
何を選んでも、他人と比べず、そして他人を落とすでもなく、自分を信じて褒めていきたいね。