あらすじ
普通の人ができることがうまくできない――はたから見ればポンコツのアラサー男子・紙屋がなんとか内定をもらったのは老舗の製粉会社だった。案の定、配属された総務部では仕事のできなさに何もしないでくれと言われる始末。しかし紙屋は唯一の特技「文章を書くこと」で社内で起こる小さな事件を解決していく。すこしずつ自分の居場所を見つけていく一方で、会社は転換期を迎え……。
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Posted by ブクログ
これだったら少しはできるかも
を
自分や周りが見つけて
それを生かしていけるありがたさみたいなのを感じた。
ラストの方の文章は、それまでのことが本当のことだったのかと思わせてくれるようなリアルさで。
良い人ばかりではなかったのに、全員嫌いになれない魅力があるなと
読後感はとてもよかった。
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「比較優位と月をさす指」
フォローしている読書家さんの本棚に面白そうな本を見つけて早速購入。こういう出会いがあるのも屹度SNSの醍醐味なのでしょう。
主人公の紙屋くんは仕事ができない。
唯一の特技、文章を書くことも中学の読書感想文コンクールで佳作を取った程度である。しかし他に何もできないが故に言葉を紡ぐことに一切の妥協がない。
だから面接の想定問答でも嘘をつくことができなかったし、安易な代筆もしない。
真摯に書くことに向き合っている。
周りの人とか、組織とか、社会とかを変えるのはそういう人間なのかもしれない。
紙屋くんの優秀な兄は、優秀であるが故に却ってこれだけはという取り柄を磨き上げることはなかった。兄は紙屋くんのことを羨ましいと思っていたと吐露する。
そして「会社はやりたいことをやる人間のためのものなんだから」と言い切り「そういう奴のやりたいことをさ、俺みたいな、特技はないけど、度胸と図々しさだけはある奴が、あちこち走り回って実現させる。それが会社だよ。」と続けた。
それが「どんなつまんない取り柄でも一つでもあれば会社でやっていけるもんだ」と兄が云っていたことの含意なのだろう。
紙屋くんのような生き方は難しいけれど、惹かれるところがある。
思想と生き方が一致している人を、インテリゲンチャというらしい。そんなところ。
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作家、朱野帰子さんの作品でドラマにもなった「わたし、定時で帰ります」3部作は、IT企業働く労働者の辛労辛苦を、インパール作戦、忠臣蔵、女工哀史を対比しながら現在のクリエイティブなIT企業の光と闇を小気味よい展開綴り、会社組織で働く女性の活躍を描いた。
本作は、帯のキャッチコピーによると総務部の男性ダメリーマンと開発部の人気ブロガーOLの会話を中心に、杓子定規の総務部上司、営業のハラスメント課長、器の小さい3代目社長、などを交えた会社あるあるの作品である。自称冴えないダメリーマンが、出来る兄の助けで企業に就職したものの入社即戦力外通告を突きつけられ、総務部でのコピーやスキャンすらままならない。その一方で唯一の取り柄である文書力で、会社を綴っていく。入社時に65年社史を熟読して入社し、社長や上司を誰よりも知りつくし、会社の良い面と伝統でがんじがらめになる矛盾に悩み抜く。いよいよ会社が資本業務提携で飲み込まれるなかで、65年史の続きの2年間の社史を綴る。会社とは組織における文書の重要性とは、伝統と職場風土とは、会社、職場、組織を振り返る、さすが朱野帰子さんらしい作品に脱帽。
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仕事は仕事。食べて行くためには必要だから働いてる。どんな理由てあろうとそこにいるのは自分なのだと思った作品でした。
会社で働くために必要な事は、
年月が経つにつれて知らず知らずに吸収されていく。それが当たり前な事だと思っていたけれど、
本を読んでいて本質はなんだろうと立ち止まる瞬間が何度かありました。主人公の紙屋さんには、ハラハラ、おいおいと思う場面もありましが、紙屋さんはいつでも真っ直ぐでブレない人だった。
だからこそ、紙屋さんのセリフや行動に今の私は心打たれたのだと思います。
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帰子さんらしい作品。
面白かったし、菅谷さん、好きでした。
最近、定時で帰れてないなあ...定時で帰れるように頑張ろ。次は、定時シリーズ読みたいなあ。
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普通の仕事はまったくできないが唯一得意な「書くこと」「読むこと」で次第に会社で自分のやるべきこと、居場所を見つけていく紙屋くん。
一方、仕事はできるのに会社の旧態依然とした社風や古参社員への不満をブログであげつらっては閲覧数を稼ぐことで承認欲求を満たす榮倉さんとの対比が面白い。
ともに同じ「会社を綴る人」でありながら方向性がちがうのだ。特に榮倉さんは紙屋くんのことをなかなか認めることができない。自分がやりたくてもできなかったこと=文章の力で会社の人を動かすことを、見下していたはずの紙屋くんがやっているからだ。
終盤、榮倉さんは紙屋くんへの嫉妬心に気づく。そして彼を認め、これまでの自分を後悔する。だが時すでに遅く、二人を含めた状況は予想外の方向へと大きく変化していく。
お仕事小説に欠かせない、主人公の成長と周囲との関係性の変化。そして会社の栄枯盛衰の悲哀。
読んでいて楽しく、それでいて物語の締め方にすごく納得がいった。安易なハッピーエンドに収まらない、この終わり方でなければここまで心に残る作品にならなかっただろうと思った。
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普通の人ができることがうまくできない――はたから見ればポンコツのアラサー男子・紙屋がなんとか内定をもらったのは老舗の製粉会社だった。案の定、配属された総務部では仕事のできなさに何もしないでくれと言われる始末。しかし紙屋は唯一の特技「文章を書くこと」で社内で起こる小さな事件を解決していく。すこしずつ自分の居場所を見つけていく一方で、会社は転換期を迎え……。
お仕事小説で引けを取らない朱野帰子さん、さすがです。紙屋君の文章に対する熱量がひしひしと伝わって来た。「三代目の呪い」という言葉がある3代目となる最上 輝一郎だったが、人を見る目は確かだった。その彼を最後まできちんと書き込んであったのが好ましかった。
Posted by ブクログ
ドジで失敗ばかりしている男が文章だけは好きで、という設定の小説。うまく潜り込んだ製粉会社で、いい文章を書いたりしてほんわかという感じのお話かと思っていたら、途中から展開していっていいお話。たんなる出来リーマンだと思っていた兄とその嫁がいい人だったりして、ジーンとも来た。最後に社史編纂にまつわる謎解きっぽいのがあったが、これって蛇足じゃないかと思った。
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できればその後、も読みたかった。
物足りず3よりの4。
御徒町でやっていた文庫本ガチャ500円で巡り合った本。思っていたよりお仕事小説ではない。(かなりフィクション感ある)どちらかといえばラノベっぽい。リアル感はないけど、なんだか自信を貰えるような、そんな感じ。
対岸の家事の人なんだね、読みたいと思ってた。思っていたより軽い書き口だった。
Posted by ブクログ
真面目すぎて融通が利かず普通の人ができることができないアラサー男(紙屋)がなんとか就職できたのは老舗の製粉会社で、配属されたのは総務部!
営業部からは目の敵にされた総務部で、何か会社の役に立てるのかと思いきや、絶望的にポンコツ過ぎ。
他部署からも同僚女性からも馬鹿にされ、どうなるのかと思ったけど、唯一の特技である文章を書くことで、社外宛文書、社史の編纂…少しずつ会社での自分の存在を認めさせ、居場所を見つけていく。
『インフルエンザ予防接種』の社内メールを紙屋くんが書いたことで、普段なら見向きもされない旧態依然の営業マン達が予防接種を受けに来るシーンは、ちょっとスカッとしたなあ。
最後のネタバレは書けないが、不器用だけどピュアな紙屋くんに、ちょっと感動した。
Posted by ブクログ
特にこれといった劇的な展開が待っているわけではないけど、自分なりの正義を貫く紙屋さんの姿は個人的に好き。現実の世界で出来なさそう、みたいなことも思いつつ、ただそれって自分の偏見だよなーとも感じた。
ライバル女性の卑屈な面は、何でそうなってしまうんだろう、という疑問と、現代はそうなっているのかもしれない、という懸念の二つを抱いた。もしかしたら著者から読者へ、もっと自分に自信を持って良い、という愛の溢れたメッセージなのかもしれない。
わたなべさんみたいなおじさんは、印象としては意地悪でパワハラとかしてきそうなのに、よく飲みに連れて行ってなんだかんだで面倒見が良いところが一番好きかもしれない。
Posted by ブクログ
只のエンタメ小説として楽しもうと思っていましたが、営業として意外と参考になることがありました。
プレゼン資料は話す人に合わせて作ってあげる必要がある。話し慣れている人と慣れていない人では、資料も変えたほうが良い。私は話し下手な方なので、プレゼン資料は読み上げるだけで成り立つものにしたほうが良いのだなと感じました。
Posted by ブクログ
文字を、文章を書くことの小ささを自覚していて、それでも書かずにはいられない「ものかき」の端くれとして、主人公・紙屋さんの奮闘ぶりが心地よいやら歯痒いやら。
欲を言うともっと紙屋さんの文筆エピソードを読みたかったなあ。
Posted by ブクログ
仕事が出来なくても、自分にできることを一生懸命やろうとする紙屋さん(仮)の姿に元気を貰いました。
渡邉さんのように「お金のため」と言いつつも自分の仕事にプライドをもって取り組んでいる人、実は多いんじゃないかなあと思います。
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頑張っているのに日常が変わらないことを認めたくなくて、他人を見ている気分になりたくなる。
自分の仕事、自分の日常、自分の人生、自分中心のはずなのにどこか他人事。
日々懸命に仕事と向き合う自分のために、読みたい本。
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「書くこと」にひた向きだからこそできることがある。
初めはハラハラさせられた主人公自身の社内での立場、周囲との関係性も自らの推進力で変えていく姿に圧倒されました。
Posted by ブクログ
「わたし、定時で帰ります」の著者というのは、
本を購入してから知りました。
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入社即戦力外通告されたダメリーマン
「文章の力でこの会社でやっていこうと思います」
社内の愚痴を密かに綴る開発部のブロガーOL
「…読書感想文で佳作だった程度で?」
これは、あなたの会社の物語―働く人必読の超リアル仕事小説!
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ポンコツアラサー男子の紙屋の奮闘記(?)です。
何をやってもダメダメで、周りからも呆れられますが、
なんとか文章(社内通知やプレゼン資料等)で
会社で存在感を発揮していこうとします。
私自身、打合せ中に突然発言を求められたり、
メールで何かを依頼するときなど、
言いたいこと(結論)をうまく言えず、
取っ散らかること多々。
そのため、社内文章等もとても苦手意識ありです。
だからと言ってはなんですが、紙屋がうらやましかったです。
だけど、一つの文章にそんなに時間かけてたら、実際はとても怒られてしまうかも。苦笑
すっきり!とか逆転勝ち!とか、そんな話ではないし、
仕事をちゃんとしている人から見れば、
紙屋やばすぎ、と思うかもしれませんが。
私としては、それでも踏ん張って、自分なりに会社を理解し好きになって頑張る姿は良かったです。
アプローチや方法、能力も違うし、たぶん普通の会社でやったらアウトなことも登場しますが。苦笑
そこはフィクション、物語の特権ですよね。
読後は少し、さみしい気持ちになりました。
私はこんなに潔くというか、アタックできるような社会人ではないことも再認識。(たぶん、給与とか生活とか守るものを優先してしまいそう)
Posted by ブクログ
文章力で周囲に認められながら成長する主人公を見て、嬉しくなりました。自分の利益に繋がらなくとも会社のために頑張りたいと思えるってステキなことですね。
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書くことが好きで比較的地味な平凡な男性。このご時世ギスギスした世の中だけど本来の仕事への誇りや想い、愛情を見失ってはいけないなぁと思わせるお話でした。
Posted by ブクログ
社会に出ていくことが苦手な主人公が、唯一好きな文章を書くことを通して、入ったばかりの会社で奮闘する話。豪華絢爛な経歴を持つ家族の中で悩み、会社の中で煙たがられながら、正直でまっすぐな性格がいつしか会社を少しだけ変える。
Posted by ブクログ
とても不器用だけど曲げられない出来ない主人公。そして、SNS受けに流されて素直になれない頑固なこ。昔ながらの熱いのか癖ありすぎなのか分からないおじさんや、無表情を型どったような読めないボンボン。それらの人々が織りなす普通の日々が、文を書くことで少しだけ変わってゆくお話。わりとあたたまる。
Posted by ブクログ
ポンコツアラサー男子である主人公・紙屋の唯一の特技は
「文章を書くこと」。
老舗製粉会社に就職したものの、あまりの仕事のできなさに「何もするな」と言われる日々。
そんな紙屋が文章を書くことで社内の問題を少しずつ解決していく、というストーリー。
ライバル(?)の女性があまりにも卑屈すぎて
この女子ごるぅあ…ってなったり、
紙屋のダメっぷりにも「え…」ってなったものの
人の心を動かす文章が書けるのは、正直いいかも。
お仕事系小説とはいえ、少し毛色の違う話だったけど、
社内にあふれる様々な文書に焦点をあてた小説というのは
なかなか新しい感じがして面白かったです。
Posted by ブクログ
アサラー男子で何も出来ない紙屋。
正社員の働き口を探している最中に派遣先を首になり、なんとか内定をもらったのは製粉会社だった。
家族は父母共に有名所で、兄も海外で活躍している。
自分だけが仕事も出来ず、周りに迷惑を掛けてばかり。
就職出来た製粉会社でも、ミスばかりで後始末に手間を掛けさせてばかりで、何もしないでくれと言われる始末。
ただ、紙屋は文章を書くのを得意としており、それには自信があった。
それを評価され、少しずつ自信がついてくる。
そして、紙屋の長所は正直過ぎるところ。
自分の出来るところで、自分の居場所を見つけていく。
2023.12.3
Posted by ブクログ
文章を書く以外に能のない紙屋くん(仮名)が、なんの因果か入社できてしまった製粉会社で、文字の力により問題をやんわりと解決していくお話。
話事態は悪くないのだが、想像以上に地味な展開に耐え難い。
Posted by ブクログ
劇的に面白い訳ではないのだが、実際は星4あげたいぐらい良い話。
自信をなくしてる人にオススメ!
通常業務が何もできない主人公が、人生の中で唯一誇れる事。それは、中学時代に取った佳作の読書感想文。
そんな主人公が、奇跡的に会社に入社し自分のたった一つの才能を活かし会社の中を変えていく話。
相手がどんな風にすれば読んでくれるのか、自分よがりではなく相手に伝えるためにはどの様な文章を作るのか、整えるのか。
そこが上手く描かれているのが、この本の魅力の一つだと思います。
Posted by ブクログ
ブク友様のレビューから気になって手に取った1冊。
来年は"言葉"にすごく縁のあることをする予定で、文章も言葉の力を発揮できる1つだと思い読んでみた。
なるほど勉強にもなったし、作中の紙屋と榮倉さんのその先とかも気になって楽しく読めた。
紙屋のような同僚と接する機会が多い私にはさほど違和感なくスっと本に入れたけど、イライラしてしまう人もいるのかなと思った。
仕事がバリバリ出来たり、どんなとこでも順応して働けることも才能だけど、文章だけで人の気持ちを動かせる才能も素晴らしいし羨ましい。
やっぱり"言葉の力"ってすごいな。
単なる社内メールだとしても、人の心を動かせるような文章、言葉を操れる技を身につけたい!
こちらの作品と出会わせてくださったブク友様に感謝\( ´ω` )/
Posted by ブクログ
「私、定時で帰ります」の作者のお仕事もの。
30過ぎても、仕事が出来なさ過ぎて、派遣の仕事もすぐにクビになってしまう主人公の紙屋(仮名)。
そんな紙屋が、昔読書感想文コンクールで佳作を取ったことだけを取り得に、転職エージェントの協力を得て、製粉会社の総務部の仕事に決まる。
しかし、コピーもちゃんと出来ない、頼まれた仕事も1日がかり・・・そんな彼に与えられた使命は「仕事をしないこと」
普通に働いている人からすれば、転職の動機も仕事の出来なさもイラっと来ること100%。
しかし、紙屋は開発部で働く榮倉さんのブログに触発されて、定例の文書で済むメールも「どのような文章ならば、みんな協力してくれるだろう?」と考えるようになる。
その文章を考えるのに、半日とか、実際に同僚にいたら、「勘弁してくれ」と思うが、自分でふと振り返って、そんな風に考えて業務用のメールを書いたことが、この数年あっただろうか?と考えさせられる部分も。
タイトルだけ見て、単純に社史を編纂する物語だと思っていたので、正直文章しか取り柄のないダメなアラサー男子の物語なのは、がっかりなんだけど、ラストまで読んで、何だかほっこりしてしまった自分がいた。
「文章」たかが「文章」
だからこそ、受け取った人に少しでも響く文章を書くことを意識することで、ほんの少しだけど、誰かの何かを変える魔法になるかもしれない。