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Posted by ブクログ
「比較優位と月をさす指」
フォローしている読書家さんの本棚に面白そうな本を見つけて早速購入。こういう出会いがあるのも屹度SNSの醍醐味なのでしょう。
主人公の紙屋くんは仕事ができない。
唯一の特技、文章を書くことも中学の読書感想文コンクールで佳作を取った程度である。しかし他に何もできないが故に言葉を紡ぐことに一切の妥協がない。
だから面接の想定問答でも嘘をつくことができなかったし、安易な代筆もしない。
真摯に書くことに向き合っている。
周りの人とか、組織とか、社会とかを変えるのはそういう人間なのかもしれない。
紙屋くんの優秀な兄は、優秀であるが故に却ってこれだけはという取り柄を磨き上げることはなかった。兄は紙屋くんのことを羨ましいと思っていたと吐露する。
そして「会社はやりたいことをやる人間のためのものなんだから」と言い切り「そういう奴のやりたいことをさ、俺みたいな、特技はないけど、度胸と図々しさだけはある奴が、あちこち走り回って実現させる。それが会社だよ。」と続けた。
それが「どんなつまんない取り柄でも一つでもあれば会社でやっていけるもんだ」と兄が云っていたことの含意なのだろう。
紙屋くんのような生き方は難しいけれど、惹かれるところがある。
思想と生き方が一致している人を、インテリゲンチャというらしい。そんなところ。
Posted by ブクログ
作家、朱野帰子さんの作品でドラマにもなった「わたし、定時で帰ります」3部作は、IT企業働く労働者の辛労辛苦を、インパール作戦、忠臣蔵、女工哀史を対比しながら現在のクリエイティブなIT企業の光と闇を小気味よい展開綴り、会社組織で働く女性の活躍を描いた。
本作は、帯のキャッチコピーによると総務部の男性ダメリーマンと開発部の人気ブロガーOLの会話を中心に、杓子定規の総務部上司、営業のハラスメント課長、器の小さい3代目社長、などを交えた会社あるあるの作品である。自称冴えないダメリーマンが、出来る兄の助けで企業に就職したものの入社即戦力外通告を突きつけられ、総務部でのコピーやスキャンすらままならない。その一方で唯一の取り柄である文書力で、会社を綴っていく。入社時に65年社史を熟読して入社し、社長や上司を誰よりも知りつくし、会社の良い面と伝統でがんじがらめになる矛盾に悩み抜く。いよいよ会社が資本業務提携で飲み込まれるなかで、65年史の続きの2年間の社史を綴る。会社とは組織における文書の重要性とは、伝統と職場風土とは、会社、職場、組織を振り返る、さすが朱野帰子さんらしい作品に脱帽。
Posted by ブクログ
仕事のできない男が、唯一の取り柄である「文章を書く」事で会社に居場所を作ろうとする話
朱野帰子さんは、相変わらず現実感の乏しいファンタジーお仕事小説を書く人だなぁという印象
優秀な人達の一家の中で、何をやらせても失敗ばかりのダメ男の紙屋(仮名)
派遣先をクビになり、再就職を試みていたところ
面接前に会社の社史を取り寄せて読み、その歴史に感動した事を履歴書に書き、面接も何故か受かってしまう
いざ総務の仕事を任されると、やはり失敗ばかり
そんな中、総務の責任は果たしたとばかりに「予防接種の案内」を定型文で社員に知らせてほしいという上司からの依頼を受ける
そこで紙屋は定型文ではなく「心のこもった文章」でメールを送ると、何人かが接種してくれた
「どんなつまんない取り柄でも一つあれば、会社でやっていけるもんだ」という、敬愛する兄の言葉を信じ、「文章を書くこと」で、少しずつ自分の居場所を見出していく物語
主人公の紙屋(仮名)の記録という形の文章になっている
そのため、登場人物や社名がほぼ仮名になっている
舞台は最上製粉
紙屋
榮倉:商品開発の女性。ブログで社内の愚痴を面白おかしく文章を書いていて、注目を集めたいと思っているが、中々ビューやコメントが来ない
栗丸:紙屋の仕事デキ上司
渡邉:営業のおじさん。昭和なノリのセクハラ満載
輝一郎:三代目社長
玄野常務:会社の歴史を重んじる保守的な役員
紙屋が手掛けた文章
予防接種の案内メール、営業部の作るプレゼン資料、工場に飾る安全標語、申請書、社内報コラムのお手伝い、売上げグラフ、会議の議事録、そして……
社史「最上製粉 感謝のあゆみ六十五年」
紙屋が感銘を受ける程に素晴らしい歴史ってどんなだろうね?
まぁ、都合の悪い出来事は書かれないだろうし、社史だけを読むといい会社のように見えるというのは作中でも言及されている
この物語は(おわり)の後がよい
むしろ、これのための物語とも言える
ただ、紙屋の出来なさ具合が呆れる
今まで勤めてきた職場でも似たような失敗をしてたと思うのだけど、よくやってこられたな
最上製粉もよくこんな社員を雇ってくれたし、こんなお荷物も辞めさせるような動きがないように見える
ただ、紙屋のやった事はコンプライアンス的にかなりヤバい
廃棄しなければいけない書類を自宅に持って帰るのはドン引き
こんな事ができてしまう会社の体制がとても心配
まぁ、所詮はフィクションですしね
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何をやってもうまくできない紙屋が家族のコネを使って就職したのは老舗の製粉会社。
唯一の特技・文を書くこと(ただし中学生の時にコンクールで佳作をとった程度)と
面接用に読んだ社史に感動し、社長に伝えた熱意によって入社が決まったと思っていたが――
配属された総務部では、仕事のできなさに何もしないでくれと言われる始末。
ブロガーの同僚・榮倉さんにネットで悪口を書かれながらも、紙屋は自分にできることを探し始める。
一方、会社は転換期を迎え……?会社で扱う文書にまつわる事件を、
仕事もコミュニケーションも苦手なアラサー男子が解決!?
人の心を動かすのは、熱意、能力、それとも……?
いまを生きる社会人に贈るお仕事小説。
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Posted by ブクログ
普通の人ができることがうまくできない――はたから見ればポンコツのアラサー男子・紙屋がなんとか内定をもらったのは老舗の製粉会社だった。案の定、配属された総務部では仕事のできなさに何もしないでくれと言われる始末。しかし紙屋は唯一の特技「文章を書くこと」で社内で起こる小さな事件を解決していく。すこしずつ自分の居場所を見つけていく一方で、会社は転換期を迎え……。
お仕事小説で引けを取らない朱野帰子さん、さすがです。紙屋君の文章に対する熱量がひしひしと伝わって来た。「三代目の呪い」という言葉がある3代目となる最上 輝一郎だったが、人を見る目は確かだった。その彼を最後まできちんと書き込んであったのが好ましかった。
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小説・文芸
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