朱野帰子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
駅と鉄道が大好きだった弟を亡くした直は、鉄道会社に就職して駅員になります。弟が緊急搬送された日、直は最終面接のため東京駅の通勤ラッシュ時、気が動転して体調を崩し倒れてしまいます。彼女を助けてくれた五人の恩人を探し、恩返しをしたいのと、弟の気持ちを理解したい。その思いが彼女が駅員になった理由なのでした。
モンスタークレーマーや撮り鉄の存在、業務の厳しさなど、駅員のリアルな日常を味わえるお仕事小説である一方、たまたまトラブルに居合わせた恩人と再開するという「奇跡を起こす」べく駅員になって、結果恩返しするというのがファンタジーめいて、ご都合主義に感じてしまったのが残念です。直の教育係の藤原や、鉄オタを隠して就職した同期の犬塚、いかにも嫌な上司の吉住などの癖が強いキャラが多く、そこでドタバタ奔走する直にも嫌悪感がありましたが、物語の後半には吉住以外も成長し、本書の雰囲気にも慣れて一気に読むことができました。
駅で働く人たちは、どう考えて日々の業務と向き合っているのでしょう。人身事故のようなショッキングなことに遭遇する恐怖、定刻運転できずに怒られる理不尽に戦いながら、「何も起きないこと」を願って働く駅の人たちに頭が下がります。