あらすじ
「大事なことを三つ言っとく。緊急時は非常停止ボタン。間に合わなければ走れ。線路に落ちたら退避スペースに入れ」 酔っ払う乗客、鉄道マニアの同期、全自動化を目論む副駅長に、圧倒的な個性をもつ先輩たち。毎日100万人以上が乗降する東京駅に配属された若菜は、定時発車の奇跡を目の当たりにし、鉄道員の職務に圧倒される。臨場感あふれる筆致で駅を支える人と行き交う人を描ききった、書き下ろしエンターテインメント!
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お仕事小説
たまに利用する東京駅をこういう視点から見れるのは面白い。私自身あまり鉄道に詳しくないので知らない言葉も多々あったけど、お仕事系小説としてしっかり楽しめた。
Posted by ブクログ
駅にまつわるそれぞれの人の想い、ストーリーがあることを改めて気付かせてくれる本。
ゆっくり時にグサッと心に訴えかけてくる言葉もあり、一気に読めた。
この本を読みながら、自分は仕事に対してこういう裏側のことまでしっかりと想像を巡らせているのか、自問自答することもあった。
また、普段駅を利用していて、駅員の人たちに質問はしても、その人たちの顔や声をしっかり覚えているのか、自分もこの小説の中のその他大勢の人のようになっていないか、考えさせられる本だった。
駅を通して、それぞれの人たちの心にスポットを当てた感動と深い思慮を与えてくれる本。
Posted by ブクログ
温かい気持ちになれた1冊。気がついたら、駅員として奮闘する主人公を応援していた。今日もどこかの駅で、素敵な物語が生まれているのだろうか。そう思った。
読んで良かった
とてもステキな一冊。
満員電車でおしあいへしあいで毎日嫌だけど、
これ読んでたら
周りの人だってきっと嫌だろーなこの状態、
っておだやかに思えた。
藤原みたいな駅員に会ってみたい(笑)
Posted by ブクログ
駅と鉄道が大好きだった弟を亡くした直は、鉄道会社に就職して駅員になります。弟が緊急搬送された日、直は最終面接のため東京駅の通勤ラッシュ時、気が動転して体調を崩し倒れてしまいます。彼女を助けてくれた五人の恩人を探し、恩返しをしたいのと、弟の気持ちを理解したい。その思いが彼女が駅員になった理由なのでした。
モンスタークレーマーや撮り鉄の存在、業務の厳しさなど、駅員のリアルな日常を味わえるお仕事小説である一方、たまたまトラブルに居合わせた恩人と再開するという「奇跡を起こす」べく駅員になって、結果恩返しするというのがファンタジーめいてるしご都合主義に感じてしまったのが残念です。直の教育係の藤原や、鉄オタを隠して就職した同期の犬塚、いかにも嫌な上司の吉住などの癖が強いキャラが多く、そこでドタバタ奔走する直にも嫌悪感がありましたが、物語の後半には吉住以外も成長し、本書の雰囲気にも慣れて一気に読むことができました。
駅で働く人たちは、どう考えて日々の業務と向き合っているのでしょう。人身事故のようなショッキングなことに遭遇する恐怖、定刻運転できずに怒られる理不尽に戦いながら、「何も起きないこと」を願って働く駅の人たちに頭が下がります。
Posted by ブクログ
東京駅に勤務する駅員になった女の子の話。駅員という職業についてわかっていたつもりだが想像以上に過酷で、改めて毎日遅延も少なく運行してくれていることに感謝。主人公の就職理由が恩返しというややリアリティに欠ける設定から、軽めのお仕事小説だろうと高をくくっていたら意外にも重めだった。主要登場人物全員の良い部分・嫌な部分がきちんと描かれていたのが珍しく、ふわふわした設定に現実感がプラスされていた。主人公の設定がはっきりせず、あまり感情移入できなかった点が残念。知識も興味も乏しかった駅員さん、明日から見る目が変わりそう。
Posted by ブクログ
私も東京駅が好き。新宿駅も好きだけど、東京駅の厳かな感じがグッとくる。
ホームにいる駅員さんの一秒を争うハードな仕事も、改札のいつも忙しそうな駅員さんも、運転手さんの想像を絶する緊張感も、確かに毎日のように見てるのに、ちゃんと意識してなかったな…と。
今度から感謝して駅を利用します…。
あと、中央線の先頭車両乗りたくなった。
Posted by ブクログ
5章の冒頭が泣けた。
それまでの4章も良かったけれど、そんな奇跡のようなこと物語の中だけだと、ちょっと思ってしまってる自分もいて、でもその物語の中にぐっと惹き込まれてる自分もいるのも事実で。
だからこそ5章の冒頭が泣けた。
400ページ弱の長編だったけど、あっという間。
出雲さんの言葉も、直の言葉もズシッとくる。空っぽの自分。それを埋めようとする自分。
直と周りの駅員さんとの関係性が少しずつ変化していくのもよかった。
朱野帰子さんの作品は「わたし、定時で帰ります」のドラマを観て、原作1作目を読んで以来。おもしろかった!
Posted by ブクログ
主人公の駅員さんを筆頭に、東京駅に関わる人達が少しずつ、触発し合って成長して行く物語。
この物語を読んで、私が以前スマホを線路に落とした時に拾ってくれた駅員さん、出口の場所を教えてくれた駅員さん
その人達の優しさに再度感謝しました!
毎日、電車通勤をしていると、運転手さんもホームに立っている駅員さんも改札にいる駅員さんも当たり前に感じて意識する事が無かったけど、いつも使っている駅の駅員さん達は、どんな人達が働いていて、安全を守ってくれているのか周りの駅員さん達に感謝しなければなぁ。と思える素敵な物語でした。
Posted by ブクログ
たくさんの人が行き交う駅には同じストーリーを持つ人なんていないし、一瞬でも交わることが奇跡だと思う。当たり前にある駅で同じ日常がないと改めて思えた作品だった
Posted by ブクログ
表紙の東京駅のイラストが素敵すぎて、
さらに著者が朱野さん、
帯のコメントが良き!
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駅に行き交う人々が起こす温かな奇跡。
通勤通学がもっと楽しく好きになる!
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東本鉄に新卒入社した若菜直(わかな なお)は、
東京駅に配属される。
改札やホームで駅員さんとして勤務する。
個性豊かな面々と四苦八苦しながら研修で経験を積んでいるが、若菜が東本鉄に入社したのは訳があって…
毎日大勢の人たちが行き交う駅で、
事故のないように列車の到着を受け入れ、
数分の誤差もないように列車を送り出す。
目的地に急いでいる人や、無関心な人も多いけれど、
トラブルのときには誰かの善意に救われ繋がる。
だけど、その助けた人たちだって、
日々のなかで苦しんだり問題を抱えている。
内容はとても面白くてよかったのですが、
どうしても若菜が吉高由里子で想像してしまい、
嫌な上司はユースケ・サンタマリアでした。笑
読み終わって、表紙の東京駅を見つめると、
やっぱり素敵だなって思えました。
Posted by ブクログ
特に電車にも興味はないけど、朱野帰子さんの本を前に読んで面白かったので、手に取りました
朱野さんの本はやっぱり面白い
すぐに引き込まれました
若菜直がどうして駅員になったのか
5人の恩人
弟
同僚
いろんな角度から駅にいる人たちを観察できる本です
駅員さんたちの苦労も知れて、安全に毎日運行してもらっていることに感謝しなきゃと思いました!
Posted by ブクログ
東京駅で働く新人駅員さんのお話。
登場人物のキャラが濃い。濃すぎる。
そして新人さんの扱いってほんとにこんな感じなの?いまだったら確実にパワハラで訴えられるよな…?
というような内容ではあった。
前半はそんな感じで、あんまり入っていけなかったかな。
直と同期の犬塚が仲良くなったあたりからは、だいぶ読みやすかった。
スピード感はありつつ、駅の利用者と駅員さんひとりひとりにスポットをしっかりあてて描かれていておもしろかった。
駅員さんの苦悩は、現実でも沢山あると思う。でも、そういうことを今まで考えたことってなかった。
この作品を読むと、駅員さんのことを見る目は間違いなく変わる。駅員さんも私たちと何ら変わらない、1人の人間であることに気付かされた。
Posted by ブクログ
東京駅を舞台に描かれる駅員さんと人々のお話。正直鉄道にあまり興味がなく、完読できるか不安だった。が読み始めるとどんどん引き込まれて、電車がメインというよりは人間模様のリアルさに感動!
Posted by ブクログ
私も鉄道会社に就職したかったのですが、採用がない時代でした。でもいま思うとこのくらいの覚悟がないといけないんだから、就職できなくてよかったです。人の安心安全を守る仕事は、大変です。毎日感謝して電車に乗っています。
奇跡の起こる場所
コロナ渦でも動き続けている電車を見て、選んだ作品。
働く人の大変さがわかる、お仕事本。
というだけてなく、沢山の人が行き交う場所だから生まれる人間物語。
実は自分、隠れ鉄オタかもと思えてくるくらい、駅に行って電車に乗りたくなりました。
Posted by ブクログ
駅での乗客と駅員のふれあいと悩みが交差するお話
優等生の主人公が弟のことで後悔をかかえる反面、お世話になった人に恩返しをしようと頑張ります
みんな誰かしら支え合っていることがわかります
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて購入。
東京駅を舞台にした女性駅員の物語です。客とのトラブル、人身事故、案内など普段駅で目にする駅員の裏側を描いています。
朱野さんは、「今日、定時で帰ります」「海に降る」など、働く女性を主人公にしている物語が印象的です。本作品でも女性が主人公で一見、駅に駅員に憧れをもっていると思いきや、どこか秘密を抱えています。
連続ドラマっぽい仕上がりになっていて、ドラマ化になってもアリなんじゃないかと思うくらい、楽しめました。
ニュースで聞く人身事故や他のトラブルの裏では、壮絶な現場だということが、マイルドに描かれてはいますが、駅員さんには頭が下がる思いでした。
私も接客業をしていますが、まぁ自分勝手な人が多すぎるなと改めて読んで思いました。同じ人間なのにムカつくったらありゃしない。怒る理由はわからないでもないですが、こちら側も努力しているんですからと思わず言いたくなります。
この本を読んで、駅員の苦労を理解してほしいと思ってしまいました。
登場人物も個性あふれる人たちで、飽きさせませんでした。
どこの職場でも嫌な人、ソリが合わない人がいます。また、なんとなく入社した、好きだから入社した、入ったきっかけは様々で、仕事の向き不向きがあります。
すぐに辞める決断もありますが、悔いのない人生を一生懸命送って欲しいなと思います。
一生懸命がんばっている姿に自分も頑張らなきゃなと思わせてくれました。
Posted by ブクログ
多くの人々が行き交う駅。安全に、快適に、時間に正確に電車を運行するため、働く人々がいる。
恥ずかしながらそこで働く"人"を意識してませんでした。感謝。
身近なのに、実はあまり知らない世界。ちょっと覗いてみませんか?面白いですよ!
Posted by ブクログ
イキイキお仕事小説!のイメージで読み始めましたが、内容はもう少し落ち着いていて、時々仄暗さを感じる印象。行き交う人々それぞれに人生があると思うと、駅の風景はまた違って見えてきますね。
Posted by ブクログ
若菜直
上敬大学を卒業し、東本州旅客鉄道株式会社に入社。東京駅で働く新人女性駅員。由香子がつけたあだ名は「直ちん」。「駅では奇跡が起きる」と信じている。駅員になることは喘息の発作で死んだ弟の夢。
犬塚俊則
若菜の同期。由香子がつけたあだ名は「ワンタン」。
鉄道マニアだが、解雇されることを恐れて勤め先には隠している。
橋口由香子
若菜の先輩。あだ名は「ゆかぽん」。専門学校卒で直とは同い年。服飾専門学校で刺繍をやっていた。
松本和義
営業助役。四名いる助役のひとりで旅客対応業務を統括している。直の直属の上司。上司追随型の事なかれ主義。
藤原一成
若菜の先輩。直さん同い年。新宿駅で暴力事件を起こしたこともある札付きのヤンキー。
由香子がつけたあだ名は「藤ぴー」。車掌昇格試験に5回も落ちている。
吉住高徳
副駅長。直と同じ上敬大学出身。
保坂克志
ホームで酔っていた客。企業のお客様相談センターに所属。
出雲松吉
老駅員。直が休憩室で時刻表を見ていた時に覗きこんだ。
高沢剛史
新幹線のホームに配属されている四つ年上の先輩。
羽野夏美
二十五歳。入社七年目。最年少で新幹線の運転免許取得。
笹屋裕正
中部旅客鉄道株式会社の東京駅長。取締役。
内藤恭一
撮り鉄。一年前、直の失くしたものを見つけてくれた。
奥川
上敬大学の教授。吉住と同級生。
優斗
直の弟。鉄道が好き。一年前に喘息の発作で亡くなった。最後にいた場所が、先頭車輌。
久野
司令室。
木村和明
総務省で働いている。
草野絵梨
木村の娘。
西谷
本社のシステム開発部。
柴崎かすみ
授乳室に入って切符を買えないため、直に新幹線の切符の購入を依頼する。前に付き合っていた元会社の同僚にストーカーされている。
桑田里香
藤原の彼女。
本郷
柴崎のストーカー。
宮下宗治
一流商社のエリートトレーダー。
Posted by ブクログ
駅員さんが主人公の小説を読むのは初めて。
駅員さんを見る目がかわる気がする。
大変な仕事と思われているはずなのに機械のようにぞんざいな扱いをされたり…
忙しい駅だと全く気が休まらないだろうなと。
ただ大変そうなその分、やはりかっこ良くは感じる。
憧れる人がいるのも納得した。
話の展開は割とさらっとしてるかな?という印象だった。
Posted by ブクログ
鉄道会社の新入社員若菜直。
喧嘩越しの同期ヤクザのような直属の上司初日から現場での激務を終え絶望する。直は鉄道会社に入社したきっかけとなった、5人を探し出し徐々に働く意味を見出していく。
だんだんと打ち解けていく若菜と犬塚の関係性がとても素敵だと思う。ラストシーンの子供とのやりとりがお気に入り。
Posted by ブクログ
新人駅員の若菜直が、働く目的としていた5人の人物にあうことで、それぞれの人生の分岐点を作ったり、直の成長に繋がったりするお話。
きちんとした駅員さんが、物語の中では、砕けたやり取りをして、個性の強い人間性でぶつかり合って、感情を優先した行動をして、と人間が行う仕事だからこそのドラマが面白い。
特に首都圏の主要駅の駅員さんの何が大変かということが詰まっていて、普段利用している電車が正確に発着し、何気なく利用できる有難みを改めて感じた。
Posted by ブクログ
東京駅で働く駅員の話。鉄分はそれなりにあるのだが、謎解き、ミステリー要素が多い。目的の5人を探しだしても、イマイチスッキリしないのは何故だろう?
Posted by ブクログ
手軽に読めて心温まる1冊でした。
駅で起きる奇跡って、ただのお涙頂戴的な内容の詰め合わせかと思って読み始めたけれど、
いい意味で私にはそこまで奇跡に思えなかったというか、もっと人間味溢れていて読みやすかったです。
駅員に本当にこんな派手だったりヤンキー気質の人いるのか?という疑問はあるものの、
若菜の周りの人達がいいキャラしていて、スピンオフも読みたくなる。
若菜の成長していく様がよかった分、最後の方がちょっとあっさりしすぎた気もしました。
もっと悩んでもがいて成長していくところも見てみたかった。
Posted by ブクログ
「わたし、定時で帰ります。」の著者が描く駅を舞台としたお仕事小説。
駅での出会いを描いた作品かと思いきや、若菜直と言う女性の駅員の成長の物語。
東京駅に配属になった若菜直は、1年前に東京駅で倒れた時に助けてくれた5人の人を探す為に、内定の決まっていた大手企業から東本鉄への入社を決めた。
最初は駅員の仕事にそれほど興味のなかった直だったが、鉄オタを隠して駅員になった同期の犬塚、見た目は派手だけど、実は努力家の同い年の由香子、ぶっきらぼうで少し乱暴な先輩・藤原たちと接するうちに、駅員としての自覚が生まれて来る。
後半の駅員の人格を無視したSNSへの誹謗中傷などに傷つく様子などは、ここ数週間話題になっている自殺した女性へのSNSへの書き込みを思い浮かべずにはいられなかった。
確かに毎日駅を利用していても、駅員さんの人格などを意識したことなど、今まで一度もないかもしれない。
1人1人の駅員さんの努力で、日本の、特に首都圏の緻密なダイヤでの運行が守られていることを考えさせられた一冊。
Posted by ブクログ
栞ひもがついてなかったので。
もらった栞大活躍で。
それで、想い出の本にも。
思いがけないところで泣いてしまった。
奇跡…
ニックネームについていけなかった。
作者
かえるこさんなんだぁ。
Posted by ブクログ
弟の死を経て、鉄道勤務を志した直。駅という特殊な勤務場所で出会う数えきれないたくさんの出会いと経験に感化されて自分自身を成長させていく。
粘り強くトライするということ、自分の哲学で仕事をしている直はかっこいいと思った。
Posted by ブクログ
東京駅の駅員になった女性が、駅員になりたい夢を持ちながら亡くなった弟の気持ちを理解しようと、日々様々な業務トラブルに見舞われながらも、1年前に自分を助けてくれた5人を探し出し、日々成長していく話。
探していた5人が、普通というよりむしろ心の闇や複雑な事情を抱えている人たちだったのが意外だった。それが、弟の死や、仕事・駅に対する複雑な想いを自分なりに乗り越えていくきっかけになっているのだろうけど、あまりに個性とエピソードがインパクトありすぎて、ちょっと再会できた後の充足感・爽快感が削がれてしまった。先輩駅員や同期、上司も個性が強い。実際にこんな駅員ばかりだったら職場環境、大変だろうなと勝手に想像した。
ただ、日本の電車が世界一正確で安全だと評価されるのは、鉄道技術だけではなく、駅員の皆さんの地道な努力あってだと実感。駅員も職業の一つといえばそれまでだけど、人身事故の後処理をする駅員の気持ちを察すると、電車が遅れる、なんて安易に鉄道会社に怒りの矛先を向けるのは間違っているなと思う。駅員や乗務員という仕事に少し関心を持つきっかけになった1冊だった。