【感想・ネタバレ】対岸の家事のレビュー

あらすじ

家族のために「家事をすること」を仕事に選んだ、専業主婦の詩穂。娘とたった二人だけの、途方もなく繰り返される毎日。幸せなはずなのに、自分の選択が正しかったのか迷う彼女のまわりには、性別や立場が違っても、同じく現実に苦しむ人たちがいた。二児を抱え、自分に熱があっても休めない多忙なワーキングマザー。医者の夫との間に子どもができず、姑や患者にプレッシャーをかけられる主婦。外資系企業で働く妻の代わりに、二年間の育休をとり、1歳の娘を育てるエリート公務員。誰にも頼れず、いつしか限界を迎える彼らに、詩穂は優しく寄り添い、自分にできることを考え始める――。
手を抜いたっていい。休んだっていい。でも、誰もが考えなければいけないこと。『わたし、定時で帰ります。』の著者が描く、もう一つの長時間労働。 終わりのない「仕事」と戦う人たちをめぐる、優しさと元気にあふれた傑作長編!

「あさイチ」(NHK)紹介で大反響!共感の嵐!

みんなそれぞれ違っていても大丈夫と思え、気持ちが楽になりました!(20代女性)
いいですね、結末が。主人公の日常を大切に歩む姿勢が好きです。(30代女性)
こんなに色々な立場から入れるにはなかなか出会えません。
読み終えて、なんだかすっきりしました。(40代女性)
世の中の男性がもっと読むべき本だと思う。私は読めてよかった!(50代男性)

巻末特別収録☆彡スピンオフショートストーリー

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Posted by ブクログ

子育てしているか否かに関わらず、仕事に忙殺されている人にも刺さる本だと思う(私にはぶっ刺さった)。
私には今のところ子供がいない。子供を持とうと思えば持てる環境にはある。母になりたいと強く思ったことは小さい頃からあまりなかった。大人になり慣れない会社員として毎日あくせく働く中で、出勤中にママチャリに子供を乗せて忙しそうに走り去るワーキングマザーを道で見ては、私には無理だな〜と思っていた。
でも本来そんなことは子供を持つことの抑止力として働くべきではない。子供を育てることは大変だ。国の宝を育てている人が大変な思いをしないよう、もっと国は手厚い支援をするべき。

あと、今職場ですんげー大変な状況にある私、自分ばかり、なんで私ばかり、と思ってばかりいた。中谷氏が追い詰められていく様子を見て、ひとりで追い詰められる前に周囲に助けを求められるようにならねばと思った。あと、忙しいと思っている人は勝手、という隣人の言葉で胸ドキッした。私じゃーん。自分偉いと思ってんじゃねーぞ。気をつけないと。

あと、最後らへんの時間が沢山あることを楽しもう(うろ覚え)との主婦の主人公の言葉にもほっこりした。なんか日本だと、暇人食うべからず的な風潮ありません?暇でいいじゃんね。やりたいことやって周囲の人に尽くして。私も時間が沢山あることを恐れない人になりたい。

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2025年11月17日

Posted by ブクログ

家事をずっとやっていると頭がおかしくなってしまう、という描写がとても恐ろしくリアリティがあり、ある意味ホラー感がありました。
何かと矮小化されがちな家事の価値について真っ向から向かい合った傑作。
恐ろしさが、ありつつも、物語自体は軽快な筆致で描かれており、登場人物もユーモラスな魅力に溢れているので一気に読めました。
主婦じゃない人こそ読んだほうが良い作品だとも思いました。

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2025年10月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

礼子の子供2人が立て続けに水疱瘡にかかり、
詩穂に子供の世話を2度も頼むシーン。

職場と育児の狭間で激しく葛藤する心情が
痛いほど伝わってきて読むのが苦しかった。

詩穂が礼子の子供の世話を引き受ける度、
礼子は"よかった。これでイマイに仕事を
押し付けなくて済む"と考えるのだけれど、
イマイに押し付けずに済んだだけで
結局詩穂に押し付けてるじゃん…てなった。
まだ詩穂のことを専業主婦だからと結局見下しているが故の言動で、最低だけど妙にリアルだなあと思った。

ワーママは、育児という不可抗力の中で
あと少しでゲームオーバーになるかならないか
というギリギリの状態で
なんとか毎日生きているんだというのが
すごくリアルに描かれている。
あるいは、とっくにゲームオーバーなんだけど
それを認めず(状況的に認められず)、
自分の余裕や気持ちに蓋をしてなんとか生き延びている感じがした。

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2025年09月29日

Posted by ブクログ

子育てしたことないけどどのパターンの人もそれぞれ大変そうで、それぞれの境遇の人にそれぞれ優しくなりたいと思った

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

ドラマま見ていて、改めて読んでみた。
しほの気持ち、すごくわかる。
私に置き換えてみる。
子育ては終わったけれど、今、色々あって専業主婦。孤独になる気持ちよくわかる。今は読書、Audibleに出会って、孤独な読書でも、本の中に入り込める事、 ここで誰かと繋がっていると思えてる事が嬉しいし、有難い。

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2025年09月02日

Posted by ブクログ

専業主婦をしていたときにこの小説に出会いたかった。ずっと、専業主婦は悪いものだと思い込み、パートでもしないと罪悪感でいっぱいだったから。でも、主婦がいないと家庭って落ち着かないんですよ。仕事しても、子供の熱で休むのは主婦。家事も育児も仕事もなんて無理なんです。専業主婦(主夫)でいることは甘えなんかじゃない。世の中には主婦が必要なんだと勇気づけてもらえた。

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2025年08月25日

Posted by ブクログ

今の自分は子育てをしたことがないし、家事も母に任せきりだったから、少しだけ母の気持ちを知れたかなと思う。ならべく家事を手伝う、引き継げるように少しずつやっていけたらいいな。
いつか自分が働くお母さんになった時、この本に戻って来たい。

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2025年08月25日

Posted by ブクログ

私はワーママ側だけど、自分の生き方も人の生き方も肯定できるようになる、励まされる小説だった。家事に仕事に育児に疲れた時にまた読み返したい。

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2025年08月18日

QM

購入済み

可愛らしい表紙に惹かれて、読んでみたら想像の斜め上を行く内容。ほのぼの子育て日記、パパママの奮闘記課と思いきや、「専業主婦」と「家事育児」と「仕事と育児の両立」について本当に芯から考えさせられる内容だった。自分は専業主婦に対しては可も不可もなくという印象で、もちろん外で働く伴侶に代わって家のことをきちんと守っているのは尊敬に値するけど、本に出てくる人みたいに嫌悪や「甘えている」という感情を抱いたことはなかった。こんな風に思う人もいるのかと驚いたくらいだ。

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2025年03月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

母が専業主婦なので母におすすめしたくて読んでみた。母が主婦、とかそういう共通点がないとそこまで刺さらないかな?なんて思っていたけど大間違い。
主婦になったことのない私でも、専業主婦じゃない人も、ワーキングマザーも、みんなに刺さる本だった。

「私定時で帰ります」が好きで他の本も読んでみようと思ったことがきっかけだったけれど、手にとって良かった。自分が母になった時また見返したいと思える一冊。

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2025年11月13日

匿名

購入済み

タイトルがいい。
家事育児、その大変さや重要さは親、兄弟姉妹だけじゃなく一番身近なはずの伴侶にさえ理解してもらえないこともあり、主婦(主夫)は孤独だと。日頃自分が感じてもやもやしていたものがこうもリアルに明瞭に字にして描かれ、そうそうと随所で共感しながら一気に読めた。詩穂の母が遺した一言「これは仕返しなのかしらねえ」がずんときた。母もそうだったのかな、自分も今そうなのかなと。最後、父親に会いに行く詩穂はエラいし、やっぱり優しいな。

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2022年12月28日

Posted by ブクログ

育休中のときのことも思い出すし、いま働きながら子育てしている姿も重なるし、いろんな人に感情移入ができておもしろかった!

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2025年12月05日

Posted by ブクログ

 専業主婦をめぐって、人はどうしてこんなに対立したり、嫉妬したり、悩んだりしてしまうんだろう。それは、誰もがそこにコンプレックスやトラウマを抱えているから…
 詩穂の半径1キロぐらいの徒歩の生活圏のことだけを描きつつ、現代日本の世界の大半を映し出しているかのようなリアリティ。家事と育児を1人で担わされがちな現代日本の女性たちと、その隣りや周りにいるすべての人に共感させ、身の回りの人たちとの繋がり方を考えさせてくれる、じんわりととてもいい小説だった!

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2025年11月15日

Posted by ブクログ

子育て世代真っ只中の自分だからこそ、わかりすぎて辛いシーンもちらほら。女の人のドロっとした嫉妬がグルグルしていて、お互いのことを牽制し合って…。子どもがいてもいなくても、働いてても働いてなくても、みんなか生きづらい。

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2025年11月10日

Posted by ブクログ

アンソロで読んだ朱野さんの小説が面白かったので著作を読みたくなり、ドラマ化されたという本作を購入しました。

専業主婦の詩穂、ワーキングマザーの礼子、育休パパの中谷など、立場の異なる子育て世代が現代の問題に揉まれながら生きる様子を描いた話です。

待機児童問題、超高齢化社会、男性の育休取得、子育てと仕事・家事の両立といった様々な問題。自分の生活ともリンクする部分が多く身に詰まる思いで読み進めました。

何かと軽視されがちな家庭と家事、そして育児。
わたしは専業主婦の経験はないものの、育休経験はあり、あの時の社会から隔絶されたようなとてつもない孤独感は今でも忘れられません。
それがずっと続く。家族は家事をする自分を当たり前に扱い感謝もされない。
作中「家事をずっとしていたら気が狂ってしまう」というセリフがありましたが、その気持ちの片鱗は分かるな…と思ってしまいました。

ー世の中のバグには当事者が声をあげていかないといけないですよ。

話の中でも、各登場人物が少しづつ行動を変えたり、声を上げることで少しづつ周りの状況に変化が現れます。

礼子の同僚のセリフを見た時、待機児童問題「日本死ね。」の匿名の声が大きく取り上げられた出来事を思い出していました。
あれから数年。私も子供を持ちましたが、おそらく、当時よりは働きやすくなったのではと感じます。それも、声をあげてくれた先人たちがいたから。

それでもまだまだ世の中のバグはたくさん存在しています。当事者だからこそ分かるバグを見て見ぬふりをせず、どんな形でもいい。自分の中で我慢せず声をあげていくことが大事なのかな、と感じました。

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2025年11月03日

Posted by ブクログ

初めては子育て中主婦の出来事だったが
読み進めるうちにだんだん家族の話に
なって行く。それぞれの成長して行く姿が
見られる。

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2025年10月27日

Posted by ブクログ

私もさー、パートでさ。
『フルタイムで働いてたらなー』って思うことがある。
『自分の選択は正しかったのか』
47年生きてきて、あのときの選択、このときの選択、いろいろ考えますな。

自分と気持ちが重なるところもあり、心ほんわかする本でした。

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2025年10月11日

Posted by ブクログ

朱野さんの本は読んでいて楽しい。
今回、面白かった。
女性の生き方は子どもが欲しいかどうかとか、バリバリ働きたいか、専業主婦でいたいかなど、自由であるべき!
専業主婦が主人公なんだけど、まわりにはワーキングマザー、育休中のパパ友、子どもを期待されている若い女性とか、様々な人がいて、それぞれに悩みであったり、問題を抱えている。
人とつながり助け合って、それぞれ悩みや問題を解決していくお話。
人とのつながりって大切だなぁと思った。
私も誰かの支えになれるのだろうか?

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2025年10月05日

Posted by ブクログ

女性の雇用が進むことは当然良いことだが、逆に今の時代に「専業主婦」であることが「悪」であると捉えられることもあるのかなと思った。家庭と仕事を両立している人を見ると、よく回っているなと常々感心するばかりだし、社会のシステムを良いようにデザインしていくことで、多様な価値観が認められ、各々のペースで進められるようになってほしい。

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

自分の周りも、子育てや仕事にそれぞれ邁進する年齢になってきた。そのため、まさに当事者意識を持って読めた感じがあり、子育てや仕事、それにまつわる現代社会の問題点をたくさん描いたこの小説が、ズシっと重く感じられた。
そもそもの自分は、家事は日々の生活の隙間時間で済ますようなもので、仕事をしながら家事を済ます自分のことを、労れていなかった。が、家事に対しての意識が変わり、意味のある大切な時間だという意識になった。そして家事をやる自分をもっと自分で労わるものだと思えるようになった。

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2025年09月25日

Posted by ブクログ

対岸の家事
**著者**:朱野帰子

**あらすじ**:
家族のために「家事をすること」を仕事に選んだ、専業主婦の詩穂。娘とたった二人だけの、途方もなく繰り返される毎日。幸せなはずなのに、自分の選択が正しかったのか迷う彼女のまわりには、性別や立場が違っても、同じく現実に苦しむ人たちがいた。二児を抱え、自分に熱があっても休めない多忙なワーキングマザー。医者の夫との間に子どもができず、姑や患者にプレッシャーをかけられる主婦。外資系企業で働く妻の代わりに、二年間の育休をとり、1歳の娘を育てるエリート公務員。誰にも頼れず、いつしか限界を迎える彼らに、詩穂は優しく寄り添い、自分にできることを考え始める――。
手を抜いたっていい。休んだっていい。でも、誰もが考えなければいけないこと。『わたし、定時で帰ります。』の著者が描く、もう一つの長時間労働。 終わりのない「仕事」と戦う人たちをめぐる、優しさと元気にあふれた傑作長編!


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**感想**:
ドラマで話題になっていた作品ということで気になってはいたものの、「専業主婦が主人公」という点に共感できるか不安があり、視聴には至っていませんでした。しかし、オーディブルで原作がリリースされたことを機に聴き始めたところ、想像以上に引き込まれる内容でした。

本作は、専業主婦という立場を超えて、**“子育てに関わるすべての人”の視点**から描かれているのが印象的です。家庭の中で、あるいは社会の中で孤立しがちな育児というテーマに対し、多角的な視線で寄り添うように物語が進んでいきます。登場人物たちが抱える葛藤や疲弊にリアリティがあり、共感を呼ぶ描写が随所に散りばめられていました。

特に印象的だったのは、「ゲームの設定がそもそも難しければ無理ゲー、つまらなければクソゲー」という言葉。これは現代の子育て環境を見事に言い表していると感じました。社会の制度や周囲の無理解によって、そもそも不公平な「ゲーム」にされてしまっているという指摘には、思わずうなずいてしまいます。

また、本作は子育て中の人たちだけでなく、**子育てが一段落した世代や、政治・行政に関わる立場の人たちにもぜひ読んでほしい**作品です。現代の家庭が直面しているリアルな問題に目を向けるきっかけとなるでしょう。

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2025年09月16日

Posted by ブクログ

日本のゆがんでる姿が良く書けてるように思いました。

令和になっても、家事は女という凝り固まった男がいるのも事実。一方で男が働いても稼げない、そんな生きにくい環境にもなってると思います。正解の見えない子育て。情報過多だから余計にね。みんな働く(働かざる得ない?)から孤独になりがちな主婦。

基本は女性目線のストーリーですが、個人的には文庫版についてくる最後のアナザーストーリー(夫目線の話)も好きでした。

男も女も働きやすく、子育てしやすい。
そんな日本に少しでもなって欲しいです。

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2025年09月13日

Posted by ブクログ

子育てをしたことのある人なら心がザワザワしたり、共感したりする物語だと思う。
私もそうだった。
でも何が解決策なのかがわからなくて途中ただただザワザワしていた。
もう子どもはある程度手を離れたけれど、あんなに大変だった時期が結果、今幸せと感じた時期はいつかと問われると子どもがめちゃくちゃ手がかかった時期。
多分年齢をもっともっと重ねるのその思いは強くなる様な気がする。
子育ては千差万別、置かれている環境、子どもの性質本当それぞれで正解も分からない。
でも過ぎ去れば他人事になりやすい。
私も自分が子どもの頃専業主婦をどこかバカにしていた。
多分それは実母が専業主婦でその本人が専業主婦に悲観的だったしバカにしていたからだと思う。
専業主婦がもっと憧れな職業になるといいなと思った。

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2025年09月13日

Posted by ブクログ

自分の人生のステージが変わるたびにいろいろな立場を経験し、登場人物それぞれにすごく共感できた。言葉にできないモヤモヤを作者が分かりやすく言葉ににしてくれた。

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

【why】なぜ読もうと思ったのか
読書会の仲間のおすすめ

【what】何を学んだのか 三つくらい書き出す
・家事はお金は手元に残らないがいい働きをしている
・この本を通じて専業主婦の大変さをわかってもらえたら嬉しい

【how】いつまでに何をするのか
甘え方をしらないので
やるべきことはやって自分の時間をキープ
すきな物に囲まれて暮らす

【word】心に残った言葉
「育児休暇ではない。育児休業だ」

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2025年08月26日

Posted by ブクログ

詩穂が坂上さんと会うところで涙がぼろぼろ出てしまった。自分が育休ママだったとき、ワーママだったとき、専業主婦だったときに、勇気を出して周りに助けを求めたらこんなに素敵な世界があったかもしれないことを知りたかった。育児書よりもこの小説に出会いたかった。どの生き方をしてもいいし、どの生き方をしても誰かと助け合わないと生きていけない。今からでも、そういう風に育児をしたい。そういう風に前向きになれる小説だった。

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2025年08月22日

Posted by ブクログ

ふらふらと屋上まで上がってしまうシーンは自分の子育て思い出して泣けてきます。みんな一生懸命なんだけど辛くなってしまう。
大変だし、しんどいけど、「味方を増やしておくこと。」この言葉の大切さを身にしみて感じます。

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2025年08月20日

匿名

購入済み

専業主婦、外で働く主婦、両方の幸せと辛さが少しわかった気になりました。専業主婦いいなと思ってたけれど、専業主婦は家事に育児に完璧さが求められると思うと、しんどそうだと思いました。子育ては難しいですね。

#タメになる

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2025年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

母を亡くし、残された父と娘は2人で助け合って生活し強い絆で結ばれて、娘が嫁ぐ時に美談となる話が多いと思ったけれど実際は詩穂ちゃんケースも少なくない気がした。中学生というのが不幸だったような気もする。家事はやれない歳ではない。そして詩穂ちゃんは器用にこなしていったんだと思う。そして家事が嫌いではないから結婚した後も専業主婦として頑張っている。そんな絶滅危惧種でもある専業主婦の詩穂さんもパパ友中谷さんや礼子さん、坂上さんとの出会いは色んな意味で刺激はあっただろう。父親は後悔しても遅かった。出産後に少しはマシになったかと思ったけれど変わってはいなかったようだ。ここでも父親はチャンスを逃したのだ。詩穂ちゃんは、ほぼ母親に育てられたということだろう。それでも父親には変わりないのだからどうにか和解して欲しいけれど父親の改心がないと難しいだろうな。
文庫版で追加された虎朗のサイドストーリーのおかげてスッキリ読みおえられた。詩穂と虎朗はその後も幸せな家族となっていると思いたい。

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2025年11月20日

Posted by ブクログ

ドラマが先行してしまったが、読んでよかった。ドラマはかなり小説に忠実に作られていたのだなどと思ったのは、ドラマに引っ張られているのだろうか?ま、どっちでもいいや。とにかく、すごく共感できるところだらけだった。

専業主婦をしていた時期もそこそこ長く、現在はフルタイム(しかも残業あり)。乳児、幼児の頃に働いていたワーママとは比べものにはならないかもしれないけど、どちらの大変さもわかる。でも、私の頃はまだ専業主婦は絶滅危惧種ではなかった。だから、毎日遊んでもらえる友達もいたし、公園に行けば、誰かしら遊んでいる親子がいた。それでも、平日の昼間は本当に長かったし、一時期は本当に産後うつ、育児うつになりそうな時期(いや、なってたかも)も今思えばあった。

共働きが当たり前の今の時代は、なおさら主婦は孤独だろうな、と恐ろしくなる。しかし、保育園ママ、パパたちも協力者(配偶者含め)がいないと苦しい。家事と育児を舐めちゃいかんのですよ。
時代とともに便利グッズも増えていて、子育ても家事もやりやすくはなっているとは思うけど、やっぱり思うようにいかないのが子育てで。イヤイヤ期や反抗期、突然の熱、やれ習い事やら塾やら、そして受験やら。とにかく情報を集めなきゃいけないし。
いい加減に出来ればいいんだろうけど、やはり子どものことになるとなかなか手も抜きづらい。

この小説では、専業主婦の詩穂、ワーママの礼子、育休中のイクメン中谷(官僚)、近所でお母さんのように話を聞いてくれる坂上さん、坂上さんの娘(独身)、不妊治療をしている病院の跡取り息子のお嫁さん晶子さん、それぞれ異なる立場の人が出てきて、それぞれの立場での悩み、ツラさがリアルに描かれている。
公園で子どもと2人きりで過ごす時間は本当に長く感じられるのだ。あー、頑張って遊んだ、1時間くらい経ったかしら?と思って時計を見たらまだ10分しか経ってないとか。
そして、保育園ママが毎日着替えやらオムツやら大量の持ち物を抱えて、帰ったら急いでご飯とお風呂で精いっぱい、家の中はぐちゃぐちゃ…何のために働いてるんだろう?家族のために働いているはずなのに、楽しい時間がなくなっていき、なぜ、、と泣きたくなる気持ちも、わかるわかる。
でも、それもその立場になってみないとわからないもので。わからないながらも、詩穂や礼子、中谷が、お互い、もしかして、この人は自分とは立場が違うけど、同じように苦しさを抱えているんじゃないかと気付き、そして、お互い助けあえるようになっていくところは、なんだかホッとする。
現実はそんなに都合良く分かり合える人ばかりではないだろうけど。

朱野帰子さん、初めて読んだのですが、「わたし、定時で帰ります」の原作者だったのか。他にも読んでみようと思う。

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2025年11月05日

Posted by ブクログ

ドラマ化されたとのことで読んでみました。

子育て世代のさまざまな姿が描かれています。
・専業主婦(詩穂)
・ワーキングマザー(礼子)
・育休取得中の主夫(中谷)

出産後、育休を経て仕事復帰した私としては、礼子の姿に自分を重ねてしまいました。
あの時期は本当にきつかった。
保育園にはどうにか入れたものの、年がら年中、病気・病気・病気のオンパレード。
治ったと思えばまた発熱。0歳児の4月は、保育園に預けられたのはせいぜい1/3ほどでした。

会社では、同僚から「保育園に預けず、お子さんを会社に連れてきたら?」とイヤミを言われ、
保育園からの引き取り要請が入るたびに嫌な顔をされながら泣く泣く早退。
冷たい視線に耐える日々を思い出しました。
――あれから、もう10年。今では遠い目になってしまいます。

あの頃は「いつまで続くんだ?」と、得体のしれない何かに怒りをぶつけながら必死に生きていました。
けれど今振り返ると、ほんのわずかな時間だったようにも思えます。

当時は、専業主婦の方を羨ましく感じることもありました。
そして、詩穂のように「ママ友が欲しい」と思っていた時期も。
でも、時間が経った今は、感情的にも物理的にも解決しています。

「ママ友なんていらねーよ!」と今でも思ってはいますが、
よく考えたら会社の子育て世代の同僚によく相談しているんですよね。
結局のところ、助けられていたのは“仲間”でした。

作中のこのフレーズを読んだとき、そんなことに気づかされました。

「うちの子が小さかった頃は、公園に行けば子連れの主婦に会えたけど、今はママ友作るのも一苦労なんじゃないかな。娘さん、まだ幼稚園入ってないんでしょ? 一日中、子どもとふたりきりで、大人と会話できないってつらいよ。孤独だと思うよ」

もし当時、私が仕事をしていなかったら、こんな孤独を感じていたかもしれません。

主婦も主夫もワーキングマザーも――みんな共通しているのは「子育て中」であるということ。
隣の芝生は青く見えるものですが、どの生き方にも悩みがあり、喜びがある。
いいとこどりなんてできません。
だからこそ、この小説のように、子育てする人たちが支え合える社会になれば、きっと未来は明るい。

この小説が書かれたのは2018年。
そこからコロナ禍を経て、今。
働き方は大きく変わりました。
在宅勤務ができる会社も増え、ライフスタイルに合わせて仕事を選べる時代に。
子育てをしながら働きやすい環境が、少しずつ整ってきたように感じます。

自分を取り巻く環境も、世の中も、猛スピードで変化している――
そんなことを改めて感じさせてくれる作品でした。

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

この春ドラマ化されていたことを思い出して、手にとってみる。家事というか育児の要素が大きかったようにも感じたけど「対岸」はいつだって、他人事であり、良く見えたりするもの。
それぞれの物語で、そんな現実をうまく味わえました!!

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2025年09月09日

Posted by ブクログ

初読みの作家さん。
ワタシ自身が、子どもが生まれてからずっと専業主婦なので、共感ポイント多いだろうなと楽しみに読み始めた。
・・・が、なんだか読んでいて悲しい気持ちに。
専業主婦ってだけで、ワタシも周りからこんな風に見られているの?

こちら、2018年の作品で、書き上げるのに5年ということは、書き始めは2013年くらい?苺ちゃんの年齢を考えると、ワタシの育児時代とほぼ同時代。
ぜんぜん専業主婦いたけどなぁ。もちろん子育てひろばで保育園の話しているワーママさんたちはいたけれどさぁ。専業もいたよ。だいたい最初はお子さん何か月ですか?とか、夜寝ないですよね!とか、共通の子どもの話から入るよ。母親の仕事の話からは入らない。

あと2歳くらいからは幼稚園に行くでしょ。今は知らないけれど、うちは2歳からプレ幼稚園に行ったよ。そしたらほとんど専業主婦だったと思うけどなぁ。
まあ、今は「専業主婦は絶滅危惧種」なのかもしれないけれど、読んでいて悲しくなるわ。

気になったのは水疱瘡。全員ワクチン打ってるし、そんなみんながみんな罹らないわ。苺ちゃんなんて、友達ゼロだから、接触ゼロだろうし。

言いたいことは、専業主婦はいいよ。
一番いいのは、子どもの一番かわいいときを、ずっとそばで見ていられること。
家事がどうこうとか育児の辛さがどうこうじゃなくて、赤ちゃんから幼児時代のかわいいかわいい時を一緒に過ごせる幸せを独り占めできるところ。
反抗期やら思春期やらで憎たらしいこと言ってきても、かわいい時を思い出して、心の平穏を保てる気がするよ。

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2025年09月02日

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