講談社の検索結果

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  • ヒマワリさん
    -
    新聞記者の恋人を都会に残し、僻村へ赴任した新米保健師・小日山ヒロ子。明るく情熱に燃える彼女のニックネームは「ヒマワリさん」。貧困と無知により衛生観念に乏しく、病気になったら神頼みのその村に、保健衛生のタネを少しずつ蒔いていく「ヒマワリさん」と、周囲の人々が繰り広げるヒューマン・ドラマ。1965年公開の吉永小百合主演映画『明日は咲こう花咲こう』の原作小説。
  • うるさい妹たち
    -
    元テスト・パイロットで実業家の山村陽之介は、ふとしたことから、あるグループと知り合った。それはビート族と呼ばれる10代のグループで、啓子、桃子、サチ子、国江、男の子・ジローたちだ。彼らは、教室でも平気でペッティングを試みたり、疾走する車に全裸で乗り、スピードに興奮するなど、その行動は奔放だが、意外な明るさがあり、青春がある。だが山村は、このグループに、自分の娘・尚子が近づいていることを知り、驚く。尚子は、陽之介に向い、父さんが母さん以外の女性と交渉を持っても別に不潔じゃないという……。おそるべき10代の生態を描いた長編力作小説。
  • あさ潮ゆう潮
    -
    波静かな瀬戸内の海の自然を背景に、巡航船「セト丸」で一緒に高校に通った仲良しグループ「セト丸組」の友情を描く!
  • Hey!!ブルースマン(1)
    完結
    4.5
    実在のバンド「ブルース・ファイルNo.1」。 彼らと山本おさむの出会いから、この漫画は生まれた。結成以来20数年、「ブルース・ファイブ」は日本中を旅してライブを続けるブルースバンド。彼らに栄光はない。だが、その実力、音楽にかける情熱は、他の誰にも負けないものだ。心臓に重病を抱えたリーダーでボーカルの西島を案じ、バンドはやむなく解散を決定。これまで応援してくれた全国のライブハウスを巡る「最後のツアー」が始まった!! 結成以来20数年、「ブルース・ファイブ」は日本中を旅してライブを続けるブルースバンド。彼らに栄光はない。だが、その実力、音楽にかける情熱は、他の誰にも負けないものだ。心臓に重病を抱えたリーダーでボーカルの西島を案じ、バンドはやむなく解散を決定。これまで応援してくれた全国のライブハウスを巡る「最後のツアー」が始まった!!
  • 閉店時間
    5.0
    華やかな都会の夢をはらむ、白亜の殿堂・東京デパート。そこに働く松野紀美子、藤田節子、牧サユリの3人は、高校のクラスメートで、いまでも仲がいい。だが4年の歳月は、彼女たちをかなり違った色合いに染めあげていた。意地っぱりの紀美子、古風な節子、派手好きなサユリという性格の延長だけでなく、4階の高級呉服売場、地階の食料品売場、エレベーター係といった職場の影響にもよるらしい。そこから三人三様の恋が、そして当然、将来がひらけていくのだった。現代の花形企業であるデパートの内幕と、3人の女店員の恋愛模様を、清新な筆致で描いた長篇。
  • 風は緑に
    5.0
    外国映画会社宣伝部の一雄とTV局報道部勤務の圭助をめぐってる、ファッション・モデルの彩子、アナウンサーの三千代、幼稚園の先生の牧子たちとの恋模様。だが、牧子はアメリカ文学者と不倫し、彩子を狙うスポンサーが現れて……。華やかな都会の第一線で活躍する男女の、恋愛の苦悩と情熱を描いた、青春の感動的ロマン!
  • 姫君千一夜
    -
    上州沼田藩主の姫でわがまま娘のお美紀さまは、藩を脱出し、浪人の潮田又十郎と仙太を家来として、江戸を目指す。人情あり、恋愛あり、笑いありの珍道中。
  • 朝な朝な
    -
    女流評論家の高輪薫が海外旅行中、ローマに留学している一青年から故国の一女性への贈物を預ってきたことから、幸福をもとめるその女性の運命がひらけて行く――華道創美流の機関誌「創美」の編集部につとめる仙波雅子は、母のつよい希望で掛川昇と見合するが、初恋の人・松尾三郎の愛情を確めたことから、周囲の人びと、とくに副編集長・石井志奈子などの鞭撻で、幸福をつかみとる……。華麗なフランス情艶絵画をくりひろげるような愛欲を描いてベテランの作者が、仙波雅子の愛と行動のうちに現代娘の一典型を、ヨーロッパ帰りの女流評論家・高輪薫の眼をとおして描く大作。
  • 誰も知らない
    4.0
    女たらしで有名な大会社の御曹司・英太郎と、その親友の清司。そして、英太郎の妹、清司との結婚に踏み切れない幾代、清純な娘・麻子、英太郎との肉体関係で結ばれた柳子たちの、それぞれの愛の行方は……。そして、脳溢血で倒れた父親のロボットとして会社運営に携わる英太郎は麻子と結ばれ、清司は幾代と、柳子は知らぬ顔して別の男と結婚して……。
  • 戦国愛染峡
    -
    長篠の戦いの敗退から6年、武田勝頼が治める甲斐の国は、ひたひたと周囲を圧し始めた織田・徳川連合の影に揺れていた。武士の身分を隠して、上杉の越後から情勢を見極めに来た、若き遣い手・朝井若狭之介は、人心が迷い乱れるなか、武田家忠臣の娘・小弓の、毅然と使命に生きる姿に惹かれていく。陣営内の裏切りや策謀に苦しむ小弓たち一族を、必死に助ける若狭之介だったが、武田家滅亡への潮流には抗いようもなかった……。「きんぴら先生」など現代小説で著名となった鳴山草平、得意の時代ものの本作で、戦国末期の若者たちの、鮮烈な心情を抒情豊かに描き出す!
  • 川向うの白い道
    -
    女子学園の先生を今は嘱託でしている老男性教師の、六甲山麓の家に下宿する卒業生2人のところに、同級生たちが集まってくる。そこに出入りする男たちとの出会い、そして様々な恋愛……。それぞれの成長と恋愛の物語。
  • 青春海流(上)
    -
    いのしし先生こと青年教師・猪村彪吉を軸心に、恩師・大加田老先生の姪・英子、かつての教え子・鳥井魚子、阿良夢代、鮎川葉子が織りなす、青春の哀歓賦。<上下巻>
  • 青春の言葉
    -
    風見京子、鳥羽ヤス子ら、3人の女子高生は、瀬戸内の島のお寺に勉強合宿へ。そこで、浜でキャンプをしていた医大生の汐見、寺田、矢部と知り合うことになる。京子は汐見に恋心を抱くのだが、父親が怪我をしたとの連絡が入り、しぶしぶ戻ることに……。若い男女の嫉妬うずまく中、大人たちの事情も絡んでいき……。新藤恵美の主演により映画化されている作品。
  • 小説関根名人
    -
    明治から昭和にかけて活躍した「近代将棋の父」こと、十三世名人・関根金次郎。生まれは千葉の宝珠花で、子どものころから将棋が強く、人呼んで宝珠花小僧。10代前半で上京、十一世名人伊藤宗印に弟子入りし、その後、若手花形棋士となった青年金次郎は、師匠に勧められ修業の旅に出る。そこには、人情、恋、そして勝負の日々が待っていた……、という表題作のほか、天野宗歩(留次郎)の青年期を描いた「勝負一代男」、「勝負師 木村義雄」も収録。
  • 女の旅路
    5.0
    30代なかばの荘一は、7年間連れ添った妻を病気で亡くしてしまった。そして荘一は、なんとか切り替えようと旅に出た先で、美しい人妻・藤堂萌子に出会う。だが、妻の妹の美也子は、姉より「自分が死んだら荘一と結婚してくれ」という旨の遺書を受け取っていたのだ。荘一は藤堂萌子に惹かれていくのだが……。愛憎、まさに絡まる物語!
  • 砂の花
    -
    真実の愛を求めて、男から男へとわたって歩いた女優・彰子が、払わねばならなかった代償は、あまりにも大きかった。彼女を捨ててアメリカへ去った第1の男・大滝のあとに現われた第2の男・石垣は、戦争で受けた心の翳をいつまでも暗くひいている男であった。彰子から捨てられたと思った石垣は、自殺。傷心の身を岐阜の実家へと戻った彰子の前に現われた第3の男・朝吹は、アル中の病身であったが、彰子との愛に男としての再起なるかとみえた。が、二人の間に横たわる壁は厚かった。そして、女優として舞台復帰を夢みる彰子……。現代女性の一面を、多彩な筆で描く、石原慎太郎の傑作長篇。
  • 剣法奥儀
    -
    各流派には、それぞれの奥儀がある。一刀流「青眼崩し」、柳生流「八重垣」、知心流「雪柳」、天心独明流「無拍子」など、各流の秘太刀を生み出す剣豪の、妖気ただよう決闘を描く、五味康祐氏の傑作。
  • 禁断
    -
    いまは亡き恋人の愛艇「ロドイスカ」に乗ってヨットハーバーを出た由紀子は、人けのない夜の海に投錨して、ひとり静かに故人の日記を読む。過ぎ去りはしたが、永劫に喪われることのない日々が再現し、彼女はいまなお、彼とともにいた。さりげない最初の出逢い、生まれて始めての接吻、神がそれを希んだような性の儀式、そして至醇な陶酔と怖れと……。不倫と人は言うが、千億に一つの幸福感にみたされて、由紀子は舫いのロープを切り、海の涯へ、二人だけの世界へ漂っていくのだった。妻子ある新鋭作曲家と若い女子医学生との恋に、現代の性とモラルの真意を探る、石原文学の傑作。
  • そんな筈がない
    5.0
    医学部の学生で、元警察官の父を持つ滝口康子が、次々と事件の真相を推理。新聞記者の小島純吉、康子の父に昔お世話になった老刑事の真田らも活躍する、4編の連作ミステリー小説集。
  • かぎろい頌
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 幻の板画集! 棟方志功・保田與重郎の遺志を継いで集成、刊行! ――日本浪曼派の総帥・保田與重郎が詠んだ和歌を、昭和23年から20余年間も彫り続けた板画家・棟方志功。棟方・保田とも鬼籍に入ったが、50作で纏める計画は遂に「未完成板画集」となった。故人の遺志を継ぎ、改めて全国的規模で調査・収集を敢行し、判明した32柵で編む、初めての作品集。 ◎棟方志功  「かぎろい頌」は、保田氏のつくられた歌を五十くらいつくって、一本にしようではないか、というので、制作にかかりました。―(略)―まだ未完ですが、五十首完成ののち、好きに出来たものを発表しようと思っています。<昭和31年刊『板画の道』より> ◎保田與重郎  棟方さんが私の歌を彫ったのは戦後になってからのことだが、以来、折にふれ長期にわたって、私の歌を板画にしてくれた。―(略)―私の歌にふれた作品は、彼の各時代の手法が現われていて、作品年譜を見るようで、おもしろい。<昭和51年刊『グッドバイ棟方志功』より>
  • 0時間の男
    -
    千鳥が渕マンションの一室で、パール・ホワイトの受話器から、悩ましい女声の秘密指令をうけると、刈谷は過去を忘れ、未来を考えない男になる。現在の、この0時間に命をかけるのだ。「人狩り特急」では、在日米軍航空医療班細菌主任・小関博士の身辺警戒を命ぜられて、奇妙な誘拐事件のからくりを暴き、「深海魚作戦」では、ジュネーブ宝石商殺しの真犯人、日本の宝石界を牛耳るリュー将軍一味を捕え、「金髪特攻隊」では、外人旅行者相手のニセの旅行小切手偽造組織に挑戦する。ナポレオン・ソロばりの、秘密国際刑事警察機構・ICPOの日本特派員の、胸のすく大活躍!
  • 佐渡の三人
    3.4
    【羽田圭介さん激賞!】物書きの「私」は、ひきこもりの弟、古道具屋の父とともに佐渡への旅に出る。目的は、祖父母の隣家に住む「おばちゃん」の骨を、郷里の墓に納骨すること。ところが、骨壷をユニクロの袋に入れて運ぶくらい儀礼に構わぬ一族のこと、旅は最初から迷走気味で……。ちょっとズレた家族をしみじみ描いた快作。
  • 夜ひらく谷
    -
    性的不能の烙印を負って、山寺=曼荼羅寺にこもる三国実が、妖女艶婦の愛欲の中で、いかにして青春を復活していくかを描く問題作。
  • 青い糧
    -
    K学園高等部のサッカー選手だった河村は、試合で膝に怪我をした。その頃、厳格な父が死んだ。スポーツのできない体になった河村は、放埓な仲間との新しい生活に踏みこんでいく。賭博、酒、狼藉、背伸びした女遊び……。悪賢い才覚で大金を手に入れ、それを湯水のように使う。彼らがひかれるのは、じつは賭でも犯罪でも女でもない。情熱の浪費、浪費のための浪費、消耗することへの欲望がすべてなのだ。そうした無頼をてらう生活のなかで、河村はキャバレーに働く可憐な恵子を知り、彼女との愛欲に純粋な価値を求めて……。高校生と年上の女のはげしい恋を描いた長篇。
  • 西陣の蝶
    -
    殺人の容疑者として拷問にかけられた父は、蝶子が5歳のとき、冷酷な検事をうらみながら、死んだ。20年後、蝶子は、京都上七軒町から、芸者として出ていた。幸うすい青春に、父の記憶は黒いシミのように、影をおとしていた。ある日、呼ばれたお座敷に、父を死に至らしめた鬼検事がいた。蝶子は、装った笑顔で、その男に酒をすすめるのだったが……。社会の暗い部分と人間の醜い本能との間に、しめつけられた蝶のような女の、哀れな人生を、細密画のように描いた「西陣の蝶」の他に、「三条木屋町通り」「貴船川」など、全8篇を収録。
  • 人には聞けない マンガ・男と女の法律相談
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 誰にも相談できなかったあなたの悩み解決します! 知らないと危ない生活法律知識。弁護士作家・和久峻三が楽しく漫画指南! ――不倫関係のツケ、結婚・離婚にまつわる難題、子供の事故と親の責任、知らぬ間の連帯保証人、インフォームドコンセント……。身の回りで起こる男と女とカネのトラブルを、法的にどう解決するか? 弁護士作家・和久峻三が人には聞けない悩みや心配事に、分かりやすく楽しいマンガつきでお答えします!
  • 身がわりの夜
    -
    それは少女だけに許された、幻のような記憶かも知れない。下宿人だった画学生の杉浦が、正子の裸体を熱っぽくデッサンし、鮮紅色の乳房に、ふと触れた日の感傷は……。正子は、いま新宿・元青線のバー勤め。マダムの弥生は画家の未亡人で、かつて杉浦を愛した過去をもつ女だ。「杉浦はパリの安宿で病いに臥せている」と耳にした正子は、パリ行きを決意した。彼女は幻影を追って稼ぐ。ある夜、正子がとった男は甘美な肉体の香に酔いながら、奇妙な述懐を始めた……。女の感傷の傷跡を描く表題作ほか、全10篇。
  • 女館
    -
    生まれながらに霊感を与えられた美少女・妙子と、女ざかりの独身女、妙子に仕えて上品な物腰の、女の魅力を持ち続ける老女――「女館」に棲む3人の女と、影の如くつきまとう奇怪な風体の髭の男をめぐって、さまざまな事件が展開する。妙子の霊感で、動かなかった機械が動くようになり、新しい流行色のファッションが作られるようになり、政治家や実業家が、「女館」に日参するようになる頃、妙子は初めての恋に、女として目覚めてゆく。現代の愛と欲望のゆくえを、流麗な筆で捉えた異色長篇小説。
  • 純愛の砂
    -
    考古学で名を知られた大学教授を父に持ち、母親がいない20歳過ぎの千也子と、やんちゃな妹で高校三年生のルミ子。二人の恋愛の行方はいかに?
  • 終幕
    -
    30年来、新劇界に不死鳥の如く君臨してきた美貌の女優・長塚明子。彼女は脳腫瘍に冒され「五本の薔薇」の舞台を最後に、生命の危険を賭けて危険な手術に臨もうとしていた。数時間後に迫った死の影に脅えながら、彼女は愛の多かった自分の半生を、愛を交し合った男たちを思い返し、真の愛の意味を問いつづけ、舞台で使った5本の薔薇を、彼女の最も愛した人に贈ろうと考える。劇評家の宇佐見、彼女の発見者・春原、演出家の高城……幕が降り、まだ興奮のさめやらぬ群衆に囲まれて楽屋から出てきた彼女が薔薇を手渡したのは、意外な人物だった……。
  • 刺のある樹
    -
    植物学者・仁木雄太郎は、シャボテン・マニアの貴金属商がヨーロッパ旅行中、その邸に住まわせてもらっている。そこへ警視庁の砧警部補の紹介で製菓会社の重役が、警察ではとりあってくれないからと捜査を依頼にくる。自動車に轢かれかけたり、川へ突き落されたりして、死の恐怖におびえる男の出現。この「刺のある樹」は、その妻の死にはじまる。複雑な家庭の、絞殺、青酸カリ殺人の謎と、死の恐怖。電気ミシンのソケットの秘密に挑む、お馴染み雄太郎・悦子兄妹が、密室殺人事件のトリックを論理的に解明してゆく過程を、明るい清新なスタイルで描いた長篇。
  • 坂田家の四季
    -
    すでに一男二女の父となった、かつてのきんぴら先生こと、坂田金平の家で、長女の縁談をめぐって起こる様々な事件。日常の悲喜こもごもを、小気味よい巧みな筆で描いた、明朗家族小説。
  • 拳銃を磨く男
    -
    大がかりな偽ドル密輸団を追う「私」なる人物は、密輸団の核心に迫るため、前科者・加下千里の偽名で香港ボス・楊長二の元に潜入し、彼の手先の美女・ジェーン李に近づく。そして、ジェーンとともに東京空港へ向かうが、飛行機のタイヤに仕込んだ偽ドルは、パトカーの追跡で放棄せざるをえない。ホテルの女支配人、女高利貸し、バーのマダムと、その用心棒など悪漢の、入り乱れる密輸団と、公安調査官の対決。力作長編ハードボイルド・サスペンス。
  • 銀色の牙
    -
    影の多い国際都市・香港――そこでは、国籍は何の保証にもならない。日本商社の駐在員・越見は、ある日、友人のジョニイ劉が、アパートで殺されているのを発見した。間もなく、ヨットの遭難で話題になった男たちが、つぎつぎに殺される。そして、阿片窟の常連、元日本軍参謀、暗い過去のある大貿易商、美貌の女画家などの、もつれた糸のような動きに巻き込まれた越見にも、黒い殺人者の手が伸びてきた……。サスペンスに富んだ巧緻な物語の中に、落し穴を持つ現代の人間関係をさぐった、この野心的な長篇は、行動派の作者が華麗な才質を注いだ本格小説である。
  • 愛の静脈
    -
    瀬戸内海に臨んだ県立女子高校の新任教師・矢吹は、明朗な性格で人気者だったが、ロレンス思想の礼讃者である彼は、放課後、教師および生徒を前にチャタレイ講義をし、大きな波紋をよぶ。敬虔なクリスチャンの池内先生は、矢吹と激しい恋に陥ち、霊肉一致の苦悩の果て、二人は結婚したが……。この「愛の静脈」は、子を残して先立った美しい妻の追憶に生きる旧師・矢吹の心の支柱たるべく後妻になった夕子が、未来を開く扉は過去からの照明によらねばならぬとして、互いに傷つけ合う教師同士の怖るべき恋愛に、生徒として関係した愛と憎悪を回想する、香り高き告白小説である。
  • この馬に聞いた! 大外強襲編
    5.0
    2004年には自らの年間最多勝を更新、211勝の勝ち星をあげて、3年連続でJRA賞に耀いた武豊。「アドマイヤグルーヴ」で史上初のエリザベス女王杯4連覇、海外通算100勝達成など、次々に記録を書き換えてきた天才ジョッキーが、春のGIシーズンに挑む意気込みを語るシリーズ第6弾。
  • ここは静かなり
    -
    自分の恋の行方を追いながらも、教え子たちのコーラス大会への指導、高校生の恋愛問題など、数々の問題を抱え、同僚教師のストーカーまがいの行動なども起こる。また、寄宿している一家の事業が破綻しそうになり……。好感持てる新任教師物語。
  • ある告白
    -
    夫の父である人との結婚を決意した野口ふじ子は、少女時代からの自分の性の歴史をふりかえった。小学校の男の子との幼いペッティング、女学校のクラスメートとの同性愛……。彼女のまわりには、母を犯した孝行息子もいたし、純朴な青年に肉の果実を饗して死んでいった女教師もいた。体験や見聞を通して、ふじ子は、セックスがさまざまな人間たちの中に、原始の祭典のように生きていることを知った。明るく悲しいことだった……。現実に目をそむけることなくセックスを描くことで、作者は観照の深い人間論を展開する。石坂文学のエキスをすべてとかしこんだ長編!
  • 林檎の花咲くころ
    -
    出征した夫の留守中、子供を育てながら籍も入れてくれない舅姑に女中のように扱われた3年間の苦しみに耐えたが、夫は戦病死してしまう。2月半ばの吹雪の烈しい日、春枝は三歳の玉夫を背負い家を出ていった。林檎箱の上に戸板を載せ、衣類を売る苦しい生活が続く。戦争は林檎の花咲く里の春枝の幸福を破壊した。しかし戦いは終り、白い花咲く5月、幸福は再び春枝に甦ってくるのだった。……「林檎の花咲くころ」のほか、「手品師ヤッコウ」「冬の歌」「秋風」「ある貞婦の話」「浴みする女」「憎いもの」「私は鑑定人」「妻の経験」の全9編を収録。
  • 犯罪乱流
    -
    東京新宿百人町のアパートでキャバレーのホステスが殺された。刑務所を仮出所したばかりの男が、情婦の心変わりを怒り、間違えて他の女を殺ってしまったのか? 凶器はピストル。公開捜査中の本部に、続いて殺人の報が届く。――佃河岸にダンス・スタジオ経営の男の死体が浮かび、雑司ヶ谷では深夜密会中の人妻と若い男とが狙われたのだ。事件の連続に色めきたつ記者クラブ。夜討ち朝がけを競って特ダネを追うタイムスの荒木、日日のガンさん、日報の山崎……。現代社会の乱気流が生んだ、凶悪な連続殺人事件の真犯人を追う捜査陣と、事件記者の活躍を描いた力作長編小説。
  • 那智滝情死考
    -
    15歳で、京都五条の遊廓に身を売ったまきは、結核をかくしながら、男たちの相手をしていた。なじみを重ねた政市は、伏見の輜重隊で、けもののようにいじめぬかれていた。……ある日、廓を抜け出したまきと、兵営を脱走した政市の、からだをくくりあった心中死体が、熊野三山の聖域の那智滝で発見された。相擁して飛瀑の底に身を投じた男女の悲運な道に思いをはせて、美しくも哀しい愛の姿を描いた傑作。ほかに「蜘蛛飼い」「赤い毒の花」「真福寺の階段」「雪の下」を収録。
  • 投げ縄 秀
    -
    清元の師匠・お駒の妾の子として、父親の愛情を知らずに育った秀之助は、幼い頃から「縄」をおもちゃ代りに親しみ、「投げ縄秀」と異名をとるほどの名人となった。母親譲りの美声と男前な風貌で、清元の芸人としても人気者となり、お駒の一番弟子のお光と新世帯を持ち、幸せな日々を送るようになる。やがて、江戸の町に次々と起こる怪事件を、得意の早縄で解決した功により、一介の町人が武士に取りたてられ、生活が一変してゆく。江戸末期から維新の動乱期を経て、明治大正昭和の三代を、きびしい芸道の世界に身をおきながら、「縄」を心の支えに生きた芸人の、心情と波瀾の人生を描いた、傑作長編小説。
  • 青い江の島
    -
    陽光きらめく湘南・江の島。島の駐在所を一人あずかる藤村亮介は、若くハンサムな警官ではあるが、絵に描いたような朴念仁。職務にはめっぽう熱心である一方で、駐在所向かいの娘・由美の連日の熱い攻勢にも動じることがない。そんな亮介を幼なじみや旅館の若女将、自殺志願の都会の娘らが起こす大波小波が揺り動かしていく。青年の真っ直ぐな心情を描き切る、爽やかな青春小説。
  • 死神の地図
    -
    新光映画のスカウトマン・五代がスカウトした人気女優・由木涼子が、自宅の湯殿で殺害され、ついで五代がスカウトした代役は、カメラ・テストの最中に何者かの手で重傷を負わされた。これに代って登場したニュー・フェイスの小滝春子のイヤリングが、涼子殺害の現場に落ちていたことは、五代だけが知っていた……。スカウトマン・五代探偵の活躍する、スリラー長編。
  • 最終都内版
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    新聞休刊日には大事件が生れる……というジンクス通り、9月23日の昼下り、警視庁桜田クラブの東京日報のデスクへ「女を殺して新宿の北向八幡の境内に埋めた」と、犯人だと称する男から電話が入った。捜査班も各社の記者も急行したが、本当に若い女性の腕が出てきた。バラバラ事件である。捜査一課はもちろん、各社の取材競争が始った……。やがて被害者は、キャバレーのホステスと判明、彼女のアパートからは、客となった者らしい200数十名の名刺が発見された。日報の山崎、タイムスの矢島記者の頭脳作戦! 続いて第2の殺人事件発生! 猟奇とスリル横溢の長編小説。
  • 孤剣二十六万石
    -
    孤剣腰間にあれば天下怖るるものなし――美濃高須館・松平義行の次男・雪丸は、高田二十六万石の養嗣子への縁組と美姫を蹴って、武者修業に立つ。雪丸は、柳生新陰流の達人である。高田藩では後継ぎ争いの家内紛争が続き、江戸表では酒井大老の対藩政策で政情波瀾に満ち、市中には旗本奴町奴が走り、道場には各派の名人達がはびこっていた。男性的な若い剣士を描く大剣豪小説。
  • 元禄小源太
    -
    五代将軍・綱吉治下の元禄期は、ある意味で暗黒期と言えた。将軍・幕閣のあいだに、女色はもとより男色の風がはびこり、賄賂はなかば公然とまかり通り、お犬様が人間より優遇された。この風潮に敢然と立ち向かった浪人たちがあった。冠小源太と汀十次郎――いずれも、悪政のいけにえとなった由緒ある家筋の血を引いている。ふたりの反抗は、私憤というよりむしろ世直しの気慨であった。しかし、男が志を立て事をかまえる時、そのかげで泣きくずれている美女がいるのは、いつの世も変わらない。元禄期を舞台に、剣と恋、勇気と策謀、正義と悪がからまり合う時代小説。小源太よ、お主どこへ行く?
  • でめ金挑戦(上)
    -
    静岡県の片田舎に、石川豊太は呱々の声をあげた。生まれたとたん、とりあげ婆に3本の指を突きつけたという大物である。小学校は開校以来の秀才で通し、村の神童を謳われた。そして豊太も今や17才の春を迎え、あり余る野心と精力を、ひたすら牝山羊を相手の自涜で消化していた。しかし或る日、耳よりな話が転がり込んで来た。小学校の代用教員に採用が決まったのである。教員を踏台に、ゆくゆくは東京に出て行こう。豊太の野望はふくらんだ。――金と女と酒に人生を賭け、なりふり構わず世間をのし渡って行く痛快児を描く、異色の長篇小説! <上下巻>
  • 崋山と長英
    -
    幕末に開港論を主張した高野長英と、攘夷の非を鳴らした渡辺崋山が、ともに幕府の忌諱にふれ、鳥居耀蔵の奸計で囚われの身となり非命に死んだ、いわゆる蛮社の獄の経緯を描いた名作。一章「獄中記」は長英の投獄を、二章「檻送記」では崋山の白洲での戦いを、三章「蟄居記」は幽閉された故郷での自害まで。野間文芸奨励賞受賞作品。
  • 体の中を風が吹く
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    章子は、ぐうたらな夫と別れ、2人の子供をかかえて働く、婦人記者である。わが子の成長を楽しみに生きる章子にも、女としての心のひもじさに耐えきれぬ夜もあった。彼女には、年下の恋人・省吾がいた。誠実な彼は結婚を迫るが、章子は自分の境遇を負い目として応じられない。愛しあい、逢瀬を重ねながら、章子の心は、かたくなに閉されてしまう。そして、上役の世話で、省吾に若い笹子との縁談が起こるのだが……。年上の女の情熱と哀しみを主題に、定年を迎えた隣りの山崎家、そこに同居する共稼ぎの安川夫妻など、善意をもって生きる人々の生活の哀歓を描く、長編傑作。
  • 振りむいたあなた
    -
    それぞれに、妻ある人を愛した姉妹。その人の妻の存在を思うとき、情熱に身を任せることのできない、姉の加代子。家を出てアパートに移り、恋人との愛に生きようとする、妹の美佐子。……妻ある男性との恋愛という、現代に多い愛のケースを主題に、世代と心情を異にする2人の女性の心の明暗を描きつつ、新しい愛のモラルを追究した力作。
  • 女の椅子
    -
    夫が若い商業デザイナーを愛し、間もなく子供さえ生まれようとしていることを知ったとき、由紀子は、小さな息子の洋を連れて、家を出た。家政婦として働き始めた彼女は、いままで知らなかったさまざまな家庭と、その中に息苦しく耐えている夫婦の姿を見た。それぞれの業を背負った男と女が、お互いに傷つけあっている姿に愕然とするが、それでも彼女は、安らかな「女の椅子」が欲しいと願いつづけた。その間に、夫との溝は、ますます深くなって行くのだった。……新鋭女流が、動揺しやすい夫婦愛の機微を、きめこまかな筆づかいで捉えた、味わい深い佳篇である。
  • 嫉妬やつれ
    -
    夫がポケットにしのばせていた、女文字の手紙。《夫を愛している女性がいる》……三千代はとまどった。40歳をこして、冬眠した動物のように、枯れきっていた夫に、そんな情熱が、どうして甦ったのだろう……。相手は若い女なのだろうか? 三千代は、夫の後をつけた。そして見た、夫の情熱を呼びさました冴子という女を。突然、三千代は乾きを覚えた。忘れていた性の乾き。雑踏の中で、稲妻のように体を突き抜けた思いに、三千代は戦慄する。《私も夫を裏切ってみたい!》……中年夫婦の愛情の危機を繊細な筆でえがく、『嫉妬やつれ』はじめ、全10篇。
  • 算士秘伝
    -
    現代での数学=算法を操る者たちの悲喜こもごもを描いた表題作や、超能力である千里眼を持つという女と、そこに群がる者たちを描いた『千里眼』など、時代物の短編集、全7編。
  • 銀の庭
    -
    京都の名刹・聚閣寺の住職・栂春泉には、貞淑な妻と美しい2人の娘とがあった。ある年の5月、アカ新聞が誤解に満ちた筆で、春泉の私行を暴露した。寺の金を横領して、先斗町の女にバアを経営させているというのである。それは、燈全寺派法類間の政治的な争いの材料にされ、栂一家は蟻地獄に突き落とされた。事件の成り行きを通して、それは次第にあきらかになった。そして「法衣を着たけもの」の爪は、春泉の娘・圭子にも迫った。……慈悲の法燈の影にひそむ俗臭と本能とを執拗に追求し、そこに散る花びらの哀切な美しさを描いたこの連作は、水上文学を象徴する野心作である。
  • 兜町狼
    -
    三条銀行の頭取・高藤喜七郎は、財閥解体政策によって統制を失っている旧三条財閥を、銀行の主導権の下に復活させることを悲願としている。しかし、三条不動産社長・田淵英造は、高藤に対抗し、不動産の主導権による三条系列再編成を画策する。一方、もと証券取引所守衛・山沢新二郎は、某外国人と組み、三条不動産株の買占め、乗っ取り、さらには東京のド真中・日本橋の租界化を企む。買占めの情報は「とり屋」の栗山に嗅ぎつけられ、事件は影の主役、保守政党政調会長の登場をよぶ。欲望の町・兜町を舞台に、利権を追って浮沈する人間の相をダイナミックに描く長編ロマン!
  • 海流
    -
    遭難した紅洋丸の通信長・豊野道彦を救った密輸船の秘密。沖縄と海の生活を舞台に展開される、波瀾万丈のメロドラマ。海難事故から始まる出だしで、壮大な海洋物の長編と思いきや、ぐいぐい恋愛に引き込まれていく傑作。
  • ニッポン おみやげ紀行
    3.0
    なぜ旅をするか? そこに土産があるから――「清浄歓喜団(京都)」「萩の月(仙台)」「闘牛饅頭(宇和島)」から「どえりゃーうまい珍味です。(名古屋)」「けがに姿せんべい(札幌)」「恋のフラメンコ(志摩)」に「西表山猫(石垣島)」まで、美味を求めて集めたおみやげ300点! マニア必見、旅好き必読、出張族のお父さん必携の、読んで食べて二度おいしい、諸国名物菓子ガイド。
  • シバテン群像
    -
    高知に棲息する天狗の幼虫的存在で、道行く人に相撲を挑み、1000人から勝ちを得ると天狗になれるという、妖怪・シバテンを題材に、江戸時代から明治開花の御世までを舞台に、坂本龍馬なども登場させて、虚実綯い交ぜの民話風味わいの滑稽譚集。
  • ディベーティアン(1)
    完結
    3.7
    ディベート……それは特定のトピックに対し肯定否定の2組に分かれて行う討論。ディベート甲子園……それは高校生ディベーターのあこがれ。とある高校にそんなマニアックな競技をこよなく愛する高校生が2人いた。ヘリクツ少年達の超イビツな青春を描く、『万福児』の下吉田本郷最新作! 読んでも論理的思考は一切身に付きません!
  • アキンボー(1)
    5.0
    ある日、海岸を散歩していたおじいさんと愛犬のフジオが見つけたのは、なんと人魚の赤ちゃんでした。アキちゃんと名付けたものの、奥さんを早くに亡くして子供のいなかったおじいさんには、子育てのことは何にもわかりません。しかも相手は人魚の赤ちゃん! 何を食べさせたらいいのか、人魚の生態なんてわからん! そんなおじいさんの悪戦苦闘、孤軍奮闘の人魚の子育てが始まります!!
  • 今朝の骨肉、夕べのみそ汁
    3.0
    昭和の家族も奇妙で不思議だった。自らの家族を描いたノンフィクション! かくも激しい憎悪、奇妙な絆。父が死んだら お赤飯を食べよう! 焼け野原から復興し、一度は夢を共有した家族であったが、事業で成功した父は、妾を連れて豪遊、母親は身障者の息子と娘2人を連れ別居。愛憎入り乱れた争いをしつつも、お互い支えあう父母。戦後まもなき東京、奇妙な両親たちと自分を描く、工藤美代子版「三丁目の夕日」。<『それにつけても今朝の骨肉』改題作品> 敗戦からたくましく立ち直り、めざましく発展した戦後、古い伝統と新しい制度が同居した時代の奔放な家族風景。『もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら』『快楽――更年期からの性を生きる』などの人気作家、工藤美代子が描く私的昭和風景。 ◎「理不尽で不可解なのに愛おしい」<木内 昇(作家)> ※この作品は『それにつけても今朝の骨肉』として2006年2月に筑摩書房から刊行されたものを、改題改稿いたしました。
  • スゴい雑誌 「業界誌」の底知れない魅力
    4.0
    いったい何がスゴいのか? 読むだけで日本がわかる、「ビジネス書」兼「ウンチク本」。広くて深くて面白い、プロたちの舞台裏! ――「日本人のカロリー摂取量は'70年代から一貫して減り続けている」って本当? その道のプロに向けて作られる「業界誌」には、新鮮でディープな情報が満載だ。宝石、パチンコ、農業、住職……「こんな雑誌があったのか!」と唸りたくなる10誌の編集長インタビューを通じて、日本の「いま」を描き出す。<文庫書下ろし>
  • 薔薇の木にバラの花咲く
    -
    潔癖で清純な心の持主の黎子は、アルバイトをしながら大学で学んでいた。戦災で両親を失い、肉親は姉ひとり。人の負担になるまいと肩を張って生きている彼女の前に、名門の建築設計士の叶が現われる。叶は黎子を愛し、若い直情から、彼女の肉体に愛の烙印を押した。黎子に静かな愛を寄せていた誠実な鳴海は、事情を知ったとき、男らしく耐えて、黎子と叶が結ばれることを願った。が、それは、黎子を蟻地獄のような苦しみと迷いに追いやるのだった。純粋な処女の心理と、愛情の哀しみと美しさを追究した、清爽な抒情あふれる青春ロマン。
  • 鶴の来る町
    -
    南国・薩摩半島の農家に生まれ、枕崎のあいまい屋で働いているかね子は、一度だけ男にだまされたことがあった。それ以来、男に気を許すまいと誓っていたのに、蜂飼い男の刀祢吉が店に現われたとき、ふしぎな心の動揺を感じた。刀祢吉は、妻に先立たれ、まだ幼い一人娘をかかえた、風采のあがらない男だった。なぜ馬ヅラの蜂飼い男に惹かれるのか、かね子自身にもわからなかった。まして、それが悲しい運命の序章になるとは、夢にも思わなかった。……この作品は、貧しく世間知らずの二つの魂が、幸せを求めてのたうつ姿を、社会性のある眼で捉えた、美しい心の歌である。
  • 忠直卿行状記
    -
    越前宰相・忠直には、沸々たる不満がたぎる。二代将軍・秀忠の兄・秀康の長子に生まれ、大坂の陣にも東軍随一の戦功をたてながら、恩賞は薄かった。「血統から言えば、わしが将軍となって当然の身分ぞ!」忿懣は忠直を酒色に走らせて、やがては狂乱の殺戮をほしいままにする。愛妾の一国とともに罪人の処刑を見物し、鮮血のなかに盃を傾け、果ては罪なき家臣に無理難題をつきつけて成敗する。残虐の裡に無上の快楽を求めていた。忠直の妻は、秀忠の娘・勝姫である。狂気の中に身を滅亡の淵に追い込もうとする夫の行動を、彼女は江戸に告げた。独自の新解釈による「忠直卿行状記」ほか9篇を収録。
  • 地場者
    -
    地場者、それは日のあたる証券会社の椅子から振り落とされた一匹狼たちである。大相場師と謳われた亡父の夢のお告げに人生を賭けようとしている神沢、客の株券で思惑を張り1800万円の大穴をあけて悩む隅野。彼らは、喫茶店ナインに集まっては自嘲をくり返し、情報を囁きあうのだ。そこで神沢は資金繰りの秘策を練り、隅野は逃亡を決意した。しかし、所詮は地場者、神沢は空しく高騰を続ける相場を傍観するだけだったし、隅野もこの街の魔力から離れることはできなかった。兜町の影に生きる男たちの生態を生々しく描く「地場者」のほか、企業小説2篇を収録。
  • 戦国兄弟
    -
    敵の内部を分断する反間苦肉の策。秀吉一流の調略に見事はまった織田信雄は、亡父・信長以来の家老・岡田重孝の誅殺を策した。豪邁の士・重孝は「さらば死に狂いの働きを見せよう」と主の面前に進む。暗愚な信雄に、戦国武士の死にざまを示そうというのだ。深傷を負いながらも、なお屈しない凄絶の暗殺劇だった。そして、兄への諫言も空しく残された重孝の弟・義同は憤激した。織田・徳川連合軍相手に奮戦し、小牧長久手の戦いに発展してゆく。義同はやがて前田・加藤両家を転々するが、その雄偉なる骨格、性根は、戦国の世にも異彩を放ってやまない。剛毅に己が信念を貫いた「戦国兄弟」の生涯を描く。
  • 神々の岩壁
    -
    南は、ハーケンを打つ右手に、異常を感じた。手ごたえが甘い。垂直300メートルに屹立する衝立岩にとりついて3日目、最後の一滴の水もつきていた。バランスを失って、危うく墜落しそうになる。もはや彼の心には、岩に対する憎しみだけがあった。登攀不可能といわれる衝立岩は、神々の手に守られて、人間を拒んでいるかに思える。それでも、南は危険な垂直の前進をやめようとしない! 少年の日、登山家を夢見ていらい、ヒマラヤを志して精進を続けた、天才的クライマーが、魔の谷川岳、衝立岩に挑む姿をえがいた実録小説「神々の岩壁」はじめ山岳小説4篇。
  • 新編 八犬伝
    -
    おなじみ、苗字に犬という字があり、仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌それぞれの文字のある玉を持つ、8剣士ならぬ8犬士の物語。日本文学最大の長編と言われる滝沢馬琴の名作を、剣豪小説の名手が描く!
  • 小次郎と武蔵の間
    -
    佐々木小次郎が宮本武蔵に敗死した後、豊前細川家では長い間、兵法者を召し抱えていない。藩主・忠利が、小次郎の死を哀惜したからに外ならぬ。10数年後に、その忠利が見出したのは、二階堂流の松山主水であった。知行800石で召し抱えられた主水は、軽捷無類、魔法としか思えぬ剣の妙手であった。忠利は、小次郎と流祖を同じくする主水を寵愛した。肥後に国替えになった細川家で、やがて忠利と父・忠興の間に、新旧の相剋が起こる。忠興の家来が主水に辱しめられた事件は、火に油をそそぐ結果となり、「主水、討つべし」と忠興は激昂するのである。武芸者の意気地を描く「小次郎と武蔵の間」ほか8篇。
  • 告白・女心遍歴
    -
    幾度も職業を変え、貧に悩み、さまざまな傷心を、人の何倍か味わった水上勉は、人間のおそろしさにおののき、しかも人間を愛さずにはいられない。「女心遍歴」という言葉の中には、理想の女を求め、裏切られ、やはりそれを思うことをやめられない男の、せつない祈りがこめられている。また、みずから破戒坊主と称して、女性とのもつれ合いを「告白」するとき、水上勉の心には、愛へのはげしい願いが、こみあげてくる。……自伝的な、この2つの異色作は、著者の作品群の中で印象的な位置を占め、著者の心の記念碑ともいうべき、美しくかなしい物語である。
  • 剣士秘伝
    -
    篆刻をする剣士、秘伝を守る剣士、無刀の剣士、目を突く剣士、二つの魂を持つ剣士……など、五味康祐、柴田錬三郎とともに、剣豪小説を支えてきた著者による傑作8編。
  • 慶長大判
    -
    関ヶ原の戦いの翌年、徳川家康は江戸大判座で大型金貨を鋳造し、日本で初めての全国的流通金貨とした。その金貨を届けるために男たちは……という表題作はじめ、人情や愛嬌のある人々を描いた、8作品の短編集。
  • 国枝史郎伝奇文庫 暁の鐘は西北より
    -
    帝政ロシアの極東政策が、ひそかに日本に上陸か? ……得体の知れない奇妙な建物、浅間山の谷間にあるという人体建築の秘密とは? 日本人ばなれした濃艶な娘・ニナ小夜子をめぐって、泉東十郎と坂部軍之進との激烈な恋あらそい。また、オリガ桜子一党と人体建築の主・溝呂木信兵衛一党との凄惨な確執。世紀末的症状を現わす田沼時代の、秘密に満ちた多様な人間の綾なす絵巻!
  • 脚光
    -
    ヤジマ製薬の宣伝部に働く大道輝子は、中流家庭にのびのびと育った明朗な現代娘。気まぐれに無名の劇団アシカビに加入し、たまたまヤジマ製薬提供のラジオ番組にサクラ出演したのが縁で、連続ドラマのヒロインに選ばれる。こうなると、本人の意志に関係なく、マスコミはスターの座におしあげていく。周囲の醜い嫉視、許婚者との愛の破綻に傷つきながら、輝子は次第に女優としての意識にめざめ、主役に抜擢されたT座公演の初舞台に、新生の第一歩を踏みだすのだった……。平凡なビジネスウーマンが一躍華やかな脚光を浴びて女優となる、現代の夢に愛と真実の意味を問う傑作長編。
  • 偽りと真実のあいまに
    -
    たみ子とのぶ子は、魅力的な結婚適齢期の姉妹である。よく似た顔立の2人だが、性質は対照的で、姉は引っこみ思案、妹は積極的でコケティッシュでさえある。ある日、のぶ子は、デパートの特売場で好意を感じている好青年・野崎正雄と出会い、急速に親しくなる。そこでのぶ子は、野崎とたみ子を結びつけるために、野崎の若い血潮を燃え上らせ「飢餓状態」に引き入れようと企んだが……。ユーモアと健康なエロティシズムで愛情の真実を描いた「偽りと真実のあいまに」の他、「ハシカのようなもの」「辛抱づよく生きたS氏の像」「私の犬はレオという」「猫」「老婆」を収録。
  • 甘いホテル
    -
    いっけん英国紳士風の直江一良は、「善良な市民のよき相談相手」と称する《直江コンサルタント》を開いている。ある日、麗しい女性の依頼人がやってきた。彼女は細谷てい子といい、金力にものをいわせて温泉マークのホテル建設を狙って画策している萩原仙三に対抗して、品格あるホテルを建て上品な保養地にする計画の実現に力を貸してほしい、という相談であった。躊躇している直江のもとに「彼女こそコール・ガールの組織を操る悪女」という怪電話があり、助手の紀子と竜平の応援をえて、俄然真相究明にのりだす。笑い・スリル・お色気に溢れるユーモア・ミステリー。
  • 佳人
    -
    一日中、子供用の肘かけ椅子に行儀よく坐って、紅殻色の出格子にはめこまれた小さなガラス窓から道路をのぞいていた、足なえの童女、その名は圓(つぶら)。薄い皮膚に「いのち」を包んで、それは幻のように美しい童女であった。女にとって、いちばん華やかで夢多い季節になっても、彼女は10歳にも満たぬ躯しかなかった。が、数奇な運命をになう彼女に、結婚の日が訪れる。それは非情な忍従を求める、おそろしい日々の明け暮れだった。清純に死を選んだ彼女が残していった紅絹の匂い袋……。直木賞作家・藤井重夫が哀切な筆でえがいた佳人の生涯。
  • まぼろしの人
    -
    初恋の女性との結婚生活に失敗した私は、いまふんぎりの悪い独身生活をつづけている。ある日、私は、既に人妻となっているリキ子と、37年振りに再会した。私とリキ子には、東北のS町で幼い性の遊びをしたという遠い記憶がある。それは異常な老婆の仲だちで行われた暗い彩色画のような、心の歴史の一齣であった。幼い体験から出発した二人は、それぞれに辿った人生の半ばを過ぎた頃、ホテルの一室で語り合う夜がめぐり来るとは、夢にも思わなかった……。人生のたしかな実感に裏打ちされた中年男性の抒情を流露させた「まぼろしの人」ほか4編収録。
  • チンネの裁き
    -
    ヒマラヤ遠征隊のリーダーとして有名な蛭川繁夫が、剣岳チンネをめざして池の谷左俣の雪渓で落石死した。剣尾根のドーム壁を登攀していた木塚健は、落石が3方から起こり、その上にそれぞれ人がいたことから遭難に疑惑を抱く。しかも、アイゼンの紐が切れていた! 何者かの作為を感じ真相の究明にのりだした木塚と蛭川の兄・一郎の前に立ちふさがる、山の偉容となまぐさい人間関係……。この「チンネの裁き」は、美貌の女流アルピニストをめぐって山の掟をやぶった山男たちの愛の確執から、登攀ルートに企らまれた完全犯罪が山の裁きをうける顛末を、逞しい筆致で描いた異色作。
  • じゃが太郎兵衛無惨帖
    -
    日光と上野にある輪王寺を守る宮様に仕え、快剣・南蛮刀法を自在に操るじゃが太郎兵衛は、義経の後胤説もある、神出鬼没の動きをする剣客。泰平の御世を喰い物にする水野出羽守忠成とその一味を相手に、胸のすく大活躍をする! テンポのいい文体で描く連作短篇集。
  • この子の父は宇宙線
    -
    11人の女性だけを月に送り込んだ国と、9人の男性ばかりを送り込んだ国があったが……、という表題作はじめ、山岳小説で有名な著者が描いた、貴重な4つのSF小説。現在の電気通信大学卒で気象学者という、理系の作者だと実感できる。
  • エデンの海
    3.0
    瀬戸内海にのぞむ女学校に、新任教師として赴任した南条は、教師の間で「問題児」として見られている清水巴に惹かれて行く。複雑な境遇のため祖母のもとで育った巴は、「成熟の側からは不逞にみえ、未熟の側からは可憐にみえる」特異な少女であった。教師として巴に対しながらも南条は、彼女の姿態の中に女を見、はげしい感情にとらえられる。二人の行動は、周囲の好奇の目にさらされて行く……。教え子への想いに、教師としての限界に悩む青年教師と、純粋な感情のままに、奔放にふるまう女生徒との愛の行方を、明るい太陽とひろがる海を背景に描き、青春の光と影を鮮やかに刻む傑作ロマン。
  • 国枝史郎伝奇文庫 猫の蚤とり武士(上)
    -
    秘密結社・明暦義党は、徳川幕府転覆を謀る組織である。首領の鵜の丸兵庫は、由井正雪の異母弟で、猫の蚤とりという賤業に身をやつし、義挙の機会を狙っている。だが、盟主とあおぐ紀州・頼宣の違約により、計画の実現は容易でない。松平伊豆守の女隠密・梶子、頼宣の嫡孫・萩丸、兵庫の恋人・菊女、義党にとって凄愴な敵・刃三十郎など、種々多様な人間模様の、種々多様にからみあう、謀反と反逆と宝探しの面白さ。<上下巻>
  • 国枝史郎伝奇文庫 明暗二道
    -
    戯作者の鵞湖亭茅舎が、木曽へ向かって旅立ったのは、天保10年の夏のことでした。鳥居峠まで来た時でした。一人の武士が鵞湖亭を見詰めながら立っていました。ところがちょっと意外なのは、その武士が顫えていることでした。…………老婆が一人崖っぷちに、切り倒されておりました。(さっきの武士が切ったんだろう)(抵抗力もないあんな老婆を、何故あの武士は切ったのだろう?)…………鵞湖亭茅舎の行く先々にもちあがる、意外、不思議な事件の数々!
  • 中山七里
    -
    戦国の世、奥州白河城主、結成顕頼の嫡子・七郎義綱は、哀運をたて直すため、隣接の岩城家と結ぶ必要から久保姫と縁組みが成立、婚礼の日、美女の噂高い姫を一目見ようとして、家臣をふり切って街道へ出た。そして一刻、花嫁の到着を待つ七郎にもたらされたのは、姫が途中何者かによって奪われたとの報せであった。久保姫と縁組を望んでいた伊達家か、その縁者の相馬家の兵らしい。……異常な事態を発端に、乱世に生きる人々の飽くなき権勢欲、謀略、色欲、そして濁った時勢の中に咲く貴公子、美女の恋愛を、波瀾多いストーリーの中に展開させ、読者を魅了する力作長編時代小説
  • 花嫁の父となりぬ
    -
    娘の結婚に、どこの家の父親も……。銀行員をしながら作家をしていた著者の、ユーモアあふれるホームドラマ。父と娘の愛情を描き、連続ドラマにもなった作品。
  • カミさんと私
    -
    結婚して25年の雄三夫婦。カミさんは男8人女3人の11人兄弟姉妹の7番目で、実家にいるときは7番さんと呼ばれていた。銀行員をしながら作家をしていた著者の、ユーモアあふれるサラリーマンもの・夫婦ものの物語。
  • かぶき大名
    -
    天正7年、家康に属して16歳の初陣、武田勝頼軍と戦うを手始めに、小牧長久手に秀吉軍を迎えて大功を樹てながら、父・忠重との不和から退転した三州刈屋3万石の息、豪勇無双の水野藤十郎勝成。持って生れた狂熱の血がさせるのか、秀吉に随身後も喧嘩と女出入りの明け暮れに、佐々、小西、加藤、黒田と主をかえては乱世を押し渡る。秀吉歿し、やがて天下分け目の風雲に際し、家康に帰参がかなった勝成は、父の跡をついだ後、関ケ原、大坂冬夏両陣を歴戦、大和6万石から備後福山11万石の身代に。75歳にしてなお島原ノ乱に出陣した、強悍にして奇矯な戦国男・水野勝成一代記。
  • いとしい恋人たち
    -
    幼い頃に父を亡くし、母の手一つで育てられた矢沢次枝は、恋人・勝田伸にプロポーズされたことを、母に言い出せなくて悩んでいた。依怙地な母は、娘の様子に恋人の存在を感じても、知らぬ振りをしている。伸はそんな状況のなかで、自分自身の勇気のなさに苛立ちつつ、次枝の態度に歯がゆさを覚える。次枝母娘と同じアパートに住む宮内咲子は、勤めのかたわら夜は学校へ通っているが、同級生の加治千太のやさしさを好意以上のものと感じながらも、伸に心ひかれるのだった。それぞれの思いを胸に秘めて、ひたむきに生きる恋人たちの姿と、人々の善意と哀歓を描く青春長編小説。
  • 野火
    -
    若い兄弟の孤児が、つまずきやすい青春を支え合い、貧しいながらも美しい恋を得て、人生行路を乗り出す、正義と純情の現代ロマン。競馬場のシーンがたくさん出てきて競馬ファンにもおすすめの1冊。
  • 冬の椿
    -
    戦火がいよいよ烈しさを加えて来た昭和19年、画学生・笹田香澄は、母とともに鎌倉に疎開して来た。隣家の青年実業家・瀬木龍彦は、香澄の美しさに惹かれ結婚を申し込んで来るが、香澄の心には同じ研究所の画学生・伊吹慎一の面影が焼きついて離れない。しかし伊吹に赤紙が来て、応召の前夜、香澄は伊吹に抱かれた。……何年か後、香澄は財力にものをいわせた求愛の前にくずれ、瀬木の妻となっていた。しかし戦死を伝えられた伊吹が突然生還し、香澄の情熱は再び燃えあがった。ふとした事で知った革染の美と伊吹への恋が、香澄の前に明るく開けて来る……女の恋と情熱を描く長篇!
  • 戦国残党記
    -
    結城中納言秀康の庶子・松平孫次郎忠雄は、世を拗ね家を嫌って、大阪夏の陣に大阪城へ入城し、落人として追われる身となったが、性来の叛骨から、夏の陣に加わらなかった織田左門の邸に乗りこみ、好色の左門の手から千姫づきの侍女・お浅を救った。お浅を知り、女への愛に目覚めた苦悶の身を、流浪の空に託す青年公子・孫次郎の奇嬌奔放な行状を描く長篇。
  • 青春の風
    -
    下町娘のお鈴は、おとなしそうに見えて、実は鉄火娘なのであった。六郷の渡しで好みの若侍を見つけると、みずから江戸市中までの道連れをお願いして……。時代小説の第一人者によるユーモアもある傑作。
  • 生きる場所
    -
    結婚5年目の伊乃、南仏リビエラのハインリッヒ……。山田耕筰に師事するも、病気のため音楽をあきらめた作家による傑作小説集、全9篇。
  • 失踪
    -
    超満員の観衆でふくれあがった後楽園球場。6回表、突如、自からマウンドをおりた東京イーグルスの渡部投手は、球場から姿を消したのである。その夜、若手実業家・副島秀雄が絞殺され、現場に渡部投手のシガレット・ケースが落ちていた。さらに翌日、バーのマダム・木下綾子が絞殺された……二重殺人事件……。敏腕の速水警部は、事件の裏にひそむプロ野球の暗黒面に捜査の手をのばした。一方、独自の推理で「失踪と殺人」を追う弁護士の百谷泉一郎・明子夫婦の活躍。複雑にからむ事件のナゾを明快にさばく二人が、やがて探りあてた犯人は……。
  • 思はぬ人
    -
    戦後の混乱した世相と、その中に生きる人間のひとひとりの苦悩とを、『人生劇場』の尾崎氏一流のユーモラスな筆致で描いた傑作、全4編。
  • 子供の眼
    -
    利発な、長いまつげをした小学校3年の修。実母は病気で世を去り、新しく来た母・幸子は歯科医で、結婚後も実家の仕事場通い。父も勤め人だし、家を切りまわすのは若い叔母の喜世子だけ。黙って梨の実をかじる修の童心の四季に、父の不満や義母の気苦労、婚期にある叔母のあせりなど、おとなの生活と愛情の重みが投影する。「第二の母をもった私の経験が、この作品にいちばん入っている」と作者は自らいう。一度はこわれかけて、また作り直される善意の人々の<家庭>の中に、ひとり眼をみはる修少年のすがたを、流麗の文章にうたいあげた秀作。
  • 今日のいのち
    -
    才色兼備の南方理子は親のあとを継ぎ、医者になる決意をしていたが、戦争で失ってしまった青山の病院を再建する話とともに、青年医師で研究者の吉成朝巳がプロポーズをしてきて……。山田耕筰に師事、音楽を目指した病気で断念した著者の傑作。石原裕次郎、津川雅彦、浅丘ルリ子らも出演して映画化された作品。

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