徳間文庫作品一覧
-
-
-
-
-
4.0
-
5.0
-
-
-
3.0かつて日系ブラジル移民のあいだに、日本の敗戦を認めない「勝ち組」と呼ばれた人びとがいた。悲惨な境遇に耐えながら「勝ち組」の人びとは、いずれ天皇の船が彼らを迎えにやって来てくれるのだと信じていた。 この物語では純朴な「勝ち組」の人びとをだまして巨財を築き、戦後社会でのし上がっていった政治家、官僚、商人らの虚妄が暴かれる。 1954年、ブラジルの日系社会で「勝ち組」一家心中事件が起きた。それから時は流れ1988年、東京とサンパウロの双方で、殺人事件が起きる。 東京・新宿では、かつて移民の送り出し機関であった国際協力事業団(JICA)の総裁が、ホームレスの男と刺し違えて死ぬ。 サンパウロでは、日本の首相も列席する移民80周年祭の最中に、日系の老人が「死神部隊」と呼ばれる私刑組織の手によって射殺される。東京で死んだホームレスの男は仲間に戦前の古い100円札を見せびらかし、これが近々大金に化けると言っていた。 サンパウロで殺された老人も、その手にやはり旧円紙幣を握り締めていた。 東京とサンパウロの事件を結びつけ、さらには「勝ち組」一家心中事件にまでさかのぼる旧円紙幣の謎を追いかけて、パズルの断片を組み立てていくのは、二人の若い新聞記者だ。 日本側が東日経済新聞、新宿署詰めの藪本秀也。ブラジル側が聖州日々新聞の吉田マルコス。 藪本は西大久保公園で売春をしていたドミニカ出身の日系二世・坂口アンヘリカが、死んだホームレスの男の娘だということをつきとめる。 マルコスは恋人の野口マダレーナを残して東京支局に転勤になり、サンパウロで殺された老人の出身地である富山県の山村にまで取材に出かける。 やがて浮かび上がってくる事件の真相……その背景には、50年以上前に同じ故郷をあとにし、また同じ移民船に乗り合わせながら、その後の運命を分けた人びとの複雑な人間関係があった。 そして事件は、政権をゆるがすスキャンダルに発展していく……。
-
3.3
-
-
-
4.0
-
4.0時は文政時代――。 主人公は本所で口入屋を営む双六屋の若旦那。 仕事を探して訪れる人々に、新たな勤め先を紹介している。 しかし、若旦那が受け持つ客は、大店の元主、手癖の悪い男、身持ちの悪い女、博打好きな男などなど、「わけあり」の者ばかり。 勤め先を紹介してやったものの、騒ぎが絶えないのが常。父親にはいつも怒られているが、柳に風と気にする風もない。 人生は双六のようなもの。何度でもやり直せる。たとえ失敗しても、「いろは」からまた始めればいい。 これが若旦那の口癖。双六屋の奉公人たちも、ご多分に漏れず「わけあり」な男揃いだが、みな若旦那を慕っている。 困った客が引き起こす騒ぎに翻弄されながらも、懸命にそれを解決しようとする若旦那を、影から支えているのだった。
-
5.0
-
3.0真っ赤な血は明らかにナイフによる傷。 事故じゃない、殺人だ。 絶海の孤島、連続殺人鬼が迫る! 書下し恐怖サスペンス 仰向けに倒れて目を閉じている由美の首からは、真っ赤な血が流れていた。明らかにナイフによる傷。事故じゃない。今度は明らかな殺人だ。この島にいる誰かが由美を殺したのだ。 この島は、ほんの少し前まで、余計なことに頭を悩ませたり、心を痛めたりする必要などまったくなく、ただ小説の執筆に専念していればよい場所だった。 そう、ここ魚影島は、時代小説のベストセラー作家・國分誠吾を師とし、十四人の作家志望の男女たちが、自給自足に近い共同生活をしながら、切磋琢磨し、小説家デビューを目指す、塾が運営されていたのだが……。 絶海の孤島で起こる、連続殺人の恐怖! ●主な登場人物 ・早野あずさ……十八歳の美少年。高校を中退、しばらくの家出の後、魚影島に来た。 ・上原光三郎……六十二歳。塾生では最年長。元、中学校の国語の教師。 ・久保寺和男……五十歳。元、飲食店の経営者。塾に多額の寄付を。 ・星優佳里………二十四歳。元、大手自動車メーカー事務職。城戸孝治と恋仲。 ・一条千春………二十一歳。島のアイドル的存在。大学休学中。早野あずさに恋心を抱く。 ・城戸孝治………二十七歳。元、サラリーマン。長身でハンサム。 ・青木潤…………四十歳。夢をあきらめ、島を去ることに。 ・清水由美………三十歳。元、地方新聞の記者。川端隼人と恋仲。 ・吉岡一馬………三十歳。元、ギタリスト志望者。剽軽もの。 ・石橋麗子………四十歳。元、主婦・ホテル厨房勤務。塾では食事係担当。 ・川端隼人………三十五歳。元、フリーター。現在の塾生では最古参でリーダー的存在。 ・杉田流星………二十八歳。元、高校球児、不動産会社営業職。陽気な人気者。 ・小川翠…………三十八歳。元、大手出版社勤務の編集者で、國分を担当。 ・水原綾乃………三十四歳。かつて作家デビューしたが失速。再デビューを目指している。 ・國分誠吾………五十五歳。時代小説のベストセラー作家。魚影塾主催者。 ・國分沙希………二十九歳。國分誠吾の娘。自由奔放な性格で塾生たちを翻弄する。
-
-
-
5.0
-
4.0
-
-東の坂東の地で、阿高と、同い年の藤太は双子のように十七まで育った。だがある夜、蝦夷たちが来て阿高に告げた…あなたは私たちの巫女、火の女神チキサニの生まれ変わりだ、と。母の面影に惹かれ蝦夷の地へ去った阿高を追う藤太たちが見たものは…? 〈闇〉の女神が地上に残した最後の勾玉を受け継いだ少年の数奇な運命を描く、日本のファンタジーの金字塔「勾玉三部作」第3巻。
-
3.8大手食品メーカーに勤め、業界の第一線を走るキャリアウーマン・川原由加利(演:長澤まさみ)は、研究医で優しい恋人・小出桔平(演:高橋一生)と同棲5年目を迎えていた。由加利が結婚を意識し始めたある日、桔平はくも膜下出血で倒れ、意識不明の状態で病院へ運ばれてしまう。訪ねてきた警察官は、さらに由加利に衝撃の事実を告げる。桔平の所持していた身分証類はすべて偽造で、職業はおろか名前すら、すべてが「嘘」だったというのだ。 「あなたはいったい誰?」 騙されていたショックと、彼の正体への疑問を拭えない由加利は、私立探偵の海原(演:吉田鋼太郎)に依頼し、桔平の身元調査に乗り出す。やがて、桔平が書きかけていた700ページもの小説が見つかる。そこには、誰かの故郷を思わせる描写や、幸せな家族の姿が描かれていたのだった。小説の舞台が瀬戸内海のどこかであることをつきとめた由加利は、桔平の秘密を追うことに・・・・・・。 なぜ桔平はすべてを偽り、由加利を騙さなければならなかったのか。 そして、彼女はいまだ病院で眠り続ける「名もなき男」の正体に辿り着くことができるのか――。 長澤まさみ、高橋一生 共演で話題の映画『嘘愛』を完全小説化。小説で明かされるもうひとつの真実とは――。 ◆◆◆◆ 2018 年1 月20 日(土)ROADSHOW 映画『嘘を愛する女』 出演 長澤まさみ 高橋一生 DAIGO 川栄李奈 黒木瞳 吉田鋼太郎 監督 中江和 c2018「嘘を愛する女」製作委員会 ◆◆◆◆
-
3.0
-
4.0
-
4.0
-
-
-
3.3
-
3.0武士としての矜持と理不尽な主命への反骨。その狭間で揺れ動く男の闘いを描いた、痛快娯楽時代小説!。 当て身一発で追っ手を黙らす。小宮山一之臣は、盗賊からの信頼が篤い凄腕の見張り役だ。しかし彼は実は相馬中村藩士。城から盗まれた茜の茶碗を捜索するという密命を帯びていたのだ。将軍から下賜された品だけに露見すれば藩は取り潰される。小宮山は浪人になりすまし任務を遂行するが――。非情な武士の階級社会とは対照的に、小宮山一之臣を支える盗賊たちの信義。そして彼を慕う、美しい女掏摸お梗。その結束が最後に田沼主殿頭をさえ唸らせる。
-
-江戸琳派の仲でも近年、鈴木其一の人気が高まっている。 その鈴木其一が、作品中、重要な役割を果たす。 主人公・女蒔絵師・理野と其一が、それぞれのジャンルで、美を求めて切磋琢磨する関係から…。 物語の中で、「夏秋渓流図屏風」の着想を得る重要なシーンあり。 女と男の結ばれないまま、続く交情が感動を呼ぶ。 江戸琳派の世界、華やかな文化人交流には共に素晴らしい女性達の存在が…。 当時の根岸には、美術工芸や画家、文人などの一流の人々が集っていた。 その中に蒔絵にすべてを注ぐ女が一人。 美を生み出す陰に大量生産の工房システムがあり、主人公も其一もその矛盾に悩みつつ、独自の美を追究する。 …「夏秋渓流図屛風」は其一が正面から師、抱一と対峙した制作と位置付けられるだろう。 この作品は「噲々(かいかい)其一」の署名から、三十台半ばから四十代半ばの間に描かれたと知られる。 抱一の没後師風から解放され、其一なりの光琳画風の展開や、西遊の成葛飾葛飾北斎などの浮世絵風景画の 影響も指摘される。 しかしこの屛風の迫力に富む描写を目の当たりにした時、その根底に自然の景観を前にした其一の実体験があったことは充分可能考えられよう。 日記には宇治川の急流や布引の滝などほかの水流の写生も残されている。 一方其一が松江に寄った事実は「癸巳西遊日記」現行本からは確認することができない。けれども何処であれ、其一自身がその眼で見た実景、筆で掴み取った形態、心に刻み込んだ感動が「夏秋渓流図屛風」に確かに生かされていることをこの小説から教えられた。 こうした其一の清新な作風は、近年ようやく江戸絵画の中でもひときわ異彩を放つ存在として多くの人々に知られるようになった。 制作の複雑な背景を浮き彫りにしたこの小説に触発された読者も多かろう。 (解説より) 文政5年、蒔絵師の娘・理野は、兄と共に松江から江戸の原羊遊斎の工房を目指した。 羊遊斎の工房で、急逝したが、女の蒔絵師として、下絵から仕事が許される。工房の数物を作りながら、新しい美をもとめる理野。情念を込めた独自の表現を目指し、全てを蒔絵に注ぐ。 江戸琳派の酒井抱一、鈴木其一など実在の人物を絡め、描かれる美術工芸の世界と、やるせない恋。そして、職人魂を貫く潔い女の生き方が感動を呼ぶ。 ラストシーンで、其一の代表に連なる松江の山道からの風景が想像をかき立てる。凜と生きる女の潔さと情念が印象的な時代長編。
-
-
-
-
-
-
-
5.0雨あがりの早朝、富田林市の竹林から死体が発見された。ほとんど白骨化していたため、身元の確認は難航するかと思われたが、意外にも、一年前に丹後半島で海に落ちたという日本画家黒田理弘とあっさり判明した。身辺捜査に駆りだされることになった吉永誠一刑事は、新米の小沢慎一とコンビを組み、事情聴取に着手する。黒田が二十年前の奥原煌春贋作事件に関与していたことが明らかになったが――。長篇推理。 ※本作品は東京創元社、徳間書店で同一タイトルの作品が販売されております。本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。
-
4.0人気プロ作家によるブックガイド対談集 テキストは、古今東西の名作SF! 山田さんなら 恩田さんなら どう書きます? 山田正紀と恩田陸。多ジャンルで活躍する人気エンターテインメント作家二人が、古今東西の名作SFを、読みまくり、語りまくる。 題材は、半村良、アシモフ、小松左京、キング、萩尾望都など。自分だったらこのテーマでどう描くか、という実作者ならではの議論も白熱。 後半ではそれぞれの自作、『神狩り』、《常野》シリーズも俎上に……。 読書家必読のブックガイド対談集、待望の復刊! 半村良『石の血脈』『岬一郎の抵抗』 アシモフ『鋼鉄都市』『はだかの太陽』 時間を越える小説を求めて ル・グィン《ゲド戦記》 沼正三『家畜人ヤプー』 小松左京『果しなき流れの果に』 山田正紀『神狩り』 キング『呪われた町』『ファイアスターター』 萩尾望都『バルバラ異界』 『原点』との邂逅 特別対談:萩尾望都✕恩田陸 恩田陸《常野物語》
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
4.0
-
-
-
3.6日本初の多目的宇宙ステーション『白鳳』で発生した、不可解な出来事。 無重力の空間をゆっくりと漂う死体は、まるで数十メートルの高度から“墜落”したかのようだった。 果たして、事故なのか、事件なのか? 従姉妹の森鷹舞衣の“計略”により、偽装結婚をして『白鳳』見学に訪れていた若き研究者・鷲見崎凌は、 謎の真相を探るため、行動を開始することとなる…。 斬新な設定とスマートな論理的解決で、各界に衝撃を与えた本格SFミステリー。 第1回日本SF新人賞受賞作を加筆修正し刊行。 序章 PROLOGUE 第一章 花嫁は周回軌道を目指す CHAPTER1:THE BRIDE GOES TO THE EARTH ORBIT. 第二章 博士たちは虚空を漂う CHAPTER2:THE SCIENTISTS FLOAT IN THE VOID. 第三章 素人探偵は閉鎖系を彷徨う CHAPTER3:THE AMATEUR DETECTIVE WANDERS IN THE CLOSE CIRCLE. 第四章 シュレーディンガーの寡婦は微笑む CHAPTER4:SCHRÖDINGER'S WIDOW SMILES. 第五章 咎人の見えざる左手またはmgh CHAPTER5:THE SINNER'S INVISIBLE LEFT HAND,OR MGH. 終章 EPILOGUE 解説 牧眞司
-
-
-
4.0稀代の大うつけ・織田信長を天下人に! 戦国版「スパイ大作戦」ここに開幕! 智将・明智光秀が抱いた無謀ともいえる野望を叶えるべく、 天下無双の忍びたちが暗躍する! 書き下ろし時代活劇。 元亀三年(1572)秋。 織田信長は、小谷城で籠城を続ける浅井、朝倉連合軍を攻めあぐねていた。 織田家家臣の明智光秀は、朝倉に兵を引かせるため、 密かに円也党一味を朝倉の国許越前へ向かわせる。 かつて越前で牢人生活を送った時に知己を得た遊行僧百鬼円也率いる忍び集団だ。 念仏踊りで敵を惑わす一舎、 催眠術を操る茜、 怪力の妙林坊、 美丈夫の来栖…… 一味は国内を攪乱すべく動き出す。
-
-
-
3.6農業高校を出たが、田舎から飛び出し、 東京で暮らすも挫折し、戻ってきていた小原和也。 彼はバイト先で知り合った 有機農業を始めたばかりの木村春菜を 手伝うことに。 しかし、素人同然の彼女と和也には、 なかなかうまく育てることが出来ない。 そんなとき、人づてに紹介された 仙人とよばれる男の指導を仰ぐことに……。 同じ頃、村では、農業生産法人の部長で、 村中で美人と評判の上田理保子が、 近代農業で大沼村を再生させようとしていた。 だが、慣行農業が主流の大沼村の中で、 ゆきづまりを感じていた。 近代農業と古き良き農業、共存共栄への道とは? 著者渾身の長編小説。 <目次> 第一章 それぞれの進む道 第二章 近代農業VS.有機農業 第三章 未来農家
-
-ロシア、中国、日本──壮大なスケールで繰り広げられる日米麻薬潜入捜査官の激烈な戦い。ノンストップアクション、大沢在昌の最高峰ハードボイルド巨篇! チャイナホワイトとは中国を経由して香港からアメリカへ持ち込まれるヘロインのことだ。一九九七年、世界最大のヘロイン輸出ターミナル香港は各国の犯罪組織が盤踞する一大拠点だった。ロシアマフィア、蛇頭、日本の広域暴力団、そして、麻薬ビジネスを新たに牛耳ろうとする謎の男“ホワイトタイガー”……。激変する麻薬組織の勢力図の中で、台湾ルートを追っていた麻薬取締官三崎は何者かに襲われ拉致された!
-
4.0ロシア、中国、日本──壮大なスケールで繰り広げられる日米麻薬潜入捜査官の激烈な戦い。全原稿枚数2000枚! イッキ読み必至のノンストップアクション! チャイナホワイトとは中国を経由して香港からアメリカへ持ち込まれるヘロインのことだ。一九九七年、世界最大のヘロイン輸出ターミナル香港は各国の犯罪組織が盤踞する一大拠点だった。ロシアマフィア、蛇頭、日本の広域暴力団、そして、麻薬ビジネスを新たに牛耳ろうとする謎の男“ホワイトタイガー”……。激変する麻薬組織の勢力図の中で、台湾ルートを追っていた麻薬取締官三崎は何者かに襲われ拉致された!
-
-
-
-
-
-
-
3.0
-
-
-
3.7どうせ叶わぬ夢なら、いっそ、 江戸時代の川や海で、 魚を釣ってみたい――「あとがき」より 文学賞3冠に輝く、圧倒的な物語。 時は元禄年間、五代将軍徳川綱吉の治世。江戸湾の沖合二町ほどのところに船を停め、釣りをする二人―― 俳人の宝井其角と絵師の多賀朝湖――は、土左衛門を釣り上げてしまう。屍体は竿をしっかりと摑んで眼を見開き、唇からは歯を覗かせ、笑っていたのであった。 一方、旗本の津軽采女は閑職が故に釣り三昧の日々。義父・吉良上野介の世話で、将軍の側小姓にとりたてられることとなった。 目次 序の巻 幻談 巻の一 沙魚 巻の二 技師 巻の三 安宅丸 巻の四 鯛 巻の五 水怪 巻の六 釣心 巻の七 密漁者 巻の八 側小姓 巻の九 無竿 巻の十 釣り船禁止令
-
3.0
-
-四百五十石の旗本・羽鳥弥左衛門利宣(はとりやざえもんとしのぶ)の母、嬉代(きよ)は六十三になる寡婦で、屋敷の離れに住んでいる。 良家の子女に書を教えたり、句会を催したりして過ごしているが、頭の回転が早く、人の機微にも通じ、洞察にも優れているので、様々な人がなにかと相談事を持ち込んで来る。 当主の弥左衛門は、人は好いが優柔不断で、日頃から嬉代に頭が上がらない。妻女の民江(たみえ)は、嬉代の大胆な行動に戸惑いがちだ。嫡男(孫)の俊之輔(しゅんのすけ)は、おとなしく、学問所に通っている。孫娘の那美(なみ)は、旗本の姫としては、活発で、早とちりもあるが聡明。嬉代と波長が合い、時に持ち込まれる相談事の解決の手伝いをしている。 嬉代主催の俳諧の集いに来ていた町名主、三左衛門(さんざえもん)が、大工の棟梁の耕吉(こうきち)が愛用の道具箱を盗まれ、困惑しているという話をする。耕吉は若くして棟梁になって、評判も良く、道具を大事に使っていた。道具箱がなくなっては、仕事にならない。 腕が良くて仕事が早い耕吉は、手間賃も比較的安いので、他の棟梁連中から妬み嫉みを受けることもあった。そういう連中の誰かの嫌がらせだと考えているらしい。だが盗まれたという証拠もない。役人は取り合ってくれない。興味を覚えた嬉代が乗り出したところ、意外な事実が明らかになった。子供たちの親を思う心と、職人気質の大工同士が引き起こした小さな事件が四方丸く収まって、めでたしめでたし。そして、また、新たな相談が嬉代のもとに……。江戸の町で起こる、小さな事件が老女の機転と洞察力で、丸くおさまり、今日も江戸は平和に暮れてゆく。
-
3.5
-
-
-
-天下の御意見番として知られた大久保彦左衛門。 その子孫である直参旗本の彦右衛門は、御書院番頭として、将軍家定に仕え、自身も〈天下の御意見番〉と呼ばれている。 ある日、家族総出で菩提寺に先祖供養に行ったおり、「寄進すれば、救われる」と叫ぶ、怪しげな修験僧たちに遭遇する。 それは、恐るべき陰謀の端緒だった。 黒船の来航で世情が騒がしくなるなか、千石の直参旗本の彦右衛門は、十二人の子供たちと孫たちとともに困難に立ち向かっていく。 各社で人気シリーズを持つ著者による書下し痛快時代小説の第二巻! 第一話 人を欺くなかれ 第二話 慈悲をもって 第三話 悪しき友とは 第四話 まずは民の利 井川香四郎 著作リスト
-
3.7
-
3.0
-
-
-
-
-
3.0政権交代を実現し、自民党を崩壊させた凄腕戦略! 史上空前の圧勝で民主党を勝利に導き、自民党を完膚なきまでに叩きのめした小沢一郎。小泉改革の歪みと後継総理たちの相次ぐ失態によって、支持率急落した宿敵にどのようにとどめを刺したのか?彼によって当選した者、彼のおかげで落選した者、双方からの生々しい証言から探る、民意をつかみ流れを引き寄せる小沢流選挙術。これは、本当に凄い。
-
-
-
-
-
3.3「殺意が見える女」(第五十一回日本推理作家協会賞短編部門候補作)を収録した名作短篇集 仕事がしたい。 なのに、あの男は“私の家”に帰ってきて偉そうに「夕飯」だの「掃除」だの命令する。 苛立ちが募る女性作家のもとに、 家事を手伝いたいと熱望する 奇妙なファンレターが届く(表題作)。 嫌いな女友達より、恋人を奪った女より、 誰よりも憎いのは……夫かも。 あなたが許せないのは誰ですか。 第五十一回日本推理作家協会賞 短編部門候補作を含む極上ミステリー七篇。 (解説:杉江松恋) <目次> 夫が邪魔 マタニティ・メニュー 二十五時の箱 左手の記憶 捕えられた声 永遠に恋敵 殺意が見える女
-
-
-
-
-
3.0
-
-
-
-
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。