ビジネス・実用の高評価レビュー
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【狭間国家の地政学】 廣瀬 陽子 著
本書がきっかけで、廣瀬先生とお仕事をさせていただくことになりました。「狭間国家」とは、大国に挟まれた環境にあって、独自の戦略・思考をもって生き抜く国々のこと。本書では、「南コーカサス三国、東欧、中央アジア、バルト三国と周辺国」の章立てを設け、ロシア周辺の16ヵ国の動きを描出されています。地政学では、「ハートランド(ロシア)」と「リムランド(周辺国)」という概念がありますが、「単に大国に翻弄される存在としてではなく、地理的・歴史的な制約の中でも、自ら選択肢を作り、大国との関係を調整しながら生き抜いていく主体」として描きたかったとのこと。
本書が素晴らしい点は、大国に挟まれた各国の思考・行動パターンが詳述されるのに加え、隣国・周辺国とは必ず物議・紛争・係争が起こるということも論評されている点です。得てして日本だけが周辺国と揉めているように感じてしまうのですが、国境を挟み、力のある国々と対峙すれば何がしかの軋轢が生じるということがよく理解でき、大変示唆に富みます。また、ロシアと国境を長距離に接しているスウェーデンでは、「包括的安全保障」と称して、万一の場合の備え、食料・エネルギー・核シェルターが万全に準備され、ポーランドでも、訓練やサイバー対策など、驚くほどの対策をとっている点にも驚かされました。
廣瀬先生は、こうした「狭間国家」の分析を行った上で、何か一つに頼ることなく、「複線化」することを提唱されています。ロシア・ウクライナの関係では、よく小泉悠氏とともにTVなどで論評されますが、実はこの二国に留まらず、とてもダイナミックなご研究をされていることがよくわかる一冊です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ名著
・利他に徹すればさらに恩恵を受ける
・テイカーはフェイスブックの写真がナルシスト、友達がやたら多い、傲慢
・うまく行けば他人を褒め、うまく行かないと責任を負う
・期待を抱けば成績が上がる
・人が才能を伸ばすのはやる気、つまりセンスとか言う概念は無い、天才とは継続する人
・有能だと思われていれば弱みを見せる事は効果あり
・他人に好かれる行動の一つがアドバイスを求める事
・100時間が最もパワーが得られ、疲労感が少ない
★より多く与えればより多く稼ぐ、他人のために金を使うと幸福度が上がる
・テイカーと付き合うときはマッチャーになればいい -
Posted by ブクログ
「戦争はどのように始まったか」という切り口から国際政治を俯瞰した一冊。
両大戦と冷戦を例に、「安全保障のジレンマ」や「同盟のジレンマ」といったフレームを活用しながら、国家が武力行使に至る過程が分かりやすく解説されている。
一方で、このフレームワークを用いてこれからの国家の振る舞いを予測出来るわけでは無い。本書の後半、「いかに次の戦争を防ぐか」で議論されているように、例えば台湾有事も「過去の戦争のアナロジーで防ぐことはできない」。当然といえば当然であるか、戦争に至る過程は千差万別であり、だからこそあらゆる手段を組み合わせる人間の知恵が必要だ、ということを筆者は強調している。
これも筆者が繰り返し述べているが、戦争は一カ国が決心すれば始まってしまう。それを抑止するには、「軍事か外交か」といった二元論に陥いることなく、国家としての総合力、大戦略が適切に発揮されなければならない。戦争を防ぐ万能のワイルドカードの無い悩ましさが示唆されているように思う。
厳しい安全保障環境に直面する現代、市井の我々にとっても必読の一冊ではないか。 -
Posted by ブクログ
プロゲーマーときどさんがプロゲーミングチームに加入するまでを語った自伝。2014年刊なので12年前の本だけど、今読んでも新鮮でおもしろく読めた。
まず、単純に文章がうまくてするする読める。そして歩んできた人生がドラマチック。勉強が得意で麻布から東大に入って……ときいたらただのエリートみたいだけど、麻布に通っているあいだも学校が終わるとそのままゲーセンに行って、子どもがいられなくなる時間まで居座り……と、なかなか根性の座ったゲーマーぶり。そして両親がまた、単に放任というのでもなく、よく子どもを見ているけど邪魔しない、腹の据わったご両親ですばらしい。
ゲームを忘れるほど研究に打ち込み、賞を取るほどの成果も上げたのに大きな挫折が訪れ……と、今思えばそれも運命だったのではというような軌跡だけど、そのときはほんとうに苦しかっただろうな。でも、どの段階でも自分のすべてをかけてのめりこむ、とてつもない集中力と情熱を持った人なのだということがよく伝わってきた。
わたしがときどさんを知ったのはごくごく最近なのだけど、「CEO 2026」でのルーザーズから勝ち上がっての優勝はかっこよかった。直前に負けたBooce Lee選手をグランドファイナルで下したわけだけど、ちょうど本書にその逆の、直前に下した相手に負けた話が書かれていて、すべてが経験の積み重ねなんだなあと感慨深かった。 -
Posted by ブクログ
この本に「母」とタイトルをつけたのすごいな。
内容としては青木さやかさんの自叙伝で、貧乏な下積み時代から一転、お金持ち有名人になるまでの経緯が書かれている。よって私のような凡人ならきっと『青木さやか物語』だとか『こうしてさやかは作られた』みたいなタイトルをつけると思う。「『母』ってタイトルなのにそこまで母のこと書いてないやん!」というクレームめいたレビューも散見される。
ただしタイトルを『母』とすることで、本書は単なる芸能人エッセイの域を超えた、深い物語になっている。
つまり冒頭と結末にお母さまとのエピソードを持ってきて、そしてタイトルを『母』とすることで、母について書いていない部分も、すべて母との確執を経た結果論のように見えてくるのだ。失礼な言い方になるけれど、「母親がこうだと子どもはこう育つ」という見本を披露されているような。「母」という枠組みを設けることにより、青木さやかさんの波乱万丈ストーリーに1本芯が通ってくる。
青木さやかさんには才能や度胸があったから、母への嫌悪を「母がいちばん嫌う仕事で成功してやれ」というパワーに変えて今日があるのかもしれないが、なかなか毒親育ちの娘がこんな人生を辿れることは稀だろう。自分もがんばろうとはとても思えないけど、こういう自分の癒し方もあるな、と思わされる。
「母が嫌いな原因が書かれていない」というクレームレビューもあるが、そう書けるのは親といい関係を築けている証拠だろう。私自身うっすら母が嫌いで、でもその理由や嫌いになった瞬間などをはっきり言語化するのは難しい。日々の積み重ねで生まれた感情だし、嫌い!と突き放しきれない部分もある。青木さやかさんも原因は書かなくていいし、書けないのだと思う。
そもそも本書には、書かれていないことがとても多い。ブレークした理由とか、結婚と離婚の理由とか、あるいはお母さまが亡くなった瞬間とか。そうした一見ドラマチックなポイントは、青木さやかさん的にはどうでもいいことなのかもしれない。書かないことを選択できるのが、とてつもなくかっこいい。そしてその余白が、本書に凄みを加えている。