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千葉の巨大データセンター、サイバー網の急所・長崎、海底ケーブル船、そしてロシアの隣国エストニアへ。サイバーセキュリティと軍事のプロが最前線の現場で見たものとは。情報インフラと安全保障の要でありながら実態の見えにくいサイバー空間の可視化に挑む
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Posted by ブクログ
いつも使っているネットはどんな仕組みで動いているのか。 より深掘りしていくと、危うさが見えてくる。 LANは無線も有線も同じ物理的な弱点を持っている。
職場同僚の紹介。 Audibleにて。 サイバースペースは仮想世界のはなしとして、どこかふわふわと世界で唯一のフラットで境界のないものを想像してしまいがちだ。 この本ではサイバースペースを実現するための最重要物理層である、データセンターおよび海底ケーブルに着目し、実際に現地で取材した内容をもとに、そ...続きを読むのようなイメージを払拭し、サイバースペースにおける地政学を講じている。 日頃デジタル技術を利用するときには意識しないが、堅実にその便利さを支えてくれているインフラに気づかせてくれるとともに、その危なっかしさを学ぶこともできる学びの多い本だった。
そもそも安全保障が身近じゃないところで、視野が広がる内容で割とすぐに読み終わってしまったのだけれども、タイトルがなんとも違和感があって。 勉強になっただけに、タイトルがなんかもうちょっと内容に則したものにできなかったのかなという印象が強く残る。
サイバースペース→データセンター。データセンターの設置にはデータの独立性を担保する地政学上の特性の考慮が必要。海底ケーブル敷設市場と戦争等の有事の際にどうリスクになり得るかといった観点は考えてもみなかったので新鮮な話題であった。米中のケーブルをめぐる覇権争い。地政学は運命論的であるが、サイバースペー...続きを読むスにおける地政学は無線通信の発見のような技術的ブレイクスルーによって人の手によってある程度コントロールすることができる。
確かに、いまや空気のようになってしまっているインターネット空間(≒サイバースペース)だが、どこでどうつながっていて、どういうルートで目的のサーバにたどり着くのか全くわからない。、、が、日本から外国に繋ぐ以上、空か海しかないわけで、その大半を占める「海底ケーブル」の脆弱性について語られていました。 ...続きを読む一方、昨今の地震で「スターリンク」が活躍していることから、人工衛星経由のインターネット接続も話題ですね。 前に、アット東京に行ったことがあるのですが、セコム傘下になっているとは驚きでした。
サイバースペースの地政学 著:小宮山 功一朗 著:小泉 悠 ハヤカワ新書 026 いきなりデータセンターである ネットワークの7層のうちの下1層、物理層がデータセンターのきもである 千葉ニュータウンにあるデータセンター そのインフラエンジニアの聖地が、本書のテーマである なぜ、千葉ニュータウンな...続きを読むのか ・北総台地の地盤が堅固で、地震を含めた災害リスクが低い ・都心から、30~40Kmという比較的交通アクセスのよい土地である そして、データセンターが集まり出すと ・電力会社は、特別高圧電力の供給を ・通信会社は、高速で、安定した通信回線を、この地に優先して供給するようになる つまり、一度、データセンターが集まり出すと、ネットワーク効果が生まれ、さらなるデータセンターを 呼び寄せることとなる 日本と海外とのインタネット通信量は、99%が海底ケーブルだ 2024年01月現在、世界には、574本、総延長140万kmの海底ケーブルが存在している 海底ケーブルのルートは、19世紀に往来が活発であった海の交易路と似ている マラッカ海峡やスエズ運河などの海上交通の要衝は、海底ケーブルのルートしても、やはり重要なポイントである 実際のデータセンターでの電力消費量は、機器そのものの電力量ではない、機器を最適に保つための冷却装置の電力量、つまり、空調費用がふくまれている データセンターとは過酷なところ ・寒い ・湿気が大敵、長時間いれば、肌がカサカサになる ・うるさい、キーンというファンのノイズが、センターには満ちている ・特殊なにおいがする ここでいうリスクとは、中国の漁船に誤ってケーブルを切断されたり、ロシアの攻撃にさらされないように管理しようだ 目次 はじめに 第1章 「チバ・シティ」の巨大データセンター―千葉ニュータウン 第2章 日本がサイバースペースと初めて繋がった地―長崎市 第3章 ケーブルシップの知られざる世界―長崎市西泊 第4章 AI時代の「データグラビティ」―北海道、東京 第5章 海底ケーブルの覇権を巡って―新たな戦場になる海底 第6章 ポスト帝国のサイバースペース―エストニア、ロシア おわりに 謝辞 ISBN:9784153400269 出版社:早川書房 判型:新書 ページ数:208ページ 定価:1000円(本体) 2024年06月25日初版発行
サイバースペース、とは言いながらも データセンターや海底ケーブルなどの物理的な実体やその設置場所からは逃れられない、という事実を改めて考えさせられる本。
現代の人間にとってサイバー空間なしの生活は考えにくい。 しかしサイバー空間は当然データセンターや海底ケーブルという物理的インフラがあることで成立している。 物理的なものであるので、機械は電力を大量に消費するし、ケーブルは破損する。 また利用者とデータセンターの通信距離が遠い場合、わずかな通信遅延も発...続きを読む生する。 データセンターが集まる地域はサイバー空間を含めた地政学的な重心と言える。 海底ケーブルの脆弱性にも注目が必要である。 攻撃側が海底ケーブル破壊にかけるコストは防御、修復側のコストに対して圧倒的安価となるため、攻撃側が有利になる。 筆者のうち一人の小泉氏は専門はロシアの軍事安全保障だが、 過去にサイバーセキュリティシンポジウムで基調講演されていたことを偶然拝見している。 本書でもロシアを切り口にしながらもある種普遍的な問題提起をなされている。 サイバー空間を守りたい人、すなわち現代人の全てに読んで欲しい一冊。
サイバースペースの物理的実体を捉えて、有事の際のリスクを考えてみようという本。面白かった。 インターネット/サイバースペースは、利用者側からはバーチャルな空間と認識されがちだが、当然物理的な実体を伴っている。 それは物理的なサーバ群であり、それを収容するデータセンター(DC)であり、そこに電力を供...続きを読む給する送電網であり、国間を繋ぐ海底ケーブルだったりする。これらは有事には攻撃対象となり、平時には諜報の対象となる。 個人的には、本書でも紹介されている千葉ニュータウンの某DCに行ったことがあるのだが、千葉ニューって他にもDC多いよな、地盤が硬いのかな?などと呑気に考えていた。本書を読むと、理由はそれだけではないことがわかる。一つDCができると、回線業者が通信回線を増強し、電力会社が送電網を強化する。そうすることで、DCに適した環境になる。そうすると、他の事業者がその地域にDCを新設しやすくなる、みたいなメカニズム。 そうやって集まったDCは有事には敵国からの攻撃対象になる可能性があり、ITインフラの重大なリスクであるとの視点が提示される。 他にも海底ケーブルの敷設や補修の話も興味深い。普段意識しない、知らない世界を垣間見れる本でした。これは男の子が好きなヤツですわ。
通信技術に関わる仕事をする中で最近セキュリティが注目されている。すこし幅広くいろんな角度から知識を得たいと思っていたところに遭遇した本。タイトルを見てこれは読んでみようとなった次第 ちょっと物足りない。地政学とタイトルをつけるなら地理的要因に関する戦略で国家戦略の経済や技術とどう関連するのか、陸続...続きを読むきの国と海に囲まれた国での違いなどはもう少し詳細は議論があるとよいと感じた。海底ケーブルを巡る各国の状況などや現地の見聞情報、歴史的な説明はとても参考になったが、どういう国家のポジショニングにつながるか、覇権争いなどについてもっと考察の記述があると良い。それでも海底ケーブルを巡る企業の話とサーバーセンターの土地勘は技術者、経営者の人に多少なり参考になる情報提供だと思う。サーバーの土地が不動産に影響するというところは投資家には常識なのかもしれない。この本の情報をもとにアメリカ、中国、ロシアについて海底ケーブルに着目すると有線系通信の戦略議論は考察できそう。ヨーロッパなども含めて無線通信方もどうなるのか考えるとより通信技術に対しての地政学として考えていくことができそうだと思えた。 ヨーロッパでも島国と陸続きの国で無線がどう意味づけられていくのかは、ちょっと好奇心をそそる。 データの流通においてネットワークの重心(グラビティ)に着目した話は、今後のネットワークセキュリティで何(What)を保護するのかという観点とどこ(Where)を保護するのという観点が、セキュリティを考慮する設計で重要と理解できた。あまりセキュリティには精通しておらず疎かったのでよい知識獲得の機会だったと思う。 もっとセキュリティについての知識は学んでいこうっと。
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サイバースペースの地政学
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