ビジネス・実用の高評価レビュー
-
Posted by ブクログ
ネタバレ17個の章に分かれて書かれている。
読んだ上で私が章に名前をつけるなら、
1ポートランド公爵(穴掘り公爵)の地下世界
2本泥棒 スタニスラス・ゴス が利用した隠し通路
3エカテリーナ宮殿の失われた琥珀の間
4地下通路が張り巡らされた都市
5ドールハウスに隠された秘密
6隠された錬金術工房、実験室
7ウィンチェスター・ミステリー・ハウス
8テンプル騎士団、フリーメイソン
9冥界への入り口、地獄の門
10迷宮と迷路
11マリー・アントワネットの隠し部屋
12禁酒法時代の酒場
13大英博物館の秘密の部屋
14骨の部屋
15バチカンの地下に眠るとされる聖ペテロ
16パリの忘れられたアパルトマン
17ツタンカーメン王の王墓
こんな感じ。
特に2章、面白かった。修道院の本が朽ちていくのが口惜しくて、盗んだ泥棒の話。そして盗んだ本は状態良く、保存していた。泥棒の彼は罰として本の目録を作る、こと。もうそれはご褒美。
3章の琥珀の間も興味深かった。きっとかつての琥珀の間は失われているのだろうけれど、美しかったものが存在していて欲しい、という気持ちは分かる。そしてナチスドイツが奪ってまだ見つかっていない美術品というのはまだどれくらあるのだろう。
10章の迷宮と迷路の話も面白い。迷宮、ミノタウロスは比喩であり、本当にそんなものが存在していたのではなく、他文化のものが見たら、迷宮に見え、恐ろしいもの(ミノタウロス)が隠されているのではないか、ということなのだと思うのだ。人間の想像力が凄いなあ。
11章マリー・アントワネットの話は悲しい感じが強かった。ベルばらでは酷い描かれ方をしていたポリニャック夫人だが、本当は真の友情を築いていたようで…
12章 禁酒法時代の酒場、人の欲を法で禁止すると裏で大流行する、と書かれている。欲の大きさがどれだけ普遍的かにもよると思うけれど、酒くらいになると人は禁止されると裏で大流行するのだろうなあ。大麻とか覚醒剤とかだと押さえ込める感じがあるけれど。売買春なんかも裏で大流行とまでは言えなくても抜け道はいくらでもあるみたいだし。そして隠れ酒場は隠れているからいいのか。隠れ家的な~という形容詞のついた店ってあるけれど、秘密がみんな好きなんだな。大っぴらより隠れ家的。
14章 チェコのセドレツ納骨堂、凄かった。ちょっと見てみたいけど、地震とか起きたら大変なことになりそう。
一つ一つの章の頭に、自分がもし、~だったら、みたいな小説が挿入されている。それも私は楽しめた。そしてさすがナショナルジオグラフィック。写真が綺麗。 -
Posted by ブクログ
死刑について。私はどちらかと言うと存置派だと思ってたけど、これを読んで、被害者の気持ちは?などといった感情だけで人の人権(生存権)を判断する怖さを感じた。現代学校現場で行われている人権教育は相手の気持ちを考えるばかりにフォーカスしているが、到底受け入れられないような相手(例えば犯罪者のような)にも基本的人権が存在していることを教育すべきと言う意見がなるほどと思った。言ってしまえば暴力である死刑で解決することの怖さを知っておくべきと感じた。また、すでに死刑廃止されている欧米などの国家でも、廃止決定当時は存置派が圧倒的な数を占めていて驚いた。最高刑が無期刑などに置き換われば、必然的に受け入れるしかなくなるのかもなと思う。被害者(遺族)が加害者をゆるさないことと死刑廃止を望むことは両立することも覚えておきたい。生まれながらに犯罪者ばかりではなく、その生育環境などがそうした可能性もあるので自己責任論になり、そういう者は排除されるべきという考えは危険。筆者の言っていたように、立法と行政の失敗によって生まれた逸脱者を司法がなかったことにすることはあってはならないと感じた。こういう議論では廃止派が存置派を間違っている、劣っているという風に捉えて、説得させようとしてくる感じがして苦手だったけど、筆者にはそういうのを感じなくて良かった。法学部出身の作家という肩書きも面白かったし、筆者の作品を色々読んでみたいと思った。
-
Posted by ブクログ
ネタバレストーリーが世界を滅ぼす
――物語があなたの脳を操作する
序 章 物語の語り手を絶対に信用するな。だが私たちは信用してしまう
第1章 「ストーリーテラーが世界を支配する」
第2章 ストーリーテリングという闇の芸術
第3章 ストーリーランド大戦
第4章 「ニュース」などない。あるのは「ドラマ」のみである
第5章 悪魔は「他者」ではない。悪魔は「私たち」だ
第6章 「現実」対「虚構」
終 章 私たちを分断する物語の中で生きぬく
なかなか衝撃的な本でした。物語が人の認知に与える影響は強力で、人に印象付けるためには物語の形式が最も優れていることは知っていましたが、本書で物語はそれ以上の威力があることを再認識しました。
物語は人の進化の過程で人を団結させるために脳に組み込まれてきたわけですが、団結するということは団結の輪の外の人たちを作るということ。そして、物語は常に輪の外の人たちを邪悪な敵、別の人たちに仕立て上げてそれを攻撃したり排斥したりすることによって団結を保つために使われてきたし、それを脳が逃れることは非常に難しいことを理解できました。
SNSは大小さまざまな物語を通して、輪の内と外に分断する道具として大きな役割を果たすことによって、今見る分断を世界中に広めています。
アメリカの某大統領の話が書かれていますが、彼は物語を通して偉大なアメリカを再びというスローガンで保守層を団結させ、その威力は左派が提示するファクトをことごとく粉砕してきたのは周知の事実だと思われます。
物語への対抗手段として理性と科学があるが、理性は感情に容易に屈してしまうし、科学は科学者のリベラル化により保守層からは信じてもらえなくなりつつある。
そんな状況の中でAIによる画像やテキストの合成により、フェイクは形を与えられ、ファクトは瀕死の状況となっていくという予想は当たらずとも遠からずの印象があります。
はて、さて、物語好きの竹蔵としては困った状況ですが、自分が物語を読んでいることを意識の片隅に置くことで、少しは狂信的になるリスクは避けられると願っています。
小説を読んだり映画を見たりするのは楽しいですから・・・
竹蔵 -
Posted by ブクログ
ネタバレ格差の起源
なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか
目次:人類史の二つの謎
第1部 何が「成長」をもたらしたのか
第1章 最初の一歩
第2章 停滞の時代
第3章 水面下の嵐
第4章 蒸気エンジン全開!
第5章 停滞から成長へ
第6章 約束の地
第1部のまとめ――成長の謎を解く
第2部 なぜ「格差」が生じたのか
第7章 光と影
第8章 制度の痕跡
第9章 文化的な要因
第10章 地理が落とす影
第11章 農業革命の遺産
第12章 出アフリカ
第2部のまとめ――格差の謎を解く
第1部では、なぜ人類がこの200年くらいで急に豊になったのか?に関しての考察を進め、第2部では現在拡大しつづける格差はどのようにして起こってきたのかを考察しています。
前者の肝は、人的資源の充実による知の蓄積と進歩があげられ、後者の肝は、地理的要因と多様性があげられています。
中でも面白かったのは、豊になるためには多様性と技術の進歩にほどよいトレードオフがあり、その条件を満たしたものが豊になってきたということ。また、マルサスの罠から逃れ人口増加と技術の進歩のトレードオフにいたったものが豊になっているということです。
何事も行き過ぎはまずく、中庸を良しとするということでしょうか。
これに照らすと、日本は多様性を高めることによってより豊になることができるということ。
今後の施政の参考になり得る知見かと思います。
竹蔵 -
Posted by ブクログ
新しい仕事や課題に直面した時に、すぐに「できません」「無理です」と言う人の心理や思考の癖から脱却して、行動に意欲的に移すための実践的な方法を提示した一冊でした。
すぐに「できません」と言ったり態度に示す人の心理は、能力不足ではなく「恐怖心」と「思考停止」にあるとのことでした。人は経験のない仕事や、難易度が不明、もしくは身の丈に合わない高い課題を目の前にすると、失敗への恐れや心理的負荷を慮り、無意識に自己防衛反応を働かせてしまいます。しかし、この言動は自身の成長機会を奪うだけでなく、周囲からの信頼を失う大きな要因となります。
こうした状況を打破するためには、著者は「思考のフレームワーク」を提案しています。
①「できない理由」を「どうすればできるか」に変換する
② 「できません」と即答するのではなく、「どの条件が整えば可能なのか」を考える姿勢を持つことが第一歩となる。
③課題を細分化(スモールステップ化)する
大きなタスクに圧倒されたときは、今すぐ手をつけることができる極小の行動にまで分解します。これにより、着手への心理的ハードルを劇的に下げることができます。
* 時間管理と優先順位の再構築
「時間がない」という言い訳を排除するために、日々の業務を可視化し、本当に注力すべきタスクに集中する環境を整える。
優先順位をつけて、数字に直結するタスクから取り組みます。
本書では、ノウハウに留まらず、行動を起こすことで自己肯定感を高め、周囲との信頼関係を再構築するための「マインドセットの改革」を公開しています。
恐怖心や思考停止の時は、できない理由を探してしまいますが、思考の負の連鎖をどこかで立ち切り、小さくても一歩を踏み出し、幾つもの小さいハードルを乗り越えて成功体験を積むことで自己肯定感を少しずつ高めていくことが重要であると思いました。
-
Posted by ブクログ
上司=管理職における部下への関わり方や采配の振り方について、精神科医の著者が方向性を提案する一冊。
「なぜ指示通りに動かないのか」「なぜ普通の指摘や指導がハラスメントになるのか」などのイライラやモヤモヤにメスが入ります。
精神医学の対人関係療法を基に部下のタイプ別対応やコミュニケーションのコツを紹介、専門用語なしで簡潔明瞭に書かれています。
個人的に参考になった内容は“注意の障害=仕事が覚えられない、別の仕事をすると今している仕事を忘れる”人の箇所です。
これは先天的なもののようで、障害として配慮する以外の方法がないということでした。
私はしばらく管理職から外れることがないと思いますので、とても参考になりました。 -
Posted by ブクログ
「二人の読書会」を読んで向井さんの優しい文章が好きになってしまった。最近、読書会に興味があることもあって、本書は良いことづくしの大好物だった。
本書は読書会のノウハウが実例と共に示されている。明日から読書会を主宰しようと思ったらこれを真似たらいい。ただ、単に実用的なだけではない。各事例で取り上げた本の書評、読書会で出た意見、メンバーでの感想のやりとりなどが盛り込まれていて、積読が止まらなくなる。
古典は普遍的な人生のテーマが凝縮していて歳を重ねるごとに面白みが増していくのかもしれない。そして、それはひとりで読むより仲間と時間と感想を共有して読むことでより貴重な体験になる。
まずは仲間を見つけなくては。 -
Posted by ブクログ
本書は、元厚生労働事務次官である村木厚子氏が、局長時代に直面した冤罪事件の全貌を通じて、日本の刑事司法が抱える構造的な問題を明らかにした一冊である。
単なる事件の記録にとどまらず、誰もが過ちや組織の都合によって突如として被告人になり得るという冷酷な現実を示し、そうした事態にいかに備えるべきかを自身の凄絶な実体験と重ね合わせて提示している。さらに、再審法の不備をはじめとする司法制度の課題を投げかけ、実効性のある改革案を試案として展開するなど、極めて重厚な内容となっている。
通読して深く考えさせられるのは、検察官や裁判官が抱く「絶対に間違ってはならない」「国民の信頼を損なってはならない」という過度な無謬性の意識が、かえって事実の隠蔽や不全な組織運営を招いているという点だ。人間は誰しも判断を誤るという自明の前提に立った司法プロセスや組織構造の再設計が必要であり、エラーの存在を認めた上で正しく補正できる柔軟な組織風土と、それを許容する社会の寛容さが強く望まれる。
閉鎖的で独自の慣習に縛られた司法組織の改革は容易ではなく、その歩みが極めて遅緩であることは疑いようがない。だからこそ、多くの市民がこの問題に対する理解を深め、制度の監視者としてのリテラシーを高めていく必要性を痛感させられる良書である。