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「幸福とは何か」.哲学は,このシンプルにして解きがたい問いから始まり,その問いに身をもって対峙したのがストア派の哲人たちであった.ギリシアからローマにいたる西洋古代哲学の系譜をおさえつつ,エピクテトス,セネカ,マルクス・アウレリウスらのゆたかな言葉から,〈生きること〉としての哲学を手繰りよせる.
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Posted by ブクログ
現代は多様性の時代である。SNSや実際に人々の交流を通して国境があいまいになり、地球の裏側まで瞬時にニュースが飛び交う時代である。まさに身近なことが地球規模に影響を及ぼす、あるいは地球規模のことが身近にある、グローバルな時代なのである。しかしそれだけではなく、安定していた豊かな閉じられた世界では感...続きを読むじられることのなかった様々なことが露わとなり、国を超えなくともごく身近な範囲で分かりあうことの難しさを痛感するという意味でも、日々多様性を感じさせられるのではないだろうか。 ストア哲学の思想は多様性の現代にあって日に日に注目度を増している。ストア哲学が生まれた社会というのはまさに国境があいまいになり様々な文化が入り乱れる多様性の世界であった。世界市民(コスモポリテース)としての自覚は、どこのポリスに属するでもなくこのコスモス(世界ないし宇宙)のポリテース(市民)であるという自覚に由来するものである。さまざまな価値観がぶつかり合い、人が入り乱れ、ローカルなルールだけでは上手くいかない局面が増えれば増えるほど、普遍的な思考が求められていく。個々の文化によって変わることのない人間の姿を見定めようとしたのがストア思想の特徴といえるのではないだろうか。分断の社会が進展していく中で、カントの世界市民論が注目され、その根底にあるストア思想はその存在感を増している。そもそも自然法、本性、人権といった言葉の淵源にストア思想は位置しているのである。 しかしそのような重要性をもったストア思想についての学問的案内はことのほか少なく、本格的に読み進めたい人にとって確かな道引きとなるのは、原典を始めとした諸外国の文献案内を含む中央公論新社の『哲学の歴史2 帝国と賢者』であろう。具体的な引用と解説が織りなすこの哲学史は、一通りの概説では得られない深さで哲学的テクストを読み説くことを通して、その奥行きを知らせてくれる。しかし、それよりも簡潔にストア哲学の全体像を示してくれるのが本書『哲人たちの人生談義』なのである。 そもそもストア哲学を学ぼうとして「原典」に当たろうとして読者が容易に手にすることのできる体系的なストア哲学の本というのはなかなかない。というのもエピクテトスにしても、マルクス・アウレリウスにしても、彼らは思想体系の構築ではなく実践に重きを置いていたからである。それでは、実際に私たちが読むべき「原典」とは何なのか。そこから解き明かしてくれるのが本書の特徴なのである。 ストア哲学を読むとは様々な哲学的潮流の中でストア派と呼ばれる人々について語られる言説に触れることを通して、その輪郭を捉えていくことなのである。それは時にディオゲネス・ラエルティオスの『ギリシア哲学者列伝』を読むことであり、キケロやセネカの著作を読むことである。であるからこそ、ある程度はプラトンやアリストテレスといった主流な見解と突き合わせて理解するという作業が求められる。そのうえで読者一人一人が彼らについて残された言葉を精査していくことの内に、その体系を見出していくことが求められるのである。本書はその実例を通して、何を読むべきかの外縁を提示してくれる。 本書を読んで気が付かされることはストア思想に触れることは、あるいはプラトンやアリストテレスをよりよく理解する大きな手掛かりを与えてくれることである。古典ギリシア・ローマのテクストを読むことの醍醐味を感じさせてくれる本書は、古代ギリシア・ローマのみならずヨーロッパ世界に興味のある人にはぜひ勧めたい一冊である。
ストア派とその周辺の思想をフラットに眺め渡すことができる。第5章のパトスについての解説が特に勉強になった。
ヘレニズム~ローマ期のストア哲学の考え方をキュニコスやエピクロスと比較しながら紹介 人生の幸福は何か?の定義から全然現代人と異なるので、ストア派のテキストを安易に自己啓発書として読むのはどうかと考えさせられる
自分ができることに専念するよう仕向けてくれたストア哲学。その系譜や哲学を紐解く内容で、啓発本の類いでは触れられないことが知れて、見方が少し変わった。断片的に語録を味わいながら読むのとは違い、どうしてそういう考え方が出てきたか、幸福を考えることから紐解いてくれている。
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